インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~
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第4巻後編
@クルーズでの臨時バイト×銀行強盗犯瞬殺する俺
「失礼ですが、何かお困り事でもありましたかな?」
「え?・・・・もしかして織斑様ですか」
「そうだ。何か困っている君を発見したんで、とりあえず聞いてみる事にしたが何かあったのか?」
「あ、はい。それがですね・・・・ところで後ろの二人をバイトとして雇っても構いませんか?」
俺が聞くと後ろのシャルとラウラを見たので、バイトとして雇ってもいいかと聞いてきた。何でもいきなり二人が辞めたというより駆け落ちしたらしく、良ければ二人を臨時に雇いたいと言っていた。今日はとても重要な日で、本社から視察する人間が来るらしいから今日だけのアルバイトとして働いてとお願いされた。というかここは、蒼い翼関連でやっている喫茶店で男は執事服で女はメイド服というより使用人の格好で接客する。ようするにメイド&執事喫茶だ。
「それはいいんだけど・・・・」
着替え終わったシャルはやや控えめに聞いてきた。
「なぜ僕は執事の格好なの?一夏」
「そりゃシャルはメイド服より執事服の方が似合うからに決まっている。俺もやりたいが、生憎と顔は広まっているからな。そこらの男よりも綺麗でカッコイイんだから」
「そうなんだ・・・・」
褒められたというのに、余り嬉しくないシャルだったがメイド服の方がよかったのかな?ラウラは逆にメイド服似合っているし、とても可愛いと思った。少し残念な気持ちになったシャルだったが、俺はあとでメイド服の試着してもいいと言ったのか気合が入ったかのように見えた。シャルは男女の服を着たとしても似合うけど、ここの店長もメイド服に着替えたのだった。
「織斑様がちょうどいて助かりました。それに今はIS学園に通っていると聞いたので、もしかして擬態しているかと思ってました」
「そういうのはいいからいいから。それに蒼い翼が存在していたのが、ついさっき確認したばかりなんでな。だから擬態とかしてないんだよ、それよりもシャルにラウラ。俺がいる事に関しては気にしないで仕事をしてきなさい」
「一夏がそういうのなら分かったよ」
「わ、分かった一夏」
複雑な乙女心を持っていても似合う役がいるのなら、しょうがないと改めてラウラのメイド姿を見ていた。細身でありながら、強靭さを秘めた体躯に飾り気の多いメイド服で統一するかのようにしゅっと伸びた銀髪とミステリアスな雰囲気を持つ眼帯。
魅力を再確認してしまうが、俺から気にしないで仕事をしろと言ってから俺は客として席に座っていた。まあシャルやラウラからは死角となっている席なので、気にしないで仕事が出来ると店長や他の店員が言っていた。
「店長~、早くお店手伝って~」
フロアリーダーがヘルプを求めて声をかけた。すぐに店長は最後の身だしなみをしてから、バックヤードの出口へと向かった。シャルはこの店について聞いたので、店長は笑みを浮かべてスカートを抓んで上げ、大人びた容姿に似合わない可愛らしいお辞儀をしたのだった。店名は@クルーズで、早速仕事を開始したが思ったよりも忙しく動いてたシャルにラウラ。
「デュノア君、四番テーブルに紅茶とコーヒーお願い」
「分かりました」
カウンターから飲み物を受け取って、@マークの刻まれたトレーへと乗せる。単純な動作にさえシャルは気品に滲み出ていて、臨時同僚となるスタッフ達はホッとため息を漏らしていた。なお俺は死角になる辺りで観察していたので、俺の飲み物とかは他の店員が運んできた。初めてのアルバイトだと言うのに、立ち振る舞いは物怖じした様子はなく堂々としていたので、嫌味などは出ていなかった。そんなシャルの姿に、主に女性客のほとんどが見入っていた。
「お待たせ致しました。紅茶のお客様は?」
「は、はい」
自身の方が年上であるにも関わらず、女性は緊張した面持ちでシャルに答えていた。紅茶とコーヒーをそれぞれの女性に差し出す前に、シャルは当店のサービスについてを尋ねていた。
「お砂糖とミルクはお入れになりますか?宜しければ、こちらで入れさせて頂きます」
「お、お願いします。え、ええっと、砂糖とミルク、たっぷりで」
「わ、私もそれでっ」
実はこの女性客二人は、常日頃からノンシュガー・ノーミルクのはずなんだが、今日に限ってはあえて目の前の美形執事に奉仕してもらいたい一心で答えていた。俺は客や店員らが死角となっている席で、小型端末を取り出してから小型偵察機でずっと店内を見ていた。その女性客二人の内心を知ってか知らずか、シャルは柔らかな笑みを浮かべて頷いく。
「畏まりました。それでは、失礼致します」
シャルは白く美しい指がスプーンをそっと握り、砂糖とミルクを加えたカップの中を静かにかき混ぜる。時折、僅かに響く音でさえ女性客は息をのんで聞き入っていた。にしてもシャルの執事姿は、ホントによく似合っているな。二学期からの文化祭では喫茶店という候補でも入れておくとしようとして、小型端末でメモをしたのだった。
「どうぞ」
「あ、ありがとう・・・・」
すっとシャルの手元から差し出されたカップを受け取り、女性はどきまぎとした様子でそれを口に付けた。次に同じようにコーヒーを混ぜてもらった女性客も、緊張からなのかギクシャクとした動きで僅かに一口だけ飲んだ。
「それでは、また何かありましたら何なりとお呼び下さい。お嬢様」
そう言って綺麗な一礼をするシャルはまさしく『貴公子』としか言い様の無い雰囲気を放っていて、女性客はポカンとしたまま頷くのが精一杯だった。接客業はやってみると、結構大変だけどやってみると慣れてくれば問題無さそうだな。ラウラの事を心配していたようだったから、小型偵察機をシャルからラウラを映していた。ちょうど男性客三名のテーブルで注文を取っていた所だった。
「ねえ、君可愛いね。名前教えてよ」
「・・・・・」
「あのさ、お店何時に終わるの?一緒に遊びに・・・・」
ダンッ!と、テーブルに垂直に置かれたというより叩き付けられたコップが大きな音と一緒に滴を散らかしていた。面食らっている男共らを前に、ラウラはぞっとするほど冷たい声を発していた。
「水だ。飲め」
「こ、個性的だね。もっと君の事をよく知りたくなっ・・・・」
セリフの途中で、しかもオーダーを取る事なくラウラはテーブルを離れる。カウンターに着くなり何かを告げてから、少しして出されたドリンクを持って行った。確かまだ客からのオーダーをしていないはずだが、どうなる事やら。
「飲め」
「え、えっと、コーヒーを頼んだ覚えは・・・・」
「何だ。客ではないのなら出て行け」
「そ、そうじゃなくて、他のメニューを見たい訳でさ・・・・」
先程よりも多少優しめにカップをテーブルに置いたラウラ。まあソーサーが割れるのはダメなのだが、それでも多少は中のコーヒーが遠慮なく零れた。ラウラに好印象を持たれたいためか、それとも有無を言わせぬ態度に委縮しているのか、男共は言葉を探りながら会話を続ける。
実際女性優遇社会でこんな風に初対面の女子に声をかけられるというのは、勇者かバカの二択でしかない。ま、男達は後者だと思ったのか俺は笑いを堪えてクスクスしていた。
「た、例えば、コーヒーにしてもモカとかキリマンジャロとか・・・・」
「はっ。貴様ら凡人に違いが分かるとでも?」
「いや、その・・・・すみません・・・・」
言葉を遮るようにラウラは全く笑っていない目のまま、その顔に嘲笑を浮かべていた。ラウラの絶対零度の視線と許しのない嘲笑に折れて、男共は小さくなりながらコーヒーをすすっていた。
「飲んだら出て行け。邪魔だ」
「はい・・・・」
ドイツでは冷水と呼ばれたラウラであったが、単に俺以外の男性にはそういう一面を見せていた。今でも健在だったが、人を寄せ付けない態度で美少女の外見を伴えば魅力となるらしいな。店内の男性客はそのほとんどが自分達と同じように接客して欲しいとばかりに熱の籠った視線を送り続けた。
「あ、あの子、超いい・・・・」
「罵られたいっ、見下ろされたいっ、差別されたいぃっ!」
特別盛り上がっているテーブルは異様な興奮を見せていたが、他の客は無論スタッフや店長と俺もスルーしてやり過ごしていた。俺は爆笑していたが、ラウラの態度は客らにとってはキャラがいいのか。シャルとラウラのが、とても好評していたのだった。
「あ、あのっ、追加注文いいですか!?出来ればさっきの金髪の執事さんで!」
「コーヒー下さい!銀髪のメイドさんで!」
「こっちにも美少年執事さんを一つ!」
「美少女メイドさんをぜひ!」
騒動となっていたので、一気に店内全体に感染したかのような爆発的に喧騒を大きくしていった。どう対応していいか困るシャルにラウラだったが、店長が間に入って上手く二人を滞りなくテーブルに向かうように声をかけて調整をしていった。
そこは流石の本業である店長の指示は的確で、いつの間にか通常時の五割増しの客数を見事に捌いていった。混雑が二時間程続いたが、シャルとラウラにも精神的疲労が見え始めた頃に事件が起きた事でやっと出番となった。
「全員、動くんじゃねえ!」
ドアを破らんばかりの勢いで雪崩れ込んで来た男が三人、怒号を発していた。一瞬何が起きたか理解出来なかった店内であったが、次の瞬間に発せられた銃声で絹を裂くような悲鳴を上がった。
「きゃあああっ!?」
「騒ぐんじゃねえ!静かにしろ!」
男達の格好からは、ジャンパーにジーパンと顔には覆面と手には銃火器を持っていた。背中のバッグには数枚の紙幣が飛び出していたので、銀行強盗だなと俺は思ってシャルとラウラと合流するべく端末を空間にしまってから席を立った。
銀行強盗後に、逃走犯が選んだ場所が間違いだったと知ったのはコイツらが倒されてからだった。銀行強盗犯は、二十世紀の漫画のような格好に全員ポカンとしていたがそれはそれだ。基本的な行動としては、銃火器を持った凶悪犯の言う事を聞く訳だ。
「あー、犯人一味に告ぐ。君達は既に包囲されている。大人しく投稿しなさい。繰り返す・・・・」
駅前の一等地なので、警察機関の動きは迅速だったが窓から見える店外はパトカーによる道路封鎖とライオットシールドを構えた対銃撃装備の警官達が、包囲網を作っていた。俺らも一応装備を持っているが、今は動かないようにしていた。それより気になったのは一つだけあった。
「・・・・何かさー」
「・・・・警察対応が」
「・・・・古・・・・」
十代には通じないであろう妙なのを覚えて、人質という立場にも拘わらず数名の客がそう呟いた。まあ俺もそう思ったが、どうやらシャルらも同じく思ったそうだがフランスであった銀行強盗よりかはマシだった。
「ど、どうしましょう兄貴!このままじゃ、俺達全員・・・・」
「うろたえるんじゃねえっ!焦る事はねえ。こっちには人質がいるんだ。強引な真似は出来ねえさ」
リーダー格と思しき六人の中で一際体格のいい男がそう告げると、逃げ腰だった他の五人も自信を取り戻す。そしてショットガンのポンプアクションを行って、威嚇射撃を天井に向けて放った。蛍光灯が破裂し、パニックになった女性客が耳をつんざくような悲鳴を上げる。それを今度はリーダー格がハンドガンを撃って黙らせたのだった。
「大人しくしてな!俺達の言う事を聞けば殺さねえよ、分かったか?」
女性は顔面蒼白となってから何度も頷いていたが、声が漏れないようにきつく口をつぐんでいた。
「おい、聞こえるか警官共!人質を安全に解放したかったら車を用意しろ!もちろん、追跡者や発信器なんか付けるんじゃねえぞ!」
威勢良くそう言っては、駄賃だとばかりに警官隊に向かって乱射していた。弾丸はパトカーのフロントガラスを割っただけだったが、このままではヤバいと思った俺らはオープン・チャネルで作戦を練っていた。周囲の野次馬らがパニックになっていたのか、ますます時間を掛けずにさっさと倒した方が良いと思った。
「へへ、奴ら大騒ぎしてますよ」
「平和な国ほど犯罪はしやすいって話、本当ッスね!」
「全くだ。ん?他の奴らはどうした?」
周囲を見渡すと先程までいた雑魚三人がいない事をやっと気付いたのか、暴力的な笑みから仲間達がいなくなっているので少し焦っていた。というより、雑魚三人は俺が相手をしてから持っていた手錠で既に捕獲済みだ。
『二人とも、雑魚三人は既にノックアウトしといた。シャルとラウラは充分目立ったが、たまには俺にも目立ちたいのでいいだろうか?』
『もう確保しているとは流石だね一夏』
『了解です。一応バックアップ出来るようにしておきます』
そんで店内の状況を確認後、一人立っていた俺だった。一応ビットを周辺一帯に配置したが、こんな雑魚をビットを使わずにしても倒せると思った。
「何だお前。大人しくしろと言ったのが、聞こえなかったのか?」
「ああそうだ。そしてお前達はここで終わるべき存在だっ!」
リーダー格以外の者達が、俺を抑えようとするがシールドビットで殴打してからISを部分展開させたのだった。それに関して驚いていたが、ハッタリだと思ったリーダー格はショットガンを持った男に指示を出しても既に押さえている。
腕と背中だけを展開させてから、銀行強盗犯全員を外に出してから警官達が次々と対応に当たっていた。そんで残りの二人をアイアンクローで、頭ごと掴んでから外まで警官隊がいる所までガラスごと突っ込んだのだった。
「途中まではよかったがここに来たのがお前らにとってはバッドエンドだったな」
リーダー格の腹に爆弾があったが、既に解除したので爆破しないようにしていた。なので警官隊が店内に突入しようとしていたが、ISを部分展開していた俺が全て倒してしまったので警官隊は倒した犯人を次々とワッパを掛けていた。店外にいた俺はIS展開を解除してから、警官隊の長がこちらに来たがそいつが知り合いだったのかすぐに対応してみせた。
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