ロックマンX~Vermilion Warrior~
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Mission:2 潜入ギガンティス
前書き
女神様が不在なのでルナが頑張ってます。
ギガンティスに存在するかつては何らかの研究施設だったであろう場所、ラグラノ廃墟。
4人のハンターは豪雨に打たれながらも敵に見つからないように駆け抜け、建物に入って様子を窺う。
「…お出迎えは無し、か…」
ゼロが呟いた隣で、エックスは左腕の通信機を起動させる。
「…聞いてた通りだな」
左腕の通信機から映し出されたディスプレイには砂嵐がかかっており、使えないと判断してすぐにしまう。
「無線機は殆どアテに出来ない」
「うーん、リディプス大佐との通信が出来ないのはかなり痛いね」
経験豊富なリディプス大佐との通信が切られたのはこの潜入捜査に置いてはかなりの痛手である。
「…それにしても…これだけの島に潜入するのがS級ハンターであることを考えてもたったの4人とはな」
呆れたように言うゼロにルインも苦笑しながら言う。
「仕方ないじゃない。大規模な部隊だと逆に目立って動きにくいし、それに4人じゃないよ。ソニアもいるからサイバースペースを利用した情報収集には力になってくれると思う」
[情報収集とかは任せてよ!]
「期待しないでいる。なるほど、少数精鋭か」
確かに以前上陸した部隊が全滅したなら敵は相当な実力を持ったレプリロイドだ。
ならば大部隊を投入しても同じことになる可能性が高い。
それならエックス達のように実力が高いレプリロイドによる少数精鋭部隊の方がリベリオンと渡り合える可能性がある。
「俺は、あんたらほど優れたハンターじゃないが、この島には詳しい」
エックス達と共にギガンティス潜入のメンバーに選ばれたシャドウはギガンティス出身のレプリロイドであり、この島のことは誰よりも詳しい。
そしてシャドウの実力もまたこの任務に抜擢されるだけの優れた物がある。
「ああ、案内は頼む。シャドウ」
行動しようにもエックス達にとっては右も左も分からない土地なので、土地勘のあるシャドウに先導してもらう。
「よし、早速移動しよう。潜伏するのに丁度いい場所がある。」
エックス達が行動を開始しようとした瞬間に背後から放たれたエネルギー弾が中央の柱を破壊した。
破壊された柱がエックス達に向かって倒れてきたため、咄嗟に回避するが、エックス、ルイン、ソニアの2人と1匹。
ゼロとシャドウの2人に分断されてしまった。
「ルイン、ソニア。怪我はないか?」
[うん、私達は大丈夫だよ]
「それよりもゼロ!シャドウ!2人は無事なの!?」
エックス達は無傷だが、向こうはどうなのだろうか?
ルインが声を張り上げると、シャドウも声を張り上げた。
「エックス達はそっちの階段から上がれ!上で合流しよう!」
「分かった。罠かもしれない。気をつけろ!シャドウ、君はゼロから目を離さないでくれ!!」
「…どういう意味だ」
「シャドウ、ゼロが勝手な行動したらその時はお願いね」
「ルイン…お前まで」
「ああ、分かっている。こちらは任せておけ、行くぞゼロ」
向こうにいるエックス達もシャドウも行動を開始する。
ゼロは微妙な表情を浮かべながらシャドウを追い掛けた。
そしてゼロとシャドウと合流するべくこちらも移動を開始したエックスとルイン。
エックスは最新型のアーマーによりダッシュバーニアの出力が以前よりも大幅に向上しているのを感じていた。
野生化したメカニロイドと遭遇するも、エックスとルインの敵ではない。
「ルイン、チャージショットで殲滅する。フォローを頼む」
「任せてよ!!」
エックスのXバスターのエネルギーチャージが完了するまで、ルインが高い機動力を活かして、メカニロイドを翻弄していく。
そしてバスターのエネルギーチャージが完了した。
「チャージショット!!」
新型アーマーによって広範囲に拡散エネルギー弾を放つチャージショットがメカニロイドを殲滅する。
「新型アーマーは良好みたいだね」
「ああ、慣れるのに時間がかかると思っていたけど、これなら大丈夫そうだ」
最強のイレギュラーハンターであるエックスとルインの前では野生化したメカニロイドなど敵ではない。
そしてイーストブロック2Fで研究部屋らしき場所を見つけたエックス達がそこに入ると、部屋の中には大型のカプセルが4台も置かれていた。
「これってレプリロイドのカスタマイズ用カプセルだよね?どんなレプリロイドがカスタマイズされてたんだろう…ソニア、調べてくれる?」
[任せてよ!]
ここの機器はまだ生きているため、サイバースペースにダイブするソニア。
しばらくしてデータを集め終えたソニアがサイバースペースから出て来る。
「どうだった?何か分かったか?」
[この部屋じゃ、4体の戦闘型レプリロイドがカスタマイズされていたみたい。高機動山猫型レプリロイド、ワイルド・ジャンゴー。超重量装甲砲撃型レプリロイド、シルバー・ホーンド。高速演算処理人型レプリロイド、Dr.サイケ。強化軽量装甲飛行型レプリロイド、マッハ・ジェントラーの4体。]
「マッハ・ジェントラーって名前…どこかで聞いたような…確か政府に所属していたような……」
ルインが呟いた直後、2人の通信機が鳴る。
『エックス…ルイン…こちらでカスタマイズ用のカプセルを発見した。そっちはどうだ?』
「うん、こっちでもカスタマイズ用のカプセルを発見したよ。4体分ね」
『そうか…この調子だと他にも何かありそうだな』
『とにかく調査を進めよう。そちらも気をつけろ』
「了解、行こう。ルイン、ソニア」
調査を進めながらゼロ達と合流するために2人を促し、ルインとソニアは力強く頷くとイーストブロック3Fに向かう。
イーストブロック2Fにもあった同じような部屋でも、2つのカプセルを発見し、調べている内にエックス達の瞳が見開かれた。
得た情報を共有するために即座にゼロとシャドウに通信を繋いだ。
「ゼロ、シャドウ!」
『どうしたエックス?』
焦っているエックスに対してゼロは冷静だ。
「イーストブロック3Fの研究室で高性能型レプリロイドの改造カプセルを発見した…1体はスカーフェイスというレプリロイドと…もう1体はイプシロンだ!!」
『何だと!?それは本当か!?』
『こちらにも高性能型レプリロイドのカスタマイズ用カプセルが2つあるぜ…戦闘型8体に高性能型4体となると…随分な大部隊だな。どおりで先に上陸した連中が全滅する訳だな…』
「ゼロ、シャドウ。ここ…何かあるよ。気をつけて」
『ああ…』
エックスとルインが部屋を出ようとした瞬間、モノアイのレプリロイドが姿を現した。
「政府イレギュラーハンター発見!排除行動を開始!!」
『聞こえるか!どうやら俺達の存在がバレてしまったようだな。リベリオン兵らしき物と遭遇した!これより戦闘体勢に入る!!』
[2人共、あれはリベリオンが造った新型戦闘用レプリロイドのプレオン・チェイサー。右腕のスタンガンと、左手の機銃の攻撃には要注意!プレオンは飛行能力を持たないから足を潰せば動けなくなるよ]
「了解」
ソニアが与えてくれた情報によって初見である敵にも安全に立ち回ることが出来るようになる。
「今度は私の番だね」
ルインがZXセイバーを構える。
エックスがバスターをプレオン・チェイサーに向けるのと同時にショットを数発放つ。
両足と左腕の破壊をし、それを見たルインが両足のバーニアを噴かしてダッシュで距離を詰めると三連撃を叩き込む。
それだけでプレオン・チェイサーは破壊された。
「ターゲット、完全撃破!終わったね」
「ああ」
[お疲れ、こいつ何か使えそうなの持ってないかな?あ、フォースメタルがあった。流石、リベリオンの主戦力レプリロイドだね…どうやら体力の上限を上げるタイプみたい。どっちも装備出来るよ]
「なら、それはルインが装備するといい」
「え?私が使っちゃっていいの?」
「構わないさ。ゼロの次にダメージを受けやすいんだ。こういうのは君が装備した方がいい」
近接戦闘もこなすために、遠距離戦闘中心のエックスよりも被弾率が高いルインが装備した方が良いだろう。
「ありがとう。なら遠慮なく」
ルインは早速手に入れたフォースメタルを装備すると、少しばかり体力が上がったような感覚を覚えた。
「ゼロは大丈夫かな?」
「大丈夫だよきっと。シャドウもいるんだしさ」
ゼロ1人だと確実に無茶をするだろうが、シャドウがいてくれるから比較的安心出来る。
[それにしても新型戦闘用レプリロイドのプレオンの1体を投入してくるなんて、敵も本気だね]
ソニアの言葉にエックスとルインも同意する。
「ああ、急いでゼロとシャドウと合流しなければ」
「急ごう!」
ゼロとシャドウと合流すべく、エックスとルインはバーニアを噴かして更に上の階に。
イーストブロック4F。
暗い通路を進んだ奥に見つけた扉を開くと広い円形のホールにも似た場所に出た。
そこにいたのはゼロ。
「あ、ゼロ!お待たせ!」
「随分と遅かったなルイン、エックス。待ちくたびれたぞ」
「これでも急いで来たんだけど…」
エックスが苦笑しながら言うと、ルインは周囲を見渡す。
「ねえ、シャドウは?」
「あいつは先に行っている。俺達も追い掛け…」
ゼロが言葉を言い切る前に壁が破壊され、そこから大型のカバを思わせるメカニロイドが姿を現した。
「え…?」
「何だこいつは…」
[こいつ、最新型の大型戦闘用メカニロイド。ヒポポブレッサーだよ。背部のシャークミサイルが強力だよ。あいつを倒すには頭を壊さないと。頭は格闘攻撃に弱いからゼロ達がセイバーで破壊して、破壊したらすぐに離脱してね]
ソニアがアナライズすると、すぐに弱点を特定してくれたことで即座にゼロがZセイバーを抜いた。
「了解、エックス。お前はあのデカブツのミサイルを破壊してくれ、俺とルインで頭部を破壊する」
「分かった。気をつけてくれ」
エックスがバスターでシャークミサイルを粉砕すると、ゼロとルインがセイバーでヒポポブレッサーの頭部を攻撃する。
時折、機銃による銃撃とのし掛かり攻撃を繰り出してくるが。
「効かんな!!」
ゼロ専用のフォースメタルのZEROシフトの特殊な防御フィールドは機銃程度なら無力化してしまう。
のし掛かりもそんな単純な攻撃をエックス達が受けることなど有り得ない。
エックスがシャークミサイルを破壊し、とうとうゼロとルインがセイバーでヒポポブレッサーの頭部を破壊した。
[……っ、みんな!離れて!!]
頭部を破壊され、剥き出しになった砲門から放たれた超カバ粒子砲が不意を突かれたゼロとルインに直撃する。
「くっ、ZEROシフトの防御フィールドを破るとはな…」
「っ…体が痺れる…」
バインド状態になったルインを見て、エックスはすぐにケリをつけるべきだと判断し、切り札を使うべきだと判断した。
「(力を貸してくれ、Xハート…)一気に行くぞ!!」
エックスの全身から凄まじいエネルギーが吹き出し、エックスの体が光に包み込まれてボディが急速に変化していく。
蒼いアーマーが黒に変色し、所々に金色の模様が入っている。
ヘルメットは兜のような形になっており、バスターは3本の鍬形の顎に似た鉤爪を持った赤い“コレダー”に変わっていた。
これがエックスのハイパーモード・Xファイア。
ハイパーモードの都合上、一時的とは言え格闘能力を得たことで近接戦闘にも対応出来るようになり、パワーアップによって防御力が上昇している。
「行くぞ!Xコレダー!!」
コレダーを叩き付ける炎属性の攻撃、Xコレダーを受けたヒポポブレッサーが仰け反った。
怯んだ隙にコレダーのチャージを始め、体勢を立て直す前にヒポポブレッサーにフルチャージの一撃を叩き込んだ。
「砕け散れ!!」
Xコレダーのチャージ版、チャージコレダーがヒポポブレッサーに炸裂し、ヒポポブレッサーはダメージに耐えきれずに爆散した。
「凄いねエックス!」
「ああ、2人共、大丈夫か?」
「問題ない」
「私はソニアからアンチロック貰ったから大丈夫」
ルインのバインド状態が解除されているので、問題はないようだ。
エックスもハイパーモードを解除してノーマルモード(通常状態)に戻る。
「少し手こずったが、早くシャドウと合流するぞ」
エックス達は持参していたエネルギーパックを飲み干し、消費したエネルギーを補給する。
特にハイパーモードを発動したエックスはエネルギーパックを2本も消費してしまった。
「(短時間しか使ってないのにこのエネルギー消費量…あまり頻繁には使えないな…)」
ハイパーモードの欠点に気付いたエックスはゼロとルインに続いて最上階に向かうのだった。
屋上に着くと、いつの間にか激しく降っていた雨は止んでいて、美しい満月が見えていた。
かつて前世紀で凄まじい戦いがあった月の光を受けながらシャドウは静かに佇んでいた。
「シャドウ!」
「良かった、無事だったんだね……」
仲間の無事に安堵するエックスとルインだが、シャドウはこちらを振り向かず、前を見据えている。
シャドウの視線を辿ると、そこには漆黒のマントを纏い、パイザー越しにこちらを見据えるレプリロイド。
レプリロイドから放たれる威圧感に、ただ者ではないとエックス達は感じ取る。
「…何者だ?」
背中のセイバーに手をやり、シャドウよりも一歩前へ出ながら問い掛ける。
「…リベリオン?」
ルインが紡いだ単語に、その男はゆっくりと口を開いた。
「いかにも…」
低い、厳然たる声。
「リベリオン総帥、イプシロンだ」
「っ…」
潜入していきなり反乱組織・リベリオンの総帥が自分達の目の前に現れたことにエックスは目を見開く。
「ほう、そのお偉い総帥様が、わざわざお出迎えか?」
「君達のことは、よく聞いている。イレギュラーハンターの諸君。エックス…ゼロ…ルイン。君達は優秀なレプリロイドだ。どうだ…?我々の理想の為、共に戦うつもりはないかね?」
ゼロの挑むような口調に対してイプシロンはこちらを勧誘するように言う。
エックスはそれに驚くが、ゼロとルインは既にセイバーを握り締めていた。
「ふざけるな!!」
「お断りします。私達は誇りあるイレギュラーハンターです!どんな理想を掲げてもあなた達のしていることは間違っている!!」
「それにどんな自信があるのか知らんが4対1だ。貴様に勝ち目があるとは到底思えんがな」
しかもこちらには対リベリオンのためのハイパーモードと言う切り札があるのだ。
ハイパーモードを持つエックス達3人を相手に勝てるはずがない。
「ふむ、そうかな?」
「え…?」
イプシロンの言葉に表情を顰めた直後に首筋に熱を感じて目線だけ移すとシャドウがこちらに左腕のレーザーエッジを向けていた。
「シャドウ…お前まさか…」
ゼロが信じられない物を見るようにシャドウを見ると、シャドウの表情は今まで見たことない狂気の表情を浮かべていた。
「シャドウは我々の理想に共感してくれている。さあ、君達はどうするかね?」
「………」
ルインはシャドウにも気付かれないようにセイバーのエネルギーをチャージした。
ゼロもエックスもルインの考えに気付いたのか、切り札を使う用意をする。
「イプシロン…これが…」
「…ハイパーモード・ブラックゼロ!!」
ゼロのアーマーが漆黒に変化し、髪も金から銀色に変化して通常時とは桁外れの機動力でシャドウの胸をセイバーで斬り裂いた。
「ぐあっ!?」
「ハンターの魂をイレギュラーに売り渡すとは失望したぞシャドウ!!零式突破!!」
セイバーによる突きの一撃を胸に叩き込むことでシャドウを壁に叩きつける。
「ハイパーモード・Xファイア!シェルバスター!!」
次にエックスがハイパーモードを発動し、Xファイアの遠距離攻撃であるコレダーから炎属性のショットを放った。
Xファイアは近接戦闘で真価を発揮する形態だが、それでも並みのレプリロイドならショットの熱によって瞬く間に溶解してしまう威力だ。
「…………」
イプシロンは掌にエネルギーを纏わせるとショットを片手で容易く受け止めてしまう。
しかし本命はこれではなく別にある。
「これが私達の答えだ!!」
ルインがイプシロンの首を取ろうと、ダッシュジャンプで距離を詰めるのと同時にチャージセイバーを繰り出す。
いくらイプシロンが強かろうとこれは耐えられないと思ったルインだったが、何者かに腕を電磁ウィップで絡め取られてしまう。
「え!?」
「控えろ、総統の御前であるぞ」
先程までいなかったはずの女性型レプリロイドが、ルインを冷たく見下ろしていた。
「っ!ルイン、右だ!!」
「っ!?」
次の瞬間、何時の間にかいた1体のレプリロイドが大型のツインビームランスを取り出し、ルインに向けて投擲してきた。
「ルイン!!」
エックスが即座にコレダーからショットを放って、電磁ウィップを切断し、ゼロもセイバーを構えて女性型レプリロイドに斬り掛かるが、かわされた。
ルインは投擲されたツインビームランスを跳躍してかわすが、ゼロの攻撃を受けて倒れていたシャドウが背中のキャノン砲から重力弾を放ち、ルインの背中に喰らわせた。
「っ…!?きゃあああああああああっ!!」
シャドウの重力弾をまともに受けて、5階から勢いよく落下していくルイン。
「ルイン!」
[お母さん!]
「チッ!」
即座に追い掛けようとするエックス達だが、目の前にレーザーが走り、足を止められた。
上空を見上げると、1体の恰幅のいいレプリロイドがこちらを見下ろしていた。
「く…」
「………」
エックスとゼロがこちらを囲んでいく5体のレプリロイドを見遣る。
「仲間になれ、エックス、ゼロ。」
「断る!どれだけの理想を掲げようと、お前達のしていることはイレギュラーだ!!」
「俺達は……誇りあるイレギュラーハンターだ。イレギュラーと手を組むつもりなどない!」
しかし、今の自分達では勝ち目が全くないのは変わらない。
ハイパーモードを発動しても、多勢に無勢の今の状況では逃げるしか出来ない。
エックスはコレダーを構えると、鋭くシャドウを睨み据えた。
「シャドウ…俺達はお前を許さない」
激しく傷つきながらもエックス達を嘲笑うシャドウにエックスは怒りを堪えながらシャドウにコレダーを向ける。
それを見たイプシロン達もそれに応戦しようと身構えたが、次の瞬間にエックスは地面にコレダーを向けた。
「シェルバスター!!」
地面に向けて放たれたショットは、爆風を巻き起こし、エックスとゼロは強化された機動力で即座にこの場を離脱した。
「チッ、逃がさないよ!!」
女性が2人を追いかけようとするが、イプシロンが制した。
「構わん。放っておけ、いずれ奴らの方から姿を現すだろう。諸君!刻は来た。我らリベリオンの理想を世界に示す刻だ!!」
イプシロンの低くも良く響く声にこの場にいる者達が跪いた。
一方、ギガンティスの調査に来ていたアクセルだが、リベリオンの反乱によって調査が進まなくなってしまった。
「うーん、やっぱり見つからないな…めぼしい場所はリベリオンに占拠されちゃったし…ルナと別行動したのは失敗だったかな?でも、向かったのはガウディル博士って言うリベリオンと関係のない人らしいし…ん…!?」
ふと視線を海岸に向けると、ある物が目に入った。
アクセルは海岸に倒れている大破したレプリロイドの側に走り寄ると状態を確認する。
黒い軽量型のアーマーと両腕に取り付けられた白い腕輪のような物が印象的であり、まだ微弱な反応を感じるためにまだ間に合うかもしれないと思い、ハンターベースに通信をした。
アクセルは今のうちに出来る応急処置をすべく、サブタンクを用意したのだが…。
「ん?」
アクセルはこのレプリロイドに違和感を感じた。
本来あるべき物であるDNAデータとIDタグがない。
IDタグならまだしも、DNAデータまで奪われていた。
レプリロイドの身元等が分かるIDタグなら奪う価値はあるが、DNAデータまでないとなるとただ事ではない。
アクセルは嫌な予感を感じていた。
「(どいつもこいつも…どうして静かに暮らせないんだよ!)」
大破したレプリロイドが転送されるのを見つめながら拳を握り締めるアクセル。
「…ギガンティスの大規模な施設を調べてみよう、何か分かるかもしれない」
胸騒ぎを覚えながらも、近くの工場に向かっていくアクセルであった。
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