『転生特典はガチャ~最高で最強のチームを作る~』
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十話目
グレモリーの婚約騒動に合わせて起こったナイトローグとナイトローグの生み出したアナザーリュウガと言う、本来ならば存在しない上にあり得ない組み合わせと出会った夜が終わった。
「厄介だな」
現状を考え、手持ちのフルボトルを一つ一つ手に取りながらそう呟いてしまう四季。
残念ながら龍騎フォームになれるフルボトルは手元には無い。オレンジやライダーカード、モモタロスのフルボトルは有ってもだ。
ナイトローグは特殊なベストマッチ、レジェンドミックスと呼ばれるベストマッチを警戒していたが、事実上四季にはアナザーリュウガ を倒す術は無い。
「あとは、これか?」
次に考えた方法はダイヤルファイターだ。
原典のダイヤルファイターはギャングラーからルパンコレクションを盗む為に使っていたことから、その力の応用でアナザーリュウガのウォッチを取り出せないかと考えた。
全く異質な力なので不可能と断じる事が出来ないだけで可能性があるかは分からない。
「つまり、完全にお手上げってわけね?」
「そうなる」
ナデシコC内の会議室のテーブルの上に広げられたフルボトルを眺めながら詩乃の言葉にそう返す。
そもそも、アナザーライダーを倒せるのは同じ力を持った仮面ライダーだけ。
例外なのがジオウⅡやゲイツリバイブ、ジオウトリニティなどの一部のライダーだけだ。それに、ジオウやゲイツはライドウォッチの力を借りれば倒せるのだから、ライドウォッチを手に入れさえすれば良いと言える。
だが、四季が変身できるライダーはビルドのみ。レジェンドミックスが出来ない以上対抗手段など無いに等しい。
だが、何も収穫がなかった訳ではない。
「ナイトローグもオレの手の内を完全に把握している訳じゃないという事か」
奴は四季にアナザーリュウガに対する対抗策が完全にない事を知らず、ビルドのレジェンドのミックスの事を把握して居た。
そもそも、レジェンドミックスはまだ一度も使って居なかった筈なのに、だ。
其れだけならば完全に手の内を把握されていることになるが、同時に手札には存在しないレジェンドミックスを警戒して居たと言う事実。
「どっちにしても、アナザーリュウガを倒すための手札がないのが厄介だな」
考えるまでもなく、ビルドでアナザーライダーを倒す為の唯一の可能性はレジェンドミックスだけで、其れがない以上は完全に倒すことは出来ない。
ならば、後はダメージを与えて強制的に変身解除させてアナザーライドウォッチを排出させるしか手はない。
そして、再起動される前に回収してしまうだけだ。
「と言うわけで、アナザーリュウガの対処は基本、叩きのめしてライドウォッチの回収で」
「ええ」
「うん」
四季の言葉に賛同する詩乃と雫の2人。2人にはアナザーライダーに対する知識が無いので四季の判断に対する意見はない。
「っと、念の為にあいつの主人に会ったらこれを渡しておいてやるか」
匙がアナザーリュウガに変えられる瞬間の映像を見せれば有る程度納得してくれるだろうと考える。
まあ、敵の狙いは分からないので飽くまで、会ったら、だ。態々自分達から会いに行く理由はない。
「それじゃあ、今回は手分けしてアナザーリュウガ、若しくはナイトローグ探しだ。どちらかを見つけたらオレに連絡をくれ」
メインの戦力はビルドで有る自分と割り切って詩乃と雫の2人と、自分1人という組み合わせになる。
流石に昼間から怪盗服では目立つので私服での行動だが。
「お兄さんと2人きりでも良かったのに、残念」
「いや、遊びに行くんじゃないから」
雫の言葉にそう返す四季。
「デートという雰囲気じゃないけど、2人きりが良かったって言うのは私も同意見よ」
「一応、戦力的に考えた訳だから」
単独で戦えるビルドで有る自分が1人での行動を選んだのだ、他意はない。
詩乃と雫の2人と別れて家を出ると最初に学園へと足を向ける。
相手は態々匙を狙ったのだ。単にドラグブラッカーとヴリトラ、黒いドラゴン繋がりで選んだのでなければ、生徒会に属するソーナ達が狙いと考えるのが合理的だと判断したのだ。
ナイトローグはシトリー眷属が狙いだから匙を狙い、彼を彼に見合ったアナザーライダーであるアナザーリュウガに変えた。
そう推理していた。
そんな訳で先ずは生徒会の様子を見に行こうと誰かが居るであろう可能性の高い学園に足を運んだのだが、全員が出払っている様子で見事に無駄足を踏んでしまった。
「こっちは無駄足だったみたいだな」
恐らく行方不明になった匙や、彼から連絡のあったはぐれ悪魔探し(実際はいないが)に出ているのだろう。
(アナザーリュウガの能力を考えると各個撃破のチャンスだな)
ミラーワールドの移動を自在に行えるアナザーリュウガはアナザーライダーであると同時に新種のミラーモンスターと言ったところだろう。
自我の有無は分からないが、ナイトローグのコントロール下に有ると考えれば、鏡面から自在に襲撃可能の能力と相まって、現状ではバラバラに動いているであろうシトリー眷属を各個撃破するのには最適なアナザーライダーだ。
逆に考えれば生徒会のメンバーを探せばアナザーリュウガもそこに現れるだろうが、別行動中の自分達よりも多いのだから、全員はフォローしきれない。
『ここに現れたと言うことは、流石に私達の狙いの推測は出来ていたと言う事ですか?』
「っ!?」
「先日振りですね、天地四季さん」
何処からか聞こえる声。その声に反応して其方を振り向くと、そこにはナイトローグの姿があった。
「ナイトローグ!?」
素早く引き抜いたVSチェンジャーをナイトローグへと向ける。
「残念ながら、私には君と戦う意思は有りませんよ」
「どう言う意味だ?」
「言葉どおりですよ」
戦う意思が無いと言われて『はい、そうですか』などと納得出来る相手では無い。
「今回の狙いは消し易いソーナ・シトリーとその眷属達とでも言っておけば安心していただけますか?」
何一つ安心できない。そんな言葉を呑み込んで四季はVSチェンジャーを突き付けながらナイトローグを無言で睨みつける。
「下手に赤龍帝を覚醒させても面倒ですからね。迂闊に刺激して亜種になられるよりも正当に禁手してくれた直後に手を出した方が始末した方が、寧ろ始末し易いんですよ」
「何で態々そんな事を教えてくれるんだ?」
「君に信用してもらうためですね。私の目的は悪魔でリアス・グレモリーと赤龍帝とソーナ・シトリー、及びその眷属達。人間側で有る君達と敵対する意思は無いと」
そう言って優雅とも言える仕草で一礼してみせるナイトローグ。
「ですが、君達が今回の様に私達の手駒と戦って怪我をするのは、其方の責任ですよ」
「そうかよ」
引き金から手を離してVSチェンジャーを下ろすとナイトローグの姿が消える。
敵対の意思は無いと言う為だけに現れたのかは疑問だが、今学園にはリアス・グレモリーのもう1人の僧侶がいたはずだ。
狙いは其方かとも思ったが学園に戦闘があった様子はない。……時間停止能力があるとは言え、ナイトローグなら簡単に始末できるだろうが、流石に旧校舎にくらい戦闘痕が残っていても良いだろう。
其方の様子も確認するべきかと考えていると、ビルドフォンの着信音が鳴る。
「詩乃か?」
『ううん、私』
ディスプレイの番号から詩乃かと思ったが、聞こえてきたのは雫の声。
『そんな事より、今こっちに』
「アナザーライダーか?」
『うん。生徒会の人達が襲われてたから助けたんだけど……』
「意識は?」
『ある』
その言葉で察した。アナザーリュウガに襲われているところを見つけて、とっさに助けに入ったが、意識があるので変身できないのだと。目の前で変身したら認識阻害効果も意味はない。
「場所は?」
雫から場所を聞くとそのまま全身を強化。ライオンフルボトルを取り出そうとするが、バイクを使うよりも気によって強化した上で最短ルートを言った方が早いと判断する。
塀から屋根、屋根から電柱へと飛び移ると電柱の上を飛び移って一直線に伝えられた場所へと急ぐ。
(どうしろってのよ!?)
思わずそう思ってしまう詩乃。はっきり言って、アナザーリュウガの能力は相打ち覚悟の上で戦うしかない厄介なものがある。
仮面ライダー龍騎、仮面ライダーリュウガ共有のドラグクローを模したであろうドラゴン状の腕とドラグセイバーを模したであろう剣状の腕による攻撃はまだ良い。
元々の変身者が変身して己の意思で扱っていたアナザーライダーという、龍騎系ライダー三強の一角という実力は変身者が違うために考慮する必要はない。
だが、アナザーリュウガとしての能力である攻撃の反射だけは厄介なのだ。
劇中でも圧倒的なスペックの高さによる理由でジオウⅡの攻撃は跳ね返せなかったが、それ以外の攻撃は全て反射していた。ゲイツが相打ちを覚悟して倒すと言う選択を選ぶほどに危険な相手だ。
そのために2人は四季から見つけたら牽制に留めて絶対に攻撃を当てるなとも言われていた。
少なくとも生身で反射を受けるのは当たりどころが悪ければ命に関わる。
ルパンレンジャーへの変身は雫が治療している生徒会メンバーでソーナの眷属の2人、戦車である『由良翼紗』と騎士の『巡巴柄』の二人が大怪我を負ったものの意識がある為に出来ない。
その為、攻撃能力のある詩乃は攻撃を当てる訳には行かないのだ。
「このっ」
牽制のためとはいえ当てられない攻撃で確実にアナザーリュウガの動きを止めているのは与えられた技だけでなく、彼女自身の射撃の技術によるものだろう。
だが、攻撃を当てずに相手の動きを止めるなどと言う芸当を長時間繰り返しているのだ、何れ綻びは出る。
だが、
「詩乃っ! 雫っ!」
真上から四季の声が響くと、アナザーリュウガの頭に四季の掌打が叩きつけられる。
それによって一瞬頭部への打撃によるダメージからアナザーリュウガの動きが止まり、その隙に四季は詩乃とアナザーリュウガの間に立つ。
次の瞬間、龍の顔を象った紋章らしきものが現れ、そこに映った四季の鏡像が先ほどの本人と同じ動きで四季へと襲い掛かる。
「ぐっ!」
能力を知っている以上予想はしていたので、それを防御する事には成功した。
鏡像での反射が避けれないのなら身体能力の強化による防御、それならばうまく防げるかと考え攻撃が直撃した後から行なっていたのだ。
「うまく行ったな」
「風よ、お願い」
同時に雫の声が響くと痛みが消えていく。回復能力のある雫の存在を考えれば反射能力も回復でダメージをゼロにすれば良いと考えたのだが、うまく行った様子だ。
(そう何度も試したく無い手だけどな)
流石にアナザーリュウガの防御力を上回るダメージを与えられ無い代わりに選んだ苦肉の策だが対処療法的な手段で、ライダーキックも跳ね返してくる原典の基礎スペックを考えると根本的な解決にすらなっていない。
「四季、大丈夫なの?」
「取り敢えず、何度も試したく無いけど、一応は大丈夫」
下手したら自分の攻撃が雫の回復力を上回ってもアウトな上に、そんな攻撃では絶対にアナザーリュウガの防御力は上回れ無い。
「詩乃、お前はそのまま倒れてる二人と雫を守っててくれ」
「それは良いけど、何をする気なの?」
「かなり危険な賭け」
そう伝えると地面を踏み砕くほどの震脚でアナザーリュウガに接近し、
「破ぁ!」
掌打の乱撃をアナザーリュウガへと浴びせる。少なくとも、それが変身でき無いのだと現状では四季の使える最強の徒手空拳技《陽》の技。
アナザーリュウガの体勢が崩れた瞬間、気を最大限まで高めた一撃を放つ、
「八雲っ!」
八重の雲のごとく神速の乱撃を浴びせ最大の一撃でトドメを刺す技、八雲。
だが、直ぐにアナザーリュウガの真横に鏡像が現れ四季へと襲いかかる。
「っ!」
技の直後で無防備なところに鏡像の己が襲いかかる。先程のアナザーリュウガと同様に神速の掌打の嵐が四季へと襲いかかる。
「お兄さんっ! 守護を!」
敢えて自分の技に吹き飛ばされ様とするが鏡像も同じように付いてくる。だが、最後の一撃が当たる前に雫の防御技が間に合った。
「がはぁっ!」
だが、それでもダメージは大きい。吹き飛ばされて近くにあった木に叩き付けられる。
意識が飛びそうな痛みに、流石は自分の現時点の最高の技だと思ってしまう。
「がぁ、がぁ……か、会長……」
相手の動きを警戒していると、一瞬だけアナザーリュウガの姿が匙の物に変わり、そのまま近くにあった鏡面からミラーワールドへと退散していく。
「なんとか、助かった、な」
そのアナザーリュウガの姿を見て気が緩んだのがいけなかったのか、そのまま意識を失ってしまう。
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