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ラブライブ!~夕陽に咲く花~

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第8話 唐突な始まり







”ソレ”は唐突に聞かされた。








それは凛と喧嘩したら次の週の月曜日。



昼休み



 友達と喋りながらふと携帯を眺めていた時に、一通のメールが届いていた。
ただいつもの迷惑メールやら、サイトのメルマガが届いたのかもしれないと。
 そうして、無意識にメールを開いた。
だから内容を見た時は驚きのあまり手にしていた缶ジュースを床にぶちまけてしまった。




だって......普通予想できるわけないよね?





───幼馴染みの高校が"廃校"だなんてさ。










───第8話 唐突な始まり───








花陽と凛ちゃんの高校、"音ノ木坂学院"が廃校という話が上がった翌日。『一度会って相談したい』という花陽からのメールの元、僕はSHRを終えて直ぐに花陽の家に向かった。
当然、凛とは先日から会話はおろか、話さえしていない。『忙しかった』と言えば言い訳にしか過ぎないが、実際忙しかった為、会いに行くことができなかった。花陽からは『大丈夫、春人くんなら仲直りできるよ♪』と励ましのメールはもらっているけど、それでもやっぱり不安は拭えない。

そんなことを考えて歩いていた事により、花陽の家に着くことが早く感じてしまった。

───花陽ちゃんの家に凛ちゃんもいる



そう考えただけで異様な程の汗が全身から吹き出るような気がして、咄嗟にハンカチで額を拭う。気まずいままでいるのは嫌とはいえ、やはり会いづらい。
花陽宅のインターホン前に指を突き出すも、押すことに躊躇いが生じる。



だけど、ずっとこのままでいるわけにもいかないので、僕は意を決してインターホンを鳴らす。
ピンポーンと、典型的な音がなった後、無駄に長い沈黙が訪れる。微かに聞こえる足音がやけに長く感じてたった数秒の出来事が一分のようにも、二分のようにも感じられた。
そうしてガチャリと、ドアが開いて花陽が────





「......待ってたよ、春くん(·······)





短くて煌めかしいオレンジ色の髪。

吸い込まれそうなほど眩いシトリンの瞳。

子猫のように小さな体格。





「り、凛......ちゃん?」
「そうだにゃ。りん......だよ?」



気まずさからくるのか、そっぽを向きながらポツリと口にした言葉と恥ずかしげな表情が余りにも懐かしすぎて、愛おしすぎて、




「よかった......」
「にゃっ!?ちょっと春くんいきなり何を───」
「ごめん......ごめんね?」


思いがこみ上げてつい、抱きしめてしまった。嫌がられると思っていたけど凛は暴れること無く、僕を受け入れてくれた。
そこはもちろん玄関前。通りすがりの主婦やらに見られてるような気がするけど僕はもっと強く抱きしめる。僕の体から”何か”が零れ落ちる。タガが外れた僕は凛のぬくもりを求めるかのように強く、強く。





「やっぱり凛ちゃんがいないと僕はダメだよ。君の元気なところとか、笑ってるところ見てないと僕も元気出ない。声を聞かないと寂しいって......辛かったんだよ」
「......春くんの、バカ」
「ほんとにね。僕はバカだよ。凛ちゃんと花陽ちゃんが一番大切なのに僕は気付かないでいたんだよ」








 凛の大切さを知った。言葉だけで言い続けた”一番大切”は所詮言葉であって、今回の喧嘩が無ければずっと僕は僕自身だけでなく凛も悲しませていただろう。
 

 凛の優しさを知った。僕があれだけ絢瀬先輩に揺り動かされて凛や花陽に目もくれずに、嫌な気分を与えていた僕を、今はこうして受け入れて抱きしめ返してくれている。


怒ってるはずなのに

嫌いになったはずなのに

許せないはずなのに


 それでも彼女は僕の前で心から笑ってくれている。それが彼女───星空凛の優しさなんだ。


 凛のぬくもりを知った。小さな体なのに大きく感じて、微かに香るシャンプーとお日様のような芳香が彼女の”女の子らしさ”をより一層引き立たせて来る。



「りんこそ、”あんなこと”言ってごめんね?春くんはそんなこと考えるはずないってわかってたのに.
.....」
「あんなこと?」
「『りん達を一番に大切に想っている』ってところだにゃ。それをりんは嘘だって言って」



 確かに僕は心からそう思っていた。だけど、それはただの上辺面の言葉で僕の行動精神から来てるってわけじゃないことに気づかされた。だから言われても仕方ないこと。


「確かに僕はその一言は傷ついたよ」
「っ!!ご、ごめ───」
「でもね、言われて僕はうれしかったんだ」



そう。
僕はそう言われて嬉しかったと思ってる。これは紛れもない事実で決して揺るがない本心。
 言われてなければ、僕は何も変われてなかったと思うから。


「凛ちゃんの言ったことは事実で、上辺だけの言葉だけのモノだったんだよ。だから、気づけて嬉しい。凛ちゃんに言われて僕は嬉しかったんだ。だから









────────ありがとう」









 僕はもう一度凛の顔を見て感謝の言葉を伝える。
久しぶりに見た凛の顔は少しばかり目の下に隈ができていて、僕と喧嘩したあの日からあまり寝ていないんだなと感じさせる。
 今さっきまで申し訳ないという気持ちとそれだけ僕を想ってくれていてありがとう、という感謝の気持ちでいっぱいだった。


でも今は。






「えへへ...♪りんにはやっぱり春くんがいないとダメなんだにゃ♪だからこれからもずっと一緒だよ?」






幼馴染の笑顔を見れて...僕の心の中は幸福感で溢れていた。












~☆~












「それで、結局どうして”廃校”だなんて話題が出始めたの?僕、そこらへんの情報が全く聞かされていないんだけど.....」
「まぁ、昨日春人くんに『廃校になる』としか伝えていないからね」
「りんもびっくりしたんだにゃ~。朝学校に来たら黒板に”廃校”ってプリントが堂々と張り付けられていたんだもん!」





 凛と仲直りしてから一先ずリビングに招かれ、早速詳細を僕は二人に求める。そして仄かに香るバターのような匂いはなんだろうか.....。
”廃校”ということを理事長の口から宣言されたのはつい昨日の出来事。まだ日は浅いとはいえ、やはり校内はものすごく慌ただしいらしい。
 僕は音ノ木坂の生徒ではないから綿密に想像できないけど、それでも事態の深刻さは二人の表情を見れば容易に理解できる。


「それって、もう確定事項なの?覆すことはできないの?」
「どうなんだろう....なんか今朝、生徒会長さんと副会長さんが理事長室に入っていくところはみたんだけど。多分今回の件で話に行ったんじゃないかなぁ」



 そうか....絢瀬先輩たちが相談をしにいったんだね。あくまで生徒代表として。行き過ぎは良くないけど現状でどうしようもないなら先輩に頼るしかないのかな。



「一応....私たちが卒業するまでは音ノ木坂は残るんだけど、私たち以降は───」



と、そこまで言いかけて花陽は口を噤む。
花陽の学年以降は入学を取りやめる。つまりは花陽たちには”後輩ができない”という事態を作り上げることになる。
 折角必死に勉強して手に入れた二人の高校生活が、こんな理不尽なアクシデントに巻き込まれて寂しい高校生活になるなんて誰が想像できただろうか...。
 いくらなんでも残酷過ぎる現実だよ。



「他になにか、情報はないのかな?やっぱりこれだけじゃわからないことだらけだよ」
「あとはね....、確か”廃校”は『決定事項じゃない』って理事長言ってたような気がするんだけど...かよちん覚えてないかにゃ?」
「あ、うんわかるよ。策はあるからそれを提案してみる、みたいな話だったよね」
「なにかしらの策?」



花陽と凛はうんうんと頷くが、僕はその”策”に興味を持った。だけどそれは疑心的な興味だけど。
 

「”策”の内容は聞かされた?」
「ううん。なにも」



 勘でしかないから口には出せないけど、その理事長の言う”策”はあまり期待できないような気がする。
ここで少しごちゃごちゃしてきたから整理をしよう。



 二人の話によると、”廃校”が全校生徒の前で告げられたのは昨日のことで、それを防ぐために理事長は今後”策”を提案するとのこと。その内容は聞かされていないが恐らく、その”策”は通らないだろうと僕は考える。廃校を免れるにはかなり大変だということを小学校の社会の授業で聞いたことある。それ故に、中々厳しい。
 廃校になるのは花陽たちが卒業してから、つまり今の中学三年生は仮令(たとえ)音ノ木坂に入学を希望していたとしても、その願いは叶わずに終わる。

 

 学校が”廃校”になってしまう原因はいくつかある。
 少子化による生徒数の減少。これが原因の大半を占めている。
それによる市町村の合併、あるいは教師の減少や予算が足りないなど、理由は多々あげられる。
 ここ数年で音ノ木坂近辺の子供が減ってるのは前からあった。それ以外は全く聞かない。生徒の減少の場合他県から集めればいいことなのに、集まらないのは不自然なところだ。



「そういえば、」
「うん?」
「もしかすると、最近できたUTX高校(・・・・・・)が原因とは考えられないかなぁ?」
「UTX?」
「うん、だって最近あの高校への入学希望者増えているし、向こうに流れていったと考えてもおかしくはないと思うんだけど....」


 花陽の言う通りかもしれない。一度UTX前を通ったことがあるけど、遥かに”高校”という概念を越えていた。建物は超高層ビル型で、昇降口はすべて学生証を提示して初めて入校ができる完全セキュリティシステム。公式サイトを見た限り、お嬢様学校そのものだった。
 学科も一般的な高校と比べても多様で、普通科進学かはもちろんのこと、理数科、芸能化、声優科、などのテレビで活躍すために設立された特殊な学科もあり、全国各地からも生徒を集めている。



 それに対して音ノ木坂学院は歴史の長い学校であり、それ故良くも悪くもどこにでもあるようなごく普通の学校なんだ。一応進学校ではあるがあくまでそれは音ノ木坂学院という名前を売るための売り文句で、自主性を重んじる校風ゆえか厳しい部活などもなく学業も高くない。





───勝てるわけがない




 初めて音ノ木坂が”廃校”という危機を迎えることが必然的だった....いや、そう遠くない未来だったんだと、実感させられた。




 他の二人も重苦しい現状に嫌気が差したのか、黙り込んで暗い空気を醸し出している。
僕も辛くなって差し出されたお茶に口をつける。
 時間が経って冷えたお茶を下で転がしてからゆっくり流し込む。
花陽と凛が辛い思いをしている。






....わかっている。なんとかしなければいけないのは嫌というほど感じている。だけど、今回の案件は今までのなかで一番大きくて、そして一般生徒で他校の人間が関わっていいのか非常に難しいところなんだ。いくら僕がお馬鹿な人間でも自分の立場くらい理解できている。音ノ木坂のとって赤に他人である僕が関わっていい話じゃない。


それはわかってる。わかってるけど......。





「......」
「...なんか寂しいにゃ~。入ってすぐ”廃校”だなんて。りん、後輩ができないまま卒業なんてしたくないにゃ」




 二人がこんな顔してるのに黙って指を咥えて見ているなんで僕にはできない。
花陽が音ノ木坂に入りたいって、凛が花陽と同じ高校に行きたいって、僕は二人が三年間笑って過ごせる高校に行ってほしいって。
 受験生になって毎日遅くまで勉強した結果が報われたと思っていたのに。
それを踏みにじるかのように”廃校”の話題は現れた。







 なにか、なにか解決策はないのだろうか。











そんな時、キッチンの方からチンッ!っと、機械音が聞こえてきた。オーブンが何かを焼き終えた音のようだ。


「花陽ちゃん何か作ってたの?」
「うん、この前クッキー作るつもりだったんだけど色々あってできなかったから今日作ろうと思って」
「焼けたの!?りん食べたいにゃ~!」






 クッキーが焼けたことで重苦しい空気から解放され、彼女たちは立ち上がってオーブンのところへ向かう。
────さっき部屋に入ったら甘い匂いしたけど、クッキーだったんだね。


とかぼんやり考えながら僕はもう一口冷たいお茶を飲む。









~☆~








 あの後も一時間ほど話し合ったけど、何も進展しないまま時間が経つだけだった。取りあえず何か高校の方でアクションが起こるまで、または新たな情報を得るまで普通に高校生活を送るという意見で決まり、花陽の家を出ることにした。
 玄関で靴を履いているところで花陽に声をかけられる。



「どうしたの?僕何か忘れ物した?」
「ううん、違うよ。これを渡したくて.....」



 そう言って差し出されたのは綺麗にラッピングされた小さな小袋。
中身は先ほど食べたクッキーのようだ。



「これ、もらっていいの?」
「うん♪春人くんに食べてほしいな?なんて.....」




 上目遣いでかなり可愛かった。
受け取らないなんて選択肢はあるわけがない。つまり、



「ありがとね花陽ちゃん♪家でゆっくりいただくよ」
「どういたしまして♪気を付けて帰るんだよ?」
「と言っても僕の家は君の家の隣なんだけどね」



えへへ....そうだね。と、ペロッと舌を出しながらほほ笑む花陽に軽く頭を撫ででからドアノブに手をかける。





「そういえば凛ちゃんは?」
「凛ちゃん?凛ちゃんは今日私の家に泊まることになってるんだぁ」
「そっか、あまり遅くまで起きてたらダメだからね?」






大丈夫、という言葉を聞いて安心した。僕はそのまま扉を開いて花陽の家を出る。





「さて、勉強しないとな」


そう呟いたところで突如ポケットの中の携帯が反応を起こす。しかも僕が家から出るのを見計らっていたかのようなタイミングで。
何気なく携帯を開いたところで、僕はつい先日会ったばかりの先輩(···)の名前が出てきた事に驚く。
そうか、先輩も音ノ木坂の生徒だから"廃校"の相談をしようと電話かけてきたのかもしれないなぁ......



そう察しながらも僕は通話を開く。




「はい、もしも───」
『聞いてよ聞いてよ!!!はるとくん!!!!!!』







......通話を開いた瞬間いきなり大声が僕の鼓膜に襲いかかり、思わず携帯を耳から離す。いつも声が大きな先輩だとはいえ、流石に耳元で叫ぶのは勘弁して欲しかった。



と、





『こら穂乃果(·····)!いきなり大声で叫んでは相手の方が驚くでしょう!!!』
『あ!そうか!ご、ごめんねはるとくん』
「い、いえ大丈夫......です。ところでなんですか?」
『大変なんだよ!!なんかね、音ノ木坂が──』
「"廃校"の事ですよね?知ってますよ」
『......あれ?』





高坂先輩がポカンと口を開けている様子が目に浮かぶ。
そういえば一瞬高坂先輩じゃない女の方の声が聞こえたような気がする。


『え?なんで知ってるの?』
「花陽ちゃんたちから話を聞きましたから」
『あ〜そっかぁ〜!花陽ちゃんから聞いたか〜』
『だから言ったじゃないですか、相手の方に音ノ木坂の知り合いがいるのでしたら現状を知ってるかもしれない、と』
『まぁ、そうなんだけどね?一応聞きたかったんだよー』





また綺麗な声が聞こえた。おおかた高坂先輩の友達だろう。敬語を駆使しているみたいで、その使い方は手馴れているようだ。



「確かに話は聞きましたが、僕、"部外者"ですし一個人の僕がどうこうできる話じゃないですよ?」
『それは知ってる!!』
「......あ、はい」





高坂先輩にフォローされること無くバッサリ切られる。別に『君にならできるよ!』と言われたい訳では無いけど、フォロー無しは無しで胸にクるものがあるなぁ......



『だから穂乃果!言い方気を付けて下さい!』
『うわぁ!?ご、ごめん海未(···)ちゃ〜ん』
『謝るのは私ではありません』



────海未(うみ)と呼ばれた女の子はどうやら高坂先輩とかなり仲がいいみたいで、先程からの二人のやり取りがなんだか面白いと思った。



『ご、ごめんねはるとくん......』
「気にしてないから大丈夫ですよ。ところで"廃校"の話は聞いてますけど、どうしたんですか?」
『それだよ!今はるとくんに伝えたい事があって』
「伝えたい事......ですか」
『うん!私達ね!









─────スクールアイドル(·················)を始めたんだよ!!!!!!!!』












...........高坂先輩の言葉が脳に入り込むまでにたっぷり数十秒。単語の意味を理解するまでにたっぷり数十秒かかり、漸く生み出した言葉は、









「...........はい?」





たった二文字という。
あまりの唐突で理解できない言葉にそれしか発せられなかった。いや『スクールアイドル』という単語の意味は知ってる。"A-RISE"がやってるアレだと思う。
だけど、"廃校"と"スクールアイドル"というある意味接続しないモノがどうして1度に出てきたのかが理解できていなかった。





『......あの~はるとくん?返事してくれないとなんか凄く私がアホみたいな事言ってるようで寂しいんだけど』
『実際そうなのではないですか?』
『海未ちゃん酷いよぉ!!私おバカさんだけどアホじゃないもん!!』
「いや、あの......すいません。想像出来なかった言葉が聞こえたので忘れてました」




何故いきなり穂乃果先輩が"スクールアイドルを始める"だなんて言い出したのかがわからない。
先輩はそもそも"スクールアイドル"とはどんなものなのかわかっているのかな?僕は少なくとも"スクールアイドル"について先輩よりは知識を持っているつもり。花陽に教えてもらったからね。
だから"スクールアイドル"の面白いところは勿論、大変さや忙しさも知っているつもりだ。この大ピンチな状況でどうして始めようと言い出したの?


「先輩、どうして"スクールアイドル"を始めようと思ったんですか?こんな......言い方悪いんですけど"廃校"というみんなピリピリした状況下で始めたところで難しいと思いますよ?」
『だからこそ”スクールアイドルしようと思ったんだよ!』



 いつもの事だけど、高坂先輩の言うことが中々理解できない。
天真爛漫で、いつもやることが突発的でみんなを振り回す。
僕も何度も巻き込まれた経験はあるけど、それでも楽しんでる自分がいた。


『”スクールアイドル”になって人気が上がれば音ノ木坂の存在を全国に伝えることができるんだよ!UTXだって”A-RISE"が人気になったから人が集まるようになって...』
「でも先輩、人気が取れなかったらどうするつもりですか?」


 僕はそれが一番不安だった。スクールアイドルをやっている全員が全員A-RISEみたく成功しているわけでは無い。『成功』という言葉があれば当然反義語である『失敗』という言葉がある。つまり”スクールアイドル”を始めて成功する確率は簡単に言うと『二分の一』、半々なのだ。
 さらに音ノ木坂は特殊なハンデを背負った状態からのスタートになる。
成功すればその分の達成感じは大きいけど、失敗すれば全員を巻き込む大事になるかもしれないんだ。




言い換えると賭け(ギャンブル)みたいなものだ。
それを理解したうえで高坂先輩は”スクールアイドル”を始めるつもりなのだろうか......




「大丈夫だよ!だって私だけじゃないもん!海未ちゃん(・・・・・)ことりちゃん(・・・・・)も一緒にやってくれるから絶対成功するよ!!!!」
『ちょっ!穂乃果それは言わない約束だって何度もーーー』
「大丈夫だよ海未ちゃん、はるとくんはすっごく優しい子だから」




 論理的でない根拠。
いつも彼女はそう言ってたくさんの事に挑戦してきたことを本人から聞かされている。
 でも僕も少しだけ巻き込まれたことはある。だけど、終わると嫌な気持ちは全然なくて、寧ろ『楽しかった』と後悔していない僕がいることに気づかされる。



「だからはるとくん!今から私の家に来てくれないかな?作戦会議したいの!」






......まさか今回も同じように僕の知らないことを魅せてくれるのかな?
花陽ちゃんを、凛ちゃんを助けてくれるのかな?
 それが今の音ノ木坂を救う唯一の手段だというのなら


 それが僕の幼馴染を笑顔にする手段だというのなら





























「わかりました。僕に.........お手伝いさせてください」


















僕は、高坂先輩達を信じようと思う。



彼女たちが創りあげる新しい音ノ木坂学院の行く末を


 
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