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第十二幕その八

「そうでもないのよ」
「そうなんだ」
「そうよ、ブラジル人でも誰でもサンバ踊れないでしょ」
「うん、僕ダンスはね」 
 そのサンバにしてもです。
「あまり得意じゃないよ」
「そうでしょ、だからね」
「日本人だからって誰もが百人一首が得意か」
「そういう訳じゃないのよ」
「そうなんだね」
「ええ、私は百人一首では皆と同じよ」
「それじゃあ誰が一番強いかは」
「これからわかることだと思うわ」 
 実際に遊んでみてというのです。
「だからね」
「はじめるんだね」
「そうしましょう、詠むわね」
「それじゃあ」
 カルロスが応えてでした、そのうえで。
 皆で実際に百人一首をはじめました、そうして。
 一通りしてです、勝ったのは。
「私だったね」
「御主強いのう」
 リンキティンク王は一番お札を取れてにこにことしている狐の王様に対して笑って返しました。
「見ていて惚れ惚れしたわい」
「最近毎日しているからね」
「出来るのじゃな」
「最初は私もね」
 それこそというのです。
「全然出来なかったよ」
「そうだったのじゃな」
「それが毎日しているうちに」
「出来る様になった」
「その通りだよ」
「そうか、しかし百人一首はな」
「楽しいね」
 狐の王様のお言葉です。
「優雅で」
「こうした遊びもあるのじゃな」
「そうだよ、さて十時にはお茶を飲んで」
 そしてと言うのでした。
「お昼は」
「揚げだよね」
 ボタンがすぐに狐の王様に尋ねました。
「それを食べるんだよね」
「そう、あれは実に美味しいね」
「元は日本のお料理らしいけれど」
「日本からアメリカに入って」
「オズの国にもだね」
「入ってね」
 そしてというのです。
「我々も食べたけれど」
「そして食べたら」
「あんな美味しいものはないよ」
 狐の王様はこうまで言いました。
「鶏肉よりもいいよ」
「それでじゃな」 
 リンキティンク王もここで言います。
「今では主食に近いな」
「そうなっているね」
「ではじゃな」
「お昼は揚げを食べよう」
「どうした食べ方をするのじゃ?」
「これが色々あってね」
 狐の王様は本当に楽しそうに揚げの食べ方のお話をはじめました。
「焼いてもよし、煮てもよしで」
「稲荷寿司やきつねうどんもじゃな」
「何をしても美味しいんだよ」
「本当に好きなのじゃな」
「そうだよ」
 心からの返事でした。
「我が国では皆好きだよ」
「そしてじゃな」
「お昼は皆で食べよう」
「最早この国の名物じゃな」
「だって皆好きだからね」
 狐さん達がというのです。 
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