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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  最後の大戦(3)

その頃、森一家は鬼を嬲り殺しをしながら戦果を拡大させていった。

「へっ・・・・おらぁもういっちょーっ!」

「ギャーッ!」

「はっはー!ワシらをもっともっと満足させる気あるんかー!」

「そんなンじゃ、オレや母でも満足出来ねぇぞ!」

鬼が挑発に乗ったのか俊足で来た鬼に対しては、活きがいいとか言っているが殺しまくっていた。

「オラオラオラオラオラオラオラオラーッ!」

「ガキ!ワシも負けていないぞ!」

「へっ!次期棟梁であるオレが、母になんぞ負けるかよ!」

「はっ。まだまだ一人前とは言わせんぞ、血が足りないと言っている!」

「姐さんにお嬢!ここら辺はあらかた片付きましたぜ!」

「町民共も、どっか行って影さえネエ!」

ここら辺はお終いとなったので、ここらで火を焚き上げる為に船にて指示を飛ばせる夜叉がいるので盛大に焼き払う事とした。汚物を焼き払うと言う事で、神炎を操る術者というより夜叉が覚えた事により炎は一気に拡大したのだった。一方俺達一真隊と黒鮫隊に黒神眷属は、鬼の数が少なすぎて考えていた所だった。

「今の所、区画毎に潜伏している鬼の数は、多くて二百前後との報告です」

「そこから導き出される推測ですが、洛中に潜む鬼の総数としては、残り一万前後ではないかと」

「一万の鬼というのは、余りにも少なすぎるな。俺達が強化体鬼を刈り取った数は数万ぐらいいただろうに、なあ朱里」

「ご主人様の仰る通りかとでしゅが、連合が来る前に一万よりも倍の数がおりました」

「総勢一万に禁裏の千と五条大橋の三千、か・・・・」

「それに二条館にいるかもしれない数を含めますと・・・・およそ一万五千前後という所でしょう」

「今のように散らばったままであれば各個撃破出来る為、さして脅威ではありませんが朱里さんの言う通りだともっといるはずです」

「結集されると厄介です。今の内に出来るだけ数を減らす必要があるでしょうが、そこら辺はどうなっていますでしょうか?雛里さん」

「あわわ。吉音さん達の活躍により、周辺一帯にいる鬼の殲滅はしていましゅがあとは奥方衆と森一家が頼りかと」

雛里や朱里の言う通り、森一家や他の衆にも夜叉となった足軽達がいるから問題は無さそう。でもなぁー、何か引っかかるがもしかしてあの場所で誘っているのかもしれない。俺達黒神眷属は前回同じような世界に行った事があったからな。

「とりあえず俺達の仕事は俺達でやる事に専念する」

「うむ。・・・・禁裏に急ぐぞ!」

一方あの場所にいる邪な魂を持つ外史の者であるエーリカだった。

「・・・・ふふっ。そろそろ終幕も近くなってきたのに、こんなにも高ぶるこの気持ちは前回破壊された悪しき者とドウターが楽しみにしていると。長き時間、読み進められた物語もこれでようやく終わりを迎える。一文字、一行、一頁。文字を言葉を読み進めれば、終演を迎えるのもまた必然。私は私の役目を遂げるが、明智という役に求められる一つの役割であったがここでもう一つの役割として遂げようとしている。それでこの外史は終わるが、その前にこの前に破壊された者の身として織斑一真の抹殺と共に・・・・私は解放される。早く来てほしいが、始まりの神であり基点でもある織斑一真。この物語を終わらせる為に・・・・そして我が身に宿ったゼットンと言う事への宿命を果たす為に」

長い台詞どうもと言いたいが、俺は通信機にて風の精霊から聞かされたのだった。まあ元々この物語を始めたのは確かに俺なのかもしれないが、今やゼットンとなり果ててまで俺を殺そうとする野心があるからか。本当のエーリカから聞こえる言葉は、ただ一言であった。

『助けて・・・・創造神黒鐵様』

とな。そして物語の終幕と共に、禁裏に突入する者がいたがそれは奥方衆魏と長尾衆だった。

「いい?新在家御門周辺の鬼を追っ払ったら、すぐに禁裏に突入するわよ!」

「了解っす!」

「門を挟んで鬼達を撃退しつつも、織田の本隊が到着するまで挟撃をするわよ!準備は任したわよ、私達はこのまま鬼共を葬り去ってやるわ!」

「了解。曹操様」

「御大将に曹操様!新在家御門、たった今開きました!」

「よし!突入したら、堀を挟んですぐに迎撃態勢を取りなさい!奥方衆魏と共に速度が命よ!」

「はっ!」

「柘榴、合図!」

「了解っす!鏑矢二本放てっすー!」

「と同時に信号弾を撃つのよ秋蘭!」

「了解だ」

先手長尾衆と奥方衆魏による鏑矢二本と信号弾を確認した歌夜と綾那だったが、鏑矢二本と言う事は禁裏の中に入ったという事だ。織田本隊は禁裏に肉薄である事で、鬼達を包囲し背後から急襲となり禁中の奥方衆魏と長尾衆と挟撃する事となった。久遠も任せると言ったので、俺らも気合を入れ直す所だった。

「梅は一真隊の指揮を任せるとして、俺達黒神眷属の力を少しだけ見せてやれ!眞琴と市も上手く連携をしておけよ?俺はもちろん最前線に行き、華琳達と共に鬼共抹殺する」

「お任せ下さいお兄様!そして見せて下さいませ、お兄様の力の一部を!」

「じゃあお姉ちゃん!行ってくるね!」

「一真、市を頼んだぞ。市も気を付けるのだぞ」

「分かってるって!行くよ、お兄ちゃんにまこっちゃん!」

「うん!」

「では一真隊の皆さん!江北衆の皆さん!この近江が生んだ天才、蒲生梅と共に行きますわよ!」

「応!」

「黒神眷属よ、我らの力をここにいる武将共に見せてやれ!先鋒は俺達がやるから、綾那はちゃんとついて来いよ?」

そう言ってそれぞれの剣や槍にライフルを持った奥方衆蜀と神器を出してから、戦闘態勢へと入った俺達。俺とヴァーリにアーサーとジークは、聖剣エクスカリバーを持ちながらアーサーはコールブランドを持ちジークは魔帝剣グラムを片方ずつ持つ二刀流とした構えを取る。

ジャンヌは創造させた聖剣を夢幻に出現させてから、レオナルドはアンチ鬼モンスターである聖なるオーラを放っていてやる気充分。ヘラクレスは剣より拳なので、市の隣にて待機していた。俺が最前線に行く為、冥琳が代わりに久遠に言った。

「一真様もやる気充分のようですからな、私達も参ろうではないか久遠」

「ああ!」

黒神眷属と織田の本隊は、返事一つ返してから禁裏に向かったが一二三達は洛中観察をしていた。

「・・・・・」

「湖衣ちゃん、洛中の様子はどう?金神千里(こんじんせんり)で見えるかい?」

「・・・・そうですね。洛中は戦いの真っ最中のようですが、一真様が前よりも力を強化したみたいなのでより一層見えるようになりました。あちこちから鉄砲の音や鬼の声が聞こえてきます」

「ふむ。なら何とか間に合ったって事だね。・・・・だけど浮かない顔してるね?」

「はい。金神千里で洛内の様子をくまなく探っているのですが・・・・一真さんから聞かされてたよりも鬼の数が少ないようなのです。これは一体どういう事なのでしょうね・・・・」

「・・・・何かがあると?」

「そう考えるのが妥当だとは思うのですが・・・・」

「なるほど。知将・山本勘助がそうまで考えるのならば、確かに何かがあるのかもしれないね」

「もう。相変わらず皮肉っぽいですよ一二三ちゃん。・・・・何が言いたいんです?」

「んー・・・・奇策という奴にはさ。いくつか種類があるって事さ」

一二三が言いたい奇策の種類というのは、いくつかあるが逆転の一手としての奇策、二つは状況を有利にするための奇策であり最後の三つ目が、奇策を思わせる奇策だと言う。何を言いたいかは別として、今は俺らが戦うのみとするとしようか。

「お姉様方!前方に鬼の集団を発見致しました!」

「やはりそう簡単には禁裏には向かえない様子のようね」

「先手の奥方衆魏と長尾衆とは少し距離が離れている様子から見て、今は目の前の鬼を排除した方が良いかと思います」

ちなみにお姉様方とは軍師組である朱里達の事を指している。久遠もそうだが、紛らわしいので朱里達の事はそう呼んでいる様子だ。一真隊の指揮は一真のはずだが、今は軍師代表の冥琳がやっている。

「その様子なのでな、梅!」

「蒲生梅、お側に控えておりますわ!」

「黒神眷属は前方の鬼集団を排除後、江北衆と連携してから一真隊で横から来る鬼共を排除。本隊が進軍する道を作れ!」

「黒神眷属を率いる一真様は独自に動きますが、こちらは一つ一つ丁寧に潰しますから頼みます」

「了解致しましたわ!では鞠さんと幽さん、手伝って下さいまし」

「え、それがしですか?いやぁそれがし公方様の補佐もありますれば、ご遠慮したい所ですが・・・・『パシイィィィィィィィィイン!』うぅぅ・・・・もうこりごりですぞ一真様のそれは」

お説教は省くがいつも一葉を言い訳の種として使うのであれば、これからは奥方衆であってもこれを受け継ぐ形となる。なのでハリセンを冥琳に託したので、さっきのは俺がやった訳ではない。面倒な声を出した幽は、もう一発喰らいたいのか?と脅迫紛いをしたら梅が強引に連れて行ってしまった。

「ちょ、公方様お助けぇ~!」

「あんまり働かないのであれば、奥方衆からの説教が待っておるからの。たまには働いて来い」

「これ以上文句を言うとそれがしもご勘弁頂きたいが、文治派なのですがねぇ」

「鹿島新当流を収め、吉田雪荷から弓術の印可まで得て、尚且つ武田流の弓馬故実を相伝されている程の武闘派が文治派とは面白いジョークですわね」

幽は筆と茶杓以上に重い物を持つ力は無い、とは言わせねえよ!なので八咫烏隊である烏と雀による幽を先頭に押し立ててから、サクッと鬼を殺戮するんだと。

「殺戮は任せろー!パパーンッ!」

「・・・・(コクッ)」

幽の話を強制シャットダウンさせてから、突撃したのだった。先鋒である黒神眷属は、それぞれの翼にて飛んでいるから後方からやってくる一真隊と江北衆の邪魔はしない事にした。冥琳はあれでいいのか?と聞いたら一言で良いなので、冥琳達もこれはこれで合掌をしたのだった。幽にも働く程の手足が無いのは実感でもあるが、力不足では無い。たまには働いてもらわないと俺が困る。

「一葉がそれで良いのなら、私達も良いと思われます」

「うむ。・・・・して冥琳様。余らの矛はいずこに?」

「矛でございますか?それならばあそこにおります」

一葉は冥琳達の事を様付けをして、冥琳達は呼び捨てとなっていた。既に真名も交換していたからか、こちらの動きに関しては俺らの働きにもよる事だった。

「オラオラオラオラ!行くぜ野郎共!」

「久々に暴れまくるぜ!一真の旦那!」

「これが鬼の力とは、ヒトを辞めたからと聞いたのにこんなのとはな」

「ヘラクレスはあそこから殴り倒して行け!俺はその周りを倒す!」

「おうよ!俺とジャンヌにレオナルドも久々に暴れ回るぞ!」

『ええっ!/・・・・(コクッ)!』

「我らもご主人様に続け!」

『応!』

爆音やら斬り捨てられていく音が聞こえるが、クロウ達はそれぞれの持ち味を出して戦っていた。クロウは変わらず近距離戦だったけど、ダハーカはドラゴンヘッドを地面に解き放ってから鬼共を喰らい付いていた。

グレンデルはそれを真似るかのような攻撃をしていたが、障壁によって守られていたクロウ達だった。奥方衆蜀は、主に槍での攻撃だったが、ライフルで撃つ紫苑と桔梗に大金棒「鈍砕骨(どんさいこつ)」を振るう焔耶と背中を任してある片鎌槍「影閃(えいせん)」を持つ蒲公英。

「凄いです!一真様筆頭の御方達はまるで撫で斬り殺しているのですー!」

「こら綾那!いくら一真様と似た真似事をしたとしても、前に出すぎよ!」

「大丈夫なのです!綾那は一真様達と同じようにもっともっと殺ってやるです!」

俺らに続く様にして、綾那と歌夜も一暴れするような感じでいた。

「一真様が鬼を発見後、黒神眷属と共に飛び出したようです。まあ我が主達は、まるで前菜かのようにして楽しそうに遊んでいるように見えますな」

「ふっ、流石は連合最強と東国無双であるな」

「一真隊所属となってからは、裏方仕事が多かった模様。・・・・なので、色々と発散させたいのだと思いましゅ」

一葉に答えながら、冥琳と朱里達軍師組と一部の黒鮫隊が沈黙をしていた。本隊はこれで良いとして先行している華琳達と美空達はどうなっているかだったが、どうやら距離が開いているようだった。

「御大将に華琳様!織田の本隊との距離が開きすぎてて、まだ木瓜が来てないっぽいっすー」

「奥方衆魏と長尾衆が速すぎた」

「腐っても織田な訳なんだし、一真も先鋒として暴れているからすぐに来ると思うわよ」

「華琳に同感かな。すぐに追いついて来るわよ」

本来だと美空は主人公の事を信じているし、愛情爆発と言う松葉であったりと色々とあった様子であった。戦狂いだった美空にも春が来たと言っていたが、すぐ近くで華琳達もいるのでそう言った言葉を言わないでいた柘榴達だった。いつもは否定する美空が否定しない事で、主人公に落とされたと言い、それのお陰だと言うがまずは秋子の春を見つける事が大切だと言っていたか。

『確かにそうよね。女は一定年齢になると、どんどん年増のように言われるんだから』

『だが華琳達がいる事で、それについては回避している様子だな華琳。それに秋子なら既に春が来ているからな』

『一真隊もそれぞれの一国の主でも、まだ妾だからかもしれん。私の頭ではそこまでしか言い様がない』

『姉者を支えるのが妹がする事だ。ヤキモチを焼いている奴などは、黒神眷属にはいない。この外史の者達ならば、何人か焼くのではないかと』

どうせヤキモチを焼くとかあとでネチネチと言ってくるとかだったが、それが全て回避というより省いた結果となった。秋子も他の皆もべったりだから、普通ならカチンと来るが愛妾である久遠達も我慢をしている。なので美空らだけがワガママを言える状態じゃない。

「どうやら北と南から新たな鬼部隊が来たそうよ!」

「囲まれたようだけど、ここは柘榴と松葉でさっさと殲滅してきなさい」

「あいっすー!」

「やる」

「私達からは季衣と流琉を出すとしましょうか。その銃器で駆逐しなさいな」

「「はっ!」」

七手組一番隊である柘榴が吶喊しに行ったが、松葉も行ってしまった。季衣と流琉が持つショットガンは一見小さい身長を持つが、そのショットガンの重さはいつもの武器を持っているのと同じショットガンであり炸裂弾にて葬っていた。

「おらぁ!黒母衣衆、もっと気合入れろー!」

「むー!黒母衣に負けるなー!赤母衣衆も頑張れ頑張れー!」

「私達も母衣衆なんかに負けないわよー」

「姉さん同様だけど、それもそうね。私達も手こずっているとアグニ様からのお仕置きがあるんだからー!」

二条館にて攻めていた母衣衆と奥方衆呉であったが、意外に手こずっていた。

「母衣衆も奥方衆呉も頑張ってるんですけどねー。二条館の塀は低いとはいえ、籠られると辛いですー」

「禁裏の方はどうなっている?」

「先程鏑矢二本と信号弾が上がりましたし、旗を見るにどうやら禁中に移動したっぽいですねー。けどまだ木瓜と合流してないようですから、あっちも一筋縄ではいってないようですよー」

「ふむ・・・・余り時間は掛けられないがどうするか・・・・」

「家老が出張ると若手に経験を積ませる必要もありますから、それでは黒鮫隊爆撃班を出させますか?」

「お主は蒼太か・・・・確かにそうかもしれんが今は時間に限りがある。なので私からの一撃後に船での爆撃を頼めるか?」

「了解しました壬月様。それと『それについては承知だ、雛。バカ二人を下がらせろ、邪魔だ』母衣衆と奥方衆呉が退いた直後に爆破させますので」

「ほーい。・・・・おーい、鏑矢二本、時間を空けてー」

との事だったので、トレミー3番艦による空爆を開始する事となった。犬子は和奏に黒鮫隊からの鏑矢が、時間を空けて二本上がったそうだ。二本と言う事は、戦闘中なら後退の合図という事らしい。

「可笑しいと思うんだけど、それと同時に信号弾を確認したんだけど・・・・後ろを見たら雁金が動いてるんだよねー・・・・」

「・・・・げっ!」

「あははー・・・・やっぱり和奏もそう思う?」

「鬼柴田壬月様の、伝説の五臓六腑が炸裂するって事だろ、それっ!?まずいぞ犬子、さっさと退こう!それにその後の戦艦からの爆撃のオマケ付きだ!」

「モタモタしてたら巻き添え食っちゃう。・・・・赤母衣衆、全力で後退ー!」

「黒母衣も下がるぞ!もう鬼とかどうでも良いから、とにかく退避ーーーっ!」

黒鮫隊代表である蒼太が、トレミーに爆撃を頼んだ頃には既に砲撃をする所だった。ラッセは狙いを鬼共に集中させるが、門ごと破壊してしまうかもしれない。だが爆撃後に崩壊しそうな建物は、すぐに補強されて爆撃前に戻すと聞いたので安心して爆撃に備えたのだった。

「壬月様ー。和奏と犬子の旗が、ザザーッて潮が引くように城門前から逃げて来ますよー」

「ついでに奥方衆呉も退避させましたので、いつでも」

「おう。ならばこちらも準備するかい」

「よろしくお願いしまーす」

「ではお願いします」

「・・・・知っておるか、蒼太に雛」

雛も蒼太も知らない様子だったので、そのまま続けて聞いていたのだった。

「・・・・ならば聞いておいて損は無いが、柴田家に伝わるこの金剛罰斧(こんごうばっぷ)はな。そもそも一真様が召喚されてくる夜叉が持っている金剛杵(こんごうしょ)から作られたと言われている。人に仇為す鬼を退治るのに、これ程相応しい得物は無いだろう」

「うわー・・・・金剛罰斧の大きさが変わっている・・・・」

「金剛杵は、金剛夜叉明王が悪鬼に罰を与える時に振るったとされておる。されば見たままの大きさが、真実であるとは限るまい?」

「という事は・・・・まだまだ大きくなると言う事ですか」

「蒼太の言う通りであり、これからが本番だ」

そして壬月の気に反応してどんどん大きくなる金剛罰斧だったが、果たしてどのぐらい大きくなるのかが見物だな。今の大きさを例えるとIS用近接ブレードという大きさだろうが、壬月のお家流に関しての由来を話し始める壬月。

「五臓六腑、でしたよね、確か。・・・・尾張の内乱時、久遠様の足軽達を一撃で五百人以上屠ったって言う」

「五臓六腑をぶちまけてな・・・・あの頃は私も若かった」

「青春時代を思い返されても、我々としてはどのようにしろと?」

「まぁそれ以来、余りにも残酷な結末を招いてしまうが故に封印してきたお家流であるが、鬼相手ならば存分に奮っても問題はあるまい?」

「ま、そりゃ問題は無いでしょう。壬月様が五臓六腑を放った後、大量の爆撃により二条館の門やら鬼共を纏めてやるそうですぞ」

「向後の為とはいえ、今目に焼き付けておいた方がいいだろうな。目に焼き付けた後、一真様の世界に行くのであればこれが最後の五臓六腑かもしれんのだから」

五臓六腑でぶちまけるとはいえ、目の前を臓器やら肉ごと吹っ飛ばすという事だ。まるで血だらけの世界でもあったマブラヴ世界のように、出撃の度に機体は血だらけで帰還してくる。三若もそうだが、これからどんどん置いて行かれるのは壬月も同じではないかと思うぞ。

「・・・・確かに一真さんを中心に、大きな力が集まってきてますからねぇ~・・・・。同年代で強敵が多くなってきた」

「でもこれからは壬月も気張らないと一真や私達から置いてっちゃうからね~」

「なるほど・・・・確かにこれからは三若もそうだが、私らも気張らないといけないのか。特に一真様には一度も勝った事は無いが故に、身体の中にどのような力があるのかが楽しみであるな」

「そう言う事ですよ壬月様。黒母衣、赤母衣は完全退避完了致しました」

「うむ。二条館の門ごと鬼共を叩き潰した後に、戦艦からの爆撃後をお願いしますぞ雪蓮様」

「任せてー・・・・まだまだ私達の力は五分も出してないんだからね」

「では行く。影でこそこそ悪事を働き、この日の本の民達を、よくもこれ程虐め抜いてくれた。織田家が筆頭家老、柴田権六壬月勝家。十倍にして返礼してやろう・・・・この神州の土に帰す事を、誇りに思って死ぬが良いわっ!柴田家お家流!五臓六腑をぶちまけろぉぉーーー!」

壬月のお家流が発動後、地面が揺れた事で一真隊がいる場所まで響かせたのだった。そして壬月を回収した明命により、トレミーによるミサイル攻撃を開始させた。二条館の門や壁を破壊してまで鬼を葬る所を見ただけで、お家流と爆撃による二重コンボにて発動させた。

「何事です!?」

轟音と爆音と共に、揺れ始めた地面に地震が来たのかと思った朱里達奥方衆蜀と黒神眷属だった。

「ほお・・・・懐かしい地響きとあれが戦艦からの爆撃のようだな」

「懐かしい?と言う事はこれは地震ではないのですか?あとトレミーによる爆撃において、二条館にいる鬼と城門ごと爆撃した様子でしゅ!」

「これは柴田家お家流。・・・・壬月が二条館の城門を力尽くで突破したのだろう」

「なるほど。ですが我ら主と対決してきた時は、両方とも手加減だった。とも言えますね」

壬月らが居るであろう二条館と一真隊がいる場所とはかなりの距離がある。距離があるのに、これ程の地響きをさせるぐらいの威力とはな。まるで地の精霊王から託された力を奮っていると思うが、その時は拳を大きくさせていたな。マトモに受けたら五臓六腑をぶちまける所か、骨すらも残さない程の吹っ飛びさ。

「そういえば壬月のお家流の名前は何でしょうか?」

「正式名称は忘れた。ただあのお家流を使われて、五臓六腑をぶちまけて死ぬ様から、その様の通りに五臓六腑と呼ばれていたはずだ」

「恐らく今回はいつもよりも本気だったのでしょうが、私らの拠点に行かれた時には二度と使わぬお家流かと思われます」

城門破壊後、大量のミサイルが飛んでくる所を見た壬月や五臓六腑を見た後の雛は、二条館の城門と堀と門が吹っ飛んだと言うがそれよりも爆撃の方がもっと凄かったと言っていた。

「これが一真様の言う爆撃か、火災が起きているがすぐに消火作業もするとは見事としか思わぬ」

「ま、我らの武器についてはまだまだですよ。と言う事で奥方衆呉と滝川衆は、このまま二条館占拠を!」

『応!』

「この戦が終わったら酒でも飲もうかな・・・・でも今は二条館を占拠しないといけないし、破壊された城門も再生されたからか」

「姉様、このまま二条館を占拠後は一真の指示に従いましょう」

こうして壬月の五臓六腑とトレミーによるミサイル攻撃という爆撃において二条館占拠をしたのだった。そして奥方衆呉は、占拠後に休憩として黒鮫隊から飲み物やら軽食を取ったのだった。 
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