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『夢の中の現実』

作者:零那
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『就寝』



お風呂と、タオルや着替えの準備をする。

父さんは頭から洗うらしい。
父さんがお風呂に入り出してから布団を敷いた。
丁度良さそうなタイミングでノックした。
背中を擦ってあげたかった。
拒否られるかな?って思ったけど、すんなり身を任せてくれた。

昔、銭湯で見た父さんのカッコイイ昇龍。
あの時と同じ背中が懐かしい。
抱きつきたい。

上手い彫り師が彫ったホンマに綺麗な墨もいっぱい見てきた。
でも、やっぱり零那にとっては、父さんの背中が1番大好き。

父さんが出た後、零那も短時間でシャワーして、お風呂掃除してから出た。

父さんは、先に寝付いてた。
多分、気ぃ張ってたんやろなぁ。
疲れさしてしもたかなぁ...
ごめんなぁ父さん。
零那ばっかり嬉しくて幸せで。
ありがとぉ...。

そぉーっと歩いて、なるべく音を立てずに最低限動いた。

布団は、さすがに持って来て無い。
買物は、時間の都合もあったし御飯の準備だけで手いっぱいだった。
でも、泊まれる事になったらと思って、タオルケットは持って来てた。
丁度春先。
少し肌寒いから風邪引いて迷惑かけん為にパーカーも一応着とく。
それからタオルケットにくるまって寝た。

普段から不眠症。
妙な安堵感に満ちてて今日は眠れそう。

夜中、すごく温かくて、すごく幸せな感覚になった。
夢から醒めたくないと想いながら、勝手に目が開いた。
零那は、布団の中に居た。
父さんの横。
しかも腕枕されてた。

父さんの腕は、放り出されてる感じでは無くて、零那を包み込むような...守ってくれてるような感じで、抱きかかえてくれてた。

一瞬、恋に落ちそうになった。
危ない危ないっ!!

零那は不眠症プラス眠りが浅い。
寝てたとしても、根本的に誰かに触られたり物音がしたら必ず目醒める。
でも...気付いたら布団に居る。
有り得ん。
触られて起きんかったってのは零那の中では充分事件的衝撃。


 
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