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レーヴァティン

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第二百四十三話 蝦夷攻めその六

「これでもな、けどな」
「それでもか」
「起きた世界で津軽に行ったことはな」
 このことはというのだ。
「ないわ」
「そうか」
「ああ、青森県自体にもな」
「そうなのか」
「ないわ、仙台はあってもな」 
 この地に行ったことはあるというのだ。
「それで牛タンとか食うたわ、ホヤもな」
「ホヤもか」
「起きた世界でもな」
「それはいいが津軽は知らなかったか」
「どうもな、けどこっちの世界ではな」
「行ったことがあってか」
「知ってるわ、あそこからな」
 まさにと言うのだった。
「蝦夷にやな」
「進んでいく、もう湖峡はな」
 津軽と蝦夷の間のそれはというのだ、この浮島は海ではなく湖ではないので当然海峡とは呼ばれないのだ。
「俺達のものだ」
「そやな」
「アイヌの部族は狩猟や漁業で暮らしているが」
「大きな水軍は持っていない」
 幸正が言ってきた。
「船はあってもだ」
「漁業の船だな」
「そうしたものでな」
「遠くにも出ていないな」
「そうだ、湖のな」
 そこのというのだ。
「遠くに出てだ」
「漁もしていないな」
「そうだ、農業もしていないが」
 それだけでなくというのだ。
「大きな水軍もだ」
「持っていないな」
「それがあの連中だ」
 アイヌの者達だというのだ。
「このことはだ」
「覚えておくことだな」
「だから湖峡もな」
「幕府のものだな」
「蝦夷に入ること自体は楽だ」
 幸正は英雄に対して言い切った。
「だからそれこそだ」
「大軍を渡らせられるな」
「そして拠点を築くこともな」 
 このこともというのだ。
「そこまではな」
「楽に出来るな」
「だがあくまでだ」
「そこまではだな」
「それからはわからない」
「蝦夷攻めになるとだな」
「アイヌは決して好戦的ではない」
 幸正はアイヌの者達の気質の話もした。 
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