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レーヴァティン

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第二百四話 口の形の違いその五

「それで」
「ああ、五十万でな」
「これまでで一番多いね」
「それだけの数でな」
「東と南からだね」
「攻めるな」
 そうするというのだ。
「浮島東部の軍勢は騎士団の東に集結させて」
「地中湖沿岸の軍勢はだね」
「アルプスに集結させてな」
 それぞれそうしてというのだ。 
「攻めるな」
「そうするね」
「アルプス越えが問題だな」
 久志は今度はこのことを考えた。
「やっぱり道が選ばれるな」
「チロルからだね」
「そっちだな」
「それじゃあインスブルックが重要だね」
「あそこが拠点になるな」
「それでミュンヘンを領土に出来たら」
「大きいな」
「そうなるね」
「ミュンヘンか」
 久志は地図にあるその街を観つつ言った。
「この街か」
「騎士団領でもかなり大きな街でね」
「騎士団領南部最大の街だな」
「しかも交通も発達しているから」
「是非手に入れたいな」
「そうだね」
 剛も地図を観つつ述べた。
「南から攻めるなら」
「まずはな」
「チロルだよ」
「そこに入るか」
「そうしようね」
「他はな」
 久志はアルプス山脈全体を観た、立体的ではないがそれぞれの山の標高まで書かれている。その数字を観つつ言うのだ。
「どうもな」
「越えられないね」
「冗談抜きで雲より高いからな」
 そこまでの標高だからだというのだ。
「とてもな」
「越えられないね」
「空船でもないとな」
「空船もそう使えないしね」
「数があまりないからな」
「高いからね」
「ああ、だから陸路が主になるからな」
 このことは避けられないからだというのだ。
「ここはな」
「チロルからだね」
「攻めるな」
 南からの進撃はというのだ。
「それでいくな」
「それじゃあね」
「ああ、動くときになれば」
 久志はその時のことも話した。
「人もものもな」
「すぐに動かすぞ」
 正が応えた。
「船も使ってな」
「やっぱり水運だな」
「地中湖に黒湖な」
「ドナウ川も使うか」
「そうすることだ、俺も思う」
「水運は大事だな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「人もものもだ」
「一気に大量に運ぶ」
「そうする」
 実際にというのだ。
「いいな」
「そうしような、帝国は水運の国だな」
 久志は今このことを実感していた、それで言葉がしみじみとしたものになっていてそれで言うのだった。 
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