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レーヴァティン

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第二百三十話 飢饉その九

「食うべきだ、もっと言えば誰もが常にたらふく食える」
「そうでないとですね」
「駄目ですね」
「さもないとですね」
「天下は治まりませんね」
「衣食住足りてというが」 
 春秋時代の斉の宰相管仲の言葉である。
「まずはだ」
「食べることですか」
「それがどうか」
「常にお腹一杯食べられる」
「それが第一ですか」
「それが出来てこそだ」
 即ち飢えがなくなってこそというのだ。
「人は生きられ国もな」
「治まる」
「そうなのですね」
「まずはそこからですね」
「天下の政は」
「特にこの奥羽は寒く雪が多い」
 そうした場所だからだというのだ。
「どうしても飢饉が起きやすい」
「よく言われていますね」
「その様に」
「だからですね」
「奥羽はですね」
「よくだ」 
 まさにというのだ。
「治める、米だけでなくだ」
「お米が不作ならですか」
「他のものを食べられる」
「その様にしますか」
「上様は」
「開墾と開拓を行い」
 そうしてというのだ。
「そしてな」
「お米を多く作りますか」
「多くあれば凶作でも採れるものは多い」
「だからですか」
「そうしてだ」 
 米を多く作ってというのだ。
「それに麦や蕎麦、それにだ」
「それにですか」
「まだありますか」
「芋だ、暑い場所では薩摩芋を多く作らせているが」
 実際にそうして民に食わせている。
「奥羽はジャガイモだ」
「そちらですか」
「そちらを多く作ってですか」
「そうしてですか」
「民に食わせる」
 そうするというのだ。
「あれは寒い場所、痩せた土地でも多く出来るからな、それに果物もな」
「それもですか」
「作らせるのですか」
「そちらも」
「林檎等をな、林檎も身体にいい」
 この果物もというのだ。
「それに美味いしな」
「だから多く作らせますか」
「林檎も」
「そうしますか」
「実る果物はな、そして牛や豚や鶏も多く育てさせ」 
 家畜もというのだ。
「食わせる、特に乳だ」
「牛のですね」
「上様もよく飲まれますが」
「そちらもですか」
「あれも美味いしだ」
 それにというのだ。 
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