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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  最後の大戦(2)

一方武田衆は、スペシャルチームである呂布と張遼と陳宮の三人組と合流を果たした光璃達だったが同じ顔をしていた恋と光璃だった。

「恋は呂布・・・・だけど光璃達なら恋で良い」

「呂布!三国志最強の武将が光璃と同じ顔・・・・何となく納得した」

「ま、恋もこう言っているさかいに、ウチは張遼やけれど霞と呼んでも構わん」

「陳宮もですが、音々音ですぞ」

とりあえず合流を果たした武田衆と最強衆である恋達としばらく話していると、夕霧がこちらにやってきたのだった。

「姉上に恋殿!先手大将を務める粉雪から、伝令が来たでやがるー!」

「「・・・・(コクッ)」」

「我、比叡山を確認せり。周辺、進路ともに異常無し。先行する吾妻衆と黒鮫隊による鬼探索も、その影無し・・・・と言ってるでやがる!」

「比叡山、か。山道故か、速度が上がりませんな」

速度が出せない事も気になったが、光璃と音々音も鬼の影が無い事に疑問となっていた。まあ確かに京都付近ではあるが、鬼の影が無いのは確かに奇妙ではあるがトレミーでも鬼らしき影すら無いと聞いた恋達。洛中のみに鬼が集結している可能性もあるが、果たしてどうなるか?

「・・・・そうならいいが、ご主人様達が心配」

「恋ちんもその気のようだから、ウチらも急がせた方がいいんちゃうのか?」

「・・・・(コクッ)」

「百足衆!山県に更に急ぐように伝えぃ!」

「はっ!」←使番

「お兄ちゃん達はそろそろ着いた頃かなぁ?」

「その心配はいらないですぞ!既に戦は開始していて、五条大橋を制圧したとトレミーから聞いています」

急いだとしてもまだ更に一刻は掛かると思うが、恋も霞らが乗る馬はこのような道であっても速度は出せるようになっている。そして奥方衆魏と長尾衆は、本陣にいた。

「一真!久遠!」

「お帰り。それよりも光璃から伝令は無さそうだけど、恋達が合流を果たしたそうだぞ華琳」

「なるほどね。それよりもまだ来ていないと言う事は、小波のお家流でも距離が遠い訳ね。私達なら念話で聞き放題なのに」

「だが時間が掛かるという事は、まずいかもしれないわ」

「という事で小波は出るなよ?今は光璃達と明命と思春を信じるんだ」

「御意」

まあ本来ならば小波が行くところであるが、こちらからは丸分かりなのでトレミーからの通信で状況分析を朱里達がしている。それに時間が掛かったとしても、夜叉化した足軽達がいれば何とかなる。例え目の前に来たとしても嬲り殺しには出来るな、洛中に鬼がどれほどいるかは察しているので久遠達も余り心配はしていない様子であった。

「にしても、武田衆に送った者らがあの呂布とはな。光璃達が心配をしていようが、一真達はその余裕振りはどこから来ているのだ?」

「俺達には上空から監視している船がいるし、今はまず最優先しない所があるだろう?詩乃」

「はっ。今はまず禁裏の解放と二条館の確保でしょうね」

「それが良かろう。柴田衆と母衣衆と奥方衆呉は禁裏には向かわず、二条館に向かう」

「お願い致します」

橋頭堡(きょうどうほ)を築かなければ、鬼が攻めに転じた時に戦線の維持が困難になります。・・・・二条館、必ずや確保して下さいませ」

「応よ。孫策様と共にお任せを」

本来なら森一家は五条大橋での戦いの傷を癒す為、出番待機となるはずが無傷なのでこのまま洛中の鬼を皆殺しにする事だ。まだその役目が回ってこないので、主に桐琴と小夜叉には回復魔法をしたので疲労が無くなったのだった。

「ふう・・・・相変わらず一真のそれは気持ちが良いわ」

「オレもだぜ母!次は洛中の鬼を全倒しって事だったよな?一真」

「その通りだが、出来るだけ順番だけは守ってくれ。今からトレミーによる物見と、俺が呼んだ者達に鬼の数やら種類と町民がどれ程残っているのかという調査をな。調査後、森一家に鬼を掃討と共に家屋に火をかけてやる事だ」

「火を掛けるって・・・・おいマジか?そんな事すりゃ応仁の大火の二の舞になっちまうぞ?」

「構わん。洛中の民に恨まれようとも、この戦が終了と共に我らはこの地から脱出する手筈となっている。遮蔽物が多いこの都で鬼を全て殲滅するには、その策しか無いという事だから。火を放つ役は、戦艦にてやってもらう事にした」

「なるほどのう。だから一真は火を放つのにも戸惑いが無い訳か、ワシらは人殺しで鬼殺しをするのが仕事だ。悪名高い森一家だとしても、業とは思わない程に軽い事を言いおる。今更庶民に恨みがあったとしても、一真はそれを浄化する力を持っておる」

「そうだぜ!オレらは恨みなど怖くもない、安心して命令しても構わねえ!それが最前線で仕切る一真だと言う事をな!」

「全く分かりやすい者達よね。私達もいる事を忘れているんだから」

そう言っていた雪蓮であったが、日本酒を一口飲んでから奥方衆呉はこのまま待機となった。森一家の次の指令は、鬼共皆殺しとなるからだ。家老達にとっては、一真の覚悟を見せられてからなのか色々と余裕さが出ていた。三バカにも見習わせたい所だが、三若が調子に乗ったので二条館の確保を三若だけにやってみせろと言った壬月。

「任せて下さいよ!おい犬子、行くぞ!」

「わんっ!」

「それじゃ行ってきまーす」

「壬月様も若手を乗せるのがお上手ですね」

「お前には負けるがな。・・・・では私と奥方衆呉も行く」

「はい。背中はお任せを。・・・・武運を」

「おう。摩利支天に祈っておいてくれ」

そう言って柴田衆と織田の母衣衆に奥方衆呉は、二条館に向けて動く。そう聞いた柘榴が美空に伝えると、そろそろ動くと言った美空だった。それと奥方衆魏も一緒に行くが、目的は禁裏の解放だからこのまま一気に向かうとの事だ。

「華琳達も手加減抜きで思いっきり暴れて来い。拠点にて待つアグニの苛つかせているからな」

「了解よ一真。アグニ様には悪いけど、身体が鈍っていた所だからね。そちらも準備は良いわよね?」

「いつでも大丈夫っすー」

「問題ない」

「玉薬の補充も終わっておりますから、いつでも行けます曹操様」

「ありがとう曹操様『華琳でいいわ』じゃあ華琳・・・・それじゃ久遠に一真」

「うむ」

「思いっきり暴れて来い!俺達もすぐに追いついて見せる」

「ええ。華琳達と共に露払いをしておいてあげる。・・・・長尾衆、出るわよ!」

「我らも行くわよ!奥方衆魏」

長尾衆と奥方衆魏は雄叫びを上げてから、戦いは続いたのだった。五条大橋を奪取した俺達は、第一プラン通りに部隊をいくつか分けて行動開始した。壬月と三若達と奥方衆呉である雪蓮達の目的は二条館の確保であり、美空ら長尾衆と奥方衆魏は禁裏へと先行する事だ。

先行部隊を追尾するように、俺達本隊を率いて京の町を押し進む。次々と襲い掛かる鬼達を倒しながらの行軍であったが、予想通り黒神眷属らは余裕のまま疲労を見せずにいた。

「俺達の出番はまだかな?」

「まだだろうなヴァーリ達に愛紗達。ま、夜を迎えた所で俺達の勝利の方程式には変わりはないからな」

俺達は銃器に聖剣エクスカリバーを擬態させた事で、鬼共を両断しながら進む遊撃部隊である大江戸チームは剣魂と共に戦い抜く。東西南北に剣魂専用粒子製造装置があるからか、それぞれの能力を生かしつつも刀で倒していく。そして夜を迎えたが、俺は考え事をしていた。

「どうした?」

「ちょっとした考え事さ」

五条大橋での戦いにより、烏丸通りの制圧から二条館と禁裏の解放への流れが、あの時の事を思い出していた。

「小波に思春と明命は、周囲の物見を頼む。特に土中の変化については、トレミーで検索をする」

「・・・・金ヶ崎ですか」

「まあな。いくら俺達の力が強まったとしても、事が順調に進み過ぎているのは少し可笑しい」

『御意。・・・・』

俺の言葉に頷き返して、小波と思春と明命は周囲の音を探る為に精神統一をしていた。あの時も勢いがあって進軍したが、土中からの奇襲によって俺達は総崩れせずにやってきたんだ。あの時の二の舞だけは御免だね。

「一真様・・・・周囲に鬼がいるとは思いませぬ」

「同じくですが・・・・静か過ぎるのも不気味ですね」

「今の所大丈夫かと思いますが、船からはどう見ておりますでしょうか?」

「土中にて変化は無いそうだが、油断は禁物な。例えば空から降ってくる事もあり得る事だし、俺だったらそうする」

「どうやら鬼はどこから出現するか分からない代物のようね。ま、指揮系統がしっかりしているんだし大丈夫でしょ」

ジャンヌの言う通りだが、小波のお家流と我らの通信による事で鍵を握っている事だから警戒が厳重にと伝えた。レオナルドにはアンチ鬼モンスターというのは、いないが聖なる力を出すモンスターを創造可能との事。

ジャンヌは聖剣創造があるけど、聖剣エクスカリバーとの二刀流で何とかなるしヘラクレスの拳は爆破付きというオマケ付きだ。ヴァーリや曹操らは力を温存する為に、奥方衆蜀と共に参るとしようか。

「・・・・では主様よ。余らもそろそろ動こうぞ」

「俺はあくまで黒神眷属と各奥方衆の指示を出すから、一真隊の指揮は任したぞ。一葉」

「任されよう。・・・・そして余はそれを幽に任せる!」

「結局、こちらに来るのですか。・・・・ならばそれがしは、指揮権を蒲生梅殿に移譲!」

「どうしてそんなにグルグルと指揮権を回しまくるんですのっ!?」

「いやぁ、それがしどうも指揮というモノが苦手でして。その点、梅殿ならば近江が生んだ麒麟児として、そつなく完璧に熟せるかなぁと」

「ま、まぁそこまで言われるなら、指揮を取る事も(やぶさ)かではありませんけれど」

「ならば問題ありませんな。では梅殿に一真隊の指揮を取る権利を上げましょう!」

お礼を言う梅だったが、雫の言う通りであり戦の真っ最中なのだから真面目にしてくれよ。幽にとっては、真面目にやっているつもりだと言うがあとでハリセン千叩きだなと思った俺とそれを知ったヴァーリ達は察知したので笑みを送った。

「普段からの行いの所為でしょうね」

「何とっ!?『パシイィィィィィィィィイン!』いたたたっ、これは失敬しました一真様」

「二人共茶番が過ぎるぞ。たく、本来ならば梅と雫にもするはずだったが今回は幽のみとなった。有難く思え、さっさと指揮を取れ梅!」

「では気を取り直して。一真隊、出発しますわよ!」

「・・・・・」

「おーっ!」

一真隊は出発をしたので、黒鮫隊及び黒神眷属も一緒に出発をしたのだった。今の所、鬼が土中にいるのはないがドウターゲートだけが不安の要素となっている。長尾衆と奥方衆魏は、物見の報告を聞いていたのだった。

「華琳!戦艦からの報告は!」

「さっき聞いた話だと、禁裏を包囲している鬼の数はたった千にも満たないそうよ」

「何それ少なっ!それは本当の事なのそれっ!?」

「トレミーからだから、そうなのだろう。それよりもここは静か過ぎるが、嫌な予感がしてならない」

「姉者の言う通りであり、トレミーからの報告だと禁裏周辺の家屋や地中の気配も調べた上での数だそうだ」

「・・・・なーんか怪しいわね」

「五条大橋で迎撃に出て来た鬼の数が、ざっと見ておよそ三千程。禁裏の千を足しても四千だけど、連合が来る前に強化体を倒したからそれがいけなかったのかしら?」

「二条館もそれぐらい?」

「可能性はあるっすねー。・・・・鬼ってあんまり数がいないんっすかね?」

ま、否定は出来ないけど生霊を飛ばして挑発してきたにしては少なすぎるし、余りにも柔すぎる。華琳らも女の勘によって、何やら嫌な予感しかしないと言っている。エーリカの目的がはっきりと分かってないからか、長尾衆は本当に一真が狙いなのか?と疑問に思っていた。でも私達は別の予感であり、確かに一真と決着がつきたいが歴史通りなら久遠との決着のはずだと。

「私達ならこう考えるわね。違う考えがあると言う事を」

「華琳の言う通りならば、そうかもと必要があるって事よね」

「でも禁裏解放が先」

「っすね。・・・・ほいでは七手組一番隊、柿崎柘榴!御大将の露払いに、さくっと先行するっすー!」

「頼んだわよ」

「であればこちらも奥方衆魏での露払いは夏候惇、貴女が行きなさい。そして後方支援として夏侯淵に任せるわ」

「三国志であの有名な夏候惇に夏侯淵と柘榴達と一緒に露払いをするっすかー!燃えるっす」

「甘粕衆、一番隊に続く」

「応!」←甘粕衆(夜叉)

「御大将に曹操様。先に行く」

「柘榴を頼むわね」

「魏武の大剣である姉者と共に行かせてもらう。行くぞ!」

「・・・・四人共、武運を」

秋子は後備をし、万が一の時には血路を開いてもらうがそれに関しては凪達三人がやる事となっている。秋子と凪達の役目としてから、美空と華琳達は本隊と共に禁裏へと向う。畏き所を守護する為に向うが、万が一を考えてから華琳達も戦の見本として同じ位置で戦った。

「一真様、奥方衆魏と共に長尾衆は禁裏に取り着きました。鬼の総数は千との事だと」

「千?余りにも少ないな、俺達が連合到着する前は数万といたはずなんだが」

「五条大橋に居た鬼はおよそ三千程度と聞きましたが、鬼の数はご主人様が倒したのでもう少ないのでしょうか?」

「それはあり得ませぬ。そう簡単にいかないのが、戦でありますからその可能性は高いかと」

「考えられるのは三つ。一つは本当に鬼の数が少ない事、二つはどこかに隠れて機械を窺っている、三つは我らがまだ見つけていない所にいるか・・・・と言った所でしょ
うか」

「物見の報告と船からの報告はどうなっておる?」

「情報は絶えず最新にしているから、森一家にも回しているから鬼の殲滅も順調だと思うぜ」

そう言っているが、情報を常に最新にしている技術力は戦国の物見よりも報告は早いと思う。まあエーリカが俺との決着を望んでいるのならば、どこかに潜伏していると思う。今言ってしまうと面白みがないのでな、今は言わない事にしといて森一家は順調に鬼を皆殺ししている様子であった。 
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