魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Saga22-C最終侵攻~Battle of the East~
†††Sideなのは†††
「襲撃予定時刻まで、あと3分・・・」
手元に展開した小さなモニターには11:57の数字が表示されてる。私たちの居る東部メラン地区の研究所や他の研究所の襲撃予告時間は12時ちょうど。会議の中でも戦力を分散させられているみたいって話が出て来たけど、おそらく合ってる。その割にはロストロギアなどの物品を研究する施設はまだ他にも在るのに、5ヵ所に絞った意味が解らない。もっと研究所を指定して、私たちをさらに分散させてしまえばよかったのに。
「いよいよだな、なのは」
「うん。ヴィータちゃん」
この研究所に派遣されたのは私の他にヴィータちゃんとリイン、そしてクラリスちゃんの4人だ。自力で魔術師化できる強力なクラリスちゃんと、神秘を扱える九尾の狐のナデシコっていう召喚獣を主力としたチームだ。そんなクラリスちゃんは、持ち込んだクッキーを自分や小さなナデシコと一緒に食べてる。うん、いつも通りのほんわか具合だね。
「・・・あ、ごめん。なのは達も食べる? もう一袋あるし」
「なに? 待つが良いクラリス。わしはもっとクッキーを食べたいぞ」
小さな前脚でクッキーの入った袋を覆い隠すナデシコが可愛い~って思いながら、「もう襲撃予定時刻だから、そろそろ準備を済ませておこうか」って苦笑いで答えた。するとクラリスは「そっか。ん。ナデシコ、口開けて」って袋を開けて、上を向いたナデシコの大きく開けた口にドザーと流し込んだ。リスやハムスターみたいに頬を大きく膨らませてボリボリ食べるナデシコに、リインが「可愛いですね~♪」って笑顔になる。
「リイン。あたしらもユニゾンしておくぞ。どうせ投降を促しても聞き入れねぇはずだかんな。つうか、あたしがそれを許さねぇ。ルシルとアイリの仇討だ。リーダーとガーデンベルグの居所を力ずくでも聞き出す」
「ヴィータちゃん。ルシル君とアイリは、リイン達が復讐することを望んでるでしょうか・・・? リインはそうは思わないです・・・」
「だろうな。復讐してぇってのはあたし個人の意思だ。けど、どっちにしたってリーダーとガーデンベルグ、T.C.を捕まえるのは決定してんだ。あたしらに黙って勝手に突っ込んで返り討ちに遭ったルシルとアイリへの怒りとか、一緒に連れて行ってくれなかったことへの恨みやら悲しさやらを、今回やって来るメンバーに八つ当たりさせてもらう。ほら、もう時間がねぇ。ユニゾンすんぞ」
「はいです」
「「ユニゾン・イン!」」
ヴィータちゃんとリインのユニゾンが済んで、ナデシコも「うむっ。満足じゃ! いつでも戦えるぞ」って前脚で自分のお腹をポンポン叩いた。クラリスちゃんもすでに騎士甲冑を装着して、“シュトルムシュタール”を肩に担いでる。私も“レイジングハート”をエクセリオンモードで起動し終えていて、ブラスタービットも最大展開数の4基を待機させてある。
「時間だ・・・!」
研究所から12時になったことを知らせるチャイムが鳴り始めた。30秒間なり続けるチャイムの音を耳に、全周囲を警戒する。“T.C.”のメンバーは転移を使うから、予想外な出現の仕方をされてもおかしくない。それに動揺せずにすぐに行動できるかが大事になってくる。
――マルソ・カヴァリエーレ――
「む。おい、クラリス達よ。天から来るぞ。数は・・・多いぞ! 8、9、10・・・12の魔力反応じゃ!」
「「『12人!?』」」
ナデシコがそう知らせてくれたとほぼ同時、ようやく私たちもはるか上空から魔力を感じた。空が真っ黒な雷雲に覆われて、ゴロゴロと雷の音がし始める。そしてソレらは現れた。雷撃の轍を残しながら空を駆けるのは、まず私の知ってるサイズよりはるかに大きな10頭の黒いチーター?。その先頭のチーターに跨るのはフード付きローブを身に纏ってる2人。彼らは空をクルクルと旋回しながら高度を落としてくる。12人じゃなくて2人と10頭・・・。ううん、魔力量が半端じゃない。
「監視班! 周囲に他の敵影が無いか確認を!」
『了解!・・・・・・周囲3㎞圏内に不審な影無し!』
「では結界班! 結界の展開をお願いします!」
『了解!』
研究所の屋上で待機している結界班が、私たちと“T.C.”を閉じ込めるために結界を展開してくれた。雷雲が結界の外に弾き飛ばされたことで稲光も雷鳴もピタッと止んで静かになったかと思えば、チーターの群れが駆けることで小さな雷鳴が鳴り続けてた。
「なのは、クラリス」
「うん。強いよね。特にあの大きなランスを持ってる人・・・」
「騎士か? クラリスと同タイプって感じだな。騎乗騎士だ」
『騎士が相手のようですし、誰が相手をしますか?』
「ナデシコ。私たちの相手は決まったみたい。なのは、ヴィータ、リイン。槍持ちは私がもらうよ」
「良かろう。おそらく強敵だろうが、私とお主なら勝てよう」
決まりだ。私とヴィータちゃんとリインでもう1人を素早く叩いて、クラリスちゃんとナデシコに合流して騎士を倒す。もしくはその逆だ。私たちが相手にするメンバーもそう簡単にはいかないだろうし、とりあえず出来るだけ早く相手を負かして、残りのメンバーをみんなで倒せばいいはず。
「降りてきやがったな」
“グラーフアイゼン”の柄をギュッと両手で握りしめるヴィータちゃんとクラリスちゃんの間を通り過ぎた私は先頭に立って「武装を解除して投降してください」って伝えた。ヴィータちゃんの言うように聞き入れてくれないだろうけど、公務員としての責務でもあるからね。
そんな私の促しに対して、ドリル状の穂を持つランスを持っている人とは別、私とヴィータちゃんが相手しようと考えていた人がチーター(よく見たら黒い雷で創られてる)から降りて、「お断りします」って言いながらフードを取った。
「「『!!?』」」
フードから現れたのは見知った顔だった。あの頃に比べて眼鏡を掛けているし、髪も私ほどではないにしても結構伸ばしているけど、顔立ちは本当に私とそっくり。そう、“T.C.”のメンバーとなってしまっていたのは間違いなく「シュテル・・・!」だった。
「お久しぶりですね、なのは。それに鉄槌の騎士と融合騎リイン」
「ど、どういうことです? なぜフードを脱いだのですか?」
「そう怖い声を出さないでください。ご存じでしょうが、私と彼女たちは友人という間柄なので交戦すれば正体はすぐに気付かれます」
「それなら、交戦中に明かした方が相手の意表を突けたでしょうに。生まれたその隙を突けば、任務も素早く果たせたのではないです?」
「そんな卑怯な手を使いたくないですね」
「っ!!」
近くで見たから判ったけど身長はかなり低くて、声色からして10代前半くらいだと思う女の子とシュテルの間で、味方らしからぬ嫌な空気が発せられ始めた。ピリピリした雰囲気をまず破ったのはヴィータちゃんで、「おい、こら。喧嘩は後にしやがれ。てめぇら投降を拒否ったよな? んじゃ、ぶっ倒すかんな」って“グラーフアイゼン”を2人に突き付けた。
「・・・ふむ。紅の鉄騎の言う通りですね。投降を断った以上は武力で解決するほかありません。ソアラ、早速始めましょう」
「ちょっ!? 実名を出すなんて馬鹿なんですか!?」
「私も実名ですし、問題ありませんよ」
「な、ななな・・・ありえない! あなたたち紫天一家は揃いも揃って馬鹿なのではないですか!? いえきっと馬鹿なのです! 自らの正体を明かすような真似をするなど!」
「名前を知られたからと言ってもどうせ身元までは判りませんよ、私も貴方も」
「それはそうでしょうけど、気持ちの問題です」
「では、切り替えていきましょう」
「つ、疲れます・・・」
シュテルと女の子――ソアラの口喧嘩のような会話の中には気になることがたくさんあったけど、それを問う前に2人が臨戦態勢に入った。
「昇華殲滅服、着装。・・・ルシフェリオン、デストロイヤーヘッドを起動。シタデルユニット解放」
シュテルがこちらに身体を向けたまま後退して、防護服姿に変身した。大体は砕け得ぬ闇事件の頃とデザインは変わらないんだけど、長くなった髪は首の後ろで一束に結ぶようにしてある。それに籠手と脚甲が追加されてる。
そしてシュテルの杖、“ルシフェリオン”がカートリッジを2発とロードして、その形状を変化させた。私の“レイジングハート”のエクセリオンモードと似通ったデザインなのは変わらずだけど、今の私の“レイジングハート”とは違くてヘッド部分が少し細長くなってる。あと、両手に1本ずつ。杖と言うより槍。ソレが2本あるんだ。
「二槍流って感じか。それにシュテルの側に浮いてるアレら、なんかフォートレスみてぇだな」
「うん。シタデル・・・、意味は城塞だよね」
私のブラスタービットよりちょっと大きな遠隔操作機が4機、シュテルの四方を護るように宙に浮いてる。あとすごい気になるのが、両手に持ってる2本の“ルシフェリオン”の給弾口から伸びてる弾帯。1本につきおよそ100発、計200発のカートリッジを使えることになるわけだ。シュテルを速攻で負かすのは無理かも。
「名を勝手に暴かれ、暴いたチームメイトは自ら名乗り、素顔を晒したのです。片意地を張っていても馬鹿馬鹿しいだけです」
ソアラって子もローブを脱ぎ捨てて素顔を晒した。真っ先に目に付いたのは銀色の長いおさげ。前髪はルーテシアやメガーヌさんのような額を大きく出すM字。蒼い瞳はどこまでも澄んでいて、犯罪者なんて思えない綺麗さ。膝下まである白のセーラーワンピース・黒リボン。そして蒼いワンピースと同じ長さのエプロンっていう格好だけど、神秘を含んだ魔力で構築されてる防護服だってことが判る。
「ではしばらく私やシュテルと戯れていただきましょうか」
ソアラの持つランスからバチバチと黒い放電が起こって、「参ります!」の一言を合図に黒雷チーター9頭を引き連れて突撃してきた。さっきの作戦通りにソアラとチーターはクラリスちゃんとナデシコに任せて、私とヴィータちゃんとリインは「シュテル!」を止めるために行動開始。ヴィータちゃんと一緒に空に上がって、足元を通り過ぎてナデシコに突撃していくソアラ達を見送った。
「ルシフェリオン。ダブルカートリッジロード」
シュテルがそう言うと、2本の“ルシフェリオン”が同時にカートリッジをロードして、両方の石突に環状魔法陣を1つ展開。あと穂先にも環状魔法陣を2つと展開した。もう言葉では止まらない。だから私とヴィータちゃんは「カートリッジロード!」を行った。
≪Load cartridge≫≪Explosion≫
『なのは。シュテルのシールドを引き付けてくれ。あたしがシュテル本体を狙う』
『了解。やり過ぎないようにね』
「『そりゃアイツ次第だな』リイン、アイゼン!」
『はいです!』
≪Gigant form≫
“アイゼン”のヘッド部分を大きくしたヴィータちゃんに続いて、私はブラスタービット4基をシュテルの四方に配置させて砲撃をスタンバイ。そんな私たちにシュテルは「まぁそう来ると思いました」って“ルシフェリオン”の穂先を私とヴィータちゃんに向けた。
「エラガバルスキャノン!」
そして放たれる火炎砲撃。私たちはそれぞれの回避行動で躱すんだけど、今放たれたのは「連射タイプ!?」の砲撃のようで、避けた先にも火炎砲が放たれてきていた。慌てて急制動を掛けて火炎砲に突っ込むのを阻止。すぐに「アクセルフィン!」を発動して急上昇することで追撃を回避した。
「なんからしくないね、今のシュテルは!」
――エクセリオンバスター・マルチレイド――
砲撃を撃ち続けるシュテルの四方で高速移動させていたブラスタービットから同時に4発と砲撃を発射。シュテルは私とヴィータちゃんだけを狙って撃ってきていたけど、突然考えを変えてブラスタービットを撃ち落としにこられても嫌だし。
「(会話で少しでも気を散らせることが出来れば・・・)以前のシュテルはもっとこう・・・激しく動いて相手を倒しにかかってくるような子だったのに!」
――フレイムプレート――
シュテルのシタデルユニット4基から赤い魔力シールドが生成されて、私の砲撃を完全に防いだ。けど、シールドは砲撃を防いでる最中。そこに本命の“レイジングハート”からの1発を発射する。
「必要性に駆られたからですよ。エルトリアは現在、死触現象とは別の問題を抱えています」
――メテオーア・フリーゲン――
そう言いながら私の砲撃を火炎砲で迎撃したシュテルの頭上、ヴィータちゃんの放った燃える大物質弾が3発と急襲。その攻撃をシュテルはミッド魔法陣のシールドを展開することで防御。着弾時に発生した爆炎と黒煙がシュテルの姿を覆い隠した。
「ギガントハンマァァァァーーーー!!」
ユニット4基と迎撃砲は私で釣って、シュテル自身のシールドはヴィータちゃんの射撃で釣った。最後はヴィータちゃん自身による直接攻撃でシュテルへのダメージを狙う。“アイゼン”を振り被りながら黒煙に突っ込んだヴィータちゃんの姿は、振るわれた“アイゼン”が黒煙を晴らすことで視認することが出来た。
「「籠手・・・!?」」
ヴィータちゃんの強大な一撃は、シュテルの左籠手で完璧に防がれていた。しかもシュテルはその場から一歩も動いてない。いくら防いだとしてもその衝撃は強烈で、普通は衝撃に耐えきれずに吹っ飛ばされる。しかも今の“アイゼン”はギガントフォルム。それをシールド越しとはいえ受けたのに立ったままだった。
「ヘリオポーズ・ランパート」
「っ! ヴィータちゃん、シュテルから離れて!」
「っく!」
シタデルユニット4基がシュテルの前後左右の位置に着くと同時、4基が同時に放射状の炎の膜を発生させた。4つの炎の膜は合流して、シュテルを覆い隠す半球状のバリアとなった。
「死触現象を兵器利用しようと考えた異世界人による侵攻です。紫天の盟主ユーリ、我らが王ディアーチェ、レヴィ、フラム、アイル、そして私の王下四騎士、それにアミタやキリエで迎撃しています。なぜ私らしからぬ固定砲台役になっているのか。切り込み役にはレヴィとフラムとアミタとキリエがいるからです」
――バーストクロモスフィア――
炎のバリアから放たれ来たのは炎の砲弾で、直径が2mくらいあるから回避には気を付けないといけない。砲速も割とあるし、さっきまでの砲撃連射と組み合わせられると厄介かもしれない。
「私は盾としてディアーチェとアイルとユーリを護ることを選択しました。まぁなのは譲りの防御力の恩恵もあり、盾役として大いに役立っています」
まさかの内容に逆にこっちの気が散るというか、「大丈夫なの!? こんなところに居て!」って不安、そして心配になった。炎のバリアを解除したシュテルが「大丈夫です。私は違うので」って言いながら2本の“ルシフェリオン”のカートリッジを3発ずつ、計6発とロードした。大技が来るって判る数だ。
「違うってどう意味!?」
――アクセルシューター・バニシングシフト――
エクセリオンモードのロックオン機能を利用した精密狙撃バージョンのアクセルシューターを発動して、18発の魔力スフィアを周囲に待機させる。ボッ、ボッ、と火を噴くシタデルユニット4基はシュテルの周囲をゆっくりと回って、私たちの攻撃に備えてる。
『なのは。あたしがデケェので一気に片を付ける。シュテルを引き付けててくれ』
『大きいのって・・・。まさか、ツェアシュテールングス!? 待って、アレは――』
『アホか。さすがに対人では使わねぇよ。ギガントシュラークで盾4つを破壊してやる。シュテルだって盾が壊れそうになったら回避行動くらい入るだろ』
『ま、まぁさすがのシュテルも逃げるとは思うけど・・・』
「そのままの意味ですよ。私は違うので、異世界に居ても問題ないのです」
――カタストロフィノヴァ――
どんな魔法でも余裕をもって回避できるようにシュテルから距離を取っていた私たちに向かって放たれたのは、ピンポン玉みたいな小さな火炎弾。高速弾でも誘導弾でもないようだけど、避けないと「まず・・・!」いことくらいは理解できる魔力が込められ、圧縮されてる。
「ヴィータちゃん!」「なのは!」
2人同時に一気に急上昇する。その途中、私たちを巻き込まないように遠く離れたところで戦ってるクラリスちゃん達が視界に入った。大きくなったナデシコが十数頭にまで増えた雷チーターを相手にして、クラリスちゃんは巨馬アレクサンドロスを駆って、ソアラもいつ召喚したのかキラキラと輝くたてがみを有する巨馬を駆って、お互いの武器でドックファイトを繰り広げていた。
「「~~~~~っ!!」」
足元で火炎弾が大爆発を起こした。巨大な炎の球から発せられる熱波に私たちは声にもならない悲鳴を上げて、爆風に吹き飛ばされた。なんとか姿勢制御が出来るほどの距離まで飛ばされた私は、キーンと耳鳴りがする耳と、爆炎でチカチカする目を使って周囲の様子を探る。
『なのは、大丈夫か!?』
『なんとか! ヴィータちゃんは!?』
『あたしもリインも問題ねぇ!』
『でも目がグルグルします~・・・』
無事なようで良かったって安堵していると視覚も聴力も回復して、シュテルの姿を視認。2本の“ルシフェリオン”が派手に排熱していて、一切の攻撃が中断されてる。攻めるなら今と判断して、今の爆炎攻撃でも無事だったアクセルシューターを「シューット!」一斉に発射した。狙いはシタデルユニット4基と“ルシフェリオン”2本。攻撃も防御もすべて私が引き付ける。
「ヴィータちゃん!」
「おう!」
ヴィータちゃんはシュテルの頭上に向かって飛んで、私は単独でシュテルの真正面に向かいながら高速砲の「ショートバスター・マルチレイド!」を“レイジングハート”とブラスタービット4基から連射する。威力と射程を犠牲にしているけど移動しながらの連射が可能ということで、シュテルの攻撃を躱しながらこっちは撃ち込み続けられるっていうメリットが生まれる。
(シタデルユニットが動いた・・・!)
先発のシューターを防御するためにユニット4基の縁から魔力シールドが発生して、シューターを次々と防いでいく。そこに5方向からの砲撃。ユニットが展開してるシールドはかなり堅いけど、低威力とはいえ砲撃を何発も受けたらヒビが入るのは必然だった。
「轟天爆砕!」
冷却が終わったのか“ルシフェリオン”のカートリッジをロードさせて、シュテルは1本を私に、もう1本を超巨大化させた“アイゼン”を振りかぶってるヴィータちゃんへと向けた。ユニットはすべてシュテルの頭上に配置されて、「ヘリオポーズランパート」っていう、さっきと同じように炎のドーム状バリアを展開した。
「レイジングハート! カートリッジロード!」
ヴィータちゃんの一撃に巻き込まれないようにブラスタービット4基を撤退させつつ、砲撃魔法をスタンバイ。
「ギガントシュラァァァァーーーーク!!」
「ディバイン・・・バスタァァァァーーーー!!」
「プロミネンスホーン!!」
放つ砲撃、振り下ろされる圧倒的質量と、放たれた火炎砲が真っ向から激突。シュテルの砲撃は私の砲撃を貫通してきて、「わっ!?」と私は慌てて砲撃を解除して、横移動することで砲撃の直撃を回避。そして“アイゼン”に向かって放たれた火炎砲は、「アイゼン・・・」のヘッド部分を撃ち貫いて、ヘッド部分を内側から大きく破壊していた。
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