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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第22話 佐為の忘れ物

H32年?? 上海?? side-sai?? episode 3 route??

「ねー、佐為いるの? ちゃんと戻って来れた?」

――ハイ。聞こえてますよ、アイ。こちらに

「忘れてた物は渡せた?」

――ええ、お陰様で

「手元の扇子が無くなったから少し違和感があるわね……。代りにスマホでも持ってみる?」

――あのカラクリは私には何が何やら。

「あ……そらには会えたかな?」

――すいません。彼の者とは私は……面識もなく

「……そっか。ごめん……ね。意味のない質問なんかして」

――いえ。アイには感謝しておりますから

「ヒカルはなんて言ってたの?」

――今日、塔矢アキラと打ったと。負けちゃったけど良い勝負だったと言ってました

――それから塔矢アキラが自分の中にいるsaiに気づいてくれたと

「そっか、良かった。わたしも心配してたんだ」

――色んな話を聞くことができました。ありがとうございます

「それで和-Ai-の影響はどうだった?」

――そうですね。ヒカルは悔いてました。私が消えたとき自分が和-Ai-に挑まなかったことを

「佐為が消えたのは和-Ai-に負けたからって誤解してたの?」

――でもヒカルは自分の碁を打ち続けると約束してくれました。ただsaiの敵を討ちたいとも

――他には、斯斯然然(かくかくしかじか)

「なるほど。じゃあ和-Ai-の影響で大きく変わってるのは――。
 奈瀬明日美がヒカルと同期でプロになって天元戦で倉田七段に勝って大活躍ってことくらいなのかな?」

――ヒカルから聞いた限りではそうですね

「ま、囲碁の神様だか存在GOだか何だか知らないけど約束だから仕方ないわね」

――申し訳ございません。私が神の一手を極めたいと願ったばかりに(うじうじ)

「もう! その話はしゅうりょうー。言いっこなし!」

「改めて、ようこそ私たちの世界へ。こちらが彼が務めてた会社のラボ(研究所)よ。
 あの日から2年経ってバージョンアップを重ねた最新版の和-Ai-は嫌になるほど強いわよ?」

――おおおっ。堯の碁を体現したAIなるものは更なる高みへ上っているのですか!

「そりゃあプロ棋士の大多数が囲碁AIから棋理を学ぶことさえ諦めるくらいに意味不明に強いわ」

――貴方たちのいう神の一手を臨む者を襲う答えなき“狂気の深淵”ですか

「そういうことになるわね。和-Ai-の名前でのソフト開発は今年で終了になるけど、佐為の了承次第で新しい囲碁AIソフトの名前を彩-sai-にしても良いわよ?」

――ええ。ありがとうございます。漢字は彩ですか?

「ええ! 大人の都合ってやつね! ストレートに佐為だと諸般の都合があるのよね」

――アイは日本に戻ったら本因坊戦ですよね?

「そうよ。今年こそ鷺坂総司の奴から本因坊を奪うわ!
 名人挑戦は烏丸和歌ちゃんに先を越されたけど、女性初の三大タイトルは私が貰うわ!」

――そして目指すは国際棋戦での優勝ですか。

「ま、公の場で佐為が打つことはできないけど、
 その分は囲碁AIとの対局とネット碁はできるだけ便宜を図るから我慢してね。」

―わかりました。では“永遠の一手”を求めて

「貴方が時空を越えて強くなったヒカルと再会し対局を望むように。
 私も時空を越えて消えてしまった彼を追って約束を果たしたいの。一蓮托生ね!」

―ハイ、よろしくお願いします。アイ。

第三部完 
 

 
後書き
名前だけ登場する鷺坂総司と烏丸和歌は囲碁少女漫画『星空のカラス』の登場人物(二人の主人公)です。
囲碁漫画と言えば『ヒカルの碁』が圧倒的な知名度を誇りますが、『星空のカラス』も面白いので興味がある方は是非とも読んで下さい。 
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