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ドリトル先生の林檎園

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第七幕その六

「これこそがね」
「うん、まさにだよね」
「神様のプレゼントだよね」
「先生がシードルを飲みたいって思ったから」
「プレゼントしてくれたんだよ」
「こうしてね」
「そうだね、神様に感謝しないと」
 動物の皆に笑顔で応える先生でした。
「いけないね」
「そうだね、じゃあね」
「神様に感謝して」
「そのうえでね」
「これからシードルを飲みましょう」
「そうしようね」
「是非ね、日本は色々なお酒が売られているけれど」
 このことは事実でもというのです。
「シードルはね」
「案外ないよね」
「どうしてもね」
「縁が薄いお酒ね」
「日本では」
「それで売っているから」
 そのお店にはというのです。
「今からね」
「入ってだね」
「それで飲むんだね」
「今からね」
「そうするんだね」
「そうしようね」
 そのお店は普通の居酒屋です、日本の趣が粋といいますか独特の風情を見せています。そのお店の中にです。
 先生は皆と一緒に入ってです、席に皆で座ってそうしてシードルを注文して飲んでみました。するとです。
 その味がとてもよくてです、笑顔で言いました。
「いや、やっぱりね」
「シードル美味しいよね」
「そのお酒も」
「日本酒もいいけれどね」
「ビールやワインも」
「けれどこっちのお酒もいいよね」
「シードルもね」
 先生は飲みつつ応えます、もうおつまみも注文していて席には焼き鳥や冷奴といったものがあります。
「いいね」
「本当に日本じゃあまりないけれどね」
「リンゴ酒はあるけれどね」
「こっちは結構あるよね」
「中華料理店とかでもあって」
「あれはあれで美味しいけれどね」
「そう、けれどね」
 それでもというのです。
「このシードルとはね」
「林檎酒はちょっと違うね」
「どうもね」
「何かが違うんだよね」
「どうにもね」
「そう、それがね」
 どうもというのです。
「僕は残念に思っていたけれど」
「それがね」
「このお店では飲めるから」
「だからだね」
「このお店はじっくり楽しもうね」
「今日はシードルを飲んでね」
「そうしようね、どうやらこのシードルは」
 楽しく飲みつつ言う先生でした。
「長野県の林檎から造ってるね」
「あっ、あんたそれがわかるんだね」
 先生の今のお話にです、カウンターからゴマ塩頭のおじさんが言ってきました。お顔立ちも服装も如何にも居酒屋の親父さんという感じです。
「通だね」
「そうですか?」
「そうだよ、うちのシードルはな」
「長野産の林檎から造った」
「本場のね」
 まさにというのです。 
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