モヒカン族の最期!?
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第四章
「その後でイギリスに傭兵に雇われてカナダに行ってたんだよ」
「そうだったんだな」
「元々アメリカ東部に住んでいてな」
即ち建国時のアメリカ領の中にだ、アメリカはそこから西に西にと進み現在に至ったのだ。
「カナダに行っててな」
「今はか」
「ああ、戻って来たってことになるな」
かつて暮らしていた東部にというのだ。
「どうやらな」
「そうなんだな」
「そうだ、それで貿易センタービルについてもだよ」
「そこまで関わっているんだな」
「そうだったんだよ、それで今もな」
あのテロからかなり経ったがというのだ。
「ニューヨークで働いているぜ」
「高い場所とかでか」
「そうだぜ」
「わかった、俺ニューヨークにいるからな」
まさにその街にというだ、テロが起こりモヒカン族が暮らして働いているその街においてだ。
「調べてみるな」
「頑張れよ」
相手は最後は明るく言ってきた、そしてこのやり取りの後でだ。
ルースは実際にニューヨークのモヒカン族について調べた、何といっても彼等が関わった貿易センタービルのことからだ。
聞いていくとだ、すぐにわかった。テロについて調べている学者から話を聞くとその学者が教えてくれたのだ。
「私の知人でいるよ」
「モヒカン族の人がですか」
「あの時に作業にあたったね」
撤去と救助にだ。
「その人を知っているよ」
「そうなんですか」
「あの事件について調べていてね」
調べている学者としてだ。
「そこで撤去や救助に携わった人達からも話を聞いて回っていてね」
「その時に会ってですか」
「知り合いになったんだよ」
「それでその人は今どうしていますか?」
「今もニューヨークにいてね」
住んでいる場所は変わらないというのだ。
「ビルの窓拭きをしているよ」
「ビルの」
「そう、高い場所をね」
「それをされているんですか」
「あれで給料はいいみたいでね」
危険な仕事だからだろうかとだ、ルースは話を聞いて思った。
「それで今も頑張っているよ、そしてだね」
「はい、出来れば」
「よし、私から彼に連絡を取ってね」
そうしてとだ、学者はルースに笑顔で言ってきた。
「そして彼がいいと言えば」
「モヒカン族に会えますか」
「そうなるよ、じゃあね」
「宜しくお願いします」
ルースは学者に頼んだ、そして翌日に彼の携帯に学者から相手がいいと言ってきたと連絡があった。
それでだ、そのモヒカン族の人とルースは彼がいるウィリアムスバーグからユニオンシチーに行ってだった。
会う場所に指定された喫茶店に行くと髪を短く刈って白い肌に穏やかな顔の痩せた初老の男がいた。服はラフなジャケットとジーンズだ。
その彼がだ、ルースと握手をしてから言ってきた。
「ルー=アンカスだよ」
「アンカスさんですか」
「名前はこの通りね」
「アメリカですね」
「そうなってるよ」
かつてのネイティブの名前ではなく、というのだ。
「長い歴史の間にね」
「そういえば」
ルースはそのアンカスと共に席に着いた、そうしてコーヒーを飲みつつそのうえで同じコーヒーを飲む彼に言った。
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