『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』
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十二話目
『SWORD VENT』
カードデッキからカードを抜き出しブラックドラグバイザーへとカードを装填、ドラグセイバーを召喚する。
「はぁ!」
「ガァ!」
互いにドラグセイバーとドラグセイバーを模した剣を切り結ぶ。だが、力任せに振るうだけのアナザーリュウガの剣をオニキスは斬りはらい、そのまま斬撃を浴びせ、蹴り飛ばすことで距離を取る。
地面を転がり立ち上がるアナザーリュウガの横にリュウガのエンブレムの形をしたオニキスを写した鏡面が現れるが、反射する事なく砕け散る。
「反射されない?」
「今の四季の攻撃が強過ぎて反射できないのね」
反射能力が不発に終わった事に驚くソーナを他所に、詩乃は四季の狙いが当たっていたことに納得する。
これで能力による不利は無くなった。
「グゥ……」
不利を感じて逃げようと鏡面にむかって走るアナザーリュウガだが、逆に鏡面からはじき出される。
「グガァ!」
オニキスのアドベントビースト『ドラグブラッカー』が鏡面に陣取っている。
龍騎はミラーワールドで、ドラゴンナイトは異世界ベンタラで戦うのだが、そのどちらも鏡面を移動に利用している。
その二種のライダーの特性を利用し、ベンタラへのゲートに変えた鏡面からアナザーリュウガを逃さない為にドラグブラッカーを配置していた。
「逃走経路は潰した。後はお前を倒すだけだ」
「ガァア!」
その存在を歪められたアナザーリュウガを仮面ライダーとして人々をオニキスの力を持って倒す。元がダークライダーなだけに在り方はアナザーリュウガの方がリュウガに近いのだろうと思うと内心苦笑してしまう。
『STRIKE VENT』
オニキスの腕にブラックドラグクローが装着されるとアナザーリュウガもドラグブラッカーを模した片腕を向けてパンチモーションを取る。
「はぁ!」
「ガァ!」
ドラゴンの咆哮の様な音が二つ同時に重なり、同時に打ち出された炎が両者の中央でぶつかり合う。
「っ!?」
押し返されては居ないが、二つの炎が拮抗している為にオニキスもまた動けない。
「詩乃っ、頼んだ!」
「ええ」
オニキスの言葉に応えるのは詩乃。弓に矢を番えアナザーリュウガを狙う。
技の記憶の中から使うべき技を選択する。
「任せて、絶対に外さないから」
体内の気を鏃へと集め、矢を放つ。長距離を射抜く『通し矢』。
「ガァッ!?」
アナザーリュウガに直撃した矢によって一瞬だけ拮抗が崩れる。
アナザーリュウガの能力で鏡が出現し、詩乃の矢が反射される前に直撃するオニキスの炎によって砕け散る。
「オラっ!」
その隙を逃さずアナザーリュウガに肉薄するとブラックドラグクローを装着した腕でパンチを叩きつける。
「ガァッ!」
その攻撃でヨロヨロと後退させられたアナザーリュウガはオニキスを近付けさせまいと滅茶苦茶に剣を振りながらオニキスから離れようとする。
一瞬動きを止めて後退させられたらオニキスを他所にドラグブラッカーの頭を模した腕から何かが伸びる。
アナザーライダーに変えられた匙の持って居た神器の黒い龍脈がアナザーリュウガに変えられた事で変化したのだろう。
力に支配されて暴れている状況では細かい使い方はできなかったのだろうが、それでも大味な応用は出来る。
単純に遠くに巻きつけての逃走などの応用技は可能だという事だろう。
「悪いけど、逃さないわよ」
その狙いに気付いた詩乃が巻き付けた先にある枝を狙い撃つ。神器の側は壊さなくても、それ以外の物ならば壊す事は簡単に出来る。
黒い龍脈が巻き付いて居た先が無くなりそのまま地面に落ちるアナザーリュウガ。
立ち上がった瞬間に接近したオニキスの掌打が叩き付けられる。
「一人で互角でも、三人なら余裕で超えられる」
僅かにアナザーリュウガの動きが鈍った隙に上段蹴り、そのままブラックドラグクローを装着した腕でのパンチを叩き込む。
オニキスの連続攻撃で動きが鈍っていくアナザーリュウガは殴り飛ばされた衝撃で距離を取ると、ヨロヨロとした様子で立ち上がるとドラグブラッカーを模した腕を振り上げ、振り上げた腕から吐き出した黒炎を全身に纏う。
「っ!? まさか其れ迄使えるのか」
だが考えてみれば、原典のアナザーゴーストはディケイドゴーストと共にゲイツゴーストアーマーに対してダブルライダーキックを使っているのだから、他のアナザーライダーがオリジナルの仮面ライダーの必殺技に対応する技を持って居ないわけがない。
「だったら、迎え撃つまでだ!」
『FINAL VENT』
アナザーリュウガに応じるようにブラックドラグバイザーに新たにカードを装填する。
オニキスの背後に現れるドラグブラッカーを背に中国拳法のようなポーズをとり、そのままドラグブラッカーと共に上空に舞い上がり、一回転しながら飛び蹴りの体制を取る。
同時に黒煙に包まれたアナザーリュウガの体がゆっくりと浮かび上がり上空で飛び蹴りの体制を取る。
「ドラゴン、ライダーキック!」
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァア!」
オニキスはドラグブラッガーが吐き出した黒炎を纏いながら、アナザーリュウガは己の吐き出した黒炎を纏いながら二人のキックがぶつかり合う。
「ガッ! ガァア!」
黒炎を纏いながら二つの必殺技を撃ち合った結果、拮抗する事もなく押し勝ったのはオニキスの方だった。
ドラゴンライダーキックがアナザーリュウガを打ち抜き爆散する中オニキスは地面へと着地する。
それに遅れて気絶した匙とアナザーリュウガウォッチが地面に落ちる。
「匙!」
慌てて匙に駆け寄るソーナ。アナザーリュウガに変えられる前にナイトローグに暴行を受けた傷や先ほどのオニキスとの戦いでボロボロになっているが命に別状はない。
「雫、匙の治療を」
「うん、分かった」
ベルトからカードデッキを外しながら雫に匙の治療を頼むと、それに答えて匙に駆け寄って治療の術をかける。
「ありがとうございます!」
ボロボロになって居た匙の体は治療の術を受けた影響で表面的な傷は無くなっていく。
「うん、骨折とかが無くて良かった」
骨折した状態では今彼女の使える術では正しく嵌めた後ではないと歪な形に固定されてしまう恐れがある為だ。
また使えない最上位の術ならば文字通りの完全回復をさせることの出来る奇跡に近い物であるのでその心配もないのだが。
匙だけで無く他の眷属も治癒してくれた雫に何度も感謝しているソーナを他所に四季はアナザーリュウガのライドウォッチへと視線を向ける。
「どうしたの?」
そんな四季の姿を怪訝に思った詩乃が問いかけてくる。
「いや、アナザーリュウガのウォッチが」
『完全に破壊されて居ない』と言葉を続ける四季の視線の先には、罅こそ入っているが砕ける様子もなく転がっているアナザーリュウガのウォッチが有った。
「っ!?」
念の為に回収しようとそれに触れた瞬間、アナザーリュウガのウォッチは輝きと共に砕け散る。
『龍騎!』
『リュウガ!』
アナザーライドウォッチが砕けた後には先ほどまでの怪物然とした姿では無く、騎士甲冑を思わせる赤い仮面ライダーの顔の描かれたライドウォッチとオニキスによく似た仮面ライダーの顔の描かれた二つのウォッチが落ちて居た。
その二つのウォッチは龍騎ウォッチとリュウガウォッチだ。
アナザーライダーの物では無く、正式なライドウォッチの方である。
その二つを手に取った瞬間、黒い影が四季を襲う。
「っ!?」
「四季!」
突き飛ばされた自分を支えてくれた詩乃に感謝しつつ襲いかかって来た影へと視線を向ける。
「ナイトローグ!」
「ふう、奪えたのはリュウガウォッチの方だけでしたか」
影の正体ナイトローグを睨みつけながらその名を叫ぶ四季を他所にナイトローグは手にしたリュウガウォッチを眺めながらそう呟く。
「まあ良いでしょう。暫く龍騎ウォッチは貴方に預けておきましょう」
手の中にあるリュウガウォッチに触れるとウォッチの形が変形して『2002』の数字とリュウガのクラストが現れる。
それを確認すると四季へとその言葉を残して背中から羽を広げ、ナイトローグは飛び去っていく。
「あいつ、ライドウォッチが目的だったのか?」
四季の手の中にあるのは龍騎のライドウォッチとオニキスのカードデッキの二つ。
敵の狙いは二つのライドウォッチだった、そう考えるとそれ以外に選択肢はなかったとはいえ敵の思惑通りに動いてしまった感がある。
例えようのない不安を感じてしまうが、それでも何とかなったことは素直に喜ぶべきだろう。
「この度は本当にありがとうございました」
念の為にと匙を含めた眷属が病院に運ばれた後、ソーナは改めて四季たちへと感謝の言葉を述べる。
「別に気にしなくても良い。今回は偶々オレの手元に解決させる手段があっただけだ」
「いえ、それでも私たちが助けられたのは事実です。それと、申し訳ないのですが」
ナイトローグやアナザーリュウガの危険性を考えて姉に報告する為、後日四季たちの持っているナイトローグの事について教えてもらいたいと言ってソーナは立ち去っていった。
生徒会役員の眷属全員が入院する羽目になったのだから暫くは大変だろう。
こうして、多くの謎を残しながらも、ナイトローグとの初遭遇になった一件は、新たにオニキスの力を手に入れ、敵が残した龍騎ウォッチを入手した結果でアナザーリュウガの事件は解決したのだった。
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