ちょっとズル
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第三章
「それを日課にしていて」
「それから部活もですね」
「朝練に出ていますね」
「朝早いのですね」
「はい」
探偵はアリスにその通りだと答えた。
「あとジーンズがお好きですね」
「服は」
「外出の時はいつもです」
「ジーンズですか」
「そちらの服です」
「そうですか」
「それとよく駅前の本屋さんに行って」
そうしてというのだ。
「漫画雑誌を買っています」
「漫画がお好きですか」
「それもジャンボ系の」
そちらのというのだ。
「そちらの雑誌がです」
「お好きで」
「はい」
それでというのだ。
「よく買っています」
「そうですか」
「そちらを」
「そうなのですね」
「あとライトノベルは異世界系がお好きですね」
「最近流行の」
「左様です」
「成程、そうですか」
「他には」
探偵はアリスに自分が調べた友樹のことを全て話した、その全てを聞いてだった。アリスは行動に移った。
ここで彼の住所も調べていたので。
何気なくだ、毎朝ジョギングをはじめて朝の友樹に会う様にした。幸いお互いの家が近くジョギングで偶然と装って会うにも問題なかった。
「おはようございます」
「あれっ、確か」
友樹はジャージ姿で自分が飼っている柴犬を見つつ言った。
「七瀬さん?」
「はい、お隣のクラスで」
それでとだ、アリスは友樹に何気なくを装って応えた。
「お会いしますね」
「そうだよね」
「あの、とは」
「いや、何も」
友樹はアリスが有名人、資産家なのでそうであるがそのことを言うのは野暮と思ってそれで言うことを止めた。
「ないけれど」
「そうですか」
「毎朝走ってるのかな」
「最近はじめまして」
嘘は言っていないのでこのことはよしとした。
「それで」
「そうなんだ」
「奇遇ですね」
ここでだ、アリスは。
にこりと笑ってみせた、そのうえで友樹に話した。
「こうしてお会いするのも」
「そ、そうだね」
アリスのそのあどけなくかつ気品があり運動中なので汗もある爽やかな笑顔にだった、友樹は一瞬ドキリとした。
だがその心の動きを何とか抑えてだ、アリスに応えた。
「奇遇だね」
「そうですね、可愛いワンちゃんですし」
「あっ、サクラっていうんだ」
「サクラさんですか」
「女の子で」
見ればサクラはアリスを見て尻尾を振っている。
「とても賢くて大人しくてね」
「いい娘なんですね」
「こんないい娘いないよ」
友樹はアリスににこりと笑って話した。
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