| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

二十五章
  最後の大戦(1)

「先手、長尾衆と奥方衆魏、五条大橋に突入しましたー!」

「ほう。流石は越後の龍と奥方衆魏であるが、まさか我らの足軽達を夜叉化するとはな。これが一真様が言っていた聖なる儀式の全貌か、総攻撃の命にも臆せず馬腹を蹴り上げている」

「ふっわー、ホントだー。それに付いて行く長尾衆も、同じ人種とは思えないですねーあははー!」

「まぁ尾張兵は軟弱で北陸兵は精兵って言うもんねー。仕方なーい仕方なーい」

「貴様らなぁ・・・・!『パシイィィィィィィィィイン!パシイィィィィィィィィイン!』おお、一真様のハリセンがまだ見れるとは思いませんですぞ」

『お前らは長尾や森一家にだって負けられないとも言うが、それは俺らに喧嘩売っているのと同じ事だ。俺達が劣らぬ程に戦えると言う事ならば、見上げた心意気とも言うが俺らを舐めないで頂こうか』

和奏が言おうとした事を言ったので、壬月は微笑んでいたが三バカらは藪蛇やら森一家には勝てないと言っていた。戦闘民族である森一家ではあるが、俺達は黒神眷属であり常に最強だと心がけている。森一家の中では各務が一番まともだと聞いているが、それは勘違いであった。

「阿呆。まだまだケツの青い貴様らは知らんだろうが、森一家の各務勘二郎・・・・今は清右衛門だったか。あれは鬼兵庫の二つ名を持つ化け物だぞ」

「化け物っ!?あんな優しそうで、お嬢様でお姉さんって感じの風貌なのにー?」

「まーぶっ飛んだおつむの当主を補佐して、尚且つ、荒くれ者揃いの森一家をシメてるんだから、それ相応の化け物さんじゃないと、やってられないよねー・・・・」

「あの人がねー・・・・壬月様、その各務さんってどんな化け物具合だったんです?」

和奏は気付いてないのか、各務にさん付けしているな。ヘタレな和奏にとっては、どうなんだろうとな。

「奴の若かりし頃、領地問題で親戚と揉めていたらしくてな。その問題を解決する為に取った行動が、まさに鬼と言えるものだったのだ」

「解決の為に取った行動?何だろう?」

「兵を率いて討ち入りー、とか?」

それが普通と考えていた三バカであったが、普通の奴が森一家副官を務まるはずが無い。どんな行動を取ったかを聞いていた雛だったが・・・・。

「奴は相手の屋敷に一人で夜討ちを掛け、家人総勢三十五人を撫で切りにして逃走し、その上、追って二十人を返り討ちにして遁走しよったのだ」

合計五十五人を一人で撫で切りするのは、一見すると無茶苦茶ではあるがここにいるだろうに。一人で数百体以上を撫でるようにして斬り倒した神がな、それに各務は元美濃国主・土岐頼芸の妹さんの娘である。とんでもないお嬢様だが、道を踏み外したらしいがその頃から桐琴に可愛がられたいたようだ。

「何と言う戦闘民族・・・・空気に触れただけで森化しちゃうなんて危険過ぎるわん!」

「・・・・あー良かったー途中からさん付けしておいてー」

「和奏ちん・・・・ホンット、ヘタレだねぇ・・・・」

「ヘ、ヘタレって言うな!」

「まぁ和奏のヘタレは可愛いヘタレだからもういいよ」

「そこで諦めんなよ!もっと熱く否定しろよ!」

「おらぁ。くだらん話は終わりだ三バカぁ!そろそろ本陣先手の森一家が動くぞ。その後はお前ら三若の出番。気合を入れろぉ!」

「ういっす!」

「はーい!」

「ほどほどにー」

そこまで三人揃って言うが流石は三バカである。そんで姐さんである桐琴やお嬢である小夜叉は、静かにその時を待っていた。人間の時だったら、長尾の奴らに獲物をかっ攫われちまうとか、早く殺し合いたいとも言うバカ共だが夜叉化となったので逆に森親子は静かになっていた森衆なのか、驚いた様子。

「なるほどのぅ。これが一真がやったという聖なる儀式の効果か、ワシ達に黙って人間辞めて夜叉になるとはな」

「オレも驚いているが、一真がしたかった事がこれであれば喧嘩しか能のないクズ共ではなくなったようだぜ母!」

「にしても各務までもが夜叉化するとは、だがこれはこれでいい。長尾の動きが止まった瞬間、橋の両端から一気に前へ出るぞガキにクズ共!」

両端ではなく真ん中だと思うが、戦慣れしている美空と奥方衆魏の華琳が指揮をしている。真ん中が開く訳がないので、行くのは端であると察知した森衆だった。両端と言ってもどこを歩けばいいのやらと考えているが、欄干を走れと言えば走れるだろうし夜叉化したのなら問題ない。夜叉化したので、不老不死となった。

「この戦場、ワシ達森一家がシメてやるぞぉ!準備は良いなぁ、ガキにケダモノ共ぉ!」

「応よ!いつでもいいぜ母!」

「うぉーーーーーーっ!!」←森衆

「ワシらの役目は何だぁ!」

「鬼共を皆殺しにする事!」←森衆

「オレらの好物は何だぁ!」

「血飛沫と肉を断つ音、骨折れる音だ!」←森衆

「よぉーく言ったなクズ共!ならば渡るぞ三途の川を!」

「例え夜叉化となったとしてもお供しやすぜ姐さん!」

「そうですぜお嬢!」

「森鶴の旗ぁ、掲げろやぁ!」

「おーうっ!姐さんにお嬢!名乗れやー」

「今回はガキが名乗れ!森家次期棟梁としてな」

そしてこの前の二条館での名乗りと同じだったが、今回は次期棟梁として小夜叉が名乗る事となった。名乗りに関して詳細知りたい奴は、十三章の戦にて書かれているから見てほしいな。まあ森衆も夜叉化したとはいえ、無茶苦茶な命令だろうとも果たすのが夜叉へと姿を変えた森衆の心意気だ。

「応よ!母・・・・織田が家中の一番槍はぁ、悪名高き森一家ぁ!神に出会えば頸を取りぃ、仏に出会えば頸を狩る!それが一家の心意気ぃ!河内源治棟梁、八幡太郎が六男、源の義隆が裔!森武蔵守長可!推して参るぜぇーーーーーーっ!」

『ひゃっはーーーー』

嬲り殺しと言うが、いつの間にか立派になった小夜叉の名乗りと共に後続にいた森一家が鶴紋を掲げながら向かってきた。織田の先手が森一家なので、このまま乱入してくる訳でもないと華琳が言うと柘榴と松葉もそう感じ取ったようだ。

「んー・・・・いんや、違うっすね。森一家はそんな常識的やら正攻法では来ないと思うっす」

「同意」

「じゃあどこから来るのよ?ただでさえ狭っ苦しいこの橋の上で、長尾と織田の先手が合流する事になれば、簡単に混乱しちゃうわよ?」

「一真も普通じゃないから、普通の考えを持っているとあり得ない策で来るわよ」

「そうだな。一真も普通では考えられない程の力と知恵を持っている」

「ま、姉者の頭だとそれが限界であろう。一真も森一家も似た匂いがするが、要するにキチガイという事だ」

絶で倒しまくるが華琳達は、夜叉化となった兵達の強さを知っているので前に出ようが関係ない。美空が一休和尚なら、森一家は九郎義経を気取って来るんで、八艘飛びが来るらしい。

八艘飛び・・・・源の義経が壇ノ浦の戦いで見せた、二十キロもある大鎧を着て船から船へ飛び移ったという逸話の事。

「八艘飛びって・・・・もしかして擬宝珠をっ!?」

「そう言う事よ・・・・一真に似たのやらだけど、これはこれでいいわ!」

「お兄ちゃんの兵達なら不可能を可能にするんだから!」

「その通りです。兄様ならキチガイであろうとも、可能にするのが兄様らしい事です!」

森一家は俺の一番槍でもあるが、そろそろ来たと思いきや勢い有り過ぎだった。

「ひゃぁぁぁーーーはぁぁぁぁーーーっ!鬼共は皆殺しだぁーっ!」

「その通りだぜガキ!」

後ろでは麦穂と壬月が話していたが、森一家が長尾衆と合流を果たしたのだった。正確に言うと合流ではなく乱入に近いが、森一家にとっては似たようなもんだ。桐琴や小夜叉と森一家には常識というのが無いに等しい。常識の方が嫌っているというより、一緒にいるのがという事ではあるが。

「それも森一家の持ち味、か。・・・・三若!」

『はーい!/へーい!/ほーい!』

「長尾と森一家が切り開いた道を、更に押し開くぞ。・・・・功名を稼げ」

功名を稼げ・・・・と言っても三バカにとっては分からぬ事なのかもな。橋が狭いので前には行けないが、壬月の言う通りであり少しは自分らで考えろとの事。考える事に関しては苦手な奴らだから雛以外は分かっていないバカ共だった。雛だけが分かると言っていたが、確かコイツらはと考えると雛が答えを導いた。

「・・・・麦穂様ー、母衣衆って確か、確かな戦術眼を持つ一騎当千の武者から選ばれてませんでしたっけー?」

「何だよそれー!雛の癖に生意気だぞー!」

「そうだそうだー!犬子達にだってせんじゅちゅがんぐらいあるもんねー!」

「なら分かるようなもんだけどなー」

「「全く分からん/全然分かんない」」

「・・・・今の状況を見れば分かるでしょ。奥方衆魏と長尾衆と森一家の働きで、橋の上の戦況は五分から八分に傾いてる。つまりもう少しすれば、橋を制圧出来るって事。橋を制圧したら、あとは橋の出口に向かって戦果を広げていく。・・・・となると、橋みたいに狭い所じゃなくて広い場所が戦場になる。その時が雛達の出番で、後ろからガーッと動けば先手達は雛達にところてんみたいに押されて、道がぶわーっと開いちゃう・・・・って感じ」

「なるほど!今一分からんけど、雛が分かってる事だけは分かった!」

「なら雛に任せて、犬子達は突撃だわん!」

三若曰く三バカの内、二人は母衣衆筆頭のはずなのに戦術眼が持っていない何て知った雪蓮達が大爆笑していた。それと黒神眷属でのブリーフィングでは奥方衆呉は、森一家と一緒に行くはずだったが戦によって違うプランとなった。冥琳からの指示で、柴田衆と三若衆と一緒に組んで行くらしい事となった。

「申し訳がない孫策様、このようなバカ騒ぎをしておりますれば」

「アハハハハっ!まあこれはこれで良いわよね、こちらにも三バカはいるけど今は言わない方が良さそうだわ」

「そちらにも三バカがいるのですか、ですがこの二人はこれで良いのかもしれません。雛ちゃんが助太刀をすればいい事ですが、そちらの策ではどうするべきなのでしょうか?」

「少々策が変更となったが、柴田衆と三若衆に奥方衆呉を配置させて一緒に鬼を屠るようだと言う事だ。いいか!我が主である一真様に恥が無いような戦いをするのだ!」

「姉さん同様に、我々が戦の見本を見せる!思春と明命は京にて、諜報をしつつ黒神眷属の繋ぎとして活躍してもらうわ」

「御意。既に明命が京にて、防御が薄い所を発見しております。亞莎も今回は軍師ではなく、前線にて戦ってもらう」

「御意。一真様に見合った働きをさせてもらいます」

こんな感じであったが、奥方衆呉は笑いが起きた後に三バカの足りない脳で状況を理解したら、久遠と俺の為に存分に働いてもらう。ま、船から映像で様子を見ているし戦の見本を見せる為に奥方衆呉も各々武器を取り出した。

「申し上げます!奥方衆魏と長尾衆及び森一家が五条大橋の制圧に成功致しました!」←使番

「苦労!では孫策様らと和奏、犬子、疾く駆けぃ!」

「それでは行きますか。我ら孫呉はこれより、柴田衆と三若衆にて戦の見本を見せるべく行くぞ!」

『御意!』

「行くぜ黒母衣衆!奥方衆呉には負けるかもしれないが、赤母衣野郎には負けんなよー!」

「それはこっちの台詞だわん!黒いの何か負けるな赤母衣ー!」

「ほいじゃ、行ってきまーす」

雪蓮に蓮華達前線向きは、三若衆と共に行ったが軍師である冥琳は壬月と麦穂と話していた。壬月も三若に合せて動くそうだが、単騎駆けをするそうだが何やら久しぶりに血が騒ぐそうだ。それを聞いた冥琳は、雪蓮と壬月のどちらかが多くの鬼を倒しまくると思ったのだった。後ろは本陣であるけど、軍師組に一部の黒鮫隊と医療班がいるので後ろを任された冥琳。

「後ろは麦穂と一緒に任されましたが、一つ注意があります。雪蓮・・・・孫策と同じ匂いがする壬月とは、良い友になるかと存じ上げます」

「私は孫策様と一緒なのか・・・・まあいいとしてその注意を頭に入れとく」

注意を言ってから、冥琳達軍師組は本陣まで下がったのだった。

「申し上げます!奥方衆魏と長尾衆、本陣先手の森一家が五条大橋を制圧!続いて奥方衆呉と母衣衆に滝川衆によって、鳥丸通りまで制圧完了致しました!」←使番

「苦労」

「はっ!」←使番

「やはり奥方衆の力は見事のようですね」

「順調に見えますが、鬼とはこの程度のモノなのでしょうか・・・・?」

「鬼には知能を持つ輩もおりますれば、油断大敵ですよ雫さん」

「戦が水物なのは、金ヶ崎でも経験しております。今は良くでも、この先どうなるか分かりませんわ。ですが流石はハニーの奥方衆のようですわね、無傷で次々と鬼を倒していますし足軽達も鬼でやられたかと思いきや、死なずに前に進んでおりますわ!」

あれが夜叉化した足軽達だからか、流石の梅でも驚きっぱなしの様子だった。戦果を広げるが、今はまだ俺達の出番は無さそうだな。すると久遠は詩乃に本陣を任すと言って、存分に腕を奮ってもいいらしいが冥琳達もいるからな。即答しないで、詩乃は俺や冥琳達の視線を投げて確認をしてきた。詩乃は元々織田に仕えるのではなく、俺に仕えると言ったからだ。

「軍師代表である冥琳も頷いているから、頼むぞ詩乃」

「御意!」

弾むように頷いた詩乃だったが、顔を上げて兵達=夜叉達に指示を出していた。

「我らはこのまま前進し、烏丸通りで先手組と合流!その後、戦線を一気に北上させます。また足利衆、浅井衆を含む一真隊は、本陣の前備を務めて頂きます。それと奥方衆蜀と黒神眷属の皆様方も、一真隊と共に前備をお願いします」

「御意!我らご主人様の懐刀として、戦の見本とやらを見せてやるぞ!」

「俺達も一真と共に行く・・・・それぞれの武器を取り出して、鬼をブッ倒すぞ!」

「では動きます。・・・・前へ!」

そして動き始めたであろう連合は、五条大橋を制圧後に戦の見本となるべく連合の前から紙一重で撫で殺す様を見た美空達長尾衆や桐琴達森一家であろうとも、あんなのは真似が出来ないと思っていたが、夜叉化となったそれぞれの足軽達が同じ事をして見せたので奥方衆と夜叉化した足軽達に負けないように戦った。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧