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第22話「【テロンの戦艦ヤマッテ】を追う艦隊」、「出撃する艦隊」
前書き
ネオ・代表05−1です。第22話「【テロンの戦艦ヤマッテ】を追う艦隊」、「出撃する艦隊」となります。先ずは序盤にスヴェートSIDE、それ以降はタイトルの通りとなります。
どうぞ、ご覧ください。
〈スヴェートSIDE〉
このホテルでの生活は、今日で1週間となる。ホテルでの生活は、地球・ガミラス・ブリリアンスという生まれた星が違う同士の共同生活を日々送っている。
バーガー達ガミラス人は知らないだろう。ザルツ人と認識している人種が、実は地球人であるということを。
バーガー達ガミラス人、そして古代達地球人は知らないだろう。両者は蒼い肌を持つと【視認】しているスヴェート大佐が、実は地球人と同じ肌を持ち、実は地球出身であるということを。
まぁ、私が地球人だと明かしていないから当然か。大佐どころかギルド長。それに、古代達を地球人であると明かしていないし。
というか、だ。…幻覚、凄いな。
いや、最早それは幻覚に収まらないだろう。次の日となると、皆の服装が変わっているし。服装に触れることが出来て、その服装に違和感がなく、着替えることを出来る。さながら本当に本物のよう。
つまり、これは幻覚どころの騒ぎではない。誰も騒いでいないけれども。あたかと普通であると認識しているようだけれども。慣れたのかな?
とにかく、だ。
幻覚ではなく、何らかのシステムによって作り出され、私達はそれをそう認識しているのだろう。私は、このように纏めた。今居るこの空間は何らかのシステムによって作られた偽物で、真の世界はこの空間の外にあり、我々は幻を見させられている説だ。
まさに、システムによって作られた世界。映画であったな、そういうの。なんていう映画だったか、確か―――マトリッ◯スだったか。
改めて、そして簡単に纏めよう。我々はマトリッ◯スのような世界―――空間に閉じ込められた、ということ。
……え、どんな文明が造ったんだ、こんな超がつく程の凄いシステムは神かかった代物ではなかろうか……実はこの惑星、機械で構成されているのではないかと、納得してしまいそうなのだが………いやだなぁ、納得したくないぁ。
さながら、オーバーテクノロジーだ。…オーバーテクノロジー、響きイイよな。
あぁ、伝説の惑星シャンブロウに行きたい、シャンブロウが恋しい。
あ、そういえば。
古代達といえば、【宇宙戦艦ヤマト】に乗っていたそう。私と同じく遭難してしまったが、彼らは〈ヤマト〉に乗ってやって来た。気配を消し、耳を澄ませて聞いたのだ、間違いない。
しかし、宇宙戦艦ヤマトか。どういった見た目なんだろうか。
第二次世界大戦時の〈ヤマト〉を受け継いた艦艇だ、さぞ近代化しまくったことだろう。そんな戦艦が宇宙空間を航行し、そんな戦艦がワープまで出来る……ふふっ、最高かな。
「スヴェート。採掘作業の手が止まってるぜ」
おっと、そうだった。
「すまんすまん」
よし、頑張るぞ〜、えいえいお〜。
〈???艦隊旗艦SIDE〉
赤い巨大艦以下の20隻以上のガミラス艦隊を【新兵器】により撃滅させた〈???艦隊旗艦〉。撃滅させた〈???艦隊旗艦〉は艦隊を率い、しばらくして【テロンの戦艦】を確認した【彼】により、かの戦艦へと攻撃を仕掛けた。
しかしながら、だ。
攻撃を仕掛けたものの、【テロンの戦艦】は防御兵装を装備している為、攻撃が中々通らない。
———流石は【テロンの戦艦】。それでこそ献上する価値があるというもの。当時、【彼】が獰猛な笑みを浮かべながら言っていた。
だがその【テロンの戦艦】は惑星の表面に降下してしまった。【彼】は前衛艦隊に追撃させたが、見失ってしまった。【テロンの戦艦】は空間跳躍―――ワープで離脱したのだ。
艦隊は現在、その惑星の宙域に待機していた。
「―――えぇい!未だ見つからんのか!」
艦隊司令官である彼―――雷鳴の戦士ゴラン・ダガームの怒号が、艦橋に居る全ての者の耳に届いた。
グタバ方面の大都督であるゴラン・ダガームの年齢は、地球の年齢換算にして42歳。身長は2m以上あり、彼の身体は銅のような屈強な身体であることから、鍛えられているのがよく分かる。その屈強な身体には中世ヨーロッパのような甲冑を纏い、袖無しの陣羽織のような物を羽織る。
柄が入った山羊のような刀を肩に掛けたその人物ことダガームは、常に1mはある両刀のバスターソードを両手で使い杖のように扱っていたが、今は鞘に収めていた。
何処かの戦いで受けた傷なのか、顔の左半分には獣の鋭い爪で抉られた跡があり、初めて会う者全てに恐怖を感じさせる強面だ。最も、初めてに限らず、只今ダガームが絶賛イラついている為、艦橋に居る全ての者は恐怖に慄いていた。
無論、彼らは一般人ではない為、ダガームに慄きつつも、今も己の仕事に従事している。
共通なのか、彼らは緑の肌を持っている。
「あ、後少しであります」
航路担当が汗を額から流しつつ、そう答えた。彼は、ワープした【テロンの戦艦ヤマッテ】が残した残存物質をトレース―――追跡を行っている。任務にあまりにも長い時間を掛けると、ダガームが座乗するこの艦においては命に関わる。【空間航跡】をトレースしている航路担当は正確にそして迅速に、目の前の仕事に集中する。
だが、元々気の短いダガームは、もう既に限界であった。彼はソファーのようなキャプテン・シートから腰を上げるや、床へと唾を吐いた。そして、ゆっくりとゆっくりと、【空間航跡】をトレースしている航路担当に向かって歩く。
【空間航跡】をトレースしている航路担当は思わず息を飲み、彼に連動するように、周囲の者も生唾を飲み込んだ。
ダガームが、鞘からバスターソードを抜こうとしたその時だった。
「本国より入電!【サーベラー】丞相閣下です!」
鉄仮面のようなヘルメットを被る通信士が、声高に叫んだ。ダガームはその場に止まり、三次元ホログロムが展開されるほうへと振り向き、姿勢を正した。
「(た、助かった)」
【空間航跡】をトレースしている航路担当は、そっと安堵の息を吐いた。
ダガームはその場に止まり、三次元ホログロムが展開されるほうへと振り向き、姿勢を正した直後、床の一部―――彼の目の前で揺らぎが生まれ、その中心に1人の女性がホログラムで現れた。
その女性は、【白銀のシファル・サーベラー】。
シファル・サーベラーは胸元からへそまで深いスリットが入った、ビーナスにも負けない整った体のラインがよく見える白いスーツに着込む。ダガームと同じく短剣を肩に掛け、切っ先を上へと向けていた。炎のような模様の入った薄く白いマントを纏う長身で美しい女性で、閣下と呼ばれるような地位の高い者とは思えない若さであった。
全てを見通すかのような切れ長の目は冷ややかで、相手を見下ろすことが自然に思える高貴さを持っている。輝くような長い銀髪を持ち、薄い緑の肌とつり上がった細い目は銀狐を彷彿させる風貌だ。
地球の年齢換算で23歳という若さで丞相という高い地位にあるサーベラーの出自は謎であり、一説によれば【大帝】の寵愛を受け帝国丞相に上りつめたのではと噂されている。
諸侯の頂点に君臨しているサーベラーだが、権力を振るわれるのが嫌だと彼女を嫌悪する者は少なくない。
しかし、だ。
丞相となった経緯が何であれ、政治面で【大帝】を補佐するには才能も必要だ。サーベラーは、その力を若くして持っている。
目の前に居る彼女に、ダガームは内心で嫌悪の色を隠さなかった。
「報告せよ、雷鳴の戦士よ」
サーベラーの澄み渡る声が、艦橋内に響く。
「それが、未だ【静謐の星】に関する情報は確証至らず」
「うつけ!」
「!?」
突然の怒鳴り声に驚いたのか、ダガームは思わず一歩後ずさってしまった。
「物見遊山が為に任せたのではないぞ、ダガームよ」
自分より20歳も下の白銀の美女に恥をかかされ、ダガームの肩はビクッと震えた。
「で、ですがサーベラー丞相閣下。それに代わる獲物を発見し、只今追跡しております。コチラを手に入れ【大帝】に献上させて頂けますれば、きっとお喜びになられるかと―――」
「黙りおろう、雷鳴の戦士ダガームよ」
上半身を傾けながら丁寧に説明するダガームの言葉は、サーベラーに一刀両断された。
「【大帝】は件の宝、【静謐の星】をこそ御所望ぞ。そなたは其処に眠る【アケーリアス】の技術―――遮蔽の技術奪取に邁進せよ。要らぬ浅知恵を巡らせるでない」
「はっ、ははぁあ!申し訳ございません!」
「【帝星ガトランティス】を統べる偉大なる【大帝】陛下の御言葉をもう一度伝えてやる。帝国は覇道完遂の為、その技術を欲している。そなたが受けた命令は『【静謐の星】を発見』だ。余計なことはせず、任務遂行に邁進せよ」
「…御意」
完全に頭を収えられている帝星ガトランティス・グタバ方面大都督ダガームは、低頭平身するしかなかった。
「そなたが【静謐の星】を発見しえぬ時は、死を以ってその償いと為せ」
「…御意」
「吉報を待つ」
瞳を右へと寄せ顔を傾け、「お前には出来ぬかもしれぬがな」とでも言いたげな表情をダガームに向けながら、サーベラーのホログラムは陽炎のように消えていった。
「…っ」
それを見届けたダガーム。
「大帝の威を借る小娘が…っ!」
ダガームはプライドが高く、小馬鹿にされる事を最も嫌う。屈辱だ、小娘の分際で…っ。
しかし、彼にとっては屈辱であれど、航路担当オペレーターにとっては貴重な時間となった。航路担当オペレーターは報告する。
「大都督!【空間跳躍】の航跡、特定出来ました!」
「よし!」
航路担当オペレーターを睨みつけるダガームだが、瞳でよくやったと彼を褒めた直後、命令を発する。
「これより【ヤマッテ】を追う!」
ダガームはマントを翻し、キャプテンシートにどかりと座る。
その命令を聞いた副長【ボドム・メイス】は目が点となった。
副長のメイスもダガームには及ばないが、身体はよく鍛えられている。歳はダガームより下の37歳。頭はセンターだけを残して禿げ上がっている髪型と、口元から頬にかけて多くの髭が特徴だ。
殴られたのか、左目の辺りに青い痣が出来ていた。
そんな彼は今もダガームの左後ろで控えて立っていたが、ダガームの命令を聞いた瞬間、思わず目が点となってしまった。副長である彼は、心配する声音で意見する。
「しかし、丞相閣下の御言葉は…」
だが、ギロリと睨みつけメイスを圧した。
「構わぬ」
「な!?」
「儂は偉大なる【大帝】の臣下であって、小娘の小間使いではない」
鼻を鳴らし、唖然とするメイスを一瞥したダガームは、命令を発する。
「全艦、空間跳躍の陣を敷け!航跡データに従い直ぐに飛ぶのだ!」
直後、艦内には空間跳躍を知らせる警報が鳴り響き、全ガトランティス艦の後部ノズルが青白く輝く。勢いよく加速したガトランティス艦は、それぞれの前方に生成されたワームホールの中へと消えていった。
そして、この宙域は静寂の世界へと戻ったのだった。
―――ブリリアンス星、ブリリアンス・ギルド本部。
スクリーンには各艦隊の映し出され、〈通信不能〉〈位置情報途絶〉となっている艦隊にマーカーが表示されていた。表示されているのは1つの艦隊―――ブリリアンス・ギルド長スヴェートが率いる艦隊のみ。スクリーンには点滅する〈スヴェート艦隊〉と表示された光点。大マゼラン銀河外縁部に入り、しばらくすると〈通信不能〉〈位置情報途絶〉となった。
「艦隊ヲ派遣、現場に急行セヨ」
スーパータクティカルドロイド―――【クラーケン】は、命令を出した。
「ラジャー、ラジャー」
B1バトルドロイドは了解し、コンソールへと向き直るや艦隊に対して出撃命令を出す。出撃命令を受け取った艦隊は、準備に取り掛かった。
「発進セヨ」
しばらくして出撃準備が完了した艦隊―――TEシリーズを中心に編成された艦隊が飛翔し、本星を後にした。
後書き
現状公開な情報:大マゼラン銀河外縁部に向かう艦隊編成
・レイジャー級 TE魚雷フリゲートⅡ型x10
・グリムリーパー級攻城フリゲートⅡ型x8
・アーガス級 TE搭載戦術駆逐艦Ⅱ型x9
・ボレアス級 TEミサイル駆逐艦Ⅱ型x7
・クラッシャー級TE艦載機輸送船Ⅱ型x6
・ツンドラ級戦術駆逐艦Ⅱ型x1
・ガーディアン級支援駆逐艦Ⅱ型x4
・AC721重量級両用突撃艦Ⅱ型(艦隊旗艦の僚艦)x2
・AC721重量級支援駆逐艦Ⅱ型(艦隊旗艦の僚艦)x2
・アクラメータ級改 戦闘航宙艦〈艦隊旗艦〉x1
以下、合計50隻。
本艦隊を指揮する指揮官Tシリーズ戦術ドロイド(タクティカルドロイド)x1
タクティカルドロイド「褒メテ貰イタイカラ頑張ル」
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さてさていかがだったでしょうか。至らないところもあるかと思いますが、温かい目で観ていただけると嬉しいです。ご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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