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真田十勇士

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巻ノ百七 授かった術その四

「それがし百年でもです」
「修行をするか」
「そうしていきます」
 まさにというのだ。
「このまま」
「そうか、その意気ならばな」
「それがしも」
「至れる」
 こう言うのだった。
「間違いなくな」
「では」
「うむ、続けるぞ」
「このまま」 
 二人は無限とも言える時修行を行った、そしてだった。
 ある時遂にだ、幸村は不動の攻めを全て完全に防ぎ切った。ここで不動は幸村に対して言った。
「見事」
「見事、では」
「お主は遂に備えた」 
 こう言うのだった。
「力をな」
「七曜のですか」
「そうじゃ」
 まさにそれをというのだ。
「備えたのじゃ」
「それがおわかりですか」
「余の攻めを全て防いだな」
「はい、今しがた」
「それが出来たということはな」
 まさにというのだ。
「お主が至ったということじゃ」
「七曜の力を受けるまでに」
「余の力は全ての魔を降すもの」
 その不動と互角に防いだからにはというのだ。
「それに至ったからにはな」
「力を備えたので」
「お主は遂にじゃ」
「七曜の力を備え」
「そしてじゃ」 
 そのうえでというのだ。
「今よりお主に七曜の力を与えよう」
「これより」
「ではな」 
 こうしてだった、不動は幸村に七曜の力を授けた。不動は授けてから幸村にあらためて言った。
「お主の修行は終わった」
「七曜の力を授かったので」
「全てな、この力を使えばな」
「何が出来るでしょうか」
「お主は七人に分かれることが出来る」
「七人に」
「その七人は全てお主じゃ」 
 幸村自身だというのだ。
「戦の時も戦え、そして」
「いざという時には」
「采配も振るえ影武者にもなる」
「そうなのですか」
「だからじゃ」
 それでというのだ。
「その力で戦え、よいな」
「わかり申した」
 幸村は不動に確かな声で答えた。
「それでは」
「これよりな」
「人の世に戻り」
「時が来ればな」
「この七曜の力を使い」
「戦うのじゃ」
 こう幸村に告げた。
「よいな」
「わかり申した」
 幸村も確かな声で答えた。
「それでは」
「お主のことを見ておるぞ」
 不動は強い声で幸村に言った。
「仏界からな」
「仏界、では」
「この空は仏界じゃ」
 彼等が今いるこの場はというのだ。
「そしてじゃ」
「それがしはこの世にいてですか」
「余と修行をしておった、そしてな」
「その修行の時は長かったですが」
「人の世では一瞬じゃ」
 それだけだったというのだ。 
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