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レーヴァティン

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第二百三十話 飢饉その六

「しかも冬ならな」
「温まりますね」
「だからいいですね」
「それは決して悪いことではないですね」
「夏でも」
「変わってはいるが」
 そこまでいくと、というのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「それ自体はいいことですね」
「確かにそうですね」
「それもまた」
「そうだ、そしてだ」
 それでというのだ。
「兵達はな」
「熱いものを食べる」
「今の上様の様に」
「そうして戦っていくべきですな」
「最後まで」
「その通りだ、しかしこの鍋は美味い」
 軍鶏鍋の話もした。
「肉もな」
「軍鶏の肉は独特です」
「弾力があります」
「その弾力がいいです」
「だから美味いです」
「そうだな、軍鶏は闘鶏の鳥だが」
 それでもというのだ。
「引退してな」
「食べるとなると」
「その時はですね」
「実に美味い」
「左様ですね」
「普通の鶏もいいが」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「はい、それでは」
「これよりもですね」
「軍鶏を食べていきますね」
「そうしますね」
「鍋にもしてな」
 こう言って軍鶏鍋を食べる、そうして身体も温めた。そして仙台から送られてきたホヤについても言った。
「これも食う」
「ホヤもですか」
「そうされますか」
「西ではないもので」
「上様が食されるとは思いませんでしたが」
「起きた世界で食ったことがある」
 その時にというのだ。
「それで美味かった、だからな」
「それで、ですか」
「蜀されますか」
「そうされますか」
「そうする、そしてだ」
 彼はさらに言った。
「もう一つある」
「もう一つ?」
「もう一つといいますと」
「ホヤは汁も飲む」
 こちらもというのだ。
「そうする」
「汁もですか」
「汁も飲まれるのではホヤは」
「そうなのですか」
「そしてだ」
 それでというのだ。
「英気を養う」
「ホヤは身体にいいですが」
「それも食されるのですね」
「そうなのですね」
「そういうことだ、だからお前達もホヤを食う時はな」
 周りの幕臣達に話した。 
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