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ドリトル先生の林檎園

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第三幕その六

「それでなんだ」
「藤村さんの作品も読んでいて」
「どんな作品か理解していて」
「わかっているんだね」
「そうなんだ、中には問題のある作品もあってね」
 ここで微妙なお顔にもなる先生でした。
「色々言われてもきているよ」
「そうした作家さんもいるよね」
「太宰治さんもそうだったね」
「あの人は最後心中しているしね」
「それで藤村さんもなんだ」
「色々言われてもきているんだ」
「そうした人なんだ」
 動物の皆も思うのでした。
「長い間活動していたけれど」
「その中でだったんだ」
「問題作もあって」
「順調でもなかったんだね」
「あの人の作家活動は」
「うん、長野県の名家に生まれてね」
 藤村さんのその生い立ちについてもお話します。
「豊かな中で育ったけれど」
「それだけ聞くといい感じ?」
「名家に生まれたら」
「それだけでね」
「全然違うよね」
「けれど人の一生は家だけで決まらないよ」
 先生は真理もお話しました。
「その他の色々な要因が重なるね」
「それはね」
「言われてみればね」
「その通りだね」
「家だけで人生が決まるか」
「ご本人のこともあるしね」
「あと神様のお導きも」
 動物の皆もそのことはわかりました。
「色々な要素があるからね」
「人がどう生きるかは」
「人生がどうなるかはね」
「様々な要因があるね」
「そうだよ、だからね」
 先生は皆にさらにお話します。
「藤村さんも色々あった人生だったんだ」
「ふうん、そうだったんだね」
「ただ作家さんとして詩や小説を残しただけじゃないんだ」
「他にもなのね」
「色々あったんだ」
「前に姫路城に行って泉鏡花さんのお話をしたね」
 このことについてもお話する先生でした。
「皆覚えているね」
「ああ、湯豆腐が大好きで」
「生ものとか生水は絶対に口にしないで」
「極端な潔癖症でね」
「旅行の時にいつもアルコールランプを持っていたんだったね」
「あの人は個性が強かったけれど」
 そうした潔癖症な一面がというのです。
「藤村さんは人生で色々あったんだ、問題作もあるしね」
「何かお顔見たら普通に美男子だけれどね」
「眼鏡が似合う」
「今でも女の人に人気がある位な」
「そんな人だけれどね」
 皆は先生がスマホに出した藤村さんのお顔を見つつ言いました。
「長い人生で色々あって」
「そして問題作も書いていたんだ」
「そう思うと複雑な気持ちになるわね」
「どうにも」
「そうだね、日本にも差別があって」
 先生はその問題作について具体的なお話をしました。
「そのことを書いていたりするんだ」
「差別ね」
「それは何処でもあるね」
「残念だけれど」
「本当に何処でもあって」
「それで問題になってるね」
「そうよね」
「他にも書いているし」
 藤村さんはというのです。
 
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