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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  最後の大戦(5)

「ごきげんよう、織斑に連なる者・・・・」

「ようエーリカ。来てやったぜ、俺と前回のエーリカとの決着の地にな」

北郷に連なる者と言い、本来の主人公以上に良く知っているとされている。

「本来であればあなたの事を知っていると言いますが、私が知っているのはこの外史でのあなたの役割と前回破壊された者への恨みの地でもあります。そして私と貴方は、この物語では対となる存在だと言う事だけを私は知っています。同じ舞台を演じる役者同士が、互いの役どころを知らなければ、良い芝居など演じる事は不可能でありそれが本来の当然でもあります」

「俺もエーリカも舞台での役者であり、この物語の結末がどうなるかなど俺達は知っている。何しろ前回もこの地を訪れていては、明智光秀という外史で邪な魂と鎖によって変化した。ゼットン化となったのであれば、ここにいる鬼共は前外史で散ったはずのドウターと化していると言える」

「私は明智光秀でもありながら、ドウターの親玉であるゼットンと化しました。貴方の死という事で、この物語は完結となりますがどうやら貴方が神であるなら私は悪魔にでもなったと言うべきでしょうか?」

「俺達は決して悪に染まらなぬ者らだ、聖なる光によってはお前の死かもしれないがお前の中にいる素のエーリカは助けてと言っているが?」

「未だに私の素を鎖で幽閉させているのですが、それでも聞こえるとすればどうなるかお分かりでしょう」

「お前という邪悪な者を倒せば、エーリカは解放される。ま、存在しないはずのザビエルに色々と振り回されたから、なかなか楽しかったよ鬼との戦はな。だが俺達は前回もここにいて、本来の主人公である新田剣丞がいない外史とされている。そしてイレギュラーな外史となって俺が入った事により、前回倒した明智光秀の魂がどこで合流したかは知らんが、ブラックホール内でドウターとゼットンを知り同化したのだろう。ホワイトホールで出てくるとそこはイレギュラーな外史であり、魂のみとなったお前は偶然にも本来のエーリカと合流した事でラッキーだと思ったはずだ」

「まあ確かにそうですが、そろそろ私と貴方による決着を始めましょうか。命を賭けた戦いではありますが、貴方の場合は神格ごと滅ぼす方がいいでしょう」

確かにそうだが、俺が滅びる?冗談じゃないぜ、それだと創造主である我を滅ぼすと言ったようなもの。

「もう話す道理はねえ、始めようか?命と命のぶつかりを!ヴァーリ、曹操に華琳と愛紗に吉音!」

「行くぞ、俺達の最後の大戦をだ!」

「一葉!後ろは任したわよ?」

「任せろ!一真隊、主様が言った陣形を組め!」

『おおーーーーっ!』

一真隊の戦いもいいが、まずは俺達の戦いから始めるとしようか。俺の前方に鬼がやってくるが、剣で撫で殺しのようにして十はいる鬼を一瞬にして屠った事で一葉達はとても驚いていた。一真の隣にはいつの間にいたであろう四人の男が召喚されたが、黒鮫隊曰くあれは龍だと伝えた事で心配無用となっていた。

「その者は前回の外史ではいなかった存在・・・・何者ですか?」

「そうだな。前回では登場してないだろうが、神龍四天王とも言う者らである。元邪龍筆頭格であるクロウ・クルワッハにアジ・ダハーカとグレンデルにラードゥンだ。まあ俺も強いが、コイツらも強いぞ。やれ、クロウ達!」

「だったら俺から行かせてもらうぜ!」

ダハーカは千の魔法を使っては、千いた鬼共を一瞬にして屠った事だが屠っても屠っても地面から出てきたり空間から歪んでくるとかだった。

「全くダハーカはスケールがデカい事だな、俺らも行くぞ」

「そのようだし、ここは随分と広くなったようだが恐らく一真の旦那が広くしたのだろう」

「クロウらのフィールドは、ちゃんとありますからお任せを。一真様も屠る所を見ていますし、黒神眷属であるヴァーリ達も戦ってるようですよ」

いつもよりも広くした事で山門から俺らがいる場所までは、一キロ離れた所となっている。それと山門が閉まってエーリカ登場してから、本能寺の広さを倍にしてみせた。一真がいる所は横一線となって、鬼らが出現ポイントにいて出てきてもすぐに屠る事が出来る。ヴァーリ達がいる所は、一真がいる場所から五百メートル離れた場所にいたがヴァーリチームと英雄チームとして横一線となっていた。

「一真はクロウ達が一緒になっているし、前方には鬼と強化体とドウター化した鬼が邪魔をして一真を視認出来ない。それと一真隊とも分断されたようだ」

「私とジークは左右にいますし、大丈夫でしょ。一真隊には黒鮫隊がいますよ」

「私とゲオルグでの連携攻撃も出来ます」

「俺っちも大丈夫だと思うぜ」

ヴァーリチームは主に量産型聖剣エクスカリバーを出してから、二刀流になったり魔法攻撃をしていたりしていた。ヴァーリは禁手化をしていたが、半減をしないで専用ライフルで鬼共を屠っていた。英雄チームは、聖槍に絶霧と魔法に爆散とアンチモンスターを召喚してから聖剣を数千創造させてから放つジャンヌ。

まるで一葉の三千世界のような感じである。二つのチームが戦っている時、山門から五百メートルとの間合いの中で鬼共が集結していたがここは奥方衆魏蜀と大江戸チームより一真隊が攻撃を開始した。

「一葉、どうやら一真達を分離させようとしているがここは貴女達の強さを見せてくれないかしら?」

「そのようですね。ご主人様がいる所は、ここからだと結構離れてますが私達だけだと簡単に道を作る事は可能でしょう。ですが、今は一真隊の力を私達に見せて下さい」

奥方衆魏蜀は、横隅に移動してからたまに来る鬼共を屠っていたが一真隊と黒鮫隊は戦う意志があるので大江戸チームも見てるだけとなっていた。あれだけ遊撃部隊として活躍したのであれば、今度は一真隊の活躍というのを見てみたいからだ。

「ってーーーーーーーーっ!」

鉄砲を前にしているので、主に鉄砲部隊と黒鮫隊が連携して戦っていた。

「ハニーはこの先に居ますでしょうが、駆けつけなくとも大丈夫でしょう。今は目の前の鬼を倒す事が先決ですわよ、鉄砲部隊が下がったら歌夜さん達の出番です!」

「了解です!」

「任せてなの!」

本当だったら鞠は一真の元にいるはずが、既に行ってしまったようなので一真隊守護としてここにいたのだった。

「長柄隊、鉄砲部隊を守るよ!突けー!」

「今の内に装填せよ!黒鮫隊が撃ってる間にですわ」

「小荷駄隊、早合の準備をしとくよーっ!」

「俺達黒鮫隊は、一真隊鉄砲部隊が装填している間に撃つ事だ。それに前方のヴァーリ達や隊長がいたとしてもだ、気にしないで撃てばいい事。小波は本陣に報告を入れてくれ、周囲の索敵に関してはこちらでやっておくが手が空いたら索敵頼む」

「承知!」

「綾那!一真隊鉄砲部隊は私や長柄隊に任せて、黒鮫隊と共に討って出て!」

「あいですーっ!」

黒鮫隊地上部隊百名は、半々に分かれてからアサルトライフルで撃っていたがもう一つの半分は剣や槍となった量産型聖剣エクスカリバーで戦っていた。それを見た歌夜が綾那に指示を出した。

「おーーーりゃーーーでーーーすーーーー!」

「包囲の一角を破ったのち、背後に壁を背負う形で陣形を再度、布き直します!」

「皆、夜叉となったのなら踏ん張れるはずです・・・・っ!」

黒鮫隊と一真隊鉄砲部隊が撃っている音を聞こえた禁裏にいる連合本隊も音に気付いた様子だった。奥方衆呉は、通信機と端末を取り出してから大量の鬼を片付けていた一真達がいたが、このまま待機となっている。

「この鉄砲の連射は一真隊と黒鮫隊のようですね・・・・」

「見つけたのかっ!?」

「分かりませんが、冥琳さん達は知っているようですが・・・・」

「それなら情報提供をしようじゃないか。一真隊及び黒神眷属は、現在本能寺にて首魁を発見した事により鬼と交戦中の模様だとな」

「同じように小波さんからも来ましたので、そこにいるかと思います」

「よし!麦穂、我は征くぞ!禁裏の守護を頼む!」

「はっ、し、しかし久遠様お一人では・・・・っ!」

「我ら奥方衆呉が久遠様の警護を致しますので、どうか麦穂は禁裏の守護を頼みましたぞ?」

「なるほど・・・・ではお願い致します」

本来であれば、馬廻りを揃えている時間はないので付いて来れる者だけだと。そして夫が戦っているのならば、妻も隣で戦うのが道理である。と言うらしいが、残念ながら俺の妻は久遠ではなく奏である。そんで壬月は勢いのままと言うが、二条館より帰着したと言う。

「こちらからも馬廻りは揃えておりますぞ、殿」

「壬月か」

「二条館より帰着致しましたが、奥方衆呉がいる事で大丈夫でありますがコイツら若輩者で馬鹿者揃いではあります。殿を守って死ぬ事ぐらいは出来ましょうから、一緒に連れていっては下さぬか?冥琳様」

「二条館の守護を聞いてよろしいか?」

「柴田衆と母衣衆の大半を置いておるが、私の子飼いが指揮を取っている故なので問題なかろう」

「なるほど、久遠に付いて行くのは我ら奥方衆呉と三若と子飼いが何人か。それならば一緒に行く事を許可しますが、我が主に命により勝手に死なれては困ります」

「それでも良い。・・・・では行くぞ三若に奥方衆呉!我に続け!」

「「「はい!」」」

『応!』

「・・・・聞け!連合の勇者達よ。この日の本を蹂躙する、憎き鬼共の首魁、その名は明智十兵衛光秀と言う!我が家中に潜み、鬼と戦うフリをしながら、着々とこの日の本を地獄に向かわせていた卑怯なる者!騙されていたと呪いはしない。しかし!この我を騙した事に、死を持って報いを与える!敵は本能寺に在り!いざ疾くゆかん、この日の本を守る為に!」

奥方衆呉は静かに聞いていたけど、それは黒神眷属も聞いていたが正直言ってそのセリフは逆なのではないか?と思ったくらいであるが、本能寺に明智光秀がいる以上そうなる仕組みとも言えよう。一方長尾衆と森一家は、家屋焼却が計画通りに進んでいた事であるが、鉄砲の音が聞こえたのだった。

「東の方から鉄砲の連射音っす!」

「凄い連射・・・・多分、一真隊と黒鮫隊」

「そのようね。・・・・秋子!小波からの連絡は!」

「それが、まだ・・・・っ!」

「ちっ・・・・どうなってんだか・・・・」

「おいおい何ピリピリしているんだ、少しは落ち着く事だ美空よ」

「落ち着いているわよ!」

「どこがだよ?ぴーぴー喚いたって、現実は何も変わらねーんだ。どっしり構えて果報を待つ。・・・・それが大将の役目って奴よ」

「・・・・まさか戦闘部族である森親子に言われるとはね」

「お主よりも経験はあるが、ワシもガキも一真みたいに見習った方がええと思う。一真も大将ではあるが、冷静沈着となり回りを見ろと言う事だ」

そんでこれからどうする?と森親子が聞いてきたので、美空はどうするとは何か?と言っていたので恋人の事となると周りが見えなくなるって、随分前に一真から聞いた事を思い出したので言ってみた小夜叉。越後の龍も乙女となっていると言うが、うるさいと言いながら否定ではなかった。

「御大将!たった今、小波さんから念話が入りました!敵は本能寺にあり!」

「本能寺・・・・っ!」

「・・・・行けよ、美空。オレと母の代わりに一真を頼むぜ」

「ええ・・・・ここは任せる!秋子!私は松葉と二人で本能寺に向かう!あんたは森一家と連携して、ここらの掃除をやっておきなさい!」

「御意!」

「気をつけてっすー!松葉、御大将を頼むっすよ!」

「・・・・(コクッ)」

長尾衆の大半はお掃除をしてから、森一家もお掃除に協力をしていた。そして美空と松葉は急ぎ本能寺に向かうとしていた所に、武田衆と奥方衆蜀の恋達が通信機と端末を取り出して状況確認をしていた。

「鉄砲の連射音っ!?どこからだっ!?」

「このうるさい音はきっと一真隊の鉄砲音なのら!」

「一真隊が前に出てるって事は、いよいよ大詰めに来てるって事だぜ!」

「うむ。拙らも急ごう」

「・・・・音々音」

「何ですぞ?」

「今の音はどの辺りから・・・・?」

「ご主人様なら、ここにいる」

本来は一二三の仕事だが、状況が分かる恋達に聞く事が早いと察した光璃。すると恋は地図データにある印を指差していたが、洛中から中央よりやや東の部分。湖衣の金神千里なら詳細な場所が分かるという事。

「一二三は本能寺に向かって先導をお願いしますです」

「本能寺か・・・・どうやら当たりかもしれないね。ところでどのように動きます?」

「二つ。一隊を禁裏。一隊を・・・・」

「兄上の所に、でやがるな!」

「・・・・(コクッ)」

「じゃあ私が禁裏に向かう隊の指揮を執るね」

「・・・・良いの?」

「私もお兄ちゃんの所に行きたいけど・・・・だけどそれは同じ妾としてであるお姉ちゃんが先だと思うんだもん。それに恋ちゃんも一緒に行ってあげてね?」

「・・・・(コクッ)」

「任してや。先導と共に恋ちんもねねも一緒に行くでー!」

お兄ちゃんである一真を守る事だったが、薫は一真が戦闘狂なのを知っているので仲間達の援護に向かってほしいと言っていた。夕霧が薫を守るので、光璃を守るのが恋の役目となった。同じ顔であるが、武装と服装を見れば分かる事だから禁裏に向かう部隊は逍遙軒衆と典厩殿に任せるとな。残りは光璃を守りつつも、一真隊との合流を果たす事だ。

「それではウチと一二三が先導をするから、しっかりついて来てやー」

「任せる。・・・・では武田衆は二手に分かれて動く!各々方、武運を祈る!」

武田衆もこちらに来る事を予想しながらも、黒神眷属と一真隊はそれぞれで戦っていた。最も黒神眷属の内、大将である一真は神龍四天王と戦っていて何も問題はなかったが問題は一真隊であった。戦い慣れている者らは、簡単に倒せているが後方にいる一真隊を援護出来る程の手は空いていない。

「ひゃー!鬼が次から次へとー!」

「ひよ、泣き言言わないで今は手を動かすの!」

「分かってるけど手が回らないんだよぉー!」

「鬼には常に三人で当たれ!陣形が方形陣を組んでいる限り、早々崩される事はない!」

「疲れたらすぐに交代する事!絶対に無理しちゃダメだからね!」

とは言うが夜叉となったので正直疲労とかは一切感じない足軽達だったが、それを忘れていた市だった。だが神の加護によって、一真隊は本能寺の塀を背負って後背を守りつつも方形陣を組んで鬼達の攻撃を防いでいた。それは予想外である黒鮫隊の存在だったが、夜叉となった足軽達もいつもより身体が軽い事でやられたとしてもすぐに動くようにしていた。

「・・・・前方奥にいる一真様達も順調に屠っているようですが、流石に数だけは多いですね」

「現在、我らの兵は千と五百程度ではあります。敵は無限にいたとしても、地中から出てくる鬼共は普通の鬼だと言ってましたし足軽達も夜叉となった事で逆転される事は無いでしょう」

「一真隊鉄砲隊の玉薬はあとどのくらい何だ?梅」

「まだ充分ございますけど・・・・黒鮫隊みたいに無限の弾数があればいいのですけれど。この調子で鬼が湧き続けたとしても、ハニー達もまだまだ戦えておりますわ。ですがいつかは底をつくかと」

「こちらの弾も分けてやりたい気分だが、そちらとは違うのでダメだな。ま、隊長や他の面々も疲労無しで戦っているから問題は無い。他の仲間が来てくれたら、とても有難い事だろうよ」

黒鮫隊は、地中から這い上がってくる鬼共を手榴弾やらグレネードランチャーで倒しているが、他からモグラ叩きのように出てくるから爆破後に出てくるので鬼もだが我らも底は無いと思われる。奥方衆の皆さまは、邪魔しないように隅にいるが指示があるまで待機だろうな。

「・・・・のぉ、蒼太よ」

「何かな?」

「余はどうも腑に落ちんのじゃが、エーリカは何故一気に仕掛けては来んのであろう?今のこの状況であれば、最前線にいる主様の頸はいとも簡単に取れようものを」

「一真様自身が最前線に行っているのが、何らかの理由があるのかと思います」

「隊長らが倒しているのは強化体鬼とドウター化した鬼を倒していますし、別の目的があったという考えの方がいいかと」

一真の真上には浮かんだままのエーリカがいたが、今はただただ見ていた。空にも居る様子だが、そこは何とかするであろうし今は強化体鬼だったとしても数より質の俺らが負けるはずがない。

「クロウ達もどんどん屠れ!」

「やっているが下がらなくてもいいのか?旦那」

「ヴァーリ達も戦っているが、後方にいる一真隊には黒鮫隊と夜叉となった足軽達がいる。俺達は倒せない鬼共を屠るのが、俺達の現時点での仕事だ」

「ま、目的がある事も知っている我が主ではありますがこれはこれで楽しめます!」

今の戦力差でも充分倒せる余裕を持っているので、隙を見つけたとしても踏ん張る余裕すらある。森一家は引き続き洛中でのお掃除を任されていた。

「ふぅ・・・・この辺りはあらかた掃除出来たか」

「ガキもいっちょ前になったが、まだまだだなと言いたい」

「姐さんにお嬢!ちょっと良いですかい!」

「ワシとガキに用とは何だ?」

「隣町に大物見に行った各務の姐さんからの伝令により、洛中から鬼の姿が綺麗サッパリ消えたって言うんでさぁ」

「消えた?何だそりゃ?」

「各務の姐さんと俺達も夜叉とはいえ、鬼が洛中から消えたとなると一箇所に集めていると神界にいる八大夜叉大将様がそう推測なさっています」

「集結という事か。・・・・林のばあさんはおるか!」

「へい!今は後ろにいますぜ!」

「ならば夜叉となったオメエが伝えときな。洛中探索はばあさんと各務に任せるんで、ワシとガキらは何人か連れて離れるんであとはやっとけとな!」

森親子は金柑の鬼退治に行く事で、状況も分かってきた事だった。トレミーでは既に洛中から鬼が消えた事で分析を行っていたが、完了と共にトレミー内にいるIS部隊はいつでも出れるようにしとけと。それとこの状況を通信にて、艦長である一真に伝えたのだった。

『艦長』

「何だフェルト。今俺らは忙しいんだが?」

『それについては知っていますが、鬼が洛中から消えて本能寺に集結つつあります』

「おい聞いたか、鬼共がここに集結してるってさっ!」

斬り捨てながら話していると、強化体鬼が減ってきてはヴァーリ達を目視で捉えた。強化体鬼だとしても俺らの敵ではない事なので、そろそろ集合するかと思いルフェイとゲオルグに指示を出して、魔法によるビッグバンで俺ら周辺にいた鬼共を全て屠った事に成功した。あとは一真隊にいる鬼共は、俺らと合流を果たして後方支援をする事になった一真隊。

「やっと前方にいた鬼共は俺達が倒したが、残りは一真隊目当ての鬼共か。続いて湧いて出てくるのも、洛中の鬼が全てこちらに集結だと言ってたぜ詩乃」

「お帰りなさいませ一真様。ですが倒せど倒せど、次々と地中から湧いて出てきますが随分と余裕に見えますね」

「そりゃね。黒鮫隊は引き続き地中に向けて攻撃を頼むが、夜叉となった足軽達も休憩する時はたっぷりと休憩しろ」

一真隊も疲労の影など出てこないが、撃ち漏らした鬼共は俺達が斬っているし地面からドラゴンヘッドで鬼を噛み殺している。

「流石はお頭、全然疲労の影を感じない何て・・・・ころちゃんも大丈夫?」

「うん。黒鮫隊のお陰でまだ大丈夫だし、お頭達がやっているからね。ひよは玉薬補充に専念しておいて!」

「うん!」

「ひよさん早合の補充をお願いしますわ!」

「了解!」

本能寺の塀を後ろに背負っているが、敵の攻め手限定にさせて防御に徹しているが逆に押し返している。一真隊だけだったら、数の差はとても大きくて鬼の波状攻撃により兵達が崩れ落ちている。浅井衆は浅井衆で一真隊守護としているが、梅や八咫烏隊が鉄砲を撃ってから引く所で長柄である槍を繰り出していた。崩れた所を浅井衆の猛者達が斬り込んでいく。

「流石は兄様のお力により、夜叉となった足軽達ならばいける!」

「そういえば足軽達が全然傷がつかないのも、お兄ちゃんがしたっていう聖なる儀式によるものだったよね」

黒鮫隊がフルオートで撃っているが弾切れが無いので、無限に撃ちまくる。一真隊と浅井衆で何とかやっているが、足軽達を夜叉化したのでまだまだ元気は一杯である。まあ何度も使った部隊運用法であるが、一真が戻ってきた所でヴァーリ達が一真隊をフォローし始めていた。

「いくら主様達が元気であってもこれではキリがないのぉ。ここは一つ、余の三千世界でドカンと行くか」

「いやいや、それよりもここはそれがしが十木の御詠でシュパッと華麗に」

「鞠の疾風烈風砕雷矢で、キュインとするの!」

「だが俺達がいる事もお忘れなく、無限の敵ならばここは無駄のない動きで切り刻む方がよかろうよ」

いくら無限に湧いてくるだろうが、俺らの剣は聖剣であるので相性としては最良の剣である。この事についてはエーリカも知っているから、強化体鬼やらドウター化した鬼を投入してみたのだろう。曹操みたいに聖槍で一気に串刺しもアリかと思ったので、擬態と天閃により鬼共を串刺しにする俺達であった。

「敵は更に出現しましたが、ご主人様達のお陰で被害は最小限となっております」

「次から次へと湧き出てくる事で、ムカつきますがハニー達も頑張っておりますし雀さん達も大丈夫ですわよね?」

「うん!お兄ちゃんらのお陰で何とかなっているし、前々から黒鮫隊の鉄砲で練習してきたから玉薬無しでも行けるよ!」

「・・・・(コクッ)」

「お姉ちゃんも使っている銃器が違うけど、このままだとそのまま押し切れるって!」

「了解ですわ!これがハニーが言っていた銃器を貸すから、今の内に慣れろと言われた時は何がですの?と思いましたがこの事だと分かると無限に撃ちまくれですわ!」

「人差し指が疲れたけど、お兄ちゃん達の銃器なら今まで使っていた鉄砲より楽だからこれはこれでいけるよぉー!」

蜂須賀衆が使っている武器もそうだが、一真隊の足軽達が夜叉となったので夜叉が使っている武器を使って鬼を倒していた。黒鮫隊と同じ武装をしていた八咫烏隊は、半々に分かれて銃器班と鉄砲班に分かれていた。俺らの銃器は取扱い注意だからか、八咫烏隊の中でもベテラン勢が使用していた。鬼が怯みを見せた隙を見ては、ころの部隊と俺らの槍と剣が激しく繰り出す。

「全く、屠っても屠っても消え去っていくが地面ではなく空中に出てくるのは一真隊にとっては厄介か」

「それでは大江戸チームに向かわせようか、頼むぞ吉音達!」

『了解!』

出鱈目であるが、俺らは空中戦も想定済みなので空から出て来た鬼共は大江戸チームに任した。半神になっているのか一対二枚の翼にて飛んでいるので、まるで神仏らが飛んでいるみたいだと言っていた歌夜と綾那。この二人は一騎当千ではあるが、呼吸を荒げている様子だと辛そうに見えてきた。鬼の攻撃を捌きながら、反撃を繰り返しているであろう。

「いくら東国無双の綾那でもあの状態とは・・・・」

「息つく暇もなく、基本スペックが高い敵の攻撃を受け止めてから捌いているのだろう。そして押し返して反撃しているが、まだまだだなーあの二人はっ!」

「こちらはまだまだイケるが、一真の旦那。これからどうするんだよ?」

「綾那や歌夜だけではなく、ひよやころに梅や鞠と詩乃に雫も神経を摩耗させているな。精神的に追い込まれているが、俺達は俺達で倒すぞ!」

「ふふふ・・・・いくら神様であろうともこの数では捌けますまい」

とエーリカが語ってきたので、俺は捌きながら答える。

「苦しくもなければ捌ける数もまだまだ余裕だ、出鱈目に湧き続ける鬼達は一体どこからかき集めて来たのやら」

「簡単な事です。洛中の民が、この辛い現実から解放されて幸せになる為に、とあるお薬を飲んだ結果ですよ」

「なるほど・・・・魔薬を使ったのか」

「何だと・・・・っ!?」

「ではこの鬼達は元々、この洛中の民だとでも言うのですかっ!?」

「人はか弱き心しか持たぬ、脆弱な存在・・・・力無き者が辛い現実から解放されようと、何かにすがる事がそれ程いけない事なのでしょうか?私は苦しんでいる人に、救いの手を差し伸べてあげただけ・・・・」

「主様の言う通りだとすれば、人を鬼に変える薬を越前や三好衆に使ったあの薬か・・・・」

「そう。そして私が役目を果たす為、鬼となった人達がこうして助けに来てくれる・・・・」

「自分でやらせておいて良く言うです!」

「そうです!罪の無い人を鬼に変化させ、利用する何て言語道断です!酷いとは思わないのですかっ!」

次々と襲い掛かる鬼達を薙ぎ払いながら、綾那達は非難の声を上げる。まあ酷いとは言っても元人間でありながら、斬り捨てている俺らはどうなのか?とエーリカ側から質問してきた。それが事実だとしても、俺らは浄化し続ける事で鬼から人間の魂に戻してから黄泉路に行かせているから何の問題も無い。

「歌夜、そんな事を気にするんじゃねえ!今向かってくる敵は人間を強引に辞めさせられた鬼であるが、それを斬り捨てて行く事も俺らの仕事である。だから歌夜も綾那も気にせずに武士として勤めを果たせ!」

「人間は人間として生きていく事として、死ぬのも人間であるがその道理を勝手な都合で変えたというのは一真も同じ事だぞ。何しろ足軽達に人間から夜叉にしたんだからなー!だがな、それは一真の旦那が許可なくした事ではない。足軽達から進めて立候補したのだからな。外道がどっちかと言えばエーリカの方だろう」

「その通り。俺は勝手に人間の運命を変えた事はしていないが、今の俺らは人間から鬼となってしまったのを解放するためだ」

鬼を倒しながらダハーカと俺でそう言うが、実際俺達の剣は鬼から人間の魂へと戻す為として浄化を使っている。なので俺達は俺達の仕事としてやっている事だが、エーリカもエーリカでこの世界いや外史にて役目を果たすとな。俺達を贄として、エーリカは本懐を遂げたとしても俺達が最後の幕を開けてやる。 
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