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ソードアート・オンライン ーEverlasting oathー

作者:ゆぅ駄狼
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Five episode ボクから君へ

 
前書き
むぅ……今度こそ……今度こそ……!


「何やってんだユウキ」


「な、何でもないっ!」スタタタ…


「ユウキ?」 

 



はぁ……



ユウキは一人溜息をついていた。まるで恋をしている女の子のように。
今日はユウヤと一緒にアスナの家に行く約束をしていた。

どうすればいいんだろ……

ユウキはアスナに言われた事を思い出した。


「ユウキ?ユウヤ君が好きならちゃんとアプローチしないと駄目だよ?」


アプローチってどんなことするんだろ…
楽しい話をするとか……?
それともプレゼントをするとか……?
それとも……手を繋ぐ……とか?


ボクは考えていると頭の上に誰かの手が乗った。
その手は大きくて…とても暖かった。
そしてその人はボクを呼んだ。
この声は一番好きな声だ。


「ユウキ?何ボケっとしてんだ?そろそろ行くぞ?」


ーーーーボクの大好きなユウヤの声だった。


どうやらアスナの家に行く時間になったらしく、ボクを呼びに来たらしい。

アスナの家に着いたらアスナにどうアプローチすればいいか聞いてみよっと


「うん!」


ボクはユウヤにそう言ってユウヤの後ろをついて行った。







第61層 ーーー セルムブルク商業区ーーー




ボクとユウヤは商業区にいた。アスナの家に行くには商業区を通って市街区に行かなければいけないのだ。
ユウヤは歩いていると何かを見つけたような顔をした。


「お、何か店があるな。アスナの家に行く前に少し寄ってこうぜ」


ユウヤは指を指しながら笑顔でそう言った。ユウヤが指差した方向を見ると一つの店があった


((アクセサリーショップ店))


アクセサリーショップかぁ……
アクセサリーをつけたらボクでも可愛く見えるかな……
…ここでアプローチしなきゃ!


そう思いユウヤと一緒にアクセサリーショップにはいって行った。

中に入ると色々揃っていた。人もそれなりにいて、結構人気がある店だったようだ。
悪趣味なバンダナの人が必死に新しいバンダナを選んだりもしていた。


「沢山あるな〜。お!あれ見て見ろよ!ユウキに合いそうなのがあるぞ!」


そういってユウヤはボクを商品のとこまで連れて行った。
ユウヤがボクに合うと言っていた物はカチューシャだった。
カチューシャを見てると一つの黒色のカチューシャが目にとまった

あ……この黒色のカチューシャ可愛いなぁ……

そう思い黒色のカチューシャを手に取ろうとしたが、黒色のカチューシャの横にあるカチューシャに目が行った。



《猫耳カチューシャ》



それは男のロマンであり、また、男にとって破壊力抜群の装備であり、最強の武器であった。
ユウキは猫耳カチューシャを見てアスナに言われた事を思い出した。


ーーーーちゃんとアプローチしなきゃ駄目だよ?


ここでこれをつけてアプローチすれば……でも……ボクがつけて可愛く見えるかな……
もしかしたら引かれるかもしれない……でも……ここで頑張んなくちゃ駄目なんだ!

ユウキは意を決し、猫耳カチューシャをつけてユウヤを呼んだ。


「ユ……ユウヤ!」


ボクがユウヤを呼ぶとユウヤはボクの方を向いた。


「んー。どうし……」


ユウヤはユウキの猫耳に気付いたらしく、言葉が途切れた。
ボクは一か八かで勇気を振り絞って猫の手の真似をし、ユウヤに上目遣いで言った。


「に……にゃー……」


その威力は絶大だった。アインクラッドのそれぞれの層のボスを一撃で倒せるんじゃないかってくらい強力であった。


ガタン!ガラガラ…ドサドサ!ガシャーン

周りの客がユウキの声を聞いたのか、驚きのあまりに商品を床にぶちまけていた。
辺りが沈黙した。


「うぅ……ユウヤぁ……」


ボクは沈黙に耐え切れず、目に涙を浮かべながらユウヤを呼んだ。
だがユウヤには全く反応がなかった。


やっぱりボク可愛くなんてなかったのかな…ユウヤに…ユウヤに嫌われちゃったよぉ……うぅ…


ボクはもうユウヤに嫌われたと思い、目に溜まってる涙が流れ出しそうな位に心が張り裂けた。


「うぅ……うぇ……」


「ーーーー可愛い……」


「ふぇ…?」


ユウヤが突然口を動かし、そう言うと周りが騒ぎ始めた。


「あの子誰だ!?」


「猫耳少女だぞ!誰かパーティに誘え!」


「俺がパーティに誘う!」


「テメー!抜け駆けすんじゃねぇ!」


「ク……クククライン!独身24歳です!!」


周りの男達がユウヤにパーティの勧誘や結婚の申し込みなど色々な事をしてきた。

ボクは顔を真っ赤にしてユウヤの方に助けを求めた。


「ユウヤぁ……」


「これはやばいな……行くぞ!」


そういってユウヤはボクの手を引いて店から出て行った。
猫耳は男達にぶつかった衝撃で頭から取れてしまった。

ボク達は男達から逃れると商業区を出た先、市街区の噴水広場にいた。
噴水広場からは大きな大樹が見えた。


「ここまできたら大丈夫だろ……にしてもやばかったな男共の目が……」


「う……うん……ありがとう……」


ボクはユウヤにお礼を言うと一つの出来事に気付いた。

あ……手……繋いでる……

ユウヤに手を引っ張られた為、ずっと手を繋いだままだった。
ユウヤはそんな事は気にしてないらしく、笑顔で喋り続けた。
鈍感男と言われてもしょうがない態度だった。他の女の子だったらビンタしているだろう…。


「さ、アクセサリーはあんま見れなかったけどもう少しでアスナの家に着くから歩こうか」


ボクは手を繋いだまま、できるだけいい笑顔で返事をした。


「うん♪」






ーーー市街区 アスナの家ーーー




噴水広場から10分するとアスナの家に着いた。
アスナの家はレンガでできていて、とても高級感があった。

ボクはアスナの家のインターホンを押した。

ピンポーン…ガタン…ガタガタ…


中がやけに騒がしかった。
するとドアが突然開き、一人の黒服の男が出てきた。


「ユウヤ!お前も呼ばれてたのか?」


「お邪魔しました」


「ちょっと待て!」


ドアを開けて出てきたのはキリトだった。

あれ……?キリト呼ぶなんてボク聞いてなかったのにな……


「俺はユウキがアスナの家に一緒に行かないかって言ってきたからついてきたんだよ。ユウキはキリトがいるって知ってたのか?」


「ううん、知らないよ」


「へっ?お前らアスナに呼ばれたんじゃないのか?」


アスナってキリトが好きなんだっけ?

ーーーなるほど……ボクにはわかったよアスナ!

ボクはアスナも必死にアプローチしてるんだなと思い、笑みが零れた。


「「何笑ってんだ?」」


ユウヤとキリトが声を揃えてユウキに聞いた。
いつものことだが毎回声を揃えて喋るものだからユウヤとキリトは似ていると思う。
鈍感だという事も入れて。


「まぁまぁ!気にしない気にしない♪」


ユウキはそう言ってユウヤとキリトの背中を押し、ボク達はアスナの家に入った。
アスナの家の中はものすごく綺麗に整頓され、女の子らしい物が沢山あった。


「アスナー!」


「ユウキー!遅かったじゃない!」


「いやー色々あってね……」


猫耳の事はアスナでも絶対に教えれないなぁ……
ユウキがそう思っているとアスナの言葉に対してユウヤが言い訳を言った。


「実はユウキがアクセサリーショップで猫耳カチューシャをつけたら沢山の男達にナンパされたから逃げてたんだ」


ユウヤ!?それ一番言ったら駄目なやつだよぉ……

するとアスナはボクに微笑みながら言った。


「へぇ……猫耳ねぇ……ユウキも頑張ってるってことね!」


「アスナも家にキリトを呼んでるなんて……随分頑張ってるみたいだね!」


「「?」」


ユウキとアスナが恋愛のことで盛り上がってる中、ユウヤとキリトは話についてこれずにいた。
この時のユウヤとキリトの顔はアホ面と言うのだろう。口をポカーンと開けたまま喋らない。

ユウキとアスナは何か話をしていた。
それは女子陣にとっては重要な話だった。


「ユウキ……後で私が計らってユウキとユウヤ君を二人だけにしてあげる。その間にユウヤ君に告白でもしたらどう?」


「こ……告白?」


「そ、ユウヤ君に好きって思い切って言ってみたらどう?」


アスナはボクに二人きりの状況をつくり、その間に告白しろと言ってきた。
そしてアスナはユウヤとキリトに提案した。


「ちょっとユウヤ君とキリト君?今日は私がご飯を食べさせてあげるわ。ユウヤ君はユウキと一緒に食材を商業区で買ってきてくれないかしら?キリト君は料理の準備を手伝ってくれないかな?」


「わかった」


「わかった。ユウキー行くぞー」


アスナはボクに一枚の買ってくる食材のメモを渡してきた。
そしてアスナは耳元でボクに言った。


「ユウキ頑張れ!」


それを聞くとボクは頷いてユウヤと商業区に向かった。







「暗いな……なんかのバグか?」


外は既に暗くなっており街灯がなんらかのバグのせいで本当に真っ暗だった。暗くてユウヤを見失ったら迷子になりそうな程だ。
ボクはユウヤを見失わない様に頑張ってユウヤいついていった


「ーーーユウキ、ほら」


「え?」


ユウヤがボクを呼ぶと手を差し伸べてきた。


「本当に真っ暗だから危ないし、迷子になったら困るだろ?だから手、繋いでてやるよ」


「う……うん、ありがとう……」






そう言ってーーーー





ーーーーーボクはユウヤの手を握った。





ユウヤの手は暖かくて、とても大きかった。


「そういや、アスナから食材の紙もらってなかったか?」


「あ、持ってるよー!」


そう言ってボクはアスナから貰った紙を見た。
だが、そこには書かれてたのは食材のメモではなかった。
そこに書かれていたのはたった一言だけ




ーーーーーユウキなら大丈夫!




アスナ……ありがとう……


「何の食材買ってこいって?」


「……」


もう後には戻れない
でも、ここで拒絶されたらどうなるんだろう……

ボクはユウヤの顔を確認した。


「どうしたー?」


怖い……
拒絶されたらもうこの顔が見れないかもしれない……
そんなのは嫌だ……!
でも……ボクは伝えたい……





ーーーーボクの想いを





「今日はもう……アスナの所へ戻らなくてもいいみたい……」


「へ?なんでだ……?」


ユウヤは何でだ?という顔をしてユウキを見ていた。
いきなり買い物に行って来いと言われ、今度は戻らなくていいと言われたらどんなに頭の回転が速い人でも理解ができなくなる。


「ユウヤ……いきなりだけど聞いてくれるかな?」


「あ、ああ……」


まだ状況を理解してないユウヤはおどおどしていた。

本当に……ここまで来たら後戻りはできない
伝えないと……!
ボクのこの気持ちをユウヤに!


「ユウヤ……ボクはね……!」


ボクはボクの気持ちを伝えようとした。


「ボクは……」


伝えようとしたがその後の言葉が出なかった。
ユウキが今一番伝えたい言葉が出なかったのだ。

あれ……?どうしたんだろう……言葉が出ない……


「ボクは………」


やはり声は出ない。
何回言おうとしてもその先の言葉が出なかった。


「ユウキ?どうして泣いてるんだ?」


ボクが泣いてる?なんでそう思うんだろう?ボクは泣いてなんかいないのに…


「え……?あ……れ……?」


ユウキの目からは確かに涙が流れていた。その涙は頬を伝っていった。


「はは……おかしいな……」


何度も、何度も涙を拭ったが涙は溢れてくるばかりだ。


そうか……
やっぱりボクは拒絶されるのが嫌だって心の何処かでまだ思ってたんだ
やっぱりボクは…ユウヤに拒絶されたくないから…だから…声が出なくて…


「ふぇ……うぇぇ……」


ユウキは自分の心境を理解すると目に溜まっていた涙が一気に流れた。

ーーーー少女は一人泣いていた。


ギュ……


「ふぇ……?……ユウヤ……?」


ユウキは驚いた。何故ならユウヤがユウキの体を包む様に抱きしめていたのだ。
まるで一人の少女を守る騎士の様に


「何で泣いてるかはわかんないけどさ、泣かないでくれないか……?お前の泣いてる顔は見たくない……」


「ふぇぇぇ……ユウヤぁ……」


ボクはユウヤにこの想いが伝えれない悔しさとユウヤの優しさに触れて泣いてしまった。


「なぁユウキ……俺はお前が心配だ……だから俺に話してくれないか?」


ユウヤはボクにそう言った。
だが、ユウキは言えなかった。

ユウヤと離れたくない……ユウヤとずっと一緒にいたい……!この想いを伝えたら一緒にいれなくなるかもしれない……


「もしかして俺が関わってたりするのか?」


ボクは頷きもしなかった。
もしここで頷いたらユウヤに想いを伝えないといけなかったからだ。

だが、ユウヤは自分が関わっていると悟ったらしく話を続けた。


「ユウキ……俺が関わっているんだな……」


もう無理なのかな……
ユウヤとはもう一緒にいられなくなるのかな……


「俺が何か悪いことしたんだな……ごめんな……ユウキ……」


そういうとユウヤは自分の拳に力を入れていた。

違うよ……!ユウヤは悪くない……!


「ユウヤは悪くない……!ボクが……ユウヤに嫌われるのが嫌で……」


「どういうこと……だ?」


ボクは抑えてた気持ちが全て解放されて
大声で、泣きながら言った。


「ボク……ユウヤが好きで!大好きで……その気持ちを伝えたくて……!でもユウヤに……拒絶されると思って……ボク……ユウヤにこんなに迷惑かけて……嫌いになったよね……」


ボクはユウヤに思っていることを全て言った。
本当はこれで良かったのかもしれない。実らない気持ちを持っていても辛いだけなのだから。

するとユウヤは口を開いた。

ボク、もう一緒にいられないよね……
でも……これが、ボクから君へ送る気持ちだよ。







ーーーーーーふざけんな







「ふざけんじゃねえぞ!!!!!」


ユウヤは大きな声でそう言った。

夜空に浮かぶ月と星達は少年と少女を照らしていた。






 
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