ソードアート・オンライン~狩人と黒の剣士~
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闇の深淵VS黒の聖剣使い
前書き
キャラ崩壊ありとチートとあの人警報
『では二回戦!タツ選手VSコトノ選手の試合です』
『解説代わりまして俺、ゼロとシーカーでやっていきます』
ゼロの解説が響きわたり、タツ・コトノ両名がスタンバイする。
『しかし、ゼロ。この戦いどう見ますか?』
『コトノの小説は更新されてない分未知ですが、タツはあれ、ザウスさんでしょ?勝敗決まっただろ』
『……では、カウントスタートです!』
シーカーは華麗にスルーしてカウントボタンを押す。
3
2
1
デュエル!
「『この勝負僕の勝ち』」
タツの一言で一瞬にしてコトノのHPが綺麗に消滅した。
『稀に見ない最速ゲームエンド!!ウィナー、タツ!!』
『コトノは可哀想だ』
ゼロが哀れに言う。タツに捕まったのが運のつきだ。
「基本、女の子には手を出したくありませんしね?あと、素早く終わらせるのにこれ程適した物は無いでしょう?」
『言い訳染みてるが格好いいから良し!!』
『良いのかよ!?』
観客の大半が非難の声を上げたが、シーカーは再びマイクを持つ。
『えー、意外にも早く終わったため三回戦に参りましょう!次の対戦は……』
画面のルーレットが止まり、プレイヤーが写し出される。
『決まった!三回戦はエース選手VS……おおっと!?これはワーニング標識!?まさかの初戦がエース戦とは!!』
シーカーの実況に合わせて、エース&クイーンが現れる。
「対戦相手は誰なんだ?」
「まーまー、誰だって大丈夫だよ!」
クイーンが呑気に言うと、その声に反応する。
『ほう……。ならば俺でも勝てると豪語する気か食イーンとやら』
「誰だ!?」
「と言うかその理不尽な名前止めて!?」
二人の声(一人は少し非難気味)が響くと、闘技場の奥から、それは現れた。
「虚ろなる深淵より、太陽を喰らうが如く、その牙を剥き出しにする……」
黒きコートを風になびかせ、その男は現れる。
「その髪は銀、その瞳は黒と緑。今ここに推参する」
男はコートを剥がすと、名乗る。
「俺の名はアビス。そしてこの剣は……」
背にあった剣が輝くと、それは人の形を取る。
「アビスの相棒、エッジこと«深淵の片刃剣»。主が進化したことで私も進化した」
エッジはクイーンに指を指すと、宣言した。
「我がポジションを奪った報い……購わせてやるわ!!」
『言い方がラスボスだ二人ともーーーーー!!!』
シーカーが叫ぶ。いや、確かに微妙にポジション被ってなくもないが……。
「酷い!それ横暴な言い分じゃん!!」
クイーンの反論もっともである。
「……エッジ、ゴチャゴチャ言ってるな」
「すみません、主」
エッジは恭しく礼をすると、右腕を剣のそれとした。
それに倣い、エース、クイーン両名も武器を構えるが……
『どう言うことだ!?アビス選手武器を持たないつもりか!?』
アビスは武器を持っていなかった。いや、正確には『持つのが届いていない』。
「まぁ、何だ。暫く素手でやらしてもらう」
そう言うと、仕方無くシーカーがボタンを押す。
3
2
1
ファイト!!
「「ハアッ!!」」
まず出たのはエース&クイーン。さすがと言うべきか、そのスピードは並みでは無い。速さ依りに鍛えているだけはある。
しかし、だ。
「よっと」
「ハッ!」
エースの攻撃を紙一重でアビスが避け、クイーンの鎌をエッジが受ける。
「ハッ、やるねぇ。なら、人並みにやらにゃ礼儀が廃るってもんだ!」
「イエス、マスター」
エッジが頷くと同時、攻撃に転じる。
アビスはその剣を掴むと、そのまま引いてローキックを放ち、エッジはクイーンに頭突きを食らわせた。
「うおっ!」
「痛い!」
エースは辛うじて避けたが、武器を剣で固定されたクイーンは回避が遅れ、少しよろける。
「いつつ……流石異世界のAI。並みの堅さじゃない」
エッジが頭を押さえて、ニ、三歩交代する。
と同時に其々の主がその手に武器を持って突進した。
「オラァ!!」
「シッ!」
互いの獲物ーーーーー片手剣と刀がぶつかり合い、鍔迫り合いに発展する。
「流石だぜ、ここまで俺のステータスに追い付いてこれるとはな!」
「甘く見るな!俺はこれでも……騎士団長だからなっ!!」
エースが刀を弾くと、そのまま突きで喉を狙う。しかし、アビスはそれを見切り、直ぐ様刀を捨てて腰の短剣を左で抜いて構える。
「天城流短剣術、«火走り»!」
その短剣は瞬く間にはね上がり、剣を払うと、エースの内側に突撃する。
カウンター型の技、«火走り»。そして、その先にももうひとつ存在する。
「«火走り・紅葉»!!」
通り過ぎ様に何回も攻撃を繰り返し、HPを減らしていく。
短剣の基本戦術«ヒットアンドアウェイ»を忠実に再現した物だ。
「クイーン!」
「まっかせてー!!」
その声にクイーンが答えると、クイーンが攻撃中のアビスに攻撃を仕掛ける。
「くっ……«天剣・旋翔»!!」
遅いと分かったアビスが体術に切り替えてクイーンに攻撃するが、その敏捷で避け、エースの元へ走ると、武器に変わる。
『こっから本気だよ!』
「さぁ、行くぜ!!」
片手剣に見えないそれを振るい、エースはアビスを攻撃する。
「『«スラッシュ»!』」
「させるか!«グレイトフルデット»!」
エースのソードスキルが、エッジのソードスキルとぶつかり、火花を散らした。
「遅い!」
「イエス、マスター。ですが、もうこれで対等です」
「対等……?」
エースが疑問を持つと、クイーンが叫ぶ。
『エース!攻撃して!彼を使わせたら駄目!!』
「え?」
その前に、アビスがローキックを放ち、エースが剣の腹で受ける。
「遅い!«今こそ虚ろなる深淵を解き放て»!」
「イエス、マイマスター。«我は深淵の守り手にして担い手。我は剣となり手となり盾となり、主を守る守護者とならん»!」
それが発せられた途端、アビスにコートが纏い、その手にはとても刀とは言えない武器が握られていた。
「さぁ、行くとするか。«深淵の闇ダークネスアビス»」
『イエス、マイマスター』
『ヤバイヤバイ!!エース、あれヤバイかも!?』
「見りゃ分かる!!」
エースが叫びながら突撃する。
「食らえ!«イクスプロウジョン»!」
アビスは刀でそれを受ける。
刹那、爆発がおき、煙の奥からエースが出てくる。
「これでどうだ!?」
「そいつぁフラグだぜエース!」
アビスが次いで現れる。その体は無傷だ。
「何故!?」
「知り合いに爆破が得意な奴が居るんでな!」
『訳、ブラキディオスと常に戯れているので爆破属性に関してはダメージはカットです』
「『そんなのありぃ!?』」
確かに叫びたい。イクスプロウジョンでもダメージが与えられないならほぼ確実接近しかないが……。
「……あれ無理だ」
『だよねぇ!!』
アビスが持つ刀は姿を変え、大剣に近い片手剣に変わっていたが、余り状況は変わらないだろう。
「だったらこれでどうだ!!」
エースは溜めを作り、アビスが接近してからそれを放つ。
「『«アブソリュートキリング»!!』」
単発重剣技、アブソリュートキリング。エースとクイーンの一撃必殺技。クリーンヒットさえすれば軽く吹き飛ぶ。吹き飛ぶ……筈だった。
「見える」
そう、その瞬間、アビスはアブソリュートキリングを剃らした。剣の腹で。
『そんなのありぃ!?』
「へへっ、わりぃな」
『略、威力速度申し分無い。しかし、その手の攻撃は幾つも戯れている人々から受けているので自然と見えるんだ。悪いな』
略を言わなければ物凄く理不尽だが略を言っても理不尽な事だった。
「くそっ!«グラビティオフェンス»!」
エースは剣の腹でアビスを襲う。
しかし、それを右腕一本で受けて防ぐアビス。
ボギボギッ!と嫌な音が聞こえ、アビスの腕が下がる。
「あ……」
『……マイマスター、今のはサポート外ダメージです。ダメージシフトの対象を変更しますか?』
『ダメージシフト?』
クイーンが疑問に言う。すると、エッジは答える。
『ダメージシフトとは、一定の属性攻撃を受けたさいに発動するバトルヒーリングの上位互換です。但し、一属性に縛られるので、余り使われておりませんが』
兎に角そう言うことらしい。つまり、斬撃属性に設定したから、腕がぶっ壊れたらしい。
『いえ、マイマスターが設定していたダメージシフトの対象は深淵です。マイマスターの深淵はゲームでも常にダメージを精神・肉体に与える代わりにマイマスターのーーーーー』
「お喋りはお仕舞いだ、エッジ」
片手で肩に担いで言う。
「ネタバラシにゃ速い」
『……イエス、マイマスター』
エッジは姿を変え、槍に変わる。
「さて、どうするエース?俺は腕一本使えねぇ。この手を逃す他無いが?」
「やるに決まってるだろ!!«トライアングルスライサー»!」
三角の軌道を描き、それは放たれる。
三連撃ソードスキル«トライアングルスライサー»。
『ッ!マスター!!』
「行くぞ、エッジ。スキル解放」
獰猛な笑みを溢してアビスは言う。
それに気付き、アビスも覚悟を決めたように答えた。
『«我は訴える!深淵の闇より出でたる大いなる絶望よ!我が槍に宿りて我が主に忠誠をもたらさん!»』
「«去れば我はこの身を陰と化し、闇と共にすべてを打ち砕く!»」
槍を構え、エースの攻撃を全て自らの身で受ける。
『ーーーーー駄目!!逃げてエースッ!!』
それを感じとったかのように叫ぶクイーン。しかし、硬直時間を課せられたエースは、動きを取れない。
「悪く思うな……。コイツは戦だからな!«羅刹業魔槍»!!」
それは闇ですべてを覆い隠すような素早い連撃だった。
«深淵武装»槍装技«羅刹業魔槍»。全22連撃。
『エースーーーーーッ!!』
弾かれたクイーンが人型になると、エースに近付く。HPは辛うじてレッドのワンドット。しかし、エースは立ち上がれない。
「部位欠損……!?」
«羅刹業魔槍»はダメージを与えると同時に相手に部位欠損与える技である。
本来は両手なのだが、片手でも扱えるソードスキルとなっている。唯、速度はやや落ちるが。
「……何で、止めを刺さない……?」
エースがアビスに問う。此処までやっていれば止めを刺す筈だ。でも、アビスは左右に首を振ると、口を開く。
「悪いな」
『略、マスターはこう言っています。俺は殺しなんか二度とやらねぇ。例えこの戦いで倒されても死ぬことはないがそれでも殺すのは自らの主義に反する、と』
エッジが言うと、人間になって言う。
「エース、クイーン、あなた方は更に上を目指せる筈です。だからこそ、我が主はあの技ーーーーー羅刹業魔槍を使ったのです。一撃、たった一撃とはいえ、あなた方はそれを防いだ。それはまだ上を目指せると言う証拠です。日々、精進を怠らず努力を積み重ねなさい。そうすれば、あなた方の守りたいものも守れる筈です」
そして、エッジはクイーンの方を向くと、くしゃくしゃと撫でる。
「貴女は良い『人』ですね。それからも、そしてこれからも貴女の見込んだ主を、その身で守りなさい。そうすれば、もっと強くなれますよ」
「……本当?」
「ええ。本来なら、教えたいところですがーーーーー生憎別次元です。もしまた剣を交えたいないし、教えを乞いたいなら私の元へ訪ねると良い。そのときは手を貸すと約束しましょう」
「エッジ、安受け合いし過ぎだ馬鹿め」
アビスが言うと、エッジは微笑む。
「若い子は努力をすれば必ず強くなりますよ。マイマスター、少しの師範くらいは赦してくださるのでしょう?」
「……勝手にしろ」
アビスは言うと、シーカーに言う。
「おい、勝負はどうなった」
『えっ!あ、勝者アビス!』
遅れて観客も騒ぎだし、耳を塞ぎながらアビスは消えていった。
後書き
アビスVSエースの戦いでした。
アビス「ふん、かなり手強かったな!まぁ、敵では無いが」
エッジ「略、手強いが、中々やる。次の時まで修練を積み、また何時でも挑んでこい、だそうです」
アビス「エッジ!余計なことを言うな!この馬鹿!!」
エッジ「照れ隠しも良いところです。いい加減素直に物事を言っては如何ですマスター?」
アビス「貴様には関係無かろう!」
エッジ「……マスター、私は貴方の事が心配です。貴方に友達が出来るかどうか……」
アビス「貴様はおかんか!?」
えー、主従の話が途切れないので〆を。
次回もお楽しみにね!?
二人「勝手に〆んな!」
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