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レーヴァティン

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第二百三十話 飢饉その十

「身体にいい、それに蘇や酪、醍醐も出来る」
「それにチーズやヨーグルトですね」
「そうしたものにもなりますね」
「バターにもなります」
「色々なものが造られます」
「そして食えるからだ」
 だからだというのだ。
「作らせる、兎角色々造らせてな」
「民が食べる」
「そうしてですね」
「飢えから救いますか」
「飢饉からも」
「そして貧しいならだ」
 それならばというのだ。
「それからもな」
「救われますか」
「その様にされますか」
「そしてそのうえで」
「この奥羽を」
「餓えない豊かな場所にする、俺がな」
 英雄は強い声で言った。
「お前達とこうしているだけで俺は満足しない」
「天下を治める」
「それも豊かに」
「それが上様の願いですね」
「そして魔神を倒す」
 海の魔神をというのだ。
「あいつをな」
「魔神ですか」
「海の魔神を倒しますか」
「それがされるべきことなので」
「満足されませんか」
「国を豊かにしただけでは」
「それは力を得るに過ぎない」
 こう言うのだった。
「魔神を倒す為のな」
「豊かになろうとも」
「それでもですか」
「手段に過ぎない」
「力を得る為のものですか」
「そうだ、だからだ」
 それでというのだ。
「満足しない、ではこれからもな」
「力を備える為に」
「海の魔神を倒す為に」
「力を備えられますか」
「その様に励まれますか」
「そうしていく」
 こう言うのだった、そしてだった。
 英雄は夜も昼も考えていた、城を再建させ奥羽全体を攻めさせていっていた。そうさせていってだった。
 報告を聞くとだ、軍勢は。
「徐々にか」
「はい、平泉にです」
「あの地に近付いていっています」
「敵の本拠に」
「そうなってきています」
「そうだな。仙台も山縣も手中に収め」
 そうなっていてというのだ。
「敵の力を奪ってきてだ」
「遂にです」
「平泉に迫っています」
「そこには敵が多いですが」
「それでもです」
「迫っています」
「ならだ、南と東と西からだ」
 報をする幕臣達に話した。
「囲みな」
「そうしてですね」
「そのうえで、ですね」
「三方から攻め」
「囲んでですね」
「平泉を攻め落としますか」
「そして平泉から逃げられてもな」
 平泉の棟梁と側近達にというのだ。
 
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