ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
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SAO編 Start my engine in Aincrad
Chapter-8 74層攻略
Story8-12 シャオンvsヒースクリフ
第3者side
翌日の第55層・グランザム
血盟騎士団本部。
その場所には、シャオンもいた。
キリトの初出勤記念ではなく、冷やかしでもなく、用事があった。
そこでは何故か険悪ムードだった。
シャオンは来たばかりだから、何故なのかは解らなかった。
「どうしたんだー?」
そう聞いた。
どうやら、険悪なムードを出しているのはアスナの様だ。
よく見ると険悪とは少し違ったようだ。
アスナは、何処か落胆している様で肩を落としていたのだ。
「ああ。これから訓練みたいなんだ」
キリトがシャオンに説明した。
説明によれば、どうやら、幹部の1人ゴドフリーがキリトの腕に信用があまり無いらしく、それを示す為に55層から56層までの迷宮区を突破しに行かなければならないとの事らしい。
「75層まで行っているお前からしたら、面倒だよな」
確かに、キリトはヒースクリフとのデュエルで負けた。
その過程は置いておくにしても、その腕は間違いなくここアインクラッドではトップクラス。
共にBoss戦を戦い抜いてきているシャオンも勿論思っているし、キリトの事を知っている者なら誰でも首を縦に振ると思う。
「シャオン君の言うとおりだよ…………それにキリト君はあんなのに比べたら問題にならない位強いのに」
「あんなの……って…………」
「はは…………」
キリトは苦笑いをして、落胆気味のアスナの方へと向かった。
「あぁ、今日は一緒にいられるって思ったのに…………わたしもついていこうかな……」
心底落ち込んでいる様だ。
今日のアスナはこれと言ってギルドの用事は無い。
OFFとも言っていい状態。
それに、キリトも新人の様なものだから、上司の権限も使ったりして一緒にいられると強く思っていた。
「キリト君ならきっとすぐに帰ってきてくれる。
その時一緒にいれば良いって思うよ?
会えない時もずっと思ってたら、会えた時、一緒になれた時、もっともっと嬉しいんだからねっ!」
「俺も同感。
会えない時間が長ければ、それは会ったときの幸せとしてちゃんとその分返ってくる。
だから、今は我慢した方がいいと思う」
「「ッッ……!!」」
二人の言葉を聞いて、キリトとアスナは一気に赤面をしていた。
「なんかオレ、ちょっと複雑な気分だ…………」
「恋を勉強したまえ青年よ」
「うるさい…………まあいいか」
キリトはメニューウィンドウを開きある程度の準備をした。
そして、メニューウィンドウを消す。
「みんなの言うとおり、直ぐに帰ってくる。だから、ここで待っていてくれ」
「う、うん。でも、気をつけてね」
アスナはキリトの言葉にやや顔を赤らめたが、最後は少し寂しそうにして頷いた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
時間がたち、一人残ったシャオンはヒースクリフに質問していた。
「で、あんたの用というのは何?」
「私と手合わせ願いたい、ということだ」
「は?なんで?」
「キリト君と手合わせしたのだが、とても強かった」
「あー、あいつは強いよな。でも、あんたが勝ってキリトをKoBに入れたろ」
「そこで負けたキリト君はこう言っていたのだよ。『俺より強いプレイヤーがいる。
俺の知る中で最高の速さを誇るプレイヤー、そいつと手合わせしてみなよ』
私としては攻略組の実力を把握しておきたい。
ということで私と手合わせしてもらえるかな?シャオン君」
「そりゃ構わないけどさ、本気でいいんだよな?」
「構わない」
「じゃ、さっさと始めよう」
「いや、75層の闘技場で行う。ついてきたまえ」
「分かった」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
頭の中で昨日のキリトとヒースクリフの戦闘を再生しつつ、闘技場に着いたシャオン。
「うわー…………これもこれで嫌だな」
その観客席部分はがら空きだった。
シャオンは闘技場中央のヒースクリフの元へ向かった。
「待たせたな。始めようか」
「オプションは初撃決着モード、でいいかな?」
「構わない…………ひとっ走り付き合えよ、ヒースクリフ」
3、2、1
スタート。
SEED Mode-Accelerationをすぐに発動。
高速バトルへ持ち込んだ。
シャオンは連二刀流スキル突進技〔シューティングスター〕を放ち、ヒースクリフに攻撃した。
ガキン ガキン キィィィン
「恐ろしい速さだな」
「このスピードについてこられたのは始めてだよ、あんたが」
攻撃は防がれたものの、自分の間合いに持ち込んだシャオンはラッシュを開始する。
〔エクスパート・ドライバー〕〔アイソレイト・イグニッション〕〔フルアクセル・ストライクエンド〕〔フラッシング・ツインブレイド〕
間髪入れずに次々繰り出す。その間をヒースクリフは的確に突く。
「イグニッションドライブ!!」
さらに速度を上げていくシャオン。
それでも弾くヒースクリフ。
「ふむ、なかなかやるな…………」
その後二人の攻防で双方のHPは少しずつ減っていった。
「んじゃ、次で…………決める!」
連二刀流スキル最上位技〔ソードダンス・オーバースピード〕剣が軌跡を描きながら舞う、35連撃。
ヒースクリフも反応が遅れていく。
しかし、あり得ないことが起こった。
時間を奪われた、というべきか。
ヒースクリフの盾がコマ送りで移動した。
そして35連撃目。
その盾できれいに弾かれ、単発突きを喰らった。
その攻撃をうけたシャオンはそのまま倒れこんだ。
――なんだったんだ、あの攻撃は…………
「…………負けたのか…………」
「やはり、速いな。私も危なかったよ」
「あ、ああ…………」
「さて、いったん私の部屋に戻ろうか」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ヒースクリフの部屋
「なんで、俺をこの部屋に呼んだんだ?」
「実は、つい5分前にアスナくんからメッセージが来たのだよ」
「アスナが?」
「その内容は『キリト君の様子が危ないかもしれないので、フローラと一緒に行ってくる』とあったのだ。
その時、キリトくんはどうやらここからかなり離れた場所にいたらしく、慌てていたのかメッセージの文が漢字変換されていなかったのだよ」
「つまり、足の速い俺にキリトの様子確認をしてほしいのか」
「私もギルドマスターゆえにここを動けない。
すまないがいってきてほしい」
「それぐらいなら構わない。
じゃあ、行ってくる」
そう言ってシャオンは血盟騎士団のギルドを飛び出していった。
Story8-12 END
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