インフィニット・ストラトス~黒衣の創造神~
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第4巻後編
久々のIS学園×夢の中のラウラ
やっと仕事が落ち着いたので、たまにはと思いIS学園へと戻ってきた俺とセシリアにシャルだった。IS学園の制服を着ているが、俺だけは黒い制服なので少し目立っていたけど問題はないはずだ。一方学園の職員室では仕事が一段落となった山田先生がいた事で、少し会話を聞かせてもらおうかと思い風術で聞いた。
「ふう。やっと一段落つきました」
山田真弥は職員室の自分の席で、熱いお茶を飲んでいた。真夏に冷房の効いた部屋で熱いお茶を飲んでいるのは、少し贅沢かと思う。学園は運営資金の一部を税金なのか、多少なりとも胸が痛む思いだった。
「(でも今だけは許して下さい。やっと・・・・やっと溜まりに溜まった一学期の総纏めが終わったんです)」
というのも今年はイレギュラーな事が起こり過ぎた事については、本人である俺もイベントがあり過ぎたと思う。『ISを扱える男性』に始まり、異常な数の専用機持ちと候補生から軍属になった二人、頻発する謎の事件、更には国際IS委員会からの説明要求と織斑一夏の身柄引き渡し命令などがあったそうだが、それについては既に解決済みとなっている。それらの仕事がやっと半分以上片付いたからか、少しくらい休憩したって許せる状況だ。
「(それにしても困りました)」
その書類というのは一枚の書類を交互に見ながらため息をしていた。本来なら俺もだが、国連軍所属なので何も問題はないが問題は箒だ。代表候補生でもないのに専用機持ちという困った事態で、俺はともかく箒のISは帰属する国家という登録国籍が無い状態となっている。
「これに関しては非常にまずい訳だが、全ての国が自らの専属操縦者として招く事が出来る上にISもオマケでついてしまう状態となった。どの国もISは喉から手が欲しいが、存在だけでも国家の軍事力を大きく変えてしまうくらいだ」
「私やシャルロットさんも元は国のモノだったのに、今では国家ではなく軍属となってしまったのでどの国家も文句は言えないと」
「ISの製作者が一夏じゃなくて、篠ノ之束博士のお手製だもんね。まあ僕らのは、一夏によって創られたISだからね。しかも第四世代以上の完成系だから、世代というのが無いのか。力尽くでも手に入れようとしても、その前に僕らが相手をしても無駄だと思うよ」
まあそういう事で、一年一組は色々と集中したクラスとなった訳だ。特に途中編入の転校生組は明らかに可笑しいのだが、普通はあれだけの数の専用機持ちを一クラスに集中する事がおかしな状況となっている。何かしらの根回しがあったとしても、IS学園は一応どの国家にも属さないからなのか各国からの影響力を完全遮断する事は難しい。
「もう盗聴する必要性は無いから、どこか涼しい場所にと行くか?セシリアにシャル」
そう言うと二人は頷いてから、両腕を独占してから両手に花の状態となった。学園食堂に隣接しているカフェに行くが、ここは冷暖房完備で年中無休の駅前コーヒーショップよりもハイグレードな本格的ドリンクを提供しているカフェだ。四季折々のスイーツが楽しめるのだが、夏休み中だからか学園生の姿が絶えなくいたのだった。
「ね、ね、あれ、一年の織斑君じゃない?」
「ホントだ!初めて生で見た!」
「でも私達より年上だからか、カッコいいし年下もいいけど年上もいいわね~」
「でもでも、私的には一年生なのに教師じゃなくて生徒だと言うのにしっかりしてそうな雰囲気が好きかな」
そんなお喋りが俄かに聞こえてくるが、俺は動揺する事なくコーヒーを飲んでいた。セシリアとシャルはそれぞれの飲み物を飲んでいたけど、ラウラは何してるんだろうかな?まだ昼前だが、寝ているとの事なのでシャルが迎えに行く事となってからここに来るようにとの事だった。さてとラウラは今どういう状況かを見るために、ラウラの夢の中を見ていた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ。階級は少尉。現在はIS学園の試験操縦士」
薄暗い部屋で、不快な湿度がここは地下だと物語っている。ここはラウラの記憶の中でも、特に暗い部分で軍隊の訓練で一番嫌いだった尋問に対する耐性訓練。っておいおい、耐性訓練って女だとだいたい想像出来るが訓練場所というより尋問という拷問場所として使われた部屋らしい。水滴の音から察するに、結露した天井から時折落ちてくるそれが、無性にラウラが苛立ちを覚えていた。
「気分は如何かな?ふふ、顔色が良くないね」
立つ気力も座る体力も無いラウラは、そんな問いかけを一々相手になどしない。悍ましき部屋の主であろう女だが、顔が見えないのか逆光になる位置で立っているので腰の後ろで手を組んでいた。声は妙に澄んでいて、この部屋の湿度もあってか特別綺麗に木霊した。
「さて、三日間の不眠と断食は如何だったかな、ラウラ君。ん?」
答えるのも嫌なのか、体力を温存したいのか今のラウラはとても疲弊していた。
「これはねえ、典型的な尋問なんだよ。大昔から使われている手法だ。時間の概念が停止した部屋で眠らせず、食べさせず、そして延々と水滴の音だけを聞かせる」
かつかつと、硬質のかかとを鳴らして女は数歩進んでから座った。勝手にしろと心の中で呟くのがやっとだったが、これはどんな夢なんだか。椅子に座った女は、左右に首を鳴らしてからゆっくりと脚を組んだ。僅かな光の網から抜け出た脚は素肌だったので、この尋問官が軍服を着ていない事から軍人ではなくいつのも訓練官でもないかに思えたラウラ。
「(こいつは誰だ?どうしてここにいる?だがそうなるとまずは・・・・)」
「まずは椅子を倒し、そのまま首を取る・・・・というのは、余りおススメしないな」
「(!?な、なぜ・・・・)」
「なぜ考えている事が分かったか、かい?それはねぇ」
いつもと違う要素が降りてきたにも関わらず思考回路を蘇らせてから、どうやって制圧するかを考えたら尋問官が当ててしまったので動揺を見せた。女の顔が出てくるが、口元までで目は見えてこない。形のいい唇が動くと共に、読唇術を習得したラウラにとって無音だろうと言葉を理解するのは容易い。だがなぜかその言葉を言語化する事が出来なかったが、何らかの形で納得してしまった夢のラウラ。
「さてそれじゃ尋問を始めようかな。ラウラ君、愛国心はあるかな?」
「ああ」
「ふふ、簡単に嘘をつくんだね、君は。・・・・愛国心何て、欠片も持ち合わせてはいないだろう?」
「そんな事はない」
それはどうでもいい事だったのか、何やら手帳を取り出した。
「さてと、仲間はどこにいる?規模は?装備のレベル、それにバックアップは?」
「言うはずがないだろう」
「そうだね。では、こういうのはどうかな」
にやりと女の口元が笑みに歪んでいたが、表情の変化には取り合わずにラウラは次にどうやって目の前の相手を制圧するかを考え始める。
「好きな人は出来た?」
ラウラの思考が停止した。
「何?」
「名前は織斑い・・・・」
「なっ!?ば、馬鹿!言うっい、言うなぁっ!」
「あはははっ!顔を真っ赤にしちゃって、可愛いねえ」
「こ、こっ、殺す!殺してやるっ!」
疲労と脱力を吹き飛ばしたラウラは、立ち上がりと同時に飛びかかるのを同時に行ったと思いきやここで夢オチとなったので、俺はラウラの夢を見終わってからコーヒーを飲んでいた。一緒に見ていたセシリアは、苦笑していたが昔あった事なんだと知るがこういう訓練はウチではやらないと言っといた。
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