レーヴァティン
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第百八十七話 オデッサからその十二
「若しくは攻めないといけない」
「そんな事情があるか」
「兵を無理に進ませる様な国ならよ」
「指揮官にもそうするか」
「ええ、王様がね」
「若し攻めないと何か処罰が待ってるか」
「そうかも知れないわね」
その動きだした敵軍を見て話した。
「これは」
「そうか、それじゃあな」
「こちらとしてはね」
「それも狙いどころだな」
「敵が無理に攻めて来るならね」
如何なる事情があってもというのだ。
「それならね」
「ああ、そこを衝いてな」
そうしてとだ、久志も話した。
「そのうえでな」
「勝つわね」
「そうするな、じゃあ大砲の射程に入れば」
その時はとだ、久志は言った。
「砲撃だ、そしてな」
「術もね」
「使うな」
そちらもというのだ。
「そのうえでな」
「敵を倒すわね」
「そうして銃撃もしてな」
間合いに入ればというのだ。
「敵が減ったところで」
「攻めに移るわね」
「そうするな」
こう言ってだった、久志は極めて冷静に無理に攻めにかかっていると思われる敵軍の動きを冷静に見てだった。
そこに砲撃と術による攻撃を浴びせそれを続けた、敵兵は次々に吹き飛ばされ倒されていくがそれでもだった。
攻め寄せて来る、久志はその状況を見てまた言った。
「これはやっぱりな」
「無理矢理前に進まさせられているね」
「ああ、敵の顔が必死だ」
剛に彼等の顔を見て話した。
「しきりに後ろを見ながらな」
「戦で後ろ気にしながら前に進むってね」
「後ろに退けない場合だからな」
「うん、若し後ろに退けば」
「切られるか撃たれるかだな」
「どちらかだね」
「督戦隊ってやつか」
久志はここでこの隊の名前を出した。
「ソ連軍とかにあったっていうな」
「そう、まさに軍を無理に進ませるね」
「そうした部隊だったな」
「若し前にいる友軍が退けば」
その素振りを見せただけでだ。
「切ったりね」
「撃ったりしていたな」
「そうして無理に攻めさせていたよ」
「えげつない話だな」
「ほら、いるよ」
剛は久志に敵軍を指差して言った。
「歩兵の後ろにね」
「ああ、刀抜いて立っている連中いるな」
久志も見た、彼等はそこに横一列に並んで立っている。その視線は帝国軍にはなく友軍に向けられている。
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