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レーヴァティン

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第百八十四話 馬封じその六

「これは塩や鉄にもしていますが」
「どっちも国の専売にしてるけれどな」
「価格は安く定めていますね」
「そうしてるな」
「若し価格を変につり上げますと」
 そうすればというのだ。
「やはりです」
「闇商人とか出るな」
「どちらも必要ですから」
 塩も鉄もというのだ。
「特に塩は」
「塩は人の身体に必要だからな」
「ですから若しそうしたことをしますと」
「闇商人が出て力を持って」
「大変なことになります」
 彼等の跳梁跋扈を許してというのだ。
「実際にありましたし」
「中国の塩賊か」
「黄巣です」
 源三は中国唐代末期に叛乱を起こしたこの人物の名前を出した。
「彼はとんでもない叛乱を起こしました」
「文字通り当時の中国を一周してな」
「唐の命脈を絶ちそれまでの社会も破壊しました」
「無茶苦茶な叛乱だったんだよな」
「中国の歴史上最大の叛乱でした」
 こうした意見も出る程であったのだ。
「それまでの中国では貴族も残っていましたが」
「それがなくなったしな」
「社会まで変えた」
 王朝の命脈を絶っただけでなくだ。
「そこまでのものとなりました」
「塩賊は下手するとそこまでの力を持つか」
「ですから」
「出ない様にするか」
「塩や鉄等の専売は国歌の財政と権限の安定に必要ですが」
 中央集権国家のそれにというのだ。
「ですが」
「それでもだよな」
「価格は安く」
「そうしないとな」
「駄目です」
 何といってもというのだ。
「それが大事です」
「それも政だな」
「お酒は流石に専売はです」
 国のそれにすることはというのだ。
「私は主張しません」
「俺もな、それはな」
「いいですね」
「塩と鉄をそうしているからな」
 だからだというのだ。
「充分だろ」
「左様ですね」
「ああ、じゃあビールもな」
「そうしていきましょう」
 産業にしようというのだ。
「これからは」
「酒も大事な産業だな」
「好きな人が多いですから」
「それもかなりな」
「私達も」 
 源三は笑って言った。
「そうですね」
「ああ、本当にな」
「ワインも好きですし」
「ビールだってそうだしな」
「そうですね、ただ我々はビールはあまり飲まないですね」 
 源三はふとこのことを思い出して言った。
「そういえば」
「この浮島酒はおおむねワインかビールだけれどな」
「他のお酒もありますが」 
 シードルや蒸留酒もある、ウイスキーやラム、ジン、コニャック、ブランデー、そしてウォッカもあるが主流はその二つなのだ。 
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