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ドリトル先生の林檎園

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第三幕その五

「文学にも縁があるからね」
「へえ、そうなんだ」
「林檎やお蕎麦だけじゃないんだ」
「源平や戦国時代だけじゃなくて」
「他にもあるの」
「文学も」
「島崎藤村さんの出身地だよ」
 この人が生まれた場所だというのです。
「実はね」
「ええと、明治から昭和にかけて活躍した」
「あの人よね」
「あの人は長野県に生まれて」
 そうしてというのです。
「長野県を詩に詠ったり小説の舞台にしているよ」
「そうだったんだ」
「名前は聞いたことがあったけれど」
「長野県の人だったんだ」
「そうだったんだ」
「そうだったんだ、作家さんも出身地は出るからね」
 それはどうしてもというのです。
「作品にね」
「そういえば太宰治さんもそうよね」
「先生この前言ってたけれど」
「青森出身で」
「その青森のことが出るって」
「そうだよ、あの人は青森の津軽出身でね」
 それでというのです。
「その津軽に戻った時のことを書いていたり作品全体にね」
「影響が出ているんだね」
「青森で生まれ育ったことが」
「そのことが生きていて」
「作品にも出ているんだ」
「作家さんにもよるけれどね、特に出ているのは」
 出身地がです。
「やっぱり織田作之助さんかな」
「大阪のあの人だね」
「夫婦善哉の」
「あの人が一番出ているのね」
「出身地が」
「あの人はずっと大阪にいたからね」
 生まれ育ったその街にというのです。
「東京に取材に行った時に亡くなってしまったけれど」
「基本そうなのね」
「ずっと大阪にいた人で」
「大阪が作品に出ている」
「そうした人なんだ」
「大阪にいて流れ流れてで」
 そうして生きていってというのです。
「ある場所に落ち着く」
「それがあの人の作風ね」
「あの人の作品で」
「それでだね」
「舞台は大阪なんだ」
「そうだよ、僕はまだまだ日本文学は学んでいる最中だけれど」
 それでもというのです。
「僕達が読んできた限りだとね」
「あの人が一番出身地が出ているんだ」
「そうした人なのね」
「織田作之助さんは」
「本当に若くして亡くなったことが残念だけれど」
 それでもというのです。
「あの人の作品も面白いよ」
「先生色々な人の作品読んでるよね」
「日本文学の方も」
「それで知っているんだね」
「作家さんの出身地と出身地にどんな影響を受けているのかも」
「そうだよ、そしてね」
 さらにお話する先生でした。
「島崎藤村さんもだよ」
「長野県出身で」
「やっぱり長野県のことが出ている」
「そうなのね」
「先生あの人の作品も読んでるのね」
「うん、幸い読むのは速いから」
 このこともあってというのです。
 
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