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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  最後の大戦(7)

「華琳!」

「助かったわ美空」

『本来であれば、ここで主人公の頬にビンタをしてからエーリカが久遠を攫われたと言うはずだったんでしょうけど』

『ここにはご主人様達が本堂にて、決着を付けようとしています。それに妖術か幻術のように、上空に立体映像を映し出したからだと』

「私達が駆けつけたら、・・・・見せ場全部御大将に持ってかれたけど・・・・」

「者共!どうやらラスボスが来たようだぜ!」

「らすぼす?何なのそれ・・・・地面が揺れている!?」

「ここで言うなら鬼の首魁とも言うべき言葉だ、地面から来るぞ!」

いきなり地震の揺れに、皆が皆、戦う事も忘れて地面に座るようにしている。蒼太達の横にて対峙していた鬼達がまるで浄化されたかみたいに、青白い光となって地面に染みるように消えていくがトレミーからだとラスボス級の鬼が出てくるようだった。大地の揺れが収まると、境内は静けさに包まれていた。

「雪連様!美空が来たようじゃが、この揺れはどうした事じゃっ!?」

「どうやら最大級の鬼が来るようだけど・・・・静けさと共に出てくるわよ!」

出て来たと思えば、最大級の鬼が出て来たのだった。それも大型ドウターよりも巨大な鬼がいた事で、激しく動揺する一真隊。

「お・・・・に・・・・っ!」

「何という大きさ何だあれは!」

「前回もいたよな?曹操」

「ああいたな。あの時は一真がやったけど、今回は俺達の出番がありそうだ」

蒼太の次に発したのは、前回来た事があるヴァーリ達だった。前回は一真の聖剣で浄化したが、今回はエーリカとの最終決戦の為に今も戦っているだろうがまだのようだった。鼓膜が破れそうな程の咆哮は、見えない衝撃波を発していたが夜叉となった足軽達は自らを守護結界のようにして主要武将を守ろうとしていた。地面から現れたラスボス級の鬼は、十メートルはある巨大鬼として獲物と見た俺らを見ながら地面から這い上がろうとしていた。

「皆の者、下がれ!下がれ!巨大鬼はいくら何でも無理があるから、今は下がるのだ!」

「美空達も下がって!このままだと丸太の腕を振るうみたいだから、全員下がるのよ!」

「巨大鬼付近にいる黒鮫隊は、攻撃しながら下がれ!援護射撃としてIS部隊は、動きながら牽制をしろ!」

「黒鮫隊と八咫烏隊もだ!撃ちまくれ!」

「う、うん!八咫烏隊じゃんじゃが撃ちまくれー!」

「・・・・(コクッ)」

銃器で牽制しつつも、鬼から距離を取りながらIS部隊による攻撃で散開していた。流石の夜叉でもこの大きさは、護法五神でも無理がある。なので八大夜叉大将らは、鶴翼の陣を布いてから次々と指示を飛ばすのだった。

『諸君、鶴翼を布いた後は剣や槍ではなく銃器による攻撃をするといい。あんなバカデカい鬼に対して出来る攻撃など、遠距離攻撃のみだと我らは思うのだがヴァーリや曹操はどう思う?』

「八大夜叉大将らよ、俺達も前回の外史でこのバカデカい鬼の対処法などは一真がやってくれたが今はいない。なので一真隊の組頭諸君は、しっかりと兵の統率を頼む!」

八大夜叉大将らとヴァーリ達の指示を聞いてから、剣や槍を持っていた夜叉達が現代兵器の銃器を持ち直して攻撃開始した。全軍の動揺は防げたので、巨大鬼を倒すには人間であるひよ達では倒せない事を知っている。

「流石は遠距離攻撃に特化した部隊とも言えるが、いくら何でもあんなバカデカい鬼の対処は余の手にも負えんぞ」

「あれが手に負えるとしたら、一真様が第二の御姿である黒鐵改を召喚すればいいのですが。今は本能寺本堂にて戦ってらっしゃるからか、同じくらいの巨人はいなさそうですなぁ・・・・」

「うむ。だが転じて見れば・・・・己の腕を試す良い機会であると言う見方もあるのではないか?」

「・・・・相変わらず無茶を仰いますが、ヴァーリ様達が良い見本となるでしょうがそれも良いですな」

「では行くぞ、幽!」

「お供仕る!」

一葉と幽が行ってしまったが、ヴァーリ達はそれぞれの神器の特性によって戦っている。大江戸チームは上空にいるから、攻撃しやすいが剣魂との連携でダメージを負っていた巨大鬼はすぐに回復してしまうスピードだった。

「歌夜、綾那らも行くですよ!」

「でも、流石にあんなのが相手じゃ勝ち目は・・・・。それに今は上空で戦っている吉音様達や奥方衆らで手が一杯なのではないのかしら?」

「勝ち目何て考えるからダメなのです!今やらなければならない事!あの鬼を倒す事、それに奥方衆も一真様の仲間も諦めていないのです!それだけを考えれば良いのですよ!」

「・・・・そうね。一真隊も綾那も。仲間達を守りながら戦っている黒神眷属の皆さんに夜叉の皆さま、一真隊だけでも私達が守ってみせる!」

「はっ!よーく言ったぜ優等生!それこそ武士ってもんだよなぁ!」

その声は!と後ろを見ると、森一家である夜叉達と森親子らが本能寺に到着したのだった。

「ここに到着前から、あのデカブツが目立っておったから間に合ってよかったのう。ガキ、ワシらも気合入れてあのデカブツをぶっ殺すぞ!」

「応よ!あのデカブツはオレが倒してみせてやるぜ!おらぁぁぁ!刎頸二十七宿(ふんけいにじゅうななしゅく)ぅぅ・・・・っ!!」

小夜叉がデカいライザーソードを振りかざしたのか、小夜叉は死んだと思っていた。

「ガキ!後ろに気を付けろ!その鬼はまだ死んでないぞっ!」

「・・・・へぇ。鬼の癖して、なかなか根性入ってんじゃねーか!なら徹底的にやってやらぁ!」

「ワシらも行くぞ!」

「余らも助太刀するぞ!」

「はっ!」

「行くですよ歌夜!」

「うん!」

そう言って森親子に歌夜と綾那、そして一葉と幽が攻撃をしていた。黒神眷属は静粛に様子見をしていたが、残った鬼はこのバカデカい鬼だけなので人間の力がどれ程なのかを見ていた。奥方衆筆頭である愛紗・華琳・雪蓮も、戦闘に加わりたいが今は八大夜叉大将も神召喚によって召喚された神仏や魔族も、今は様子見となった。

「これでどうだです・・・・っ!」

「あ・・・・」

「何でですーっ!?あれだけ沢山斬ったのに、もう傷が治る何てズルいですー!」

「むぅ・・・・これは厄介ですな」

「斬り捨てても斬り捨てても死なんとは、まるで夜叉か黒神の者も似たような感じじゃ」

『あの巨大鬼は、すぐに回復してしまう程な力を持っているという事だ。全夜叉達はそれぞれ配置につけ!聖なる攻撃により、巨大鬼を制裁してくれる』

夜叉達はそれぞれ配置についてから、神仏の力によって魔法陣攻撃により少しずつ悪を滅していた。だがそれだと間に合わないのか、松葉が言った。

「御大将」

「ええ、帝釈!毘沙門!ここにいる夜叉達の力を受け取ってから、もう一度よ!三昧耶曼荼羅(さまやまんだら)!・・・・これでどう!」

再び護法五神によるお家流を放つ美空だったが、先程よりもパワーも違う事に驚いた美空自身であった。何しろここには、人間を辞めた夜叉の神聖な力が美空を媒介してから集まってきた力なのだ。なのに強力版となった三昧耶曼荼羅(さまやまんだら)でも倒せない敵が目の前にいた。

「そんな・・・・神仏の力が通用しない何て・・・・」

「アイツ、体内にいくつ命を持ってるのよ・・・・!?」

「命とはどういう事じゃ?」

「手応えよ。夜叉達のお陰で先程よりも強力な三昧耶曼荼羅(さまやまんだら)で浄化した時、一万に近い命が御霊となって成仏していく手応えがあったの」

「恐らく、鬼と化した洛中の民達を合体させたものなのでしょうな。・・・・非道な」

「まだだ!俺達黒鮫隊が諦めるという辞書には載っていないんだよ!地上部隊は引き続き銃器で攻撃を、IS部隊は主にチャージ後に攻撃を頼む!奥方衆とヴァーリ様達も攻撃をお願い致します」

『了解!/お任せを!』

黒神眷属は黒鮫隊と八咫烏隊にも指示を飛ばして、アサルトライフルで弱点があるかどうかを確認しながら撃ち続ける。IS部隊はビームサーベルで斬り捨てていくが、すぐに再生されてしまう程の力を持っている。ヴァーリチームと英雄チームも攻撃をするが、力を温存させるために最小限の力で攻撃をしていた。

「お姉ちゃん、あの鬼の眉間、狙撃出来るー?」

「・・・・(コクッ)」

「なら黒鮫隊の者達もズバーンッとやっちゃってー」

「・・・・(コクッ)」

「了解した!狙撃班、デカブツの眉間を狙い撃て!」

烏と黒鮫隊狙撃班により、デカブツの眉間を狙撃した。

「どうだー!見たか、お姉ちゃんと黒鮫隊のお兄ちゃん達の腕前をーっ!」

そう叫んだが、やはり効果は無しだった。

「あーん!やっぱりダメだったー!」

「・・・・(ショボンッ)」

「諦めるな!銃器を持つ者は、撃って撃って撃ちまくれ!剣や槍を持っている夜叉達は、犠牲などなっていないが神聖な力は時限式となっている」

銃器を持つ黒鮫隊と八咫烏隊が持つ銃は、黒鮫隊から貸し与えた銃なので無限に近い弾薬がある。黒鮫隊の指揮を受けて、一真隊と八咫烏隊との連携でフルオートで撃ちまくった。ここには神仏もいるが、デカブツを倒せる者はヴァーリチームと英雄チームにいる者らだけだと知らない一真隊主要武将達。

「槍でも鉄砲でも、神様の力でもダメなの・・・・あの鬼さんを倒すのは不可能なの?」

「世に不可能何て事、ありませんわ!命がいくつもあると言うのなら、その命、全て刈り尽くすのみ!」

「へっ、珍しく意見が一致したなぁ、ちょろぎよぉ!」

「ふんっ!ちんくしゃ如きと同じとは片腹痛いですけれど、今は良しとしてあげますわ!」

「言うようになったのう、ガキに小娘!」

「本来なら一真からの説教を受けるが、利害が一致したのなら一真も許すだろうよ。殺んぞぉ、梅ぇ!」

「やりますわよ小夜叉!」

「余らも続くぞ!・・・・こうなれば総力戦じゃ!」

「ここが切所(せっしょ)ですな」

皆の力を合わせてと言うが、地中から空から次から次へと出てくるがそれに関しては大江戸チームの出番でもあった。黒神眷属にとっては、このくらいの数でも余裕であったが、一真隊主要武将と八咫烏隊は手が足りないのかピンチとなっていく。

不死身の巨大鬼と中小様々な鬼達だが、戦況は圧倒的に有利と見た雫であった。浅井衆も夜叉となったので、本来なら残り五百だが夜叉となった身は神聖な力により無傷となっていた。

「浅井衆も夜叉になったのか、無傷の状態というのは初めて見るかも」

「本来なら沢山の仲間が死んじゃったけど、まだ私達には光がある限り戦い続けるよまこっちゃん!」

「その通りだぜ!俺らは夜叉となった身だが、この命は浅井衆として守護する為でもあるからな!野郎共、鬼ども全殺しだー!」

『応!』

詩乃と雫は、本来だと軍師の知恵など役に立たないと思っているが夜叉となった足軽達に疲労を一切見せない黒神眷属。そして奥方衆も疲労など一切無しで、次々に出てくる鬼を抹殺していく。ただしヴァーリと曹操は力を温存する為、見ているだけしか出来ない状態でいたのだった。

「なあヴァーリ」

「何だ曹操」

「本来ならヤバそうな雰囲気と化するが、俺達の想いを一矢としたからそろそろ援軍が来る頃ではないのか?」

「そうだな・・・・それにあの巨大鬼を倒すのは今回のミッションであるからな」

その時、何かの音が聞こえたので一葉達は何事か?と思っていた。

「これは・・・・何の音じゃ」

「さて。トンビか鷹か。果たして・・・・」

「どうやら間に合ったようですね、小波さん」

「そのようね。思春も明命もちょうどいい時に来たようね」

「愛紗様・華琳様・雪連様!そして一真隊の皆さま、ただいまお味方をお連れ致しました!」

そのお味方については、前回行った黒神眷属は知っていたがそれ以外の者達は、誰が来たのかについては見てのお楽しみだった。

「旗掲げぇぇーーーーーっ!」

「甲信の覇者、武田衆推参なり!空に掲げるは、孫子が語りし風林火山の軍陣旗!」

「見よや鬼共!甲信の覇者の実力を!」

「武田衆先鋒!赤備えの山県たぁ、あたいの事!行くぜ者共突撃だぜーーーーーーーっ!」

黒神眷属は予想通りとなっていたので、手を止めていなかったが一真隊及びここにいる全衆は突然現れた武田衆により一真隊を取り囲む鬼達に向けてぶつかっていく。それを見た黒鮫隊及び八咫烏隊と一真隊の鉄砲部隊は、撃つのを止めてから道を通したのだった。今は援軍の力を見せて欲しいからな。

「前は粉雪と兎々に任せる!」

「任せておくのら!」

「心は主攻組の補給に専念せい!足軽全員夜叉となった事で、治療は必要ないだろう」

「はいっ!」

「お屋形様!今こそ武田家棟梁が力を!」

「・・・・(コクッ)大きいのは光璃がやる」

「やっと到着やろうか、ところで愛紗。一真はどこに行った?」

「ご主人様なら本能寺本堂に行って、エーリカとの決着をつけるそうだ。だから我らはここに残り、全ての鬼を倒すのが我らの任務だ」

「・・・・恋もそう思った。光璃はあの巨大鬼を倒せる?」

「・・・・(コクッ)あの巨大鬼は光璃が何とかするけど、恐らくヴァーリと曹操が力を温存している様子。光璃の役目は、あの巨大鬼の時間稼ぎをする事」

「時間稼ぎや倒すって言っても、あの鬼は不死身に近いわよ?どうやら洛中の民全ての命を持っているみたいなの」

光璃は大丈夫と一言発してから、手に持つ軍配を前に向ける。どうやら光璃のお家流である風林火山を使う様子だったので、夜叉達と神仏達は光璃に集まって力を分け与えた事によりいつもより数十倍の威力を放てると感じた光璃だった。

「其の疾きこと風の如く、其の徐かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、知りがたきこと陰の如く、動かざること山の如く、動くこと雷霆(らいてい)の如し。新羅三郎義光を祖とする甲斐源氏が嫡流、第十九代甲斐武田家当主、武田太郎光璃晴信が命ず。我が血に繋がる源氏の武者共よ。我が怨敵を蹂躙せよ」

光璃の周囲に現れた白く発光する武者達は、ここにいる夜叉となった者らと共に鬼達と戦いを繰り広げられていた。光璃のお家流と言う手があったという事を今更気付いた美空だったが、白くてぼんやりしているから幽霊に見えるがそれは違うと言っておくとしようか。

「一見すると白くてぼんやりとしているのは、まるで幽霊みたいんけどそれは違うんやろ?春日」

「はっ。霞の言う通り、あれは甲斐源氏の祖・新羅三郎に繋がる源氏の精霊でござるよ」

「死してなお、甲斐源氏を守護する為に、楯無に宿る源氏の精霊を、お屋形様が使役してるのら」

「それが源氏二十一流の一つ、甲斐源氏の嫡流(ちゃくりゅう)にだけ代々伝わるお家流なんです。そこに光璃様独自で習得した鼓舞のお家流であり、風林火山を掛け合わせた事で武田の象徴的とも言えるお家流」

心が解説している間、源氏の精霊達と合流を果たす為に八大夜叉大将らと真羅三郎義光は、互いの夜叉と精霊を連携させて次々と鬼に襲い掛かッて行く。これでしばらくは休憩出来るので、鉄砲部隊は下がらせてから剣や槍で戦う者らを前にした。

「ではこれより反撃と参ろうか!皆の衆!死力を尽くすは今ぞ!刀を構えろ槍を持て!この日の本を救う為、蓄うは今ぞ!死ねや(ともがら)!」

春日の檄に呼応するかのように、最前線の各所で雄叫びが上がる。雄叫びに後押しされるように、黒神眷属は休憩を終えてからそれぞれの武器を持ち突撃を再開をした。奥方衆魏呉蜀は、主に槍やショットガンと狙撃銃だったが、大江戸チームは刀と剣魂での連携プレイで次々と鬼を駆逐していく。

ヴァーリチームと英雄チームは、二刀流で戦うアーサーとジークによって強化体鬼とドウター化した鬼のみを倒して、普通の鬼のみをルフェイとゲオルグの転移魔法でそれぞれの衆にぶつける。

「ヴァーリ様!本堂に火が付いているです!」

「なるほど・・・・そろそろ一真もクライマックスという事か。だが心配するな、一真の味方は何も神仏だけじゃない。炎・風・水・地の精霊と通じているから、きっと炎は遅延しているだろう」

火を放った事で、今頃一真とエーリカは言葉と言葉のぶつかり合いを辞めてから剣と剣とのぶつかり合いとなっていた。目の前にそびえ立つ巨大鬼は、周囲を取り巻く鬼達が本堂にいる俺らの邪魔をさせないとしている。

「だがこのままでは一真も決着がつけないのであれば、俺達も動くとしようかヴァーリ?」

「ああ。だがいくら聖剣と聖槍で倒せるとしたら、それは禁手化をしなければならない。禁手化した俺は、巨大鬼を半減しつつ自分の糧にするが曹操は象宝(ハッティラタナ)で、足下に球体を置いて飛行能力を得ろ。居士宝(ガハパティラタナ)将軍宝(パリナーヤカラタナ)を合わせ持って攻撃をしていろ。覇輝(トゥルース・イデア)の呪文を言ってから、俺は巨大鬼をCompression Dividerで小さくさせるつもりだ。その間は・・・・一葉達に任せるがよろしいか?」

「うむ。・・・・幽よ」

「御意。お供仕ろう」

「・・・・余はまだ何も言ってはおらんが」

「ヴァーリ様と曹操様の力を温存させてから、露払いと仰るのでしょ?・・・・一葉様は前を向いて下さいませ。それがし、この命を賭けてそのお背中をお守り致す所存故」

「うむ。ではその命、余に捧げてもらおう」

「喜んで」

「ではヴァーリ様と曹操様よ。余が血路を開いている間に、あの巨大鬼を倒す事を任しても良いか?」

晴れ晴れとして微笑みを浮かべて、一葉が俺に言う。

「では俺もこれを使わせてもらう!槍よ、神を射貫く真なる聖槍よ 我が主に眠る神皇帝の力を吸い上げ、祝福と滅びの間を抉れ 汝よ、遺志を語りて、輝きと化せ!」

曹操が『覇輝(トゥルース・イデア)』の呪文を唱えた瞬間、ここにいた主要武将の疲労が一気に回復したと同時に片方に聖剣を持ち、片方に聖槍を天に向けて放たれる聖なるオーラ。ヴァーリも禁手化をしてから、白い全身鎧と化してから巨大鬼に触れないで半減を使ってみせた。

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!』

「さあ!俺らが準備している間は頼んだぞ!」

「そういう事なら綾那も行くですよ!」

「鞠も行ってくるの!」

「もちろんワシらもだ!」

「ちえ、母が先に言っちまったがオレも行かせてもらうぜ!」

「ハニーのお帰りを待つのであれば、全鬼が全滅するのがヴァーリ様と曹操様が進む使命ならば!蒲生衆、八咫烏隊、共にお供致しますわ!

「ご主人様は今も戦っておられるのならば、私はヴァーリ様と曹操様の準備が終える次第までお背中を守護します!」

「・・・・そうね。ここは越後と甲斐の方々にお任せして、私達は私達らしく行きましょう」

そう言う事なので、曹操は『覇輝(トゥルース・イデア)』発動後に禁手化である極夜なる天輪聖王の輝廻槍の容姿となってどんどん光のオーラが高まってゆく。これの制御は、今まで使った事がないが今使う時でもある。

元神シャルロットは拠点D×Dにいるからか、一部だけ呪文を変えてみせた。ヴァーリは巨大鬼から半減を使いながら、曹操に力の譲渡をする。これは本来だと使えなかったが、譲渡は元々赤龍帝しか使用可能であったが赤龍帝である一真から力を渡されたから使えたのだ。

「俺達の準備は何時でも出来るが、あの巨大鬼の隙を与えるべく頼んだぞ!一葉」

「承知した・・・・一真隊の力をここで見せるのじゃ!」

「一真隊所属鉄砲隊、八咫烏隊、共に準備完了ですわ」

「蜂須賀衆、大丈夫です!」

「木下衆、いつでもいけます!」

「「ワシら/オレもいける、いつでもな!」」

「鞠も大丈夫なの!」

「隙を突かせるのはお任せ下さい!」

「綾那、早く行きたいです!我慢出来ないです!」

「もう・・・・綾那の手綱はお任せを」

「いやはや。好んで死地に赴くとは、流石は一真隊は物好きが多い・・・・」

「物好きではなくて、一真様好きが多いのですよ」

「なるほど!言い得て妙。納得ですな」

一真隊各衆の準備は整ったから、ヴァーリチームと英雄チームの内二刀流使いであるアーサーとジークも行く事となった。ヘラクレスとジャンヌと美猴は、必殺技を編み出す所であるチームリーダーを守護するべく壁となる。魔法使いであるルフェイとゲオルグは、その他補助を任せる。奥方衆魏呉蜀は、上空に現れる鬼らを倒すべく金色の翼を展開してから次々と駆逐する。

『一真隊の指揮は、我ら八大夜叉大将らがお任せしよう』

『八大夜叉大将、今どうなっている?』

一応なのか、本能寺本堂で戦っている一真から念話が飛んできた。巨大鬼が出て来た事で、クライマックスだと告げると一言発言してからそちらは任せると言ったのだった。

『ではこれよりヴァーリ様と曹操様の合わせ技を放つべく、一真隊は巨大鬼と周辺の鬼を抹殺するべく突撃せよ!』

八大夜叉大将らの号令により、一真隊の皆が巨大鬼の隙を突かせるべく周辺の鬼を抹殺する事に専念した。鎧武者と鬼達の肉弾戦が繰り広げられる中、夜叉化となった足軽達はそれぞれの衆により攻撃方法を変化させたのだった。

「母の時代より幕府を支えて、はや幾年(いくとせ)。公方様のお背を守り奉り、鬼と戦う事になるとは些かも考えた事がありませんでしたなぁ」

「ならば予想と違った今がある事を、ここにおる神仏にでも感謝せんといかんな」

「感謝ねぇ。・・・・まぁ畳の上で愚物を相手にするよりは、余程楽しくはありますが」

「であろう?余も楽しいぞ、幽」

「それは何より」

「この楽しさはな。二条の狭き囲いから連れ出してくれた神仏の頂点とも言う主様が与えてくれたものなのじゃ」

「そのたった二畳の床の間を守るのは、存外に骨が折れましたからなぁ・・・・」

「じゃが今はもう、幕臣でもなく公方でもない。足利一葉と細川幽であろう?余はな。楽しい。今、生きているのだと実感する。二畳の床の間に座っている時は、生きているのではなく、生かされているだけであった。だから余は、この楽しい時間がずっと続けば良いと願っている。そして・・・・この楽しさを与えてくれた主様に命をかけて恩返しをしたい」

一葉と幽は、話しながらであったが一閃一閃斬り捨てながら楽しく話していた。俺と曹操は上空にて、待機しているが巨大鬼を攻撃しているのは黒鮫隊とIS部隊だ。周辺にいる鬼はそれぞれの衆にお任せ状態となった。

「・・・・だから幽よ」

「はっ」

「・・・・幕府の事何ぞ、この戦いが終われば余らは脱出するだろう。だから存分に楽しもうではないか」

「やれやれ・・・・長々と何を仰るのかと思えば。人の半生をよくもまぁ、そんなに気軽に否定なされるものです」

「じゃが幽も楽しいのであろう?」

「・・・・そ、そんな事ないんだからね!」

何かツンデレのように聞こえたので、一葉は質問をしたらツンデレをしたとの事。ツンデレは華琳と美空だけで充分だと、一真も思うだろうよ。ツンデレについては置いておくが、好きな性格だと言う者にとっては好きな相手を一発で落とせる態度。

そしたら我が友である幽と我が君である一葉は、背中を任してお家流を放とうと準備していたのだったが俺達は前回行っているので愛紗達もいよいよかと待っていた。

「友共よ!これより鬼に一撃を加える!須弥山の周りに四大州。その周りに九山八海。その上は色界、下は風輪までを一世界として、千で小千世界、その千で中千世界、更に千で大千世界。全てを称して三千大千世界、通称・三千世界と言う。余の知る所の刀剣よ。余の知らぬ所の秋水(しゅうすい)よ。存在しながら実在せぬ、幻の如き宝刀よ。今、その存在を星天の下に顕現させ、余と余の仲間の為、存分に働いてみせい」

そう言うと召喚してきたのは、現在愛紗達が持っている剣や槍に鎌が出て来た事で流石の一葉でも驚いた。そして戦っている奥方衆魏呉蜀も、それを見たが手に持っているのであれは当時持っていた武器であると確信したのだった。

「おやおや・・・・存在しながら実在せぬ刀であるのに、これは奥方衆魏呉蜀の王や家臣が持っていた物が来たのか。まあそこで戦っている雪蓮様も驚いている様子じゃがな、今は余が命じる。青龍偃月刀よ。南海覇王よ、絶よ、靖王伝家よ。方天画戟よ。仲間が倒すべく隙を見つける為にも、助力を頼む。見よや鬼共!主様を想う、余らの力を!三千世界!」

一葉の放った刀達は、現在ここにいる愛紗達が持っている得物だった。その得物がまるで鬼共を弱らせるために薙ぎ払うようにしていくが、その得物を持つ所有者達は何故ここで召喚されたのだろう?と疑問で一杯だった。

「愛紗、あれを見て!?私達の得物が、一葉のお家流によって召喚されたわ!」

「本当だ。確か三千世界と言ったが、私らが持っているこの槍が召喚されるとは」

「恐らくだけど、本来だったら召喚されるようにしてあったんじゃないの?それより今は周辺にいる鬼を蹂躙するわよ!」

「桃香お姉ちゃんの剣まで召喚された何て、鈴々もとても驚いたのだ!」

『私もだよ!まさか私の剣が召喚される何て驚きだよー!』

隙を見た綾那と歌夜達は、左右に豪槍が繰り出される度に鬼は紙切れのように切断されていく。ホラー映画のようになっていた・・・・と現代人ならばそう感想を言うだろうが、今は弱らせてから俺達の一撃を加えるだけだ。

軽い槍を繰り出しながら、綾那は飛ぶようにして地面を駆けて行く。その背後から歌夜の気合いが聞こえてくるが、追いすがって来る鬼達を振り向きながら斬り捨てていく。

「前方に鬼の集団を確認した!烏に雀と梅よ、味方に当たらないよう注意しながら援護射撃だ!」

「簡単に言うけど、今の雀達ならば簡単に撃てるんだよー!今持っている鉄砲は、今まで使っていた物じゃないんだから!」

「・・・・・」

「そうだねー。お兄ちゃんが早めに銃を貸してくれたお陰だね!」

「・・・・(コクッ)」

綾那と歌夜達が必死になって、鬼らの数を駆逐しながら動く。そしていよいよ俺達の出番となったので、信号弾と共にヴァーリと曹操の準備が完了した。

「行くぞ!聖剣と聖槍とのコラボレーションだ!」

「巨大鬼よ、これより滅殺してくれるわ!」

そう言いながらヴァーリと曹操が持つ剣と槍が融合を果たしてから、一本の剣と化した。それを持つヴァーリと曹操は、片方の手で持ちながら今まで半減してきたのをこの剣に譲渡した。

『Dividen Transfer!』

「俺が今まで巨大鬼の力を半分にし、半分にした力を自分のものにする事が出来る為、常に最大レベルの力を維持可能。余剰な力は翼から排出するが、今は排出されないでこの剣に吸収され続けるのみ!」

「俺達黒神眷属は、創造神黒鐵様を中心とした眷属であり、本能寺本堂で戦っている一真の力を感じる。これが俺達の力だ!」

巨大鬼の頭から、剣を入れての一刀両断。斬り下ろしながらと同時に覇輝の力が浄化の力となり発動した事で、創造神黒鐵の意志により無実なる者の命を黄泉路に送る白い光を見た。

巨大鬼が消滅と共に、周辺にいた鬼共も消滅していくので黒神眷属は本堂を消火後に代表者数名だけで本能寺本堂に入った。夜闇の帳の降りた本堂内は、薄暗いはずなのに、目の前にはめらめらと炎が立ち上がり徐々に崩れ始めていた。 
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