ホウエン地方LOVEな俺がゲームの中に吸い込まれちゃった
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
ミアレシティとジムバトル
「うーん」
「どうかされました?」
「いや……ハルカってもっと元気……いや活発だったから凄いその……変わったなーと思って」
「そうですか……お嫌いでしたら直しますけど……?」
「いやいや!今でも全然此方としては一向に構わないんだけどね!!ちょっとびっくりしただけだから!」
俺たちは会話もそこそこに砂漠を進んでいた。日は地平線の向こうに沈み、夜の帳が静かに降りてきていた。昼間の荒ぶるような砂嵐は成りを潜め、今はそよ風が俺たちの肌を撫でている。
というかそんなことより……!!
「寒っ!」
「そうですね、13番道路……《ミアレの荒野》は暑いイメージを持つ方が多くいますが、実際は夜になると寒くなる……寒暖の差が激しいのが本来の姿ですからね。実際に荒野を超えようとする方は皆さんそれなりの装備を揃えると聞きますがユウキさんはそう言ったものはお持ちでないのですか?」
「うーん。まあ色々あって下調べせずに来ちゃったから」
まあ夜になる想定なんてしてなかったってのもあるけどね。……主にフレア団の所為。上手く逃げられたがモヒカンとアケビ!次あった時はマジ許すまじ。
あれ……でも俺にはそんな感じの理由があるけどハルカはどうしてこんな砂漠にいたんだろ……?
「あのs」
「あのっ!」
「……は、はい!?」
理由を聞こうとしたら遮られた。
件のハルカ氏はモジモジとして何も言わない。
「お、おーい。どうs」
「こ、こうすれば温かいですよ!!」
再び遮られた……と同時に、
手を、握られた。
「くぁwせdrftgyふじこlp」
「さ、さあ!行きましょう!もうミアレシティのゲートが見えて来ましたよ!」
***
諸君!よく聞け!吾輩は童○である。
もう大学生の時分、未だに○貞なのは悔やむばかりであるが別段深い理由もない。
というわけでおにゃのこと手を繋いで取り乱したのはしょうがないことなのだよ!!
「ユウキさん?どうかしました?」
「いや……ただ世界が違って見える。星空とはこんなに美しいものだったんだね」
「……ネオンの光で星空なんて見えませんけど……?」
はい、そんなこんなで俺たちは今ミアレシティのサウスサイドリゾートという場所にいます!……因みに手はそのままです。ちょっとびっくりするくらいハルカは手が冷たいけど柔らかい女の子特有の感触がして嬉しいのやら気恥ずかしいのやら……
だが、一つ言えることは……非リアのみんな!元気でね!
俺は視線を眼前の高層ビルにむける。
「あーなんだ!このでっかいやら広っろいやらは!」
凄まじい都会度。キンセツやカナズミ、ミナモはおろか現実の大都市東京にも迫る勢いだ。
「容量大丈夫かよゲーフリ……」
「えっ?」
「いやこっちの話こっちの話」
現実のゲームを心配してしまうのはポケモンファンの性である。……いやまじで他のパチモンゲームみたいなのに売り上げ抜かされてないよね?
「……でも、確かに大きいですよね。流石カロス地方一の大都市と言ったところでしょうか」
「ほんと……ミシロタウンの何倍あるのやら。なあ?」
「そ、そうですね……本当何倍でしょうか」
ん?
ーーいや気の所為か?
「ま、いいや……それでこれからどうするか……」
「あの……よかったら私も一緒に連れて行って貰えませんか?」
「へ?こっちは元からそのつもりだったんだけど?」
ん?だってハルカはユウキの幼馴染だしゲーム的にもその展開が妥当と思ってたけど……ってアレ?そういえばハルカはなんでカロス何かにいるんだ?俺を探しに?わざわざ?
疑問というのは一度でたらキリがないものだよね。よく考えたら不思議に思う点がハルカにはいっぱいあった。
そのことをハルカに聞こうと俺が口を開きかけた瞬間、
「おーい!ユウキ!」
真後ろから声をかけられた。
「ん?……おお!セレナじゃん。さっきぶり!カルムとはいちゃコラやってる?」
「やってないです!」
「おお!いたのかカルム……とトロバくんにティエルノくん、サナちゃんだっけ……みんな揃ってるねぇ」
不意に俺を呼んだ声に振り返ると、そこにはセレナにカルム……そしてそのお友達メンバーが控えていた。
まあハルカについての疑問はあとでも良いだろう。俺はそう考えて話を振った。
「どうした?皆で探検?」
「いえ、ユウキさん。僕たちは……」
「カルムくんとセレナちゃんのジム戦を見に行くところなんです!」
「ちょっとサナ……僕が言おうとしたことを!」
「まあまあ落ち着いてトロバ」
「せ、折角ユウキさんと話ができると……!」
おお!ジム戦か!
「俺も見に言ってイイ?ハルカは……」
「あ、はい。ユウキさんが行くというのならば」
「おっけー、で、セレナにカルム……俺ら行っていい?」
「ああ、うん。全然構わないけど……ちょっと突っ込んで良いのか分からなかったこと聞いていい?」
「多分セレナと同じだけど僕も……」
「んあ?なにが?」
「「その手は何!!?」」
「ソノテ?……なにが……」
遅れて二人の視線の先を見て理解する。
「ヌオッ!」
ばっと視線の先ーー手をつないだままの右手ーーを離……離そ……
「あの……手を離してモラエマセンカ?」
ブンブン振っても頑なにハルカは手を離してくれない。
「……嫌です!」
「うん?ええ!なんで!」
「全く……ユウキは女心というものが分かってないなあ!」
「僕をからかうのに自分が鈍感っていうのはどうなんですか?」
「な、なにが!」
***
「はい!バタフリー……なんとか……ガーメイル!」
「ピピヨンですよっ」
「ピピヨンか!……ピピヨンね!知ってる!美味しいよね!ピピヨン!」
「ピピヨン食べないでください!」
「……流石、ポケモンの知識は凄いですね」
「そうだなー」
「でもカロス地方のポケモンには疎いみたいだね」
「……でもそしたらフェアリータイp……いや、さすがにそれは知ってるわよ……ね?」
上から順に俺、ハルカ、俺、カルム、トロバ、ティエルノ、サナ、セレナだ。
なんか大所帯だが、俺は流れでミアレジムのジム戦に挑んでいる。現在はその道中なわけだが……
「ふっふっふ!俺にクイズを出そうという事が既に間違いなのだよ!」
「く……アタシのクイズがこうも簡単に!」
このジムはクイズに正解してミアレシティのシンボル兼ジムであるプリズムタワーを登って行くという内容になっている。
クイズの出題者はまだ幼いジムリーダーの妹。よく考えられてはいたが……まだまだ甘いぜ!
「ユリーカちゃん、カロス以外の問題なら絶対に答えられる自信があるけど……そろそろ負けを認めたらどうだい?」
「まだまだ!……では次の問題!……このシルエットのポケモンは何!」
「ほう三択をやめたか……なるほど…………ジーランス!」
「な!すごくマイナーなポケモンなのに!」
「残念だったな。その地方は俺の専売特許だ!」
「なんだってー!」
ふっ、勝った……
「そ、それじゃあ……ジムリーダーに案内します。でも負けたって認めたわけじゃないんだから!」
「良いツンデレだ!」
「もういいから……早く私達を案内して……」
「え?セレナなんで疲れてるの?」
「主に貴方の所為なのだけど!?」
いやー、楽しかった。しかし……俺のカロス地方の知らなさは致命的だ……早くなんとかしないと……
***
「この塔たっかいなー」
案内されたエレベーターの中から外の景色を覗く。結構な人数がいるからか少し揺れて上昇するエレベーターに少し怖くなった。
「落ちないよな」
「落ちませんよ」
「そうかな……もしかしたら簡単にころっと行っちゃうかもよ」
「やめてくださいよ」
「あと……手はいつになったら離してくれるの?」
「エレベーターが落ちたら危ないので離しません」
「そういえばこの二人ってどういう関係?」
「女性の方は名前すら聞いてなかったね」
「やっぱり彼女?」
「そうじゃないかな」
***
「それでは挑戦者ユウキとジムリーダーシトロンのジム戦を始めます。使用ポケモンは3体、ポケモンの交代は挑戦者のみとさせて頂きます」
「はいよー」
「ではユウキさん。よろしくお願いします」
「シトロンくんよろしく」
エレベーターを降りると待っていたのはユリーカちゃんの兄。ぐるぐるメガネくんもといシトロンくんだ。
今は流れで俺もやることになっているが、俺の前にはセレナとカルムが戦っていた。流石主人公な素晴らしい指示でジムリーダー相手に二人とも快勝してみせた。
で、俺もやることになった。
主にセレナの野郎が無理やり押し通したのだが……まだポケモンバトルのコツを完璧に掴めていない今、一日でジムリーダーと二人も戦えるのは良い経験だろう。
「あの……セレナさんとカルムさんと戦って、今僕の手持ちで一番強いポケモンしかいないのですが……ユウキさんバッジはいくつお持ちですか?」
「んー、9個かな?」
(((((ストレートにいった!?)))))
「え?……えーと冗談ですよね?」
「シトロンさん……この人本当に9個持ってます」
「僕たちより数十倍強いですよ……まあチャンp」
「カルムくぅぅん!それ以上はストップ!」
なるべくチャンピオンってことは言いふらさないで欲しい!
「じゃあ……よく分かりませんがバッジに合わせたバトルはしませんよ?」
ガチャガチャと音を立てて背中のリュックからアームが飛び出す。……と同時にシトロンの表情が引き締まった。
「シトロンくん……少し雰囲気変わったね。燃えてきた?」
「それは……少し。最近本気のバトルなんてご無沙汰でしたので」
「なるほど……じゃあこっちも張り切っていこう!」
「それでは……始め!」
「いけ!エモンガ!」
「頑張れ!ミロカロス」
「エモーン!」
「ミロォー!」
***
まあシトロンくんは驚いたことだろう。電気タイプに水タイプぶつけてくるんだから。
現在、シトロンくんの手持ちはフィールドに出ているジバコイル一体。対する俺はまだミロカロス一体だけしか使っていない。
「ミロカロスにそんな特性があったとは……」
「ジムリーダーでも他地方のポケモンは知らないか……《ふしぎなうろこ》、覚えておいた方がいいよ」
シトロンのエモンガは最初、いきなり【でんじは】をはなってきた。
「状態異常になると……打たれ強くなる特性がふしぎなうろこだ」
「お陰でボルトチェンジが全く聞かなくて……流石に硬すぎじゃないですかミロカロス」
「まあねー」
攻撃両刀ゴウカザルに続く防御両刀ミロカロス……これは流行る!
「……ジバコイル!ロックオン!」
「ん?……ミロカロス、ハイドロポンプ」
ロックオン……この局面で何の技が?
そんなジバコイルは【ロックオン】には成功したが【ハイドロポンプ】の直撃を受けてしまった。
「よく耐えた!でんじほう!!」
「あ、そう来るか……!!」
ロックオンにより必中になった【でんじほう】。【ハイドロポンプ】で隙が出来ていたミロカロスに相殺する暇もなく、正面から当たってしまった。
更に特性《ふしぎなうろこ》は物理防御を1.5倍にする効果であり、特殊防御はその限りではない。勿論ミロカロスはそんなこと屁でもない特殊耐久を持つが、流石に電気の効果抜群技を受け続けるのは厳しかったらしい。
あとそこ!ミロカロスにふしぎなうろこ?馬鹿じゃねえの?とか言わない!
「ミロー(すまない)」
「よくやってくれた!ありがとう!戻ってくれ」
いやー、流石ミロカロス。単純に強いし美しい。【でんじほう】の直撃を苦な顔一つせず耐え切る姿は外見的にも精神的にも美しいという一言に尽きる。
「ジムリーダー……やっぱり強いねえ」
「いえいえ……それよりも全力のジムリーダーを相手に一歩も引かない強さ……ユウキさんってもしかして……あのユウキさんですか?」
「あのってのは分からないけど……多分あってるかな?」
「そうですか……お噂は予々。海と陸を相手取った凄まじい方がホウエンのチャ」
「おっとー!それ以上はオフレコでお願いできる?……あんまり公にしたくないから」
「あ、すいません。そうとは知らず……」
「いいっていいって!」
ばれた。普通にばれた。
てかホウエンってセレナ曰く『田舎』らしいからあんまりチャンピオンも有名じゃないみたいだな。
まあ逆に好都合。エニシダさんに俺が《ユウキ》と認識された時点で俺が本物の『ホウエン地方チャンピオン・ユウキ』と確定した訳だし、カロス地方で他地方のチャンピオンが暴れるのは色々とよろしくないだろう。
「そんな感じで……続きと行きますか」
「はい!胸をお借りします!」
シトロンくん若いねえ。ふしぎなうろこを知らないことといい、幾ら実力が有るからってジムリーダーの年齢くらいは制限した方が良いんじゃないか?
「俺が愚痴ったってしょうがないか……おしっ」
次出すポケモンは……んー、まだお披露目してない奴でいこうかな。
一回手持ち全員のバトルは経験しておいたほうがいいだろう。いざって時に上手く指示が出せないと元も子もない。
「おっしゃ!鋼祭りじゃ!行けっボスゴドラ!」
「ボガァァァァァァァァ!!!!!」
お、おう……元気いっぱい。
「よろしくな」
「ボスァァァラァァ!(おう!よろしくな、旦那!)」
めくるめく鋼鉄の宴。
フィールドが鋼対決でごっつい。ゴツゴツメットもびっくりなくらい機械的というかなんというか……しいて言うならごっつい。
「いやーボスゴドラかっくいー!リアルゴジラだわ!」
「ボガァァァァァラァァ!(ありがとよっ!)」
男気溢れる背中。鋼鉄のボディ。荒々しい尻尾。真の通った雄叫びにも似た鳴き声。どれをとっても一流の『漢』と呼ぶに相応しい。
まあうちのボスゴドラ性別♀なんですけどね。
「さあ!姉御!やっちゃってくれ!」
「ボスガァァァァ!(おうよ!)」
「く、くるよジバコイル!」
「ジババババ!」
もう……ミロカロス(性別♂)とボスゴドラ(性別♀)は普通反対だよね……
ボスゴドラ姐さん……貴方を漢に産んでやりたかった!!!
「アイアンヘッド!」
「目一杯ためて……今だ!ジャイロボール!」
力と力のぶつかり合い。鋼の頭と高速回転した球体の激突。ギャリギャリと凄まじい金属音が響きわたった。
「もろはのずつき!」
「!……ジバコイル耐えてくれ!」
「ジバァァァ!」
「ボスゴォォォォ……」
ボスゴドラは頭上に岩と鋼の力を収束させる。諸刃という名の通り、防御に回していた力をも攻撃に回す……そんな感じだ。
特性は《いしあたま》の為反動ダメージはないがアレじゃあ防御が凄い心配になる。
「ドラァァァァァァアァァァァァァアアア!!!!!!」
ボスゴドラさん……あんた本当に女なんですかい?
……というツッコミが入りそうな雄叫びをあげたボスゴドラは回転中のジバコイルに頭を思い切りぶつけた。
「ジバッ!」
ジバコイルの回転が止まり地面に叩きつけられる。
「今だ!じしん!」
「しまった!」
「ドラァァァァァ!!」
ボスゴドラは素早い挙動で足を地面に振り下ろし、衝撃波を撒き散らす。同時に立っていられないほどの揺れが全体を襲った。
ーージバコイルも例外ではなく、4倍ダメージが直撃する。
「ジバ……」
ジバコイルの戦闘不能を知らせる審判ユリーカの声が響き、俺の二回目のジム戦は終了した。
後書き
昨日は忙しくて投稿出来なかっただけで忘れたとかそんなんじゃない。断じてッ!(言い訳
ページ上へ戻る