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レーヴァティン

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第百八十七話 オデッサからその十一

「民は徹底的に虐げている」
「容赦ない国だな」
「そうした国と戦う」
「これからはそうか」
「ああ、ならいいな」
「そうした国とは迅速に戦ってな」
「倒してだ」
 そうしてというのだ。
「民の苦しみをなくすぞ」
「そうしないと駄目だな、しかしここまでの圧政はな」
「この浮島ではそうはないな」
「ああ、ある程緩くするからな」
「トランシルバニアの領主以外はそうだったな」
「というかあの領主でもな」
 苛烈というよりかは残虐だった彼でもというのだ。
「まだな」
「ここまでは酷くなかったな」
「流石にな」
「しかしそうした国もあるということだな」
「そうだな」
 久志は正のその言葉に頷いた。
「要するに」
「そして戦になるとな」
「容赦したらな」
 その時はというと。
「こっちが負けるしな」
「例え無理に戦わさせられている兵が相手でもだ」
「全力で戦うことだな」
「戦の場で容赦は駄目だ」 
 敵に対するそれはというのだ。
「全力で戦ってだ」
「倒していくことだな」
「そうだ、では7いいな」
「ああ、やってやるか」
「敵の装備の質は悪いわよ」
 清音はその徴兵された者達のそれを見て久志に話した、どれもかろうじて使える位の槍や剣で錆びているものすらある。防具を着けていない者も多い。
「そして術を使える人もね」
「殆どいない感じだな」
「だからね、数だけだから」
「しっかり戦えば何てことはないか」
「武器を持っただけだったら」
 そうした兵達ならというのだ。
「こちらは全員訓練と実戦を重ねてきてるわ」
「プロだってことだな」
「しかも完全装備でね」
「術を使える奴も多いしな」
「全く違うわ、整備された軍と雑軍よ」
 両軍を比べると、とだ。清音はこうも話した。
「だからね」
「同じ位の数でも強さが全然違うな」
「そうよ、だったらね」
「勝つのは俺達だな」
「答えはそれしかないでしょ」
「ああ」
 久志は清音に確かな声で答えた。
「もうな」
「全力で戦えばね」
「それで勝てる相手だな」
「そうよ、死んだ人は生き返らせることが出来るし」
「もう死んだらとか思わずにな」
「戦いましょう」
「よし、全軍陣はそのままだ」
 整えたままだというのだ。
「まずは砲撃と術の攻撃を仕掛けるぞ」
「それで攻めて来る敵を倒すわね」
「ああ、敵は攻めて来る気配だしな」
 見れば雑然とした、訓練なぞ全くと言っていい位にしていない兵達の陣はそうだった。その陣を見て清音に話したのだ。
「そうするな」
「敵の兵の質は低くて」
「指揮官も迂闊に攻めるな」
「そうね、迂闊か」
 清音はその目を鋭くさせて久志に話した。 
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