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レーヴァティン

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第百九十六話 鎌倉入りその一

                第百九十六話  鎌倉入り
 英雄は鎌倉に向かいつつその途中の相模の諸城に幕府からの使者を送っていった、すると殆どの城がだった。
 使者が来るまでに降り使者が来るとだった。
 やはり降った、英雄は戦わずして城が次から次に降っていく状況を見て諸将に対して夜の休息の時に本陣で話した。
「今のところだが」
「はい、順調ですね」
「今のところは戦わずして城が手に入っています」
「どの城もです」
「そうなっています」
「いい流れだ、だが」
 ここで英雄はこうも言った。
「あくまでだ」
「今のところですね」
「戦わずして幕府の勢力を拡大出来ているのは」
「それはですね」
「今のところはということですね」
「そうだ、これからはわからない」 
 戦わずに済むかということはというのだ。
「少なくとも我々の一番の目的はな」
「小田原です」
「あの城を手に入れることです」
「何といっても」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「これで気を緩ませないことだ」
「そうですね、気が緩めばです」
「そこから隙が生じます」
「そして思わぬ事態に至ります」
「そうなるからだ」
 だからだというのだ。
「戦は幾ら勝とうともだ」
「喜ばず」
「そうしてですね」
「ことを進めていきますね」
「そして戦に勝つまで、ですね」
「油断しないことですね」
「戦が終わるまでだ」
 勝つまででなくとだ、英雄はそこは訂正させた。
「しないことだ」
「勝つのではなくですか」
「終わるまで、ですか」
「それまでですか」
「気を緩めないでいることは」
「勝って兜の緒を締めろだ、俺も魔物に勝ったと思ったらだ」
 冒険をしていた時の経験だ、英雄はこの時何度か魔物に勝ったと思ったその時に生きていた魔物に襲われていたのだ。
 だからだ、今もこう言うのだ。
「襲われることがあった、だからな」
「戦においてはですか」
「勝ってでもですか」
「まだ油断するな」
「それは終わってからですか」
「完全にな、息抜きも必要だが」
 それでもというのだ。
「それは完全に終わってだ」
「ことが済み」
「全てが落ち着いてからですね」
「その時からですね」
「そういうことだ、今はまだはじまったばかりだ」
 その戦がというのだ。
「だからな」
「それで、ですね」
「我々はですね」
「まだ気を緩めるな」
「それは終わってからですね」
「戦わずして勝てていてもだ」
 その状況でもというのだ。
「気は決して緩めずだ」
「抜かない」
「そうしていきますね」
「そしてそのうえで、ですね」
「ことを進めていきますね」
「そうしていくことだ、当然兵達もだ」  
 将帥達だけでなくというのだ。 
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