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レーヴァティン

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第二百三十話 飢饉その十一

「いい」
「いいのですか」
「平泉を掌握しても」
「それで敵に逃げられても」
「それでもですね」
「構わない、例え陸奥や津軽に逃れられても」
 それでもというのだ。
「いい、それならそれでだ」
「攻めていくのですね」
「陸奥や津軽を」
「そうしていきますね」
「それだけだ、だからな」
 それでというのだ。
「逃げられてもいい、まずはだ」
「平泉ですね」
「あの地を手に入れることで」
「それが目的であり」
「敵の棟梁はまだいいですね」
「降さずとも」
「そうだ、焦らずだ」
 そうしてというのだ。
「奥羽を掌握していく、ただ蝦夷にはな」
「攻め込まないですね」
「今は」
「その様にしますね」
「左様ですね」
「そうする、蝦夷は後だ」
 今ではないというのだ。
「今の戦では攻めずな」
「そうしてですか」
「手出しはしない」
「一兵も向けず」
「今は放っておきますか」
「一つの戦に専念する」
 即ち奥羽のそれにというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「今は攻めない」
「蝦夷はそうして」
「奥羽を手中に収める」
「幕府のものにする」
「それに専念しますね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「だからいいな」
「わかりました」
「それではです」
「その様にしていきましょう」
「これまで上様が言われた通りにです」
「今は蝦夷には入らない様にしましょう」
「あくまで津軽までということで」
 幕臣達も応えた。
「その様に」
「では蝦夷に向かえば」
「それをした者はですね」
「厳罰ですね」
「その様にされますね」
「切る」
 蝦夷に向かった者はというのだ。
「そうする」
「その首をですか」
「切りますか」
「そうしますか」
「魂も消す」
 完全にそうするというのだ。
「いいな」
「完全な処刑ですね」
「それに処しますね」
「その時は」
「それが嫌ならだ」
 完全な死罪、それがというのだ。
「わかるな」
「はい、今はですね」
「蝦夷に攻め込まぬ」
「それは後にして」
「今はですね」
「奥羽ですね」
「それにかかる、いいな」
 こう幕臣達に言った。
「異論があれば言え」
「いえ、それはです」
「ありません」
「我等も」
「それでいいかと」
「戦の時の勝手は大事に至ります」
「ですから」
「ならいい、ではだ」 
 英雄は幕臣達の言葉を聞いて述べた。
「これからもな」
「その様にしていく」
「左様ですね」
「そしてそのうえで」
「奥羽での戦を進めていきますね」
「そうしていく」
 こう言ってだった。
 英雄は会津に留まったうえで戦を見て動かすことを続けていった、刃を交えずともそれでも戦を行っていた。


第二百三十話   完


                 2021・10・15 
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