魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Saga22-D最終侵攻~Battle of the west~
†††Sideアリサ†††
あたしとスバルとティアナ、そして特騎隊のミヤビの4人は、数週間ぶりに活動を再開した“T.C.”を今度こそ壊滅するために、西部ネオンノード地区の研究所を訪れた。連中の目的は、研究所に保管・研究されている魔力を持つ物品の強奪だ。
「襲撃予定時刻まで5分を切りましたね、アリサ先輩」
「そうね。・・・スバル、ティアナ。もう一度言っておくけど、怒りに任せての行動は厳禁よ」
「「はい。解っています」」
スバルとティアナはピリピリとした空気を出しながら返事をした。ルシルとアイリが殺害される前、2人と最後に逢い、言葉を交わしたのがスバルとティアナと、今は別行動中のエリオとキャロだったのよね。協力すると提案したけど、ルシルがそれを拒否したことでスバル達は渋々ながらも従った。4人はそれに後悔してる。無理にでも付いていけばよかったって。そうすればルシルとアイリが死なずに済んだのかもしれないって。
(ルシル。あたしはをアンタを恨むわよ)
だから“T.C.”が活動を再開するという話を聞きつけたスバル達は、自ら今回の防衛戦に参加するために名乗りを上げた。フッケバイン事件で死線を何度だって潜ってきているし、神秘カートリッジにも適応できたし、問題なく参加OKになったのよね。
「それじゃあ再確認よ。あたし達の仕事は?」
「侵入を試みるT.C.構成員に投降を呼びかけ、応じたら即座に逮捕」
「応じずに戦闘態勢に移行した場合は応戦、これを撃破して逮捕です」
「会敵したからと言って感情に任せて仕掛けないようにね。もちろん、あたしもミヤビも耐えるわ」
「はい。本音を言えば即座に殴り飛ばしてやりたいです。・・・彼らは投降にはまず応じないと思いますが、局員である以上はルールを守って投降を促さないといけませんからね、全力で耐えようと思います」
あたしだってホントはルシルとアイリの敵討ちをしたいし、感情に任せて“T.C.”を滅茶苦茶にしてやりたいわよ。けど法の番人として何よりルールを守らないといけないわ。スバルとティアナがあたしとミヤビを見て頷き返した。あたしとミヤビも感情で動きたいのを我慢してるっていうことが判ってくれたからなのか、スバルとティアナからピリピリとした空気が無くなったわね。
「一応施設内にも控えの局員が待機してくれてはいるけど、可能な限りあたし達でT.C.“を潰すわよ」
「「「はいっ!」」」
それから襲撃時間までの短い間に自分たちのデバイスの最終調整を行い、とうとう残り20秒といったところで『こちら監視班! 施設に接近中の人影を視認!』って、施設の屋上から周囲を監視してくれてる局員から連絡が入った。
『人数は視認している限りでは1名! フード付きのローブを羽織り、顔は見えず!』
「了解です。結界の準備をお願いします」
現在、研究所への出入りが出来ないよう道路などは封鎖されているし、今日は“T.C.”の襲撃があるということで、研究員なども誰ひとりとして出勤しないようにされている。だから今ここにやって来るのは間違いなく敵よ。そんなあたし達の倒すべき敵が来るのを待つことちょっと。研究所を囲う壁で唯一開けた場所――ここ正門にやっと姿を見せた。
「「「「子ども・・・?」」」」
150㎝あるかどうかの身長。ローブの裾から除くロングブーツのデザインや歩き方からして女の子ね。けど「子どもだからって油断しないように」って、あたし自身も含めてスバル達に注意しておく。子どもだろうが強い魔導師はいるし、魔術師となればそれこそ一気に最強になる。ま、こちら側も魔術が使えればそのアドバンテージの差は小さくなるけど。
「時空管理局、アリサ・バニングス一等陸尉よ」
「同じくミヤビ・キジョウ三尉です」
「スバル・ナカジマ」
「ティアナ・ランスター」
「あ、はじめまして。あたし、ラスティアって言うの。えっと、魔力保有物?を貸してください!」
本名か偽名かを名乗りつつ頭を下げたラスティアに、あたしは「大人しく捕まれ」って投降を促した。聞く耳を持たないあたしにラスティアは「そっか。うん、まぁ判ってたし。無視は少し傷ついたけど」って嘆息した後、俯かせていた顔を上げてあたし達を見た。
「しょうがない、うん、しょうがない。じゃあ戦う? もうこっちから仕掛けてもいいって言われてるから、遠慮はしないよ?」
「上等よ!」
「覚悟してください!」
「「絶対に捕まえる!!」」
ローブを脱ぎ捨てて素顔を晒したラスティア。緑がかった黄色の髪、エメラルド色のおっとりした瞳、額には留め具の無いアクセサリー・ラリエット。ノースリーブのロングコートにミニスカート、太腿までのサイハイブーツっていう格好ね。
――鬼神形態顕現――
ミヤビは額から無色の角を生やして臨戦態勢に移行。あたしも“フレイムアイズ”をフルドライブ・ヴァラーフォームで起動。スバルは機動六課時代から変わらない(外見とは違って性能は段違いに強化されてるけど)“リボルバーナックル”と“マッハキャリバー”を。ティアナも見た目は変わらずとも性能は強化されてる“クロスミラージュ”を2挺持ちで起動。
「剣士と銃持ちと徒手空拳2人。しかも1人は魔人の末裔、1人は機械?かぁ。まぁ大丈夫かな」
ラスティアが何か引っ掛かることを言いながら野球ボール大の虹色に輝く宝石を12個と展開すると、自身の周囲をくるくると飛び回らせ始めた。この気配、間違いなく神器だわ。だから「スバル、ティアナ! 神秘カートリッジをロード!」と指示を出して、“フレイムアイズ”のカートリッジをロード。
「すんすん。この匂い・・・フライハイトの神秘。あたしを相手にフライハイト?」
――アムブリオン・ブレイド――
「まぁ頑張ってみてよ」
宝石1個を右手に握ると同時、風の剣が生成された。向こうも剣士タイプのようだけど、宝石がどうも気になるのよね。だから「スバル、ミヤビが前衛。あたしとティアナで中後衛よ」って陣形を伝えると、3人は「了解!」って応じてくれた。一応この班のリーダーは、特騎隊の一員であるミヤビなんだけど、ついついあたしの隊みたいに指示しちゃうわ。
「アリサさん! 撃ちます!」
――クロスファイアシュート――
「ええ! スバル、ミヤビ、よく見ておいて!」
――フレイムバレット――
あたしとティアナの放つ射撃弾幕にラスティアは大きく回避行動を取って躱すけど、ティアナのクロスファイアは誘導操作弾で、避けた先から魔力弾は追い縋ったり、発射された魔力弾も射線を曲げて迫っていく。さらにあたしも火炎弾を直射から誘導操作に切り替えて、ラスティアの魔術の種類を少しでも引き出すために連射する。
「ちょっと面倒くさいなぁ。なら・・・! アムブリオン・セイバー!」
ラスティアが両手に持つ風の剣を左右に開くように振るって放ったのは、暴風の剣状砲撃。砲撃はあたしとティアナの弾幕を真っ向から消し飛ばして、そのままあたしとティアナ、スバルとミヤビに襲い掛かった。
「うわっと!」
「アリサ先輩! ラスティアにも遠距離攻撃があると判りました! 私とスバル先輩もそろそろ攻撃に加わろうと思いますが!」
「そうね! お願い!」
ミヤビの提案を受け入れる。近距離だけしか攻撃方法が無いならあたしとティアナで遠くから攻撃し続けて、疲労させてやればいい。だけどそうでないなら近距離・遠距離のコンビネーションで一気に畳みかけるのが上策よね。
「スバル先輩!」
「うん、お願いします、ミヤビさん!」
あたしとティアナの魔力弾連射の合間を縫うようにスバルとミヤビが突っ込んでく。ラスティアは「今度はこっちのターン!」って風の剣を消し、持っていた宝石を宙にポイッと放り投げた。と思えば、別の宝石をパシッと手に取った。
「テッラ・スクード!」
あたし達とラスティアを隔てるように地面から隆起したのは岩と土の混合防壁。魔力弾幕がガンガン当たってくけど、表面を少し削るだけで破壊するには至らなかった。これはちょっと苦労しそうね。
「時間的にちょうどいいし、全力全開よフレイムアイズ!」
≪応よ! スリーズサンズ・レガリア、起動だぜ!≫
†††Sideアリサ⇒ミヤビ†††
ラスティアと名乗る少女を打ち倒すべく、私はアリサ先輩、スバル先輩、ティアナ先輩の3人と共に交戦を開始しました。小さな女の子を殴ることには多少なり抵抗を覚えますけど、ルシル副隊長とアイリ先輩を亡き者にした“T.C.”の一員ということで、私は半ば八つ当たりのように拳を振るい続けました。
(この防御力と防壁連続発生。決定打は先輩方に任せた方がいいですね)
――地鬼形態顕現――
「・・・あ」
私の魔力に地を操る属性を付加します。私の角の色が無色から茶色へと変化したことにラスティアが少し目を見張りました。その一瞬の隙にスバル先輩が「リボルバーキャノン!」と、衝撃波を伴っての右拳を繰り出しました。
――ペルセヴェランス――
スバル先輩の一撃が向かうラスティアの左頬が一瞬で黒い何かに覆われ、ガキンと甲高い音を立てて拳を受け入れました。スバル先輩の右腕が弾かれましたが、拳を受けた衝撃だけはどうにもならなかったのかラスティアも体が浮くほどに飛ばされました。
「地殻壊拳!!」
――テッラ・スクード――
私は瞬時に右腕に岩石の籠手を作り出し、地面に着地する前のラスティアへと殴り掛かります。が、私と彼女の前に岩石の壁が勢いよく立ち、私の拳を受けました。壁の表面を大きく抉りましたが破壊には至らず。だけど「おおおおおお!」と気合を入れ、もう一撃を加えたことで完全に破壊です。
「魔人の末裔の分際で・・・!」
私が壁を破壊する頃にはラスティアはもう遠くに離れており、アリサ先輩の熱線砲やティアナ先輩の多弾連射の対処に忙しそうでしたが、私が壁を破壊したことに対してわざわざ怒りを覚えているようです。私の一撃を受け止め、自分が逃げられる時間を稼げた時点で彼女の勝利なのになぜ怒るのでしょうか。
「やっぱり先にあなたを黙らせないといけないみたい!」
ラスティアは自分の周囲を飛び回る丸い宝石を新たに手に取り、「ポラール・リヒト!」と、私たち4人に向かって黄金色に輝く砲撃を一斉発射しました。受けたら負ける。見ただけでそう察することが出来ましたから、私たちはそれぞれの方法で全力回避です。
「ルイン・トリガー!」
また別の宝石を手に取ったラスティアが声を発すると同時、ギンッと鈍い音が聞こえたかと思えば「むぁ!?」と私は声を漏らし、その場に強制的に跪かされました。
「ミヤビ!?」「「ミヤビさん!?」」
「き、来ては・・・ダメ・・・です・・・! 重力・・・です!」
私を心配して駆け寄ろうとしてくれました先輩方を制します。騎士プラダマンテの空間操作能力と同じ、周囲の重力を操作する魔術。けれど騎士プラダマンテの重力よりはまだ軽い重圧です。ですから「宝石を・・・お願いします!」と重力を発生させていると思われるラスティアの持つ宝石を狙うようにお願いします。いえ、本当は先ほどから宝石への攻撃を私たちは続けていますが、何分小さいうえに動き回ることで失敗続きです。
「判ったわ! もう少しだけ耐えて! スバル、ティアナ!」
「「はい!」」
地鬼形態だからこそ耐えられる重力ですが、そう長くは持ちませんね。そういうわけで先輩方がラスティアへの猛攻を開始しました。私を重力に閉じ込めるための魔術を発動しているらしい宝石を右手に集中砲火するのですが、左手に持つ宝石は影の魔術を扱えるらしく・・・。
――復讐者の黒腕――
ラスティアの左右を護るように出現した黒い影の両前腕が、先輩方の攻撃を完全に防ぎ切りました。さらに影の腕は虫を払うかのようにブンブンと左右に振るわれ、「きゃあああ!」先輩方を薙ぎ払いました。防御が間に合わずに直撃を受けたことで高速で飛ばされた先輩方の先には何もなく、このままではどこまでも飛ばされて行きそうです。
(重力に捕らわれていても・・・!)
――砂泥緩衝壁――
「遠隔発生・・・!? 聞いてたのと違うじゃん! もう! 面倒くさいなぁ!」
たった今この瞬間に新しく組んだ術式を発動。殴り飛ばされた先輩方の後方に砂、粘土、土の三層クッションを急速生成。先輩方がクッションに突っ込むのを見ていることしか出来ない自身の無力さにいら立ちを覚えつつも、次の一手を必死に考えます。
『(初めてでしたけど遠隔発生も上手く出来ました!!)先輩方! 大丈夫でしょうか!』
『あたしは何とか大丈夫よ!』
『あたしもです! 頑丈だけが取り柄なんで!』
『私も打撲だけで済みました!』
先輩方の無事は確認できました。あとは私が重力から逃れるだけなのですが・・・。そんな時、ティアナ先輩から『ちょっと試したいことがあるのですが、あの――』と提案された手段は、確かに現状を打破するにはいい方法だと思います。
「こちらからの戦闘行動は許可されてるけど、前と変わらず殺害の許可は下りてないから安心してよ!」
『それでいきましょ!』
『異議なし!』
『ミヤビさん、もう少し待っていてください!』
『了解です!』
確実に戦闘不能にするためにラスティアが私に向かって来ました。重力に捕らわれていてもなお私には遠隔発生なんていう、突発的に発動した割には上手く出来た術式の所為で警戒を強めてしまったようです。
魔法とは、自然摂理や物理法則をプログラム化して、任意に書き換え・書き加え、削除を行って、変化と移動と幻惑のどれかの作用を起こさせる技術のことです。一般的な魔導師は望む効果の魔法を発動するためにプログラムを組みます。そして詠唱や集中、トリガーなどでプログラムを起動、魔法として発動するのですが、私はそういったものを意識せずに魔法を発動できています。
(ルシル副隊長からは、私は魔術師寄りだと言われましたね)
魔術にも術式と呼ばれるものがありますが、ほとんど感覚的なものらしいです。先ほどの私のようにイメージがそのまま形になって発動するようです。が、今わたしの頭の中には砂泥緩衝壁の術式が朧気に浮かんでいます。この朧気をハッキリさせて、確実に発動することが出来るようになれば魔術は完成するそうです。
(であれば、シャル隊長の魔法をお借りしましょう)
さすがの最硬の地鬼形態とはいえ全身に軋みが上げ始めてきたので、そろそろ脱出しないとまずいです。そういうわけで地面に付いている両手を僅かに離し、両手の平に魔力を付加。そんな私にラスティアな「悪あがきを!」と言い放ち、左手に持つ宝石をこちらに向けました。
「復讐者の――」
私が何かをする仕草をしたため完全に私に意識を向けたラスティア。それが意識の誘導だということに気付いたとしてももう手遅れですよ。
――フリンジングボム乱れ撃ち――
――ダストブロウ――
――クロスファイアシュート――
先輩方が一斉に攻撃を再開しました。そのすべてはラスティアへの直撃コースではなく、彼女の周囲の地面。ラスティアの意識が私から先輩方に移りましたが、「ぶわっ!? め、目くらまし!?」と驚く彼女の姿は、先輩方の攻撃によって巻き起こった砂塵で見えなくなってしまいました。私の方へと流れてくる砂塵は、そのすべてが重力によって地面に叩き付けられてますね。
(重力の檻の大きさは・・・私を中心に直径4mほど・・・。這って出られるでしょうか・・・?)
いえ。ティアナ先輩がせっかく作戦を立ててくれたんです。無理に脱出を図らずとも問題ありません。
「ぺっぺ! 砂が口に・・・!」
――風陣――
重力の檻の中に居ても判る暴風が発生して、砂塵が晴れていきます。このタイミングで私は「岩槍貫山・・・!」と両手をもう一度地面に突き、先輩方が今なお居られるはずの緩衝壁の周囲に無数の剣山を突き出させます。
「口の中ジャリジャリ・・・って、何のつもり? 他の3人を護るためだったり?」
「ぐぅぅ・・・!」
重力の負荷がさらに強くなり、私は四つん這いからうつ伏せに倒れ伏しました。ですがそんな時、「え? えええ?」とラスティアが困惑の声が、骨が軋む音の中で耳に届きました。なんとか視線を向け、ティアナ先輩の作戦が機能していることを確認しました。
「幻術・・・! ティアナって子の魔法だよね!」
何十人という先輩方の幻が所せましと駆け回り、ラスティアへと突貫を始めました。幻が手を伸ばすのは、重力を発生させいてる宝石を持つ彼女の右手。幻であったとしてもわらわらと集まってくることでラスティアは「もう! ホント邪魔だよ!」と左腕を振り回しつつ、風を起こして幻を揺らしました。
「いったん退避!」
地面を蹴って空へと上がったラスティアを追うために顔を上げようとしましたが無理でした。姿を見れず、声も聴けず、様子を確認することが叶わないのが歯がゆいです。ならば、仰向けに体勢を変えるのみです。うつ伏せはうつ伏せで胸が潰されて呼吸がし辛かったので、少しは楽になりそうですよね。
・・・で、なんとか仰向けになるんですが、「こ、これは・・・これで、きつい・・・です」とちょっと後悔です。頬の肉や胸も圧し潰されそうになります。私の今の顔、誰にも見せられないほどに潰されちゃってますよ。
――振動拳――
空高くで行われた一瞬の攻防を少しだけ見ることが出来ました。ラスティアは地上に居る幻や、本物の先輩方を風の魔術でどうにかしようとしたのでしょうが、彼女よりさらに上空にて待ち構えていたスバル先輩が降下の速度を合わせた拳を繰り出しました。頭上からの奇襲ということでしたがラスティアは反応し、風の魔術で横合いからスバル先輩を吹き飛ばしましたが、スバル先輩のすぐ背後にはティアナ先輩の幻術で姿を隠していたらしいアリサ先輩がいました。
――アドラヌスセイバー――
両手の剣から噴き上がる炎はフランベルジュのごとく揺らめく大剣と成り、アリサ先輩はラスティアへ向けて十字に振り下ろしました。と、ここで私を捕らえている重力がパッと消滅しました。その代わりラスティアが異常な速さで急降下して、アリサ先輩の攻撃を躱しました。
(自分に重力をかけて無理やり回避したんですね・・・!)
ただ、私を解放したことは悪手ですね。ここから先は速度重視で戦わせていただきます。
――風雷鬼形態顕現――
膂力と防御力重視の地鬼から、速度重視の風鬼、加えて雷鬼の能力を同時に発言させます。
――鉄兵風馳――
風鬼形態での高速移動で、落下速度が落ち着き始めたラスティアの直下まで移動します。そして雷鬼形態での攻防一体技を発動しようとした時・・・
「そうはさせないでありますよ!」
――アウラール――
そんな声と共に私に向かってきたのは、炎の突撃槍型の射撃魔法?11発。私は発動を見送って回避に専念し、私に攻撃を加えてきた敵の姿を視認したのですが・・・。私の知る人にそっくりでした。いえ髪の色は金ではなく薄い紫色ですし、瞳も緑色ではなく金色。ですが手にしている武装――デバイスも、顔立ちも声も・・・同じなんです。
「あなた・・・何者ですか・・・!?」
「フラム・ザ・リベンジャーと名乗るでありますよ」
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