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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第4巻後編
  シャルと共に服をチョイス×一時休憩で日本製のモノで見てみたい所

「そんじゃ、ここから行くぞ」

「『サード・サーフィス』・・・・変わった名前だな」

「結構、人気のある店でな。あそこを見ろよ、女子達もたくさんいるようだな」

そう言われてラウラが見た店内は、確かに女子高生・女子中学生が多くいた。セール中だけあってか、店内は騒々しいので接客をするのが当たり前なのだが。

「・・・・・」

ばさりと、客に手渡すはずの紙袋が店長の手からすり抜けて落ちる。

金髪(ブロンド)銀髪(プラチナ)・・・・?」

店長の異変に気付いた他の店員もその視線を追うが、俺の事は少し無視されているようだった。まあしょうがないと思っているが、そのまま魅了されているからか店内に入ると手を繋ぐのを止めてから呟いていた。

「お人形さんみたい・・・・」

「何かの撮影・・・・?」

「・・・・ユリ、お客さんお願い・・・・」

店長は二人の方に視線を向けたまま、ふらふらと歩み寄って行く。それはまるで魅了されたかのようにして、あるいは熱に当てられたかのように。

「ちょっと、え、あ、私は?ていうか、服・・・・落ちたままだし・・・・」

文句を言おうとした女性客もまた、シャルやラウラの姿に見惚れて言葉を失っていた。まるで絵本の中のような二人の美少女、それにしっかりと手を繋いでいた俺を見た後にしまったという顔をしていたが遅かった。

『パシイィィィィィィィイン!』

手を繋いでいたのを離してから、いつの間にか持っていたハリセンで店長を叩き倒した。そして店長と店員数名は目だけで並べと言ったかのようにして、並んだので俺らがいたとしても接待を放置するなと言っといた。そして女性客の元へ行ってから、謝辞を言ったがあの場合は仕方が無いと女性客だったが代わりに半額にしますと言ったのだった。そして店長がこちらに来てから接待を開始したのだった。

「ようこそいらっしゃいました織斑様。どのようなお召し物をお探しでしょうか?」

「そんなに緊張するな店長。サマースーツを着こなしているんだから、俺らを普通の客だと見ればいい。大人の女性としてはどうかと思うが、それはいいとして。この子に似合う服を探しているんだが、いいのはあるかな店長」

「こちらの銀髪の方ですね。今すぐ見立てましょう」

そう言うなり、店長は展示品のマネキンからセールス対象外の服を脱がせていた。夏物であっても売れるモノであろう商品は、店頭に飾って客寄せに使う事を目的としている。無論売るつもりではいるが、それはあくまで『とっておきのお客様』の為のモノであって、初めて来店してきた客の為にわざわざ脱がすというのは普通なら考えられない行動をしている。だが『とっておきのお客様』が、俺なのかそれとも俺の連れだからなのか普通に脱がして見せてきたのだった。

「これはどうでしょうか?お客様の綺麗な銀髪に合せて、白のサマーシャツは」

「ほう。薄手でインナーが透けて見えているとはな。ラウラはどうなんだ?」

「わから・・・・」

「分からない、は無しだよラウラ。せっかく選んでくれたんだから」

「むぅ・・・・」

言葉を先回りされて、ラウラは珍しくむくれたような顔をしていた。子供っぽい表情をしていたので、初見で銀髪の子の方が落ち着いていると思っていた店長は驚いたように瞬きをした。

「白か。悪くないが、今着ている色だぞ」

「あ、はい」

「申し訳ない店長。こいつは余り女子力について興味が薄いのでな。ラウラ、せっかくだから試着して見てはどうだ?」

「いや、面倒く・・・・」

「面倒も無しだよ」

「・・・・・」

セリフを先回りされて、ラウラはそのまま黙ってしまうがその間に俺とシャルに店長はシャツに合うインナーとボトムスを選んでいた。

「ストレッチデニムのハーフパンツのようだな・・・・インナーはどうしようか?」

「それならVネックのコットンシャツなんてどうでしょうか?」

「あ、それいいかも。色は同系色か、はたまた対照色か・・・・う~ん迷うね」

あれやこれやと三人は楽しそうにラウラの服を選んで行くのだった。どうせもう抵抗しても無駄だと悟ったラウラだったが、少し距離を置いた場所で三人の様子を眺めていた。シャルなら分かるが、なぜ男である俺まで楽しんでいた事に不思議に思った。服など着られればそれでいいと、あくまで機能性だけを求めていたラウラらしい考え方だったが俺とシャルはその考え方を却下したかのようにして選んでいく。

「それじゃラウラ、これに着替えてこい」

「分かった」

「試着室はこちらになります」

連れられるまま試着室に入って、そこでラウラは小さくため息を漏らしていた。

「(仕方が無いとしても、せっかく一夏が選んでくれたのだからな)」

そんな事を考えながら制服を脱いでいくラウラだった。灯りに照らされた素肌は透き通るように白く、冷たさを感じる程に美しかった。ふと自分の体を改めて眺めていたが、下着だけを身に纏った姿はしなやかでありながらも鍛えられた屈強さがあった。

ラウラにとっては異性には魅力を感じないのだろうか?と疑問を抱きながら雑誌で見たグラビアのポーズを真似てみる。鏡に映った姿は非常に扇情的で、下着に包まれた曲線は俺や他の男が見たって虜にされるであろう魅力に溢れていた。

「・・・・馬鹿馬鹿しい」

自分の行動に恥ずかしくなったラウラは、そう言って着替えに戻る。俺とシャルはチョイスしたモノが果たして似合うかどうかを楽しみにしていたが、なかなか出てこないので大丈夫なのか?とシャルに聞いてみた。まあラウラは普段ああいうのを着ないからか、意外に時間が掛かる事を知っているので待っていた。改めて一夏とシャルロットが選んだ服を見ると、それは所謂『クール系』というタイプのファッションだった。

「(どうせなら可愛いのがよかったのにな。だがシャルロットはともかく一夏が選んでくれたんだから、褒めてくれるはず)」

自分の妄想でありながら、ラウラは真っ赤になりつつも着替えようとしてみたが結局制服姿になってしまった。

「あれ?ラウラ制服のまま・・・・?」

「どうしたんだ?もしかして気に入らなかったのか?」

「一夏にシャルロット・・・・も、もう少し可愛いのがいいな・・・・」

照れ臭そうに言うラウラが余りにも女の子的で、シャルと俺は一瞬ポカンとしてしまった。けどすぐに持ち直して、力強く頷く俺とシャルだった。可愛いのがいいという事で、色・形とかを希望を聞いたシャルだったのでセレクトは俺の役目となった。それなりの露出度なら、肩が出ているワンピースとアクセサリーのブレスレットをセレクトしてから、シャルにも確認をさせた。

「露出度が高い服ならば、色は黒の方がいいな。その方が落ち着いて見えるし、ラウラの銀髪と似合いそうだ」

「あ、余り派手なのは困るぞ一夏」

俺とシャルの頑張り振りに多少不安を覚えたラウラは釘を刺したが、返ってきた返事は代わりにシャルがしてくれた。

「大丈夫だいじょーぶ!僕と一夏に任せちゃってよ!」

「わ、分かった」

普段大人しいシャルに強引に来られると、ラウラとしては従う他無い。しかも俺とシャルはセンスがいいし、過去にモデルをした事もあるのでそれなりの知識を持っているからだ。それから二十分後、着替え終わったラウラが試着室を出ると店内にいた全員が息を飲んだ。

「うわ、すっごい綺麗・・・・」

「妖精みたい・・・・」

店内中の視線を受けたのか、流石のラウラでも照れ臭そうな顔をする。着ている服は肩が露出した黒のワンピース。部分部分にフリルのあしらいがあって、可愛らしさを流出している。ややミニの裾がラウラの超俗的な雰囲気と合っていて、言葉より妖精さながらの格好だった。

「く、靴まで用意してくれたのか。驚いたぞ」

「服だけセレクトしたとしても、靴だけ普通だと意味が無いんでな」

「そうそう。せっかくだから、ミュール履かないとね」

初めて履くヒールのある靴に、ラウラが姿勢を崩す。全員が『あっ!』と思った次の瞬間には、俺がその体を支えていた。

「す、すまない一夏」

「どういたしましてだ」

体勢を立て直したラウラの手を取り、お辞儀をする俺だった。そんな二人を見ていたので、貴公子とプリンセスといった様子でシャルがやると物語のワンシーンのようでさえあった。

「しゃ、写真撮っていいかしら!?」

「わ、私も!」

「握手して!」

「私も私も!」

わあっと一気に囲まれたが、しっかりと防御した俺であった。またハリセンを取り出すと、さっきの事を見たからなのか騒ぎを小さくしてから二列に並べやと言った。騒ぎに集まってきた店外の人まで輪に入ってきたが、警備員が俺の事を知っていたので整列させてから騒然となっていた。最初の店だけであんなに時間が掛かるとは思わなかったが、ラウラの服を俺が買ってから制服に戻したのだった。

「ふう、買い物というのはあんなに疲れるとはな」

「まああれはしょうがないと思うな。幸い一夏が整理してくれたから、スムーズになったんだしね」

「まあな。そろそろ昼食の遅めになるが、どこかで食べるとするか。それと先程買った服はいつかお披露目してほしいな」

顔を赤らめて取り乱したので、俺とシャルは知らないフリをしていた。オープンテラスのカフェでランチする事になったので、三人共同じモノを頼んだ。ラウラは動揺を隠していたので、フォークとスプーンが逆になっていた。指摘されて更に耳まで赤くなっていたが、この後どうするかを決めるために聞いたラウラ。

「この後は主に生活雑貨を見に行く予定だが、シャルはどこを見て回りたい?」

「僕は腕時計を見に行きたいなぁ。一度でいいから日本製の時計っていうのは、ちょっとした憧れだったし」

「腕時計か、まあ他のもいいが日本製は結構細かいデザインがあるかもしれんな。ラウラは何か欲しいモノは無いのか?日本製のモノで」

少し考えてから、ラウラはきっぱりと言うが日本刀が欲しいと言ってきた。女の子的な欲しいモノが無いと即答したので、シャル的にはガクッと首を落とした。その時、ふと隣のテーブルに女性がいた事に気付いた。何やら悩み事の様子だが、歳は二十代後半で、かっちりとしたスーツを着ている。何らかの悩み事があるらしく、ペペロンチーノは冷め切ってしまっている。なので隣に行って聞いてみた。 
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