英雄伝説~黎の陽だまりと終焉を超えし英雄達~
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第36話
その後手配魔獣の下に到着したヴァン達は協力して手配魔獣を撃破した。
~ディルク記念公園~
「ハッ…………ざっとこんなもんか。」
「しかし月華の中伝か…………クソ生意気だがやっぱり”そこそこ”はやるじゃねぇか。」
「はいっ、舞いのテンポも活かした戦い方ですよね?まだムラっ気はありますけど今回は良い感じでした!」
「それに前衛でありながらも、アーツや魔術も十分使いこなしているわね。」
手配魔獣の撃破を確認して鼻を鳴らして武器を修めるアーロンにヴァンとフェリ、ユエファはそれぞれ評価した。
「上から語ってんじゃねえぞチビ。てめぇこそアーツを活かしやがれ。シャードだったか?あれも使いこなしてねぇだろうが。戦術導力器がまだ普及していない時代の人間だった上、元々戦闘関連は素人だったオフクロの方がお前よりも使いこなしてるだろうが。」
「それは………むぅ。」
「アーロン?その言い方だと、まるで私が旧い時代から生きてきた人物みたいに聞こえるのだけど~?」
アーロンの指摘に反論でいないフェリが頬を膨らませている中、ユエファは意味ありげな笑みを浮かべてアーロンを見つめて指摘した。
「みたいも何も事実じゃねぇか。姉貴もそうだがオフクロも見た目は若いが、実際の年齢で考えればオバハ――――――」
ユエファの指摘に対してアーロンは呆れた表情で答えかけたが
「あら~?どうやら後でマティを交えての”お話”をしたいみたいね~?」
「すいませんごめんなさい、お母様とお姉様は永遠に若くて器量がいいので、”お話”だけは勘弁して下さい。」
ユエファが威圧を纏った微笑みを浮かべるとアーロンは即座に疲れた表情を浮かべて謝罪と自分の発言の撤回をし、その様子を見ていたヴァンとフェリは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「やれやれ…………まあお互いにフォローはできるか。なんだかんだ戦力バランスは良くなってきた気がするしな。」
「はい、お二人の近接戦闘術に、わたしの中距離サポート、近接戦闘と遠隔戦闘の両方をこなせる天使様のお二人にユエファさん…………アニエスさんのアーツ支援が加われば、色んな戦況に対応できそうですね。」
「ま、そいつは認めるが――――――…………それだけじゃ肝心な時は、実質姉貴と小娘の天使頼りになるだろうが、”奴ら”をブチのめすためには。」
「アーロン…………」
ヴァンとフェリの感想に同意したアーロンは今まで戦ったアルマータの幹部達――――――メルキオル、ヴィオーラ、アレクサンドルを思い浮かべて真剣な表情である問題点を指摘し、アーロンの指摘を聞いたユエファは複雑そうな表情を浮かべた。
「…………確かにな。」
「…………わたしも次こそは後れを取りません。改めてよろしくお願いしますね、アーロンさん!」
アーロンの意見にヴァンが同意した後決意の表情を浮かべたフェリは笑顔を浮かべてアーロンに声をかけた。
「あー、そういう暑苦しいのはいいんだっつの。とりまメンド臭ェ依頼もクリアだ。とっとと戻って――――――」
フェリの言葉を軽く流したアーロンがふと崖の上――――――エントランス付近に視線を向けると民間人らしき人が数人いた。
「あいつらは――――――」
「数名来たみたいです。おそらく民間人…………」
「あら?今この公園は休園中じゃなかったかしら?」
「チッ…………何者だ?管理人が交替するとは言ってたが。」
民間人らしき数人の人を確認したアーロンは眉を顰め、フェリの分析を聞いたユエファは首を傾げ、ヴァンが舌打ちをした後真剣な表情を浮かべた。その後ヴァン達は休園中の公園に現れた民間人らしき数人の人の目的を確かめるためにエントランス付近へと戻った。
「んー、いいロケーションだねぇ。イメージにもピッタリだ!ニナちゃん、準備はできてるかい?」
ヴァン達が近づいて来る少し前景色を見つめていたディレクターは振り向いてある人物に声をかけ
「はい、いつでも大丈夫です。でもよかったんでしょうか、勝手に入ってしまって。管理人さんも交替したばかりでちょっと待ってて欲しいって…………それに祝日なのに休園だなんて、何かあったんじゃ――――――」
声をかけられた人物―――――黒髪の娘は返事をした後ある懸念を口にした。
「まーまー、事前にアポは取ってるしなんの問題もないでしょ。ニナちゃん売れっ子だからこれを逃したらボク、大目玉だよ。天気もちょっと心配だし今のうちにサクっと撮っちゃおう!」
娘の懸念に対してディレクターは軽く流して撮影を始めるように促した。
「…………そうですね。」
「ディレクター!準備できましたー!」
「ほいほーい!」
そしてスタッフの報告を聞いたディレクター達は撮影を始めた。
「それじゃあニナちゃん。シーン17の2から早速――――――」
「え……!?」
ディレクターが娘に指示をしたその時、何かを目にした娘は驚きの表情で声を上げた。
「グルルルル…………」
「う、うわああっ!?」
「な、なんで魔獣が…………!?」
娘が目にした”何か”――――――狼型の魔獣達は唸り声をあげながらディレクター達と対峙し、魔獣を目にしたスタッフ達は悲鳴を上げた。魔獣は自分達の登場によって腰を抜かしたディレクターに近づき
「ノオオオ―――ッ!?来るな、来ないでくれっ!」
「くっ…………!」
「――――――伏せろ!!」
ディレクターが悲鳴を上げ、娘が唇を?み締めたその時ヴァンの警告の声が聞こえた後、ヴァン達がそれぞれ飛び込んで魔獣達に攻撃して魔獣達をディレクター達から離した。
「ハッハー、ザコ共が!」
「大丈夫ですか!?」
「ケガとかしていないかしら?」
「あ、あなた方は…………」
フェリとユエファに声をかけられた娘は戸惑いの表情を浮かべ
「話は後だ、アンタらは下がってろ!」
ヴァンは娘達に警告した後フェリ達と共に戦闘を開始し、魔獣達を撃破した。
「…………おおお…………!」
「…………すごい…………」
魔獣達を圧している様子のヴァン達にディレクターと娘は驚きと感心した様子で見守っていた。
「数は多いが、さっきのカエルの方が手強かったくらいだな…………!」
「ああ、このまま確固撃破するぞ――――――」
「うわああっ!?」
アーロンの言葉にヴァンが頷いたその時別の方向から悲鳴が聞こえ、悲鳴が聞こえた方向に視線を向けると別の方向から現れた魔獣の群れがスタッフ達に近づいていた。
「群れの増援…………!?」
「チイッ…………!」
「この距離じゃ…………!」
(間に合うか…………!?)
魔獣の増援の登場によって増援の魔獣に近いスタッフ達を守ることが厳しいことを悟ったヴァン達が焦ったその時
「――――――フォローするよ。」
「――――――行きます!」
二人の娘の声が聞こえた後崖上にいたフィーの銃撃によって魔獣が怯むと崖からそれぞれ跳躍したフィーとアネラスが凄まじい速さで魔獣達を斬り伏せた。
「迅い――――――それにあの動き…………!?」
「ナニモンだ…………!?」
「多分だけど彼女たちは――――――」
「ハッ、まさかの新顔とは。――――――こっちは任せた!」
フィー達の登場に驚いているフェリ達にディレクター達の守りを任せたヴァンは魔獣達と対峙しているフィー達に走って近づいた。
「あっ!貴方は…………!」
「サンクス。――――――このまま殲滅する。」
ヴァンを目にしたアネラスは声を上げ、フィーは静かな笑みを浮かべ
「了解だ――――――”妖精”、”剣迅”!」
フィーの言葉に力強く答えたヴァンはフィーとアネラスと共に魔獣達との戦闘を開始した!
「絶!ダメ押しっ!!」
フィーは先制攻撃代わりに一瞬で敵に詰め寄って切り込んだ後飛び上がって連続で射撃して攻撃するクラフト―――――瞬光石火で攻撃してダメージを与え
「秘剣!裏疾風!斬!!」
「痺れちまいなっ!!」
アネラスは神速の速さで移動して斬り刻んだ後追撃の衝撃波を放つクラフトを、ヴァンは電撃を流した撃剣を地面に突き刺した後踏み込みからの打撃を放ってダメージを与えるとともに敵の身体を痺れさせるクラフト―――――蒼破崩拳を放ってそれぞれ魔獣達にダメージを与えて怯ませた。
「ミッションスタート!ゴー!アインス!ツヴァイ!ドライ!」
そこにSクラフトを発動したフィーが神速で次々と敵に斬り付けた後幻影を残し
「羽ばたけ――――――アズール・グリオン!!」
止めに双剣銃に纏わせたエネルギーを放ち、幻影達もそれぞれエネルギーを放って魔獣達の地面をエネルギーで包み込み、炸裂させた!
「ガアアアアアアア――――――ッ!!??」
フィーが放ったSクラフト―――――アズール・グリオンによって魔獣達は悲鳴を上げながら消滅した!
「ふうっ………無事か?」
「私は問題ありません!」
「当然。そっちのお仲間も――――――」
戦闘終了後武器を収めたヴァンの言葉にアネラスと共に答えて武器を収めたフィーはアーロン達へと視線を向け
「ハン、片付いたか。」
「殲滅完了ですっ。皆さん、大丈夫ですか?」
アーロン達もそれぞれ武器を収めている中フェリは振り向いてディレクター達に声をかけた。
「は、はい、なんとか…………」
「お、おおおお…………ありがとう、本当にありがとう!しかし君達は一体…………!?ハッ!?そちらの東方人の天使の君!俳優に興味はないかい!?器量もニナちゃんとも互角な上、東方系であることに加えて”天使”という新鮮な要素がある上先ほどの戦闘の動きからして高度なアクションもできる君なら、短期間でトップスタークラスになれるよ!?」
「あらあら♪うふふ、今のスカウトを見てわかったでしょう、アーロン?私もまだまだいける事を♪」
「ハッ、その言動自体がオバハンじみてるっつーの。」
フェリの確認の言葉にニナの後に興奮した様子で答えたディレクターはユエファの容姿をよく見た後真剣な表情を浮かべてユエファをスカウトしようとし、ディレクターにスカウトされたユエファは微笑んだ後アーロンに指摘し、指摘されたアーロンは鼻を鳴らして僅かに呆れた表情を浮かべて答えた。
「おーい、大丈夫かー!?」
するとその時公園の管理人が走って近づいてきた。
「あ。もしかして引継ぎの管理人さん…………?」
「やれやれ…………一件落着みたいだな。」
「だね。」
引継ぎの管理人の登場にアネラスは目を丸くし、溜息を吐いて呟いたヴァンの言葉にフィーは頷いた。
「―――――皆さん、本当にありがとうございました…………!」
「あー、何度もいいっての。そっちのディレクターさんからも追加報酬を頂いたことだしな。」
「えと、いいんでしょうか?」
娘にお礼を言われたヴァンは苦笑しながら答えた後ディレクターに視線を向け、フェリはディレクターに確認した。
「いや、、当然のことさ!まさか魔獣に襲われるとは…………ニナちゃんやスタッフに何かあったら新作、いや映画界の損失だからねえ。」
「ふう、僕がちゃんと状況を引き継げていればこんな事には…………どうも休園のゴタゴタで連絡が漏れていたみたいです。」
フェリの確認に対して問題ないことを答えたディレクターの答えを聞いた引継ぎの管理人は後悔した様子で答えた。
「なぁに、結果オーライさ!それより”解決事務所”だったかい、さっきの戦いは見事だった!君達、私の次回作でスタントかエキストラで出てみないか!?それとそちらの天使の君も俳優デビューを本気で考えてくれないかい!?」
一方ディレクターは引継ぎの管理人のミスに怒っていなく、ヴァン達やユエファをスカウトしようとし、ディレクターのマイペースさにヴァン達は冷や汗をかいて脱力した。
「いや、少しは懲りてくれや。しかしアンタら、あの”ユナイテッドスター”の撮影班か。」
「結構有名な映画会社だったか?んで、そこの撮影に参加してる、”ニナ”って言やあ…………」
「ふふ…………すみません。名乗るのが遅れてしまって。ニナ・フェンリィ――――――導力映画の女優をしています。駆け出しの若輩者ですけどご存じみたいで嬉しいです。」
アーロンに視線を向けられた娘――――――ニナは自己紹介をした。
「女優…………!映画の役者さんですか!」
「それも”ただの役者”じゃないわよ、彼女は♪」
「オイオイ、謙遜すんじゃねえよ。アンタ相当売れっ子じゃねえか。少なくとも東方系じゃNo.1くらいの知名度だろ。」
「ああ、しかも何系だの関係なく、若手じゃ最注目の俳優らしいな。俺も何作か見てるがどれも相当良い出来だったぜ。」
ニナの自己紹介を聞いて興奮しているフェリにユエファが口元に笑みを浮かべて指摘し、アーロンとヴァンはニナに対しての高評価の話を口にした。
「ふふっ、ありがとうございます。まだまだジュディスさんのような偉大な先輩には追い付けていませんけど。」
二人の高評価にニナは苦笑しながら謙遜した様子の自己評価を口にした。
「ジュディス・ランスター………そういや同じ事務所なんだっけか。」
(…………その名前は確か…………)
ヴァンの言葉を聞いたフェリはジュディスと怪盗グリムウッドを思い浮かべた後ヴァンと互いの顔を合わせた。
「?えっと…………」
「あ、なんだよ?」
「ジュディス・ランスターって確か映画界のトップスターでしょう?二人とも、彼女と何らかの関係があったのかしら?」
ヴァン達の反応が気になったニナとアーロンはそれぞれ不思議そうな表情を浮かべ、ユエファは不思議そうな表情で訊ね
「いや、気にすんな。」
訊ねられたヴァンは答えを誤魔化した。
「それにしても、遊撃士さんまで駆けつけてくれるとはねぇ…………しかもこんなに若くて可愛いとは!”乙女”以外も逸材揃いじゃないか!」
「うんうん、さすがディレクターさんだけあって、フィーちゃんの可愛さをよくわかっていますねぇ!」
「ふふ、わたしだけでなくアネラスの事も指していると思うよ。管理会社からの行き違いっでさっき手配魔獣の連絡があった。そっちは一足遅かったみたいだけど一応、義理は果たせたかな?」
ディレクターの言葉に何度も頷いて答えたアネラスに苦笑しながら指摘したフィーは口元に笑みを浮かべた後アネラスと共に改めて自己紹介をした。
「改めて――――――フィー・クラウゼル。エレボニア遊撃士協会所属だけど、昨日、旧首都総支部に着任したばかり。よろしくね、そっちの人達も。」
「同じくアネラス・エルフィードです!私の所属はリベール遊撃士協会ですけど、フィーちゃんと同じく昨日、旧首都総支部に着任しました!改めて、よろしくお願いします!」
フィーは自己紹介した後ヴァン達に視線を向け、アネラスは元気よく自己紹介をした。
「エレボニアとリベールの方だったんですね…………改めてありがとうございました。」
「ううん、無事でよかった。民間人を守るのはわたしたちの役目だし。ま、今回についてはお株を奪われちゃったかな?」
ニナの感謝の言葉に謙遜した様子で答えたフィーは苦笑しながらヴァン達を見つめた。
「いや、あと一歩、届かねえところを助かったぜ。流石だな”妖精”に”剣迅”――――――二人の噂はかねがね聞いてるぜ。」
「ふふ、そちらこそ。カルバード両州の”裏解決屋”さん。」
「あはは、私の場合既にそれぞれ”剣聖”を名乗ることが許されているお祖父ちゃんの他の”弟子”達と違って、まだまだですけどね。」
(”妖精”、やっぱり…………)
(ハン、”他の弟子達が剣聖”ってことはあの女の流派は噂で聞く”例の一刀流”か。)
ヴァンの称賛にフィーは苦笑しながら答え、アネラスは謙遜した様子で答え、フィーに心当たりがあるフェリは真剣な表情でフィーを見つめ、アーロンは興味ありげな様子でアネラスを見つめた。そしてヴァン達は車に乗りこむ前、フィーとアネラスに見送られようとしていた。
「―――なんだ、旧首都まで送らなくていいのか?」
「ん、来た時と同じく、仲間が車で迎えに来る予定。」
「それまでの間は、他の魔獣がいないか確かめておきます!
「えと、大丈夫ですか?二人じゃ危な――――――くもないですか。」
ヴァンの確認に対して答えたフィーとアネラスの答えを聞いたフェリは二人に心配の言葉をかけようとしたが二人の戦闘能力を思い返して撤回した。
「ふふ、うん。それなりに慣れているから。」
「私達はこう見えても、少なくてもヴァンさん達と同じくらいは修羅場を体験しているよ~。」
「そりゃ光栄だ。俺のことはエレインや”不動”から聞いてたのか?」
「ん、一応は。悪ぶってるが頼めば滅多に断らないお人好しの委託先があるってジンが。」
「エレインさんはいつか必ず”依頼”をギルドに切り替えてもらう必要がある民間人かつ後輩にとって教育が悪いグレーな委託先でもあると言っていましたけど…………」
ヴァンの確認に対してフィーは静かな笑みを浮かべ、アネラスは苦笑しながら答え
「…………あのクマ野郎にエレインの奴…………」
「クク、その通りじゃねえか。」
「フフ、本人のいない所ではまさに言いたい放題みたいね♪」
「あはは…………………………」、
二人の話を聞いてジト目になってジンとエレインを思い浮かべているヴァンをアーロンは口元に笑みを浮かべ、ユエファはからかいの表情で浮かべてそれぞれ指摘し、その様子を苦笑しながら見守っていたフェリはフィーを見つめ、フェリの視線に気づいたフィーは少しの間フェリと見つめ合った。
「ま、今日の所はこのくらいで。――――――積もる話はまた今度でも。そろそろ夕方だし雨も来そうだから早く帰った方がいいんじゃない?」
「ああ、またな”妖精”に”剣迅”、――――――いや、クラウゼルにエルフィード。」
「ん、今後ともよろしく。”裏解決屋”さんたち。」
「3年前のように協力し合うことがあれば、改めてよろしくお願いします!」
そしてヴァン達はフィー達やディレクター達に見送られて車で去って行き
「……………………」
去って行く車を見つめていたニナは黙ってあることを考え込んでいた。
~車内~
「……………………」
「どうしたチビ?さっきから露骨に黙りやがって。あの銀髪の遊撃士が何かあんのか?」
帰り道をヴァンが運転している中、複雑そうな表情で黙り込んでいるフェリが気になったアーロンはフェリに訊ねた。
「えと、その…………多分、共通の知り合いがいると思うんですけど…………えへへ…………何だか上手く話せませんでした。ずっと聞いてて、いつか会ってみたいと思ってたんですけど…………」
「…………話す機会ならまたあんだろ。それまで整理をつけとくといい。」
「…………ヴァンさん…………はい、いつか…………ううん、そのうちきっと!」
ヴァンの指摘に目を丸くしたフェリは無邪気な笑顔を浮かべて頷いた。
「ハッ、話がまとまって何よりだ。さっきから俺様のわからねえ話をチョイチョイしてんのはともかく。」
「あらあら、寂しかったのね、アーロン♪」
「ねえっつの!つーかオフクロはいい加減、モンマルトに着くまで俺の身体の中に戻れっての!」
「はいはい♪」
ユエファにからかわれたアーロンは反論し、アーロンの反論を軽く流したユエファはアーロンの身体の中に戻った。
「―――――しっかし、なかなか盛り沢山だったな。4spgとやらのチェックに街巡り、挙句の果てに郊外まで遠征かよ。毎度毎度、こんな事をやってんのか?」
首都高を走り始めるとアーロンはふと今日一日の出来事を口にした後ヴァンに訊ねた。
「大抵はもう少し暇だが、溜まるとこれくらいはザラだな。なんだ、早くも腰が引けたかよ?」
「ハッ、抜かしやがれ。少なくとも退屈はしなさそうだ。やるからには精々楽しませてもらうぜ。」
「結構結構。若いモンはそうでなくちゃな。」
「ふふっ…………あ――――――そうだヴァンさん。”九区”に寄ってもいいですか?実はポーレットさんからコーヒー豆を頼まれてまして。」
ヴァンとアーロンのやり取りを微笑ましそうに聞いていたフェリはあることを思い出し、ヴァンに確認した。
「ああ、いいぜ。九区の焙煎所だったか。」
「メンドくせぇな…………別にいいけどよ。あん…………?」
フェリのお使いに付き合うことを面倒そうな表情を浮かべたアーロンだったが雨が降ってきたことに気づいた。
「あ…………」
「降ってきやがったな。」
その後、ヴァン達は九区にある市長近くの焙煎所で珈琲豆を仕入れ………旧市街に戻る頃には雨脚も少し強くなっていた――――――
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