『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』
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十一話目
(っ……くっ、自分の技で気絶するなんて、我ながら情け無い)
それでも考えてみれば技を放った直後に同じ技を打ち込まれるのだから、技を放った直後の隙が大きい大技であればあるほど自分の受けるダメージは大きいのも当然だ。
(ホント、あれを倒したって、どれだけチートなんだよ、ジオウⅡって?)
ジオウⅡ、アナザーリュウガを圧倒できる基礎能力に未来予知に時間操作に未来創造、しかも、これでまだ上のフォームのある中間フォームと言うチート振りである。
まあ、原典のアナザーリュウガはアナザーライダーでありながら、本物の仮面ライダーリュウガとの相違点は一つ、本物ではない事だけだ。素のスペックもあの時点のアナザーライダー達の中では最強と言って良いだろう(アナザーオーズも変身者は仮面ライダーだった者だが、そちらは歴史が失われて経験を失っている上にオーズではなくゲンムの変身者である)
ジクウドライバー等のジオウの装備がガチャの中に入ってないかなと思いつつも、現在の手札でのアナザーリュウガ撃退の手段へと思考を向ける。
(下手な大技じゃ回復が間に合わないだけか。やっぱり、一番必要なのは……奴の、アナザーリュウガの防御を超える攻撃力)
最後の手段としてハザードトリガーの方が浮かぶ。
暴走の危険があるとはいえハザードはビルドの中間フォームの中ではスパークリングよりも強力な力を持ったフォームだ。それを使えばアナザーリュウガの防御力を上回れるかもしれない。
飽く迄仮定の域を出て居ない話だが、手持ちの札でアナザーリュウガに対抗できるのは此れだけだろう。
理想を言えば、龍騎系ライダーのカードデッキを入手して確実にアナザーリュウガを倒せる力が欲しいが、それは現時点では無理だろう。
「(それよりも今は)ここは?」
ベッドの上で体を起こし周囲を見回す。明らかに駒王学園の保健室だ。
痛みはない為に雫が治癒してくれたのだろうという事がわかる。
最初の不意打ちから終始自分からしか攻撃してない為に自分の攻撃を跳ね返されただけで済んでいるが、はっきり言って生身でアナザーライダーの攻撃など受けたくない。
(そう言えば、二人は?)
詩乃と雫の姿が見えない事を疑問に思いながらベッドから出ようとした時、保健室のドアが開くと、
「四季!」
「お兄さん!」
詩乃と雫の二人が保健室の中に飛び込んでくる。
「詩乃、雫。二人とも怪我は」
「私達なら大丈夫よ。それより、私達のことより今は自分の心配をしなさいよ!」
「オレも大丈夫。反射される事が分かってたから、無意識に加減していたんだと思う」
そう、反射される事が分かっていたから、生身では変身解除に繋がらないと分かっていたからこそ、無意識のうちに加減してしまっていた。
だからこうして雫の回復の術の効果範囲のダメージで留められたのだろう。
それでも、心配したのだと言う表情で詩乃からは睨まれている。
「天地さん、気が付いたようで何よりです」
二人に続いて新しい人物が入ってくる。この学園の生徒会長の『支取 蒼那』、本名はソーナ・シトリー。
現魔王の一人、セラフォルー・レヴィアタンの妹である駒王学園のもう一人の上級悪魔だ。
「この度は貴方達には私の眷属の二人を助けていただいた上に、匙の事も……」
彼女はそう言って頭を下げる。ふと詩乃と雫の方に視線を向けるとどこか申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「あの、あの映像はどちらで?」
「ルパンレッドと名乗ってた自称怪盗から渡されたんだ。オレも映像を見せてもらったけど、匙だっけ? 生徒会役員で、コウモリ男に変な時計みたいなものを埋め込まれて、あの黒い怪物に変えられたのは」
ナイトローグやアナザーリュウガの名前を出さずにそう問いかける。
「ええ、先日から行方不明になって居ます。これであの子の無事は確認できましたが」
「このままだと、はぐれ悪魔にされてしまう。ですか?」
「はい」
仮面ライダーを歪めた怪人の姿。しかも、黒いドラゴンなどはぐれ悪魔になった匙と言われても納得できるだろう。
「えーと、ルパンレッドから強いダメージを受ければ体内の時計のような物を排除されて元に戻るとか言っていたから」
「ですが、そこの二人から、今の匙には匙の神器にも無かった能力があると」
アナザーリュウガの反射能力がある為に迂闊に攻撃できないと言いたいことはよく分かる。
反射能力と鏡面を介しての神出鬼没な移動能力と、下手したら魔王の眷属を動かしても被害は出るような能力だ。
火力に劣るソーナの眷属たちには打つ手がないのが現状だろう。まあ、リアスの眷属も含めて当たったとしても勝ち目はないだろうが。
「だから、それを知っても何もできない。そう言うことか?」
「はい。ですが、このまま匙の事を放ってはおけません。早急にあの子を助けないといけませんから」
そう言った後、ソーナは四季達へと一礼し、
「後日、貴方達の力の事も詳しく聞きに行くと思いますが」
「オッケー、話せる事なら話そう」
そんな会話を交わすとソーナは保健室を出て行く。後に残された四季達は、
「いいの?」
詩乃が四季へと問いかけてくる。色々な意味の篭った『いいの?』と言う問いだろう。
「オレ達の力についてなら、な」
彼女の問いに言外にそれ以外の事は黙っていると告げる。飽く迄今回見せた力についてなら、見せてしまった以上は話したところで問題はない。
まあ、四季の力については伏せておく部分は多いが。
「とは言え、現状だとオレ達にもアナザーリュウガに対抗する手段は無いんだよな」
「もう絶対にあんな無茶はやらないでよ」
「うん、あれはもうダメ」
「分かってる。流石に相打ち前提での作戦はもうやらない」
二人に泣きそうな目で睨まれればもう無茶は出来ない。そんな事を考えていると四季のビルドフォンにメールの着信がなる。
「っ!? これは……」
『ドラゴンナイト系ライダー確定チケット一枚配布』
そんなタイトルのメールに思わず黙り込み四季。そんな四季の様子を不思議に思ったのか、詩乃と雫もビルドフォンの画面を覗き込む。
「「ドラゴンナイト?」」
「設定を変えてリメイクされた海外版の仮面ライダー龍騎のタイトルだけど……」
変身システムは変わらない。いや、龍騎の並行世界の存在こそがドラゴンナイトだとすれば、それでアナザーリュウガに対抗できるのかと言う疑問はあるが、一応の希望は出来た。
「賭ける価値はあるな」
外れたところで可哀想だが、匙がはぐれ悪魔になるだけである。非常な選択だがこのチケットから出てきたものを見なかったことにして対抗手段なしとして。
主にインサイザー(シザース)とかセイレーン(ファム)とか。
最弱の蟹ではリュウガには勝てず、女装する羽目になるセイレーンは精神的に耐えられない上に詩乃や雫に正面からの戦闘を任せるには気がひけるし、ファムの死因はそもそもリュウガなので相手が悪すぎる。
「しかも、この場で引けるか」
態々家に帰らずにメールに添付された画像に触れるだけで引くことが出来る様子だ。
内心外れたら精神的に耐えられそうもないので、このまま見なかったことにしたい。
「引かないの、それ?」
「13分の1で最弱を引いた場合の絶望感と、オリジナルのリュウガが直接の死因になったライダーを引く可能性を考えると、ちょっと悩む」
「それは、確かに悩むわね」
使っても負ける可能性が高すぎるものがあると言われると流石に四季の態度も納得してしまう詩乃さんでした。
ラスやウイングナイト、ドラゴンナイトなら対抗も容易いだろうが、逆に弱い部類のライダーを引き当てたら勝ち目など無い。アナザーだがリュウガはリュウガなのだ。
「じゃあ、3人でやる?」
不安を感じていると、そんな意見を上げるのは雫だった。引かないで放置もあれなので彼女の意見を採用。メールに添付されているチケットを使うと書かれた画像に三人で触れる。
ビルドフォンから光の球体が現れメールに添付されていた画像が消える。ゆっくりとその光に触れると、四季の手の中にカードデッキが現れる。
その表面に書かれていたライダークラスタに思わず笑みを浮かべる。間違いなくアタリを引き当てることができた。
「オレ達が幸運なのか、それとも匙が幸運なのかは分からないけど、これなら行ける」
手にした力に笑みを浮かべる。対抗できるだけのカードを手にしたのなら勝ち目はある。
一人でわずかに及ばないのなら、三人でなら超えられる。
「リスクは悪魔側に目を付けられる。態々怪盗姿で正体を隠してた意味はなくなる」
「でも、それは今更じゃ無い?」
四季の言葉に既にソーナの眷属の二人を助けた時点で力の事は知られている。見捨てなかった時点で今更だ。
「正体を隠すのにも意味はあると思う」
「なら、怪盗と素顔。バトルスタイルは変えるのは丁度良いか」
続いて雫の言葉に四季は答える。
三人の考えは最初から決まっている。
ここまで関わった以上は、助けないなどという選択肢など、有り得ない!
頷きあうと三人でハイタッチを決める。
「行こう」
「ええ」
「うん」
「ああああああああああぁ!!!」
絶叫を上げて暴れ回るアナザーリュウガ。アナザーリュウガに変えた匙へとナイトローグが下した最優先の命令は一つ。眷属の仲間と主人を始末しろと言うもの。
最初は自分の意思に反して命令を実行しようとする体に抵抗していたものの、アナザーリュウガと言う力の濁流に匙と言う意識は時間と共に飲み込まれていく。
「さ、匙……」
「ガアァ!」
ソーナ達の警戒を嘲笑うようにミラーワールドの中を悠々と移動しながら再度襲撃してきたアナザーリュウガ。
今度は四季が気絶している内に詩乃からアナザーリュウガに変えられた匙が襲撃してくる危険性を伝えられていた事で動ける生徒会役員の眷属全員で揃っていたと言うのに成すすべなく全員が地に伏していた。
反射能力で自分達の攻撃は撃ち返される上に相手の戦闘力は高い。しかも、何者かに操られている自分達の仲間と言う悪条件が重なっているのだ。
全員がアナザーリュウガの攻撃で一方的にボロボロにされたわけでは無い、自分達の攻撃を撃ち返されて負った傷もある。
アナザーリュウガの能力に似た能力を持った神器を宿した眷属の女王で生徒会副会長の椿姫、彼女が一番傷が酷い。
「匙、目を覚まして下さい!」
「ガァア!」
ソーナからの説得の言葉も匙を支配しているアナザーリュウガの力には届かない。右腕のドラゴンを模した手甲から青い炎を撃ち出す。
心の中で匙の意思はやめろと絶叫するが、アナザーリュウガは止まらない。ドラグクローを模した手甲から撃ち出された青い炎がソーナと倒れた彼女の眷属を飲み込もうとするが、
「精霊の燃える盾よ、守護を!」
雫の声と共に現れた守護の壁が青い炎の余波を防ぐ。爆発音と共に上空を泳ぐ一匹の東洋龍の放つ炎がアナザーリュウガの炎を相殺させたのだ。
「間に合ったか」
ソーナ達に駆け寄る四季と詩乃と雫の三人。
「天地くん、朝田さん、北山さん、貴方達どうしてここに?」
「話は後。今は匙を止める事が先決だ」
そう言って取り出したのは先ほど手に入れたカードデッキ。それを翳すと腰にベルトが出現する。
「詩乃、雫。会長達のことは任せた」
「うん、任せて」
「そっちは任せたわよ」
「ああ」
雫がソーナ達の治癒をしているのでもう大丈夫だろう。後はするべきことは一つ。
「KAMEN RIDER!」
そう叫んでベルトへと黒いドラゴンのエンブレムの刻まれた黒いカードデッキを装填すると、四季の姿がアナザーリュウガと似た姿に変わる。
『仮面ライダーオニキス』
ドラゴンナイトに登場するリュウガを元にして誕生した十三人目の仮面ライダーであり、原典の龍騎では主人公の影として登場したリュウガとは対照的に、主人公が変身したドラゴンナイトの後継機とも言える存在だ。
方やダークライダーのリュウガを歪めた存在であるアナザーリュウガ。
方や別の世界でリュウガを元に誕生した本物の仮面ライダーとして生まれて仮面ライダーとして戦ったオニキス。
奇しくも仮面ライダーリュウガから派生して誕生したアナザーライダーと仮面ライダーが対峙した瞬間である。
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