ドリトル先生の林檎園
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第七幕その四
「しっかりと行こうね。しかし」
「しかし?」
「どうしたの、先生」
「何かあったの?」
「思い当たることがあるの?」
「いや、今回の旅は思ったより何もなくて」
それでというのです。
「意外に思ってるんだ」
「ああ、そのことね」
「先生の旅は色々とあるからね」
「普段から何かと頼まれたりするし」
「そして先生がそれを解決する」
「そうした風だからね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「今回何もないのは意外がな」
「そう言うとだよ」
王子がここで先生に笑って言いました。
「これがね」
「うん、言った側からだよね」
「何かあったりするじゃない」
「そうだね、言われてみるとね」
どうかとです、先生も笑って応えます。
「僕の旅はね」
「そうだよね」
「絶対に何かあるね」
「そして先生がその何かに向かう」
「それが常だよね」
「だからね」
それでというのです。
「今回もだよ」
「何かあるっていうんだね」
「僕もそうだと思うよ」
「だとすると」
本当にという先生でした。
「そろそろかな」
「そうじゃないかな」
「じゃあその何かにね」
「先生もだね」
「向かう気構えはしておくよ」
是非にと言ってです、そのうえで。
先生達は上田をよく見て回ってそうして三時にまた林檎のティーセットを注文して食べますがふとです。
トミーがアップルパイとアップルティーを口にしてから先生に言いました。
「美味しいですが」
「ちょっと、だね」
「何かアメリカのものと違いますね」
「そうだね、この林檎のティーセットは」
先生は干し林檎を食べつつ応えます、他には林檎のジャムをかけたヨーグルトもあってやっぱり林檎尽くしです。
「紅玉を使っているけれどね」
「それでもですよね」
「うん、アメリカの林檎とはね」
「また違いますね」
「アメリカの林檎はね」
こちらはというのです。
「どうしてもね」
「アメリカの林檎の味で」
「紅玉はね」
「アップルパイとかに向いていてもですね」
「そう、日本で作っているから」
それでというのです。
「どうしてもね」
「日本の林檎になって」
「アメリカの味とはね」
「また違うんですね」
「そうなんだ」
こうトミーにお話します。
「土やお水の関係でね」
「そういうことですね」
「使う林檎の種類と」
「林檎の産地によってですね」
「違ってくるんだ」
「アップルパイとかの味もですね」
「どうしてもそうなるんだ」
これが先生のお話でした。
「それはやっぱりね」
「当然のことですね」
「そう、日本で紅玉を使っても」
「完全にアメリカの味にはならないですね」
「そうだよ、日本の味になるんだよ」
日本の林檎を使えばというのです。
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