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インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~

作者:黒鐡
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第4巻後編
  夢オチのラウラ×移動時の間×蒼い翼の存在を確認

「あ、あのー・・・・ラウラ?」

「う・・・・?」

ラウラが押し倒し、その首筋にナイフを当てているのはルームメイトのシャルロットだった。IS学園の自室で、本来ならここにはいないはずのシャルロットがいた為なのか少し驚きはしていた。

「えーと、あのね。久々に戻ってきたけど、まだラウラが起きてない事を知ったから起こしに来たらうなされていたんだよ」

「そ、そう・・・・か」

言われてみて気付いたが、ラウラは寝汗をびっしょりとしていた。肌に纏わりつく髪が堪らなく鬱陶しいが、国連軍日本支部に行っているはずのシャルロットがここにいる事で何かを考えていた。

「・・・・で、いつまでこのままなのかな?」

「そ、そうか、そうだな。・・・・すまないが、なぜここにいるんだシャルロット?」

頸動脈に当てていたナイフをどけて、そのままシャルロットの上から離れる。どうも夢の内容は覚えていない様子だったが、楽しい夢ではないぐらいの汗をかいていた。

「ん、別にいいし気にしてないから。それに昨日まで一夏と仕事してたけど、やっと仕事が一段落ついたから戻ってきた所だよ。一夏も僕もセシリアも昇進したから、それと色々と雑務していたんだよ。息抜きに戻ってきたって感じかな」

「そうなのか。一夏もセシリアとシャルロットも一段上だと聞いたが、それについてはどうなんだ?」

「一夏は大佐から少将になって、僕やセシリアや部隊長クラスの者は少佐から中佐へとランクアップしたんだよ。副長さんは大佐になったと言っていたかな」

この部屋割りに関しては、最初は戸惑いを覚えたラウラであったがルームメイトのシャルロットが気の利く存在であり、最初の刺々しい態度が無くなったからなのか。今では友として付き合いを始めてはいるが、国連軍とドイツ軍では格差がある事を知ったのは最近である。ラウラは少佐であるが、ここにいるシャルロットは少佐より上の中佐なので軍属だと敬語となってしまう。そのシャルロットに刃物を向けているのはどうかしているとため息を漏らしていた。

「ところでさあ、ラウラ?」

「何だ?」

「やっぱり服は着ないのかな?」

改めてシャルが指摘するが、ドイツから帰国する際は支給品だと言って渡した私服があった。しかしラウラは寝る時はいつも全裸となっているので、理由を聞いても単純な答えしか返ってこない。

「寝る時に着る服がない」

「そうかもしれないけど、もし一夏が見たらどう思うかな~?とりあえず風邪引くってば」

常にサイドテーブルに備えてあるバスタオルはこの為の物であり、いつものようにシャルロットはラウラの身体にタオルをかけるがここで俺の名を出したので赤く染まったのだった。そんでシャワーを浴びると言ってから、シャルは念話でしばらく掛かると聞こえたのでそのまま待っていると言っといた。だが俺もシャルも同じ事を思ったが、やはりパジャマぐらい何とかしたいと思った。

「一夏お待たせ~」

「一夏。待たせてすまない、セシリアも昇進したと聞いたがおめでとう」

「おう、待っていたから席に座れ」

「ありがとうございますラウラさん」

昇進した事を聞いていたのでまずは祝杯として、アイスコーヒーとアイスティーで乾杯をしていた。ラウラはまだ食事をしていなかったので、定食的なのを頼んでから戻ってきたラウラだ。そして買い物について話すとなぜに買い物をするのだ?と質問してきたから、逆に聞いたが寝る時は全裸だと聞いているので質問返しをした。顔を真っ赤になったので、初心だねぇ~と考えながらだったがどこに行くんだと聞いてきた。

「それに関してはまだどこに行くかは決めてないが、シャルに聞けばいい事だ。とりあえず一時間ぐらい街を見てから、良さそうな店でランチにしようかなと思っている」

とりあえず街へ行くのならと、俺とシャルは着替えてから行こうとした。そしたらラウラだけは制服だったので、シャルに聞くと着る服が制服とドイツ軍の軍服しかないので制服にしたらしい。まあ確かに軍服を着て出かけると何かあったのか?と市民に不安を与えてしまうからだ。それとセシリアは何やら別行動らしいので、途中で別れたが桜花から呼ばれて書類を書くらしいとかで。

「まずはバスに乗って駅前にでも移動するか」

「うむ」

「了解したよー」

たまには自家用車ではなく、バスや電車で行くのも悪くないのでバスに乗った俺達。昼過ぎだったのか、夏休みだけあって車内はかなり空いていた。制服のラウラと違ってシャルと俺は私服で、二人共量子変換機で着替えたので問題ない。シャルは夏らしい白を基調としたワンピースに淡い水色を加えて、涼しさと軽快さを醸し出していた。

「そういえば街の方は余りゆっくりと見た事ないから、今日は色々と見ようか?」

「そうだね。それにセシリアの分まで思いっきり楽しもうか一夏」

窓から見える景色を眺めながら言うが、返事が一つしかなかったのでラウラの方を見た。真剣な眼差しで町並みを観察していたが、狙撃地点やらスーパーはライフラインがどうのこうのやら下水道や地下鉄側道などの地図を手に入れるかと聞こえた。銀色の髪が日光を受けて鮮やかに輝くのか、鋭い目線もあってか超俗的な雰囲気を醸し出していた。

「ね、ね、あそこ見て。あの二人」

「うわ、すっごいキレ~」

「隣の子も無茶苦茶可愛いわよね。モデルかしら?」

「そうなのかな?銀髪の子が着てるのって・・・・制服?見た事ない形だけど」

「バカっ。あれ、IS学園の制服よ。カスタム自由の」

「え!?IS学園って、確か倍率が一万超えてるんでしょ!?」

「そ。入れるのは国家を代表するクラスのエリートだけ」

「うわ~。それであの綺麗さって、何かズルい・・・・」

「まあ、神様は不公平なのよ。いつでも」

シャルとラウラに注目している女子高生のグループが、声のボリュームを抑える事なく騒いでいた。それと神様なら目の前にいるだろうが。そう思ったシャルだった、俺の事を忘れ去られていたかのように気付いたが、二人以上に声が出ていたので上限というのが無いのか?と思った。

「ねえねえ、あの二人もだけど隣の男性もカッコ良くない?」

「あの二人に気付かなかったけど、あの人もモデルなのかな?」

「隣にIS学園の生徒だとしたら、もしかしてあの人は世界初ISを動かした男子じゃないの。それにしても随分と大人な感じが出ているわね」

「絶対そうよ!?そういえばニュースで見たけど、一時期は男子だったらしいけど神様の手違いで大人になってしまったという噂が出ているわ!」

「ええっ!うわ~それであの紳士のようなのは、人気モデルだったら絶対売れているのにねえ」

そんな風に盛り上がっている会話は、当然バスという狭い空間では俺ら三人の耳にも届いているがそんな風に褒められた事は、もう慣れていたので俺とシャルは堂々としていた。ラウラにとってはどうでもいいらしく、再度戦争時化の市街戦シミュレーションを続けていた。まあ俺らも訓練をやるが、流石にオフの時にそんなのを考えるのはラウラぐらいだと思うんだがな。

「(ISは比類無き世界最強の力だ。しかし、戦争は個人の戦力だけでは決まらない。特に歩兵による市街地展開が行われた場合、防衛側も同じく歩兵による戦線を展開しなくてはならないだろう。市街地制圧前に大型輸送機による空爆が行われる場合も考えて、何か独立した移動可能な対空兵器が必要だろう。それとは別に歩兵にも携行式地対空ミサイルを配置するのが望ましい。ジャベリンやスターストリークなら対車両攻撃にも使える。それに何より・・・・)」

ちなみに対空兵器の事をSAMとも言うが、今はそういう考えは捨てて欲しいのだがラウラだからしょうがなく思っている。それに聞こえないだろうと思っているラウラだとしても、俺を媒体としてシャルにも聞こえるようにしている。まあシャルも軍属となっているが、オフの時はそういうのは忘れて欲しいと思った。

「ラウラ、ラウラ」

「何だ一夏」

「何だ、じゃないよ。駅前に着いたからさ、考え事はオフにしておかないと通り過ぎてしまうぞ」

「了解した」

俺らと二人は他数名の乗客と一緒にバスを降りると、そのまま駅前のデパートへと入った。シャルはバッグから何やら雑誌を取り出して、案内図と交互に見てから確認を取っていた。というか、このデパートのシンボルマークを見ると蒼い翼の6対12枚の銀翼だった。記憶の上書きがされていたからなのか、俺とシャルだけ目を閉じて数分間閉じていた。

「どうしたんだ?一夏にシャルロット」

「いや何でもない。俺の知り合いがやっているデパートだったんでね、なあシャル?」

「う、うんそうだね一夏」

そして再度デパート内に入ると、明らかに店員の緊張感が見れたのか。今までこの外史に蒼い翼というのは存在しなかったのだが、別の俺が社長兼CEOをしているのかやっとその影響されてきたようだ。今までオーナーをしてきたのは、とある知り合いからやっていると言っていたがこれで堂々と言えるな。

「このデパート内は、来た事はないが案内頼むシャル」

「うん分かったよ。この順番で回れば無駄が無いと思うから、最初は服を見て行って途中でランチ。その後生活雑貨や小物とかを見に行こうと思うけど、ラウラもそれでいい?」

「よく分からんが、任せる」

相変わらず一般的な十代女子の事には疎いラウラだった。十代女子というのは紛れもなく自分も含まれるが、記憶の上書きにより蒼い翼の存在を確認後に俺を見てから念話で言っていた。蒼い翼という巨大グループのCEOをしている事だとね。

あとはいくらシャルでも分からないのもあるから仕方が無いが、女子のファッションについては多少は学んだ方がいいと思った。にしてもラウラはシャルや俺の言葉には抵抗感無く頷くが、俺はしょうがないとしてシャルにもそうなるがなぜだろうか?

『なあシャル。普通ならラウラというキャラは、分からない事があっても行動は自分で決めてしまうタイプだろう』

『久々の念話だね。確かにそうなんだけど、一夏は軍属で少将だからだと思うよ。でも僕は中佐だとしても、オフでもこれだから分からないんだよね』

「とりあえずラウラの私服プランを練ろうと思うんだけど、スカートとズボン、どっちがいいんだ?」

「ん、どっちでも・・・・」

「どっちでもは無しだからね。一夏も一緒になって選んでくれるから、ファッションを少しは学んだ方がいいよお」

念話を終えてから、ため息を漏らしていたシャルだったが学んだ方が俺にとっては嬉しくなると囁きをしたシャルだった。

「二人の会話が終えた所で、早速行くとするか。七階フロアに行くとして、その下である六階と五階もレディースだから順番に見に行くぞ」

「うん?なぜ上から見るんだ?下から見た方がいいのではないのか一夏」

「上から下りた方がいいに決まっているよラウラ。お店の系統から見てもそうでしょ?」

そう言われてシャルが開いた本を見るラウラだったが・・・・。

「全く分からん」

「~~~~っ。あのね、下の方の階はもう秋物になってるの。上の方の階もだいぶ入れ替えてると思うけど、今セールで夏物がまだ残っているから、先にそっちを・・・・」

「待て、秋の服はいらないぞ」

「は?おいラウラよ。いらないとは理由を申してみよ」

「今は夏だから、秋の服は秋になってから買えばいい」

『パシイィィィィィィィイン!』

俺のハリセンに火が噴いたような良い音を鳴らしたので、一瞬客や店員がこちらを見るが説教モードと化した俺を見るや見なかった事にした客や店員だった。

「いったぁぁぁぁぁ、な、何をするんだ一夏」

「阿呆。女子は普通季節を先取りしてから用意するのが筋ってもんだ」

「ラウラに分かりやすく言うとね、もし戦争になってから装備や兵を調達したとしても間に合わないでしょ?一夏もファッションには特にうるさいから、覚悟してよね?ラウラ」

例えばの話をしてから、備えあれば憂い無しと言う。単純に女子としての感性の問題なのか、ラウラは理屈で理解したかに見えた。俺やシャルも間違っている事を言ってないので、それでいいやと諦めが若干入っている。

「とにかく、順番に回って見るからね。特にここは一夏の知り合いの店ばっかりだから、分からない事があったら何でも訊いてね」

「そうだな。一夏とシャルロットが一緒なら心強い」

と言う事で三人はエレベーターに乗って一気に七階まで進む。冷房の効いた館内は、夏休みという事もあるのか十代の女子男子で溢れていた。

「はぐれるとマズイから、シャルにラウラ。俺の手を繋いで行こうか」

「そうだね」

「う、うむ」

さらりと言う俺に対してシャルは何ともないが、ラウラは少し照れていたかのように頷いていた。素直に肯定してしまうのが、ラウラらしくないと思ったがここはデートしているようなもんだ。 
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