レーヴァティン
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第二百三十八話 北に集結その五
「同じだな」
「はい、そして」
「海の魔神と戦う時もな」
「同じです」
「力を一つにする為に」
「まさにその為にです」
こう久志に言うのだった。
「皇帝は一人のみ」
「そうだよな」
「至尊の存在です」
「そう言われると凄いな」
「はい、ですが」
「ですが?」
「やはり我が国の陛下を思いますと」
この方をというのだ。
「背負うものはまだです」
「軽いか」
「あの方が背負われているものは日本と私達全員であられ」
「伝統もあるしな」
「はい」
それ故にというのだ。
「伝統はです」
「やっぱり違うな」
「しかも日本の皇室のそれは」
「神武帝からでな」
「皇紀にして二千六百八十年以上です」
「無茶苦茶長いな」
「正確にわかっているだけでも」
歴史で確かに言える限りでもというのだ。
「仁徳天皇陵の頃には確実に、ですから」
「相当な歴史でな」
「伝統ですね」
「仏教伝来云々だってな」
久志は腕を組み考える顔になって述べた。
「中国では隋が建国されたかされてないか」
「そんな頃ですね」
「聖徳太子で煬帝だからな」
隋の二代皇帝であり事実上この国を滅ぼした人物である、暴君であったと歴史においてその評判は非常に悪い。
「その前となると」
「そうした頃ですね」
「それで欧州じゃ西かメロヴィング朝がゴタゴタしてる時か」
「内紛で」
「東ローマ帝国があってな」
続いて東欧の話をした。
「ペルシャと争ってたな」
「まだイスラム教も成立していません」
「本当に大昔だな」
「どう短く見てもそれからの伝統で」
それでというのだ。
「かなりのものです」
「そうだよな」
「一代どころか」
「百二十八代だからな」
「途方もありません」
「その伝統はもう別格よ」
清音が見てもだった。
「本当に」
「そう言うしかないな」
「そうした方と比べたら」
「俺なんてな」
「ずっと楽でしょ」
「ああ、日本の皇室は祭りごとが凄くてな」
政治ではなく祭事が務められるべきことであるのだ、これは政治と祭事が一つであった頃からの名残である。
「その一つ一つもな」
「とてもでしょ」
「俺じゃ務まらないな」
「あの方々はそうした方よ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
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