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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  最後の大戦(6)

「・・・・??何の音よ、これ?」

「・・・・!!御大将、空・・・・!」

「なっ!?あ、あれは・・・・っ!」

美空が空を見上げた瞬間、武田衆も空を見上げていた。

「お屋形様ぁーっ!空を見るんだぜ!」

「な・・・・あ、あれは何だ・・・・っ!?」

「・・・・一真!」

恋達は空にある立体映像を見ていたが、まだ大丈夫そうだったので通信機で聞いていた。久遠達と奥方衆呉は空を見上げていた所だった。

「あれ?ねぇ和奏ちん。あれ、何かなー?」

「何だよ、空なんて指して・・・・って、何だありゃ!」

「どうした?」

「久遠様、空が!」

「あれは一真様だよ、久遠様!」

「一真さんが鬼に囲まれながらも、余裕見せている様子が映っている・・・・これは戦艦で見せた映像なのかな?」

「そんな事より、一真はともかくとしてマズそうな雰囲気なんじゃね?綾那達もかなり疲れてるように見えるぞ」

「うん、それに鬼の数がめちゃくちゃ多いよ。早く助けに行かないと!」

「ああ・・・・急ぐぞ、三若に雪蓮!」

「ええ」

雪連達はトレミーからの報告だと疲弊はしているが、まだ問題は無いと言っていた事で安心しきっているが久遠達はまだ見ぬ鬼の数を見て早く行こうとしていた。俺らは空にて、エーリカによる映像が流れていると知るとしても剣を振り続けた。その結果、大量の鬼を排除しているが、その強さに付いていけてない一葉達であった。

「一葉に一真隊の者、大丈夫か?」

「何とか大丈夫じゃ、流石に主様みたいに余裕では無いじゃの」

「ハニーもそうですが、黒神眷属の皆さまはまだまだ元気そうですわね」

そう言っているとまた出て来たと思えば、剣に風を纏わせて風刃の舞を喰らわせたが一真隊主要武将らはキリが無いと嘆いていた。

「また出て来たですー!」

「ですがご主人様達は、余裕がまだあるようですが一体どこからその余裕があるのでしょうか?私達だけだったら、キリが無いと思うのですが」

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・いい加減疲れてきたわね」

「およそ二千は倒しているはずなのに、まだ千程度はおりますなぁ・・・・と言っている間にまた五十は増えましたが一真様達はとても余裕に見えますなぁ」

「一真隊、浅井衆、共に兵は無傷であり、夜叉となったのかまだまだ元気ではあります。ですが、我々は人間のままなので疲れは見えてきていますね。敵は増え続けていますが、私達だけだととてもマズイ状況となっていましたね、詩乃」

「ええ。ですが・・・・可笑しい」

詩乃が可笑しいと言いながらも、黒神眷属は余裕振りを見せながら聖剣や神器で屠っている所を見ていた。俺もまだまだ剣を振り続けているし、夜叉となった足軽達も自ら前に出て刀を振り続けていた。無限に増える鬼ではあるが、こちらも無傷のままの味方であり我らを殲滅するのであるのなら、絶好の機会とされているが動く気配すら無いと言っていた。

「一真、恐らく詩乃はこう考えていると思うぜ」

「俺達を疲れさせるのが目的だとしても、お前にとってはどうなのだ?エーリカ」

「簡単な事です。そして・・・・それが私の大願成就の布石となる。ほら・・・・聞こえてきませんか?」

「聞こえると言うのは、山門の向こうにいる俺らの仲間。洛中にてこの本能寺に集って来る音、この物語の幕を下ろす為の名を持つ登場人物の足音が。と言う事だ、そろそろ俺らの決着が第二ステージに上がったようだ」

境内に鳴り響く鈍い音と共に、閉ざされていた山門が破壊された。それと共に奏が合流した事と奥方衆呉も無事に合流出来たようだったが、先頭は三若達だった。

「一真!」

「一真様!」

「一真さん!」

「和奏、犬子、雛か。それと・・・・」

「待たせたな一真!」

「久遠が来たのか・・・・まずいな」

俺の姿を見つけた久遠が、駆け寄ろうと地面を蹴った瞬間だった。

「これで全てのピースが揃いました。では始めましょうか、明智十兵衛光秀という名が求められた役割でありながら、貴方を倒す役割を」

「役者が揃った訳だが、そうはさせねえよっ!」

空に浮かび、俺達を見下ろしていたエーリカの姿が消えたと思ったら俺に駆け寄ろうとした久遠の目の前に姿が現れた。

「・・・・やはり邪魔をされましたか」

久遠が気絶させられそうになった時、ラードゥンの結界によって守られた事で空振りとなった。そして何度攻撃をしようとしても、結界や障壁によって守護されているので失敗に終わった。

「お前が連れて行かなくとも、俺らが直々に本能寺内で決着をつけようじゃないか!」

「貴女の言う終幕の舞台に上がらせてもらうわよ、悪しき魂を持つ者よ」

「奏さん!終幕の舞台とは何だ?」

「織斑一真・・・・貴方というイレギュラーな存在が、この物語で担う役割があるように私にも担う役割がある。織田信長という鍵を手に入れそこないましたが、貴方の言う通りにして割り振られた役割を果たす時が来たようですね」

「戦国時代にて、勢力を広げていた織田を襲った悲劇とも言うが、戦乱の歴史を統一に向けて加速させた回天の叛乱劇。敵は本能寺に在り、大願成就の時は来たであろうが俺対エーリカの戦いを見守る為には、妻と妾である奏と久遠で行く。黒神眷属、俺ら三人は本能寺の境内に行くんであとはよろしく頼む。行くぞ!」

そう言って俺ら三人は本能寺の境内にて、鬼で埋まるが光の刃で屠って道を進みながら本能寺に到着。外にいる鬼共は、仲間達に託した事でヴァーリ達は準備運動を終えてから本番に入ろうとしていた。

「という訳で、今から黒神眷属は各チームリーダーによって動く。あの鬼らは足止めのつもりだろうが、俺達には効かないのでな」

「何故そうまでして、簡単に屠れる力があるのですか?それとエーリカの目的とは、一真様は何故久遠様と一緒に行かれたのですか?」

「それは簡単な話だ。私達は歴史を知っているし、明智光秀という名は謀反を起こした者で、本能寺にて織田信長を討った武士の名である」

「なるほど、それで主様は本能寺で決着をつけると言ったのじゃな」

「史実の明智光秀の役割を果たすようでしたが、誤算がありました。それがご主人様がいる事によってと、私達がいる事です」

正史の流れで言うなら、外史での自分の役割については知っている。かつて恋姫外史には、世界の異物として倒れる事があった北郷一刀。世界の異物として、最後は役割を果たしてから消え去った時もあった。正史は俺らが知っている歴史ならば、外史は並行世界とも言っていい。

「なるほど、ならば私達は一真様が無事に決着がつくまでここにいる鬼を排除する事を目的だと言いたいのですね。冥琳様」

「そうだ。なので撤退戦など考えずにして、我らの夫が帰ってくるまでに鬼共全て殲滅する事が我らの宿願!」

「それで一真様は・・・・そうですよね!一真様は皆のモノであり、皆は一真様の為に戦っています!」

「ハニーが決着付くまでに、私達の主が無事に戻ってくるまでに!良いですわね、皆さん!」

「応!」

「俺達天下に名高い一真隊であり、我らの主となった黒鐵様の槍であり夜叉となった事で不老不死になったのですからな!」

「俺達の大将は決して負ける所など見た事はないが、信じる心があるからこそ夜叉になれたんだ。一生ついて行くつもりでさ!」

『よく言ったぞ、人間から夜叉になった者達よ』

突然聞かない声が聞こえたと思ったら、鬼で群がっていた場所にて八大夜叉大将らが登場した事で驚く一同。それと元々いた夜叉五千もいたが、十羅刹女に金剛力士と阿修羅と死神にオークや神召喚により召喚された神界と冥界にいる者らで埋め付くされた。

「一真隊、一真らは本能寺の本堂にいるが心配するな。どんなに敵が増えようともっ!」

「私達の魔法もありますが、聖なる力を持つ我らにとっては撫でるように殺す事も可能」

「本堂は近いようで遠いですが、今は一真様達を信じましょう」

「ここからは私達奥方衆の真価が発揮するようよ、華琳」

「ええ。私達の力を見せないとここにいる意味がないし、三千とか三万いたとしても洛中の民が鬼となっていたとしてもそれを浄化出来る事が可能」

「我らご主人様の槍であれば、鬼が十万いたとしても今までの鍛錬での賜物を後輩である者達に見せてやる事のようだ」

奥方衆魏呉蜀が集結し、大江戸チームは上空に出てくる鬼を殲滅中。食えない都であったとしても、それ程の人が集まったという事だ。食い扶持を稼ぐ方法はいくらでもあるが、食えない公家とそれに連なる者ぐらいだろう。一真隊の鉄砲隊と黒鮫隊が集結して、一真隊はそれぞれやる事を決めてから本当の決戦に挑む事となった。

「奥方衆魏呉蜀と各衆が戦っている間、斬り漏らした鬼は私と綾那で後方まで来られないようにしておきます。もし突破されたとしても、打撃力の高い浅井衆の皆さんと黒鮫隊と梅さんの鉄砲隊で何とかなるでしょう」

「私ところちゃんの二人は後方指揮、鞠ちゃんは私達の護衛をお願いね!」

「任せてなの!」

「ならば余は綾那達と共に斬り漏らした鬼を捌いておこうじゃないか。・・・・未来の旦那様を迎える為にはこの鬼らを全て屠らればならん」

「自分が暴れたいだけでしょうに。・・・・はぁ、仕方がありませんな。それがしもお供致しましょうが、既に斬り漏らした鬼らが地中から出てきましたな」

「うむ。では共に舞おうぞ」

そう言いながら行ってしまった幽だが、奥方衆魏呉蜀と各チームである黒神眷属が大量の鬼を捌いている時に鬼が壁となって視認出来なくなった。地中から出て来た鬼共を一葉達が斬りかかっていた。密集する鬼に臆する事なく斬りかかり、次々と撫で斬りにしていく一葉達の活躍で、まだまだ余裕そうだった一真隊夜叉達の面々。

『ではこれよりここにいる全夜叉共は、我ら八大夜叉大将の指揮下に入ってもらうがよろしいか?』

『応!』

『先輩夜叉と共に先鋒黒神眷属と四人が打ち込んでクサビを広げるのは、浅井衆であるが我らに任せても良いか?浅井殿』

「あ、はい。既に夜叉となってしまってますが、僕らの兵達である事には代わりません。夜叉となった者らの力を僕らに見せてもらいたい」

「とっつげきーーーーーー!」

『それは我らの台詞だがまあいいか・・・・では行くぞ夜叉となった者達よ。先輩夜叉に続け!』

『それじゃ俺達も行きますか』

『そうね。私達がここにいるのも、創造神様が神召喚したのだから』

先鋒黒神眷属で斬り込んでから、一真隊らの目の前にいる鬼を四人で斬り込んで行く。その後ろから浅井衆=八大夜叉大将の指揮下に入った夜叉達が追い打ちを掛けて行った。突然の反撃に戸惑いも無く鬼は威嚇の咆哮を上げて、兵達の前に立ちはだかる。

「行くぜ行くぜ行くぜ行くぜ!」←浅井衆兼夜叉衆

「貧弱すぎて、笑ってしまうぜ!」←浅井衆兼夜叉衆

上の二人は元浅井衆で今は八大夜叉大将の指揮下だが、それでも元人間からのスペックは大違いな程であった。斬られても痛みも無ければ、邪な鬼共に駆逐されたとしても聖なる力ですぐに復活する。

「黒神眷属と先鋒と八大夜叉大将の指揮下に入った夜叉衆の後に続きます!八咫烏隊と黒鮫隊で、火力を集中して下さい!」

「黒鮫隊と八咫烏隊がいるので、包囲はされません。近距離では鉄砲は無意味とされますが、今持っているのは零距離でも撃てるはずです!」

「さて我らが出来る事は、ここに残っている夜叉達の指示か」

「私達軍師と回復組である桃香達を守るのは、IS部隊である桜花さん達ですね」

一方俺らは本堂に入ったら、エーリカと俺と奏に久遠は距離を取っていた。久遠には簡単に伝えるが、ここは本来ならば織田久遠信長が討たれた場所であり俺達は歴史として知っている場所。いくら信長が生き延びようとしても、正史での信長も生き延びたいと思ったに違いない。

「さてと・・・・俺は前回ここでお前を滅んだ場所とも言えるな。あの時は燃えていたが、今はどうなんだ?」

「明智光秀という存在について考えると、果たして正史の光秀は何を思ったのでしょう。光秀は信長を弑したのか、信長はどのような思いで光秀の刃をその身に受けたのでしょう」

「どういう事だ一真?」

「天正十年、丁度今頃の季節にな。明智光秀は主君であった織田信長を本能寺にて弑逆したが、後の世にて本能寺の変と呼ばれている事件。天下統一を目前とした織田家分裂のきっかけともなった。ま、御家騒動の時、羽柴秀吉・・・・今で言うならひよの事だ。頭角を表した事で、信長の勢力を取り込んでから後継者と目された柴田勝家である壬月と衝突。世に言う賤ヶ岳の戦いの後、壬月を北之庄城にて切腹に追い込んで織田の勢力継承を完了し、やがて天下統一していく事となる」

「そうね。天下もだけど、やがて徳川家康によって奪われて、江戸を中心とした幕府政治が続く。まあその幕府も数百年後に倒れて、明治維新となり・・・・そして私達がいる現代へと続いたいく事。それが正史であり、今この偽りの歴史物語を外史と言い、読み進める者達が居る世界での正統な歴史の流れ。正統は正統であり、贋物は贋物なのでどちらが是でどちらが非なのかに関しての対比は意味は無い」

「俺達は外史の住人では無いが、お前は外史の住人として正史とは異なる流れを持つこの世界において、正史の役割を持ったただの道化。ここは贋物の歴史でもあり、道化を演じる久遠もその一人。明智光秀と織田信長のどちらかが偽りの歴史より退場となる事が、この外史における運命だとお前は語りたいのだろう。だがここも創られた外史であり、前回葬ったはずの悪しき魂とゼットン化した事により、今ここで決着の場ともなりうるだろう」

「・・・・エーリカは本来ならば、一真の命が目的ではなかったと言いたいのか?」

「俺は外史の先導者であり、基点であり終点でもある、如何なる事があっても、役目から解放される事は無いが俺は自分でここに来た事により物語がまるで書き換えられたようだ。ま、俺は最初からお前が前回葬ったはずのだとは気付いていた。鬼を引き寄せる力に目覚めた為、翻弄されては終幕の舞台に奏と久遠を連れてきた。二人は語り部となるが、俺対エーリカの対戦をいつまでも語ってくれるだろう」

「一真は主役であり狂言回しではありません。流れに抗おうとした事で、解放されるのは貴女か久遠のどちらかだけだと言いたいのでしょうけど。どうやら本能寺の変みたいになっていますね」

エーリカが指を鳴らすと本能寺が燃え上がったが、俺らは光秀が攻めてきた時に火矢を放ち門を封じてから総攻撃をした事。信長が逃げないようにして、打ち漏らさないようにしていたが、俺らの戦いは言葉と言葉がぶつかるようにしてから剣と剣がぶつかり合う。終幕は本能寺は焔に包まれないといけないだが、炎の精霊によって燃えるのを遅延するように指示を出した。

「ここからは俺の喧嘩だ、どこからでも掛かって来い!」

「それでは行きますよ。私対貴方、どちらかが滅ぶまで鬼は増え続けるでしょう」

「言葉のぶつかり合いはお終いだ、ここからは剣技の腕と悪しき力によってお前の精神世界に侵入する事が第一目標だ」

「やってみなさい。前回は簡単に葬られましたが、今回は上手くいかないように空間切断という力を抑える事で私には効果がありません」

「だったらやってみるさ!」

奏は燃え上がる炎を中和する為、自分の持ち味である炎による防御方法で守護していた。ここで時間を巻き戻すが、黒神眷属はそれぞれのチームで屠っていたがいくら強化体鬼でもドウター化した鬼でもヴァーリ達には斬れるのだから。やっと視認出来るようになったので、もう一回ルフェイとゲオルグによるビッグバンで周辺一帯を屠ってから綾那達と合流を果たした。

「ほらほら、もっと掛かってくるですよー!」

「もう、綾那ったら遊びじゃないんだからね?」

「分かってるです!でも綾那、楽しくて仕方が無いです!この一撃の為に生きてるーって思うです!」

「何だかウチのお父さんみたい。お酒を呑む時に、似たようなセリフを仰ってるわ」

「と何だか囲まれているようだから、来てみたがいつもより力が増しているとは思わないか?」

「ヴァーリ様、そういえばいつも振る槍が何だか軽くなっているように思えます」

「綾那もです!」

綾那と歌夜は無意識だったそうだが、ヴァーリからの指摘にそう感じたと思った。これは今まで一真による指導の賜物であり、無駄な動きと槍捌きを捨てた事による軽い動きになったからだ。奥方衆魏呉蜀については、本堂前で暴れているが危機感を感じないのでヴァーリチームと英雄チームが下がってきたようだった。

ここで綾那は背中を預ける事を一真に言えば喜ぶという話題になったが、歌夜は恥ずかしいとな。あれだけ夜の営みは凄いのにどの口言うとかだったが、ヴァーリ達は聞かないフリをしていた。

「そういう事は俺らが居ない所で言った方が、一真は喜ぶと思うんだが」

「歌夜も綾那も大胆なのか恥ずかしがり屋なのかはどっちでもいいから、今は目の前の事を集中しろ!」

「はいなのです!」

「あ、おい!単騎駆けは駄目だとあれ程言ったのに、歌夜は綾那を頼む」

「承知しました」

ヘラクレスが歌夜に指示を出しながら、一葉は笑いながら戦っていた。今まで暴れていなかったのか、それはそれは笑いながら鬼を抹殺していた。それは幽も同じであり、二人は今までのストレス解消に鬼を斬って斬って斬りまくり。

「ふははははははっ!はーっはっはっはっ!」

「ふふふふふふふ、ふーふっふっふっふっ!」

「血湧き肉躍る!まさに今、余は生きておる!生きておるぞー!」

「いやはや、たまにはこうやって運動するのも楽しいものですなぁ。おや一葉様、右手に足軽大将らしき鬼が・・・・」

「その命、余が貰ったーっ!」

言葉と言葉との話し合いながら、足軽大将らしき鬼を斬り殺した。ホントは組頭ぽい鬼だったが、曹操達が援軍に行かなくとも大丈夫だろうと判断して他の方に行った。今の二人に何を言っても無意味だからだ。

「お見事で在らせられる!相変わらずな技の冴え、鹿島新当流の極みですな!」

「うむ!フンッ!次の獲物はどこじゃーっ!」

「・・・・やれやれ。一真様らが本堂にて戦いを案じ、胸が痛んでおられるのにそれを必死に隠しておられる。己が焦れば、その焦りが本堂にて戦ってらっしゃる一真様の心配と考えられるのであろう。素直ではありませんなぁ・・・・」

「やはり幽は気付いていたか、まああれは照れ隠しなのではないのか?」

「はーっはっはっはっはっ!・・・・ふふふふふふふふっ!はーっはっはっはっはっ!」

「その様ではありますが、ここは素直ではないという事にしておきますか?アーサー様」

「その様子ではありますが、倒せど倒せど鬼の数は減らない一方ではあります。本来であれば状況は余り良くないと思いますが、私らが持っている聖剣にて葬っているので大丈夫かと」

「そのようですな。早めではありますが、越後の龍と甲斐の虎が早く来てほしい所ですが今どの辺りに?」

「本能寺付近にはいませんが、大丈夫ですよ。小波さん並みに諜報を得意とする者がおりますから、今は目の前を片付けましょうか。私が持つ聖剣二刀流にて・・・・」

一方小波と思春と明命は、物見に出ていたが三人とも合流をして互いが持つ情報を共有していた。周囲に鬼の影が無い事で、洛中の鬼は何らかの力か方法で本能寺に集まって居る様子だった。土中を通ってか、一真みたいに空間を歪ませて空間移動でもしているのか?

「ふむ・・・・小波と明命の情報だとしても、この状況は幸運に見える。洛中に鬼がいないのであれば、援軍到着も早くなるだろう」

「ですが本能寺本堂ではご主人様達が戦っていますが、私らにしか出来ない事をするしかありませんね」

「そうですね。周囲の索敵と援軍がどの辺りにいるかは、戦艦に任してありますから私達が出来る事は援軍を先導という大事な任務ですね。では行きましょう!」

という事で諜報組である思春と明命に小波はそれぞれのお役目を果たす為に動いたのだった。

「御大将、前方に本能寺。硝煙が凄い」

「分かってる!・・・・一真らは本能寺本堂にて決着をするのならば、私達は本能寺境内にいる鬼を倒す事。頼むから間に合って・・・・!」

「甘粕衆、本陣先手を務める。境内に突入後は、脇目も振らず鬼のぶち殺しを始める」

『応っ!』←甘粕衆兼夜叉衆

「・・・・御大将はすぐに一真隊の側に」

「ええ・・・・頼むわよ、松葉」

「・・・・(コクッ)」

本能寺内では、一通り戦い終えた者達と休憩するために一真隊と合流を果たした綾那と歌夜。槍も血錆となりそうだったし、まだ綾那と歌夜は愛紗達のように休憩無しには無理な領域だからである。ヴァーリチームと英雄チームには、それぞれに魔法使いがいてルフェイとゲオルグによって回復される。このぐらいの疲労を感じる事はまず無いからだ。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・ただいまですー!」

「さ、流石に疲れましたが黒神眷属の皆さまは疲労を見せないので不思議です・・・・」

「お帰りなさい!すぐに武具の手入れとお水を用意しますね!」

「綾那、一葉達はどこなの?」

「まだ前線にいるですけど、もっと凄いのは奥方衆とヴァーリ衆と英雄衆が凄いですー!鬼が近付く事も出来ないですし、休憩無しであんなに動き回る事が出来るのはいくら綾那でも無理ですー」

「一葉様のお力は重々承知していましたし、幽さんも思いの外お強くて驚きましたがもっと凄いのは二刀流にて振り続けているアーサーさんとジークさんですね」

「綾那、あのお姉さんの事、一葉様の腰巾着と思ってたです。ちょっとだけ見直したですよ」

「いつもは猫を被っているだけですわ。ああ見えて、幽さんは武闘派として立派な経歴をお持ちですからね。噂では、道ばたに眠る牛の角を掴んで放り投げたとか。・・・・化け物じみた膂力ですわ。まあそれよりお強いのが奥方衆筆頭である愛紗さん、華琳さん、雪蓮さんでしょうしその上がハニーですから」

「お水、持ってきました!」

奥方衆とヴァーリ達と曹操らが聞いているとは知らない内に、剣を持ちながら飲み物を飲んでいたり軽食を食べながら拳を出していたクロウ達だった。強者は片手に得物を持ちながら、飲食出来るような強さだからだ。綾那と歌夜は水を飲んでから、落ち着いた所でもう一度行く所であった。

「後方!鬼達が増え続けているので、このままでは破られてしまいます!」

「では俺達黒鮫隊が行くから、それで何とか援軍が来るまで持たせるとしようか」

「蒼太さん、頼みましたわ!」

左右は黒鮫隊IS部隊で支えていたが、鬼の増殖速度に追いついていないようだったので後方に回る黒鮫隊の諸君。そんで一真隊の士気が下がるが、夜叉となった足軽達は剣や槍で対抗して陣形を整える。

「皆の者、俺達には無限の弾があるから、例え突破されたとしても何とかするのが俺達の仕事だ」

「私達も少数ではありますが、左右と前方の鬼はお任せを」

「黒鮫隊に負けじと行きますわよ!」

そうしてアサルトライフルで撃ちまくる貫通弾によって、縦にいた鬼の列ごと葬ったのでそのまま後方は貫通弾で行く事とする。左右と前方は味方もいるので、一真隊主要武将の背後には必ず一人か二人守護している。隊列も乱れてないので、俺達も凄いが夜叉達による統率も見事だと言いたい。

「・・・・黒鮫隊もですが、限界というのを感じないのでしょうか」

「敵は相変わらずの三千強。対してこちらも時が過ぎても人数が減らないままとなっておりますから、これも一真様が足軽達を夜叉へと生まれ変わらせたお陰であります」

「あれは何だ?」

「どうやら援軍の到着のようですが、丸の内に万の字・・・・あれは甘粕衆!」

「援軍が来た!ころちゃん援軍が来たよ!」

「うん・・・・うん!良かった・・・・!」

「安堵はあとにしろ!旗本衆は後方に、甘粕衆と連携し鬼達を挟撃するぞ!」

「任せろ!」

「蜂須賀衆、今が踏ん張り所だよ!夜叉となった身でありながらも、新たな力を私に見せて!いっけー!」

「ころちゃん達を助けるよ!弓隊と黒鮫隊は斉射ー!」

「後方の鬼が崩れた!今が好機!」

黒鮫隊との連携により、甘粕衆は本能寺境内に入った所で鬼を葬り去る。そして前回の外史でも聞いた事がある美空の台詞を聞いた事で、黒神眷属全員は三昧耶曼荼羅(さまやまんどら)を境内にいる鬼全てを燃やし尽くす事を知っている。夜叉達と神召喚によって呼ばれた者達も、即刻退避したのだった。

「ウチの旦那らと妾達に何て事してくれんのよーっ!絶対に許さない!絶対によ!・・・・おいで、帝釈、毘沙門!私の可愛い義妹達!この神州(しんしゅう)を穢し、悪業(あくごう)の限りを尽くす異形の妖!不浄なる鬼共が、我が光に触れる事能わず!我らは御仏の子となり!一重に如来大悲(にょらいだいひ)本誓(ほんぜい)を仰いで不二(ふに)浄信(じょうしん)に安住し、菩薩利他(ぼさつりた)行業(ぎょうごう)を励みて、法身(みほとけ)慧命(いのち)を相続し奉らん・・・・!おんさまやさとばん!我が光を守る為、護法五神に三昧耶形(さまやぎょう)を降ろす!顕現せよ!天の力!この日の本を守る為に!三昧耶曼荼羅(さまやまんどら)!」

相変わらず凄い事だなと思いながらも、今まで相手をしていた鬼共が一気に蒸発していく。長尾お家流とは違うが、美空の御家流である三昧耶曼荼羅(さまやまんどら)は前回よりも神仏の力がアップした事で本堂前にいた大量の鬼達が蒸発して行く。前回は曹操達をも蒸発させようとしたみたいだが、今回は一真の仲間だと知っているので黒神眷属がいる場所は守護結界により一真隊と共だ。

「これが神仏の力、まあ一真様もこれ以上の事をするでしょうね」

「出鱈目な力でありながらも、ハニーのお力はこれ以上だと言う事は知っていますわ」

「お兄ちゃんも神様だけど、周辺一帯にいるのも神様仏様だよ。凄いよねー・・・・」

「・・・・(コクッ)」

境内を包んでいた眩い光が消えていったが、黒神眷属は守護結界によって眩しくなかった。美空の三昧耶曼荼羅(さまやまんどら)は、一真隊夜叉衆と黒鮫隊が屠っていたのを大半を消滅していった。あれはまるで滅による力で、その威力と同じかのように思えたヴァーリ達だった。鬼の大半が消滅してしまったので、綾那達の獲物も無くなっちゃったと呟いていたので歌夜がツッコミを入れた。 
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