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ユキアンのネタ倉庫

作者:ユキアン
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なんか異世界に勇者として召喚されたけどこのメンバーなら余裕

 
前書き
魔が差したんです。
呼ばれた奴らは物語終了後ばかりです。 

 

いつもの召喚とは違うな。転移して周りにいる奴らの力を感じて断定する。おっちゃんより強い奴ばっかじゃねえかよ。特に銀髪の奴と、目が死んでる匙らしき奴が群を抜いてヤバイ。和服の金髪とイッセーらしき奴とバンダナの男も勘がヤバイと知らせてくる。紅髪のスーツの男はおっちゃんと似た空気を感じる。紅髪の白衣は力が読み取れない。暗殺者とかの方面だろう。非戦闘員ではないな。何より、全員が警戒態勢ってことが面倒な事になっているのを教えてくれている。

えっ、おっちゃん、やっと隠居できたのにまた調整役やらないといけないの?田舎でスローライフを送りたいのに。

「あ、あの〜」

この場に似つかわしくない声が聞こえ、全員が周りの奴らを警戒しながらも声が聞こえた方に腕を構えて魔力を集中させる。無論、おっちゃんも符を構え、変身音角に手を伸ばす。さりげなく銀髪の男の斜め後ろに移動する。いざという時の盾に使ってやる。

「あ、貴方様方が勇者様でしょうか?」

おっちゃん、嫌な予感がしてきた。これ、昔流行った異世界召喚物だ。ただし、複数の世界から、しかも平行世界から喚ばれてる気がする。他にも感づいたやつが、和服の金髪とイッセーらしき奴と紅髪スーツか。声からして姫様とかそんなのだろうが、先に召喚されたメンバーの意思を確認しないとまずい気がする。

「あ〜、すまんがこの場はおっちゃんがまとめてもいいかな?なんとなくだが現状は察せているし、交渉事を生業に生きてきてるんでね」

召喚されたメンバーは任せてくれるのか一歩下がる。

「ありがとう。とりあえず、顔見知りはいないな?たぶん知っているやつが居るとは思うが、他人だろうからな。だからお互いは名前だけで呼ぼう。交友関係が絶対被ったりしてる。中には同じ相手と恋仲だったりな」

特におっちゃんが危険だ。襲われまくってるからな。弱い自分が恨めしい。盛られ、殴られ、襲われて、内緒にされたりして子供の正確な人数が分からんからな。確定だけで8人だぞ。怪しいのが10人ぐらい居るんだぞ。断言してやる。絶対に被ってると。

「この時点でわかると思うが全員が平行世界から呼び出されてる。だから元の世界のことは話さない。これだけは守らないと殺し合いになる。家名は一切出さないし、気付いてもスルーし合う。それが一番良いはずだ。てなわけで自己紹介、おっちゃんは詩樹だ。組織間の調整役を担っていた。どっちかと言えば後衛よりで、大して強くはない器用貧乏だ」

おっちゃんの次に進み出たのはバンダナの男と和服の金髪と銀コートだ。

「ジンだ。守役兼使い魔をやっていた。どちらかと言えば前衛、レンジャー職といえばいいかな?単純な力は弱い方だと思うが、経験は豊富だ」

「十束だ。京都守護職でどちらかと言えば後衛。龍脈を扱えるなら強い方だと思う」

「衛だ。学院の教師をやっていた。教科は護身体術、実戦体術、サバイバル術だ。前衛で防御力なら負けるつもりはない」

その次に紅髪スーツと銀髪と紅髪白衣が口を開く。

「リアンだ。防諜関係についていた。どちらかと言えば後衛。デバフなら任せろ」

「ゼオンだ。色々とやっているが、公式的には最上級というだけだ。どちらかと言えば前衛。大抵のことは出来る」

「ジャックです。外科医をやっています。戦えないこともないですが、期待はしないで下さい。多少の調薬も出来ます」

最後にイッセーらしき奴と匙らしき奴が口を開く。

「一誠だ。掃除屋、グリゴリ所属のイレイザーをやっていた。たぶん、分かっていると思うけど赤龍帝で前衛。色々と倍加出来るものが多い。応用力の化物と言われてる」

「九十九。公式には隠居した身だ。何でも出来るし、やってきた。ただ、今は惰性で生きている。この中で確実に一番年上になる。同年代は軒並み寿命や病気で逝ってる」

わお、意外と一誠と匙、九十九がやばかった。なんというか、二人共おっちゃんの知ってる奴らとは全くの別人だ。

「目的は元の世界に戻ること。これに異論はあるか?」

全員が否定する。話が早くてよかったよ。

「さて、とりあえずこっちの意思疎通は終了した。それで、お嬢さんがオレ達を呼び出したので間違いないな?」

最初に話しかけて以降、邪魔にならないように隅の方にいた貴人であるのが丸わかりな少女に話しかける。ぶっちゃけ悪魔ですと名乗りたいが、それは伏せ札として使う。嫌な予感がビンビンだぜ。逃げたいけど、これもお仕事だからな。

「はい。初代様から受け継がれている召喚法を用いらせていただきました。初代様はこの召喚法を用いて、異界より勇者様をお呼びして世界を救っていただいたのだと。その後、勇者様は異界へお帰りになる前にこちらを残していかれました。再び、異界より勇者を呼び出したならばこれを見せるようにと」

差し出された本は、そこそこの厚さがあるようだが、様々な言語で書かれているだけで内容は同じだった。要約するとこんな感じ。

『本名だと誤解を受ける可能性もあるためプロフェッサーと名乗っておく。私の契約の紋章と同じ魔法陣を用いられたためにこの異世界、リィンバウムへと召喚された悪魔の一人だ。世界の各地で暴れている魔族とか呼ばれる亜人共を蹴散らし、魔王をボコって降伏させ、召喚主に斬り捨てられそうになったから逆に世界中に恥を晒させ魔王として処分した。後の歴史書にどんな形で残っているか分からないがこれが事実だ。

その後、召喚魔法から逆算して元の世界への帰還魔法もちゃんと開発し、残してある。詳細は説明の後だ。なんとか使えることを祈っている。

また、召喚の魔法陣にも手を加えており、現状に即した者が呼び出されているはずだ。複数人居るのなら、それだけの戦力がいる相手がいるか、複数箇所での活動が必要かだ。それだけの危機に陥っていると思ってくれていい。

そして、これは出来ればでいい。ただのお願いであるし、報酬も出せないが、召喚主の、アレサリウム王家の願いを叶えてやってほしい。アレサリウム王家だけが真摯にオレのことを思ってくれた。時が経ち、腐敗しているかもしれない。もしもオレのことを思ってくれたアレサリウム王家のままなら、助けてやってほしい。

それと、この本もこのままにしていて置いて欲しい。帰還魔法は他の世界からの者にも対応させやすいように作ってある。多言語化もそのためだ。あとはこれを読む君達に任せる』

内容を他のメンバーに伝えてどうするかを確認すると、悪魔の契約に基づいて報酬がもらえるなら構わないと返される。ああ、分かった。おっちゃん達の共通点、お人好しだ。誰も帰還の魔法陣を見せろと言わずに構わないなんて答えるんだからな。だから、彼女にこう答えよう。

「最初の質問に答えよう。おっちゃん達は勇者なんかじゃないが、報酬を代価にどんな願いでも叶えてみせよう。それがおっちゃん達だ。今なら歳末セールでお安くしとくよ」








召喚された古い遺跡から外へと出ると、召喚主、アレサリウム王家の最後の生き残り、アルメリア・ダーシュタイン・アレサリウム王女の護衛と思わしき騎士達が無残な姿で倒れており、その現況を作り出したと思われる魔族がひのふのみのよのいつか。

「そんなに強い感じはしないな。誰が行くよ?ジャック以外で」

魔族もアルメリアも気付いていないが、ジャックは息のある騎士達の治療に移っている。見事な隠密術だな。オレ達は気付いているがな。

「言い出しっぺの法則で詩樹で確定だな」

「いやいや十束さんや、おっちゃっん、アラフィフで転生したから見た目のまんまなんよ。もうね、最近字を読むのが辛いし、簡単に腰はいわせるわ、筋肉痛は遅れてやってくるわ、ガタガタなのよ」

「仕方ありませんね、オレも手伝いましょう。右2つは貰います」

リアンが腰に差していた剣を抜くが、ありゃ数打ちの代物だな。だが、構えは正統派だな。おっちゃんも変身音角を鳴刀・音叉剣に変化させて構え、リアンと同時に踏み込む。うむ、若いっていいな。おっちゃんが一人斬り捨ててもう一人に切りかかりながら最後の一人に符が張り付いた頃には二人共斬り捨てていた。

「やっぱり若いもんには勝てないわ。20代で転生したかったわ。はぁ〜やだやだ」

「いえ、詩樹殿もまだまだ行けますでしょう?どうも、我々内でも技術差があるようですし。その剣とか」

「あれ、音叉剣がないの?と言うか、おっちゃんもリアンの肉体強化を知らないんだけど」

「あ〜、やっぱりか。これ、一度公開出来る技術は公開しあった方が良い気もしてきましたね。ジャックの治癒術も知らないですし」

「僕のこれは僕しか使えませんよ。こう、魂に染み付いた技法とでも言えば良いんですかね?はい、とりあえず三人は助かりました。残りの二人は残念ですが」

「解析ならおっちゃんに任せとけ。これでも術の知識だけは詰め込んでるからな」

「オレも解析は得意さ。仙術、占術、呪術、魔術、精霊術なんでもござれだ。さすがに頭が吹き飛んでるのを治療されると死者蘇生になるから」

意外だが十束もおっちゃんと同じく術式に詳しいようだ。力技でどうでもなりそうな位の力が感じるのに、おっちゃんみたいにそこそことやってきた雰囲気を感じるな。

「レベルにして200位かな。他のは120位」

「基準がわからないんだけど」

「リアンが大体2800で詩樹が2200位?一誠は今の状態で1800って所かな?オレは最近鈍ってるから4000位」

ジンと一誠が魔族の死体を突きながら分析してるけど、まあそれ位が妥当かな。ステータスは術式で上げるけど。

「中世にしてはまともな方か。混ざり物が少ないな」

「合金に関しては技術が発達していないのか?物は良いから追い詰められても職人は生き延びているのだろうな」

九十九と衛は騎士の装備を調べている。おっちゃんそっちには詳しくないから助かるわ。

「さて、とりあえずは王都を目指すのが一番か。どうやって此処まで来たの?」

「馬で半日ほどです。途中に立ち寄れる場所はありません」

「そこまで患者が持たないね。血を流しすぎてるから出来るだけ早く休ませてあげたいんだよ」

「どうすっかねぇ、抱えて飛ぶか、距離を計算して転移でいくか、一番足の早い奴が確認して転移するか」

「えっと、当たり前のように空を飛ぶとおっしゃっていますが、普通のなのでしょうか?」

「飛べない奴」

ジャックと衛が意識の無い騎士たちの手を挙げさせるだけで他は誰も上げない。

「そんなに速くは飛べない奴」

ジャックと衛、それにオレが手を挙げる。

「走った方が速い奴」

ジンとゼオンと十束と衛が手を挙げる。

「まあそういうわけだな。空を飛ぶのと転移で行くの、どっちが良い?」

「騎士たちの負担を考えると転移の方が良いですね」

「医者がそう言うならそっちしかないな」

「向こうの方角に50km程だな」

「影を繋げた。何時でも飛べるぞ」

「禁手化、お先に失礼」

「話が速くておっちゃん助かるわ。元の世界だとほとんど一人でやってたから」

十束が距離を割り出し、九十九が影を使った転移術式を起動し、安全の確保に一誠が影に飛び込む。ジンとジャックとリアンが無事な騎士を担ぎ、ゼオンがマントを広げて亡くなった騎士を包み込むってあのマント何処まで広がるんだよ。そして次々と影に飛び込んでいく。姫さんはおっかなびっくり影に足を入れようとしては躊躇って引いてしまっている。面倒なので背中を押して突き落とす。

おっちゃん、いつもはやられる側だったけど、やってみて分かる。何が面白いんだこれ?いや、やられるよりは良いよ。拘束されてお持ち帰りされちゃうよりはましだ。おっちゃんをお持ち帰りして何が楽しいんだか。もっと若い子をお持ち帰りするか、お持ち帰りされなさいよ。匙君、木場君ファイト。おっちゃんの代わりに生贄になってよ。最近、二人の仲が怪しいって噂を払拭しようよ。












詩樹
自分の娘と言っても過言ではない年齢の娘たちに骨の髄までしゃぶり尽くされている。薬を盛られるのはデフォ。
関係を持った人数が自分でも分かっていない戸籍上は独身のおっちゃん。組織間の調整が本職。下が育ったためようやく隠居出来たが、肉食獣から逃げる生活中に召喚される。
能力的には一流の端っこの方だが、とにかく手札が多い。後衛と言いつつ、戦鬼になるための修行は怠ってはいない。ただ、老いによる肉体の弱体に苦しんでいる。



ジン
ようやくお嬢が嫁に行くことが決まり、身辺整理を行っている際に召喚される。プリニーとジンの姿をコロコロ変えながらレベル上げに勤しんでいたが、最近は平和で怠け気味。たまに他の次元の魔王と(相手の魔王の血で)お茶会をやっている。定期的にとある次元の猫娘魔王と黒猫娘に性的に襲われている。



十束
母の跡を継ぎ、組を拡大させている。双子の娘と息子に寂しい思いをさせないように頑張っている。妻とは今でも新婚気分。露骨に周りが逃げ出すのがいつもの風景。妻が子供たちを連れて里帰りしている際に召喚される。地脈を利用している者が他にいないため、やりたい放題できるが、前世の癖で他の召喚者のスキルや技術の収集に集中する。




学園の教師として活躍中。恋愛に大してヘタレな所為で未だに告白出来ていない。相手もヘタレなためにズルズルと関係が引き伸ばしになっている。キャプテンの後継者を探す旅の最中に召喚される。学生時代からの大戦でいくつかの核鉄を破壊されているが、肉体は更に強靭となっているために応用力が下がっただけで戦力としては上がっている。



リアン
妻の影となりて悪を切り続ける。以前の政府よりは風通しが良くなり、妻も動きやすい形となっている。最近は落ち着いてきたのでそろそろ子供が欲しいとも思っている。ついでに眷属の一人からせっつかれている。書類上は故人。その方が動きやすいから。たまに書類上蘇生している。趣味は相変わらずで、黄色い潜水艦のロゴの店の帰りに召喚される。なお、ハードクッキーと泥水は相変わらず不評である。



ゼオン
トラウマを克服し、妻達と共に病気療養を理由に表舞台から姿を消している。一度に子供が産まれたが、周囲の助けもあり問題なく育っている。家族を守るためなら自ら原因を取り除きに動き、妻達が止めている隙に周囲の者達が解決をはかる。精神面が改善され、現役時代よりも動きのキレが良いと親友から評価を受けている。屋台の食材を購入した帰りに召喚される。



ジャック
無論、偽名である。『先生』と『私達』から残された全てを大切にするために家から出る。追手との追いかけっこを続けながら流れの外科医として生活している。たまに母に顔を見せに帰るがすぐに逃げ出す。母も最近は諦めたのか黒猫を側に置いておくのと、たまに顔を見せに来たら少しはゆっくりするようにと条件を付けて好きにさせている。戦闘力としては召喚者の中で最弱。真正面から戦えば魔族の幹部に手こずる。ただ、真正面から戦わなければ良いだけの話でもある。姉の出産祝いのために実家に戻る最中に召喚される。黒猫は置いて行かれた。




一誠
グリゴリのイレイザーとしてたまにデカく稼げるため、早々にちょっとした田舎に引っ込んで妻と一緒にスローライフ。転移が使えると田舎って逆に楽に暮らせると豪語。たまにレーティングゲームの監督として引っ張られる。悪魔には恐怖の代名詞で知られ、現在はお互いに不干渉で落ち着いている。未だに覇龍を扱えないが、覇龍を扱える片割れを素で叩きのめすために必要とすら感じていない。野良仕事の準備中に召喚される。



九十九
おなじみの黒蛇龍帝。妻が全員亡くなり、隠居の身。たまに親族と無限龍が顔を出す程度。妻たちとの思い出に浸っていた所を召喚される。

 
 

 
後書き
魔族の敗北は確定した。
誰か一人だけでも敗北はほぼ確定していた。

と言うわけで、今までHSDDのネタ倉庫の方で暴れていた方たちが召喚された、「もう止めてあげてー!!」と言いたくなるような物語。

続くかどうかは知らない。 
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