レーヴァティン
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第二百三十八話 北に集結その四
「まさにな」
「善政を行ってな」
「農民の反乱はない様にしてな」
「一揆を起こさせる位なら」
それならとだ、美奈代はこちらの話もした。
「もうや」
「直接言えだな」
「そやから嘆願権も認めてるやろ」
帝国としてはというのだ。
「言いたいことがあればや」
「直接言え、だな」
「皇帝であるあんたに直訴してもな」
「ああ、俺は直訴されてもな」
それでもとだ、久志は笑って答えた。
「いいさ」
「そやな」
「それが政の問題点の解決になるならな」
それならというのだ。
「言ってくれだよ」
「そやな」
「変な的外れや中傷、讒言は無視するけれどな」
例え聞いてもというのだ。
「実のある話はな」
「聞くな」
「そうするぜ」
「それで領主にはな」
「反乱を起こさせないことだな」
「忠誠を誓う様にしてな、仕事分の報酬を支払って」
そうしてというのだ。
「不満を持たせない様にしてな」
「忠誠をつなぎ止めてな」
「それでも野心を持つモンもおるさかい」
「監視の目も置いている」
「耳もな、それで万が一反乱が起こっても」
その時もというのだ。
「各地に兵や物資を置いておいてな」
「即座に対応出来る様にしていてな」
「大軍が必要なら即座にや」
まさにというのだ。
「動ける様にや」
「道を整えて川に船も用意している」
「そうしてるんや」
「最初からな」
「それで帝国にはや」
「皇帝は常に一人だな」
「これを東西に分割統治して」
美奈代はこうも言った。
「東西で一人ずつ置いたりまして副帝なんて置くとや」
「国が分裂するな」
「そやからローマ帝国は分裂した」
この帝国は後期にはそうした統治形式を採用した、これは帝国の国力の衰退と共に統治能力が低下しそれまでのローマを中心とした中央集権システムでは領土を機能的に統治することが出来なくなっていたからだ。
その為にその統治システムを採用した、しかしだったのだ。
「東西にな」
「そうなったな」
「東ローマ帝国と西ローマ帝国にな」
「それで西ローマ帝国は滅んだな」
「そうなったわ」
「歴史にある通りだな」
「東ローマ帝国はそれから千年以上続いたけどな」
これをビザンツ帝国とも呼ぶ。
「もうその栄光はな」
「戻らなかったな」
「そうなったわ」
「やはりです」
夕子も言うことだった。
「帝国であるならです」
「皇帝は一人だな」
「王は何人いてもいいですが」
「王は一人だな」
「このことは何があってもです」
「守らないといけないな」
「国を保つ為に」
「そうだよな、それはこの浮島を統一してもな」
久志はそれからのことも話した。
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