ちょっとズル
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第二章
「アリスにも言ってるし」
「お兄様やお姉様達にも」
アリスは一番上に兄がいてその後に姉が二人いて五人兄妹の末っ子となっている、末っ子だけに実は可愛がられて育っている。
その彼等にもとだ、アリスは話した。
「その様にですね」
「言っているな」
「それは私も承知しています」
「若し悪いことに使うなら」
自分の家の財力と権力をだ、父は念押しした。
「私は許さないが」
「このことは」
「これはいい」
「相手を調べることは」
「そして頭を使うことも」
悪事は駄目だがと言ってもというのだ。
「いい」
「では」
「アリスがその彼をどうか想っているのなら」
「それならですか」
「悪事は絶対に駄目だが」
それでもというのだ。
「頭を使うのならいい」
「お金もですね」
「そうだ、その彼がアリスに相応しい人なら」
「是非ですね」
「お父さんの前に連れて来られる様にするんだ」
「わかりました」
アリスは父に確かな声で答えた、そしてだった。
友樹の奇麗な肌色で大きな黒い目が目立つ明るい顔と少し収まりが悪いか健康的な黒い短い髪を思い出しつつだった、彼のことをまずは探偵所に調べてもらった。それと共に学校の中で男子に詳しい子達をだった。
放課後にケーキ食べ放題のお店実はアリスの家が経営者であるその店に連れて行ってそこで話を聞いた。
そうしてだ、彼のことを確認した。
「いい人ですか」
「ええ、そうよ」
「明るくて屈託がなくてね」
「謙虚だし後輩にも公平で優しくてね」
「ちょっとせこいところもあるれど」
それでもというのだ。
「勉強の方はそこそこだし」
「友達も多いしね」
「悪い子じゃないわよ」
「あと彼女もいないし」
「そうですか、いい人で」
アリスは様々なケーキを紅茶やコーヒーと一緒にせっせと食べている彼女達の話を聞きつつ述べた。
「交際相手もですね」
「いないわよ」
「これといってね」
「妹さんのことはよく言ってるみたいだけれど」
「妹さんがおられるのですね」
アリスは後に探偵からもこのことを聞いた。
「そうなのですか」
「随分と可愛がってるみたいよ」
「まだ小さい娘みたいだけれどね」
「あとお家のワンちゃんも可愛がってるみたいだし」
「毎日お散歩に連れて行くことが楽しみだとか」
「そうですか、妹さんがおられて」
そしてとだ、アリスは言った。
「ワンちゃんもお好きですか」
「そうみたいよ」
「あと趣味はね」
「それと好きな食べものは」
情報通の娘達はアリスにケーキを奢ってもらっているので次から次にと友樹について知っていることを話した。
そして探偵からもだ、アリスは彼の話を聞いた。
「素行に問題なしですか」
「はい、毎朝お家の犬の散歩に出て」
アリスの父に雇われた探偵はアリスに彼のことを調べたまま話した。
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