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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十五章
  全兵達の夜叉化による聖なる儀式

大戦が始まる二日前の夜に、躑躅ヶ崎館にある評定の間には畿内連合では、織田家の久遠に家老の壬月と麦穂。それから一真隊所属のひよ、ころ、詩乃、梅、雫に松平家出向組は歌夜と小波。森一家からは次期棟梁から小夜叉に足利家では一葉に幽で浅井家からは眞琴に市、松平家では葵。長尾衆からは美空と家老の秋子で、武田家からは三姉妹である光璃・夕霧・薫と家老である春日がいたのだった。こんな夜遅く集合召集理由は、小波から語られたけど。

「なぜ我達が集まった理由は、二日前のこの時間から妙な動きをしているとの報告があったので急遽集まってもらった」

「私達長尾は何も知らないけど、アンタ達は知っていそうね光璃」

「・・・・この事については久遠には小波と詩乃、光璃からは一二三から同じ報告を受けた」

久遠達が座っているが、その時誰かが気付いたが一真がいない事だった。こういう召集されるのであれば一真ももちろん召集されるはずが、ここにはいないし召集されたのは武将達ではなく連合の長と家老に一真隊のメンツ達。綾那は既に寝ているから、代わりに歌夜が居る事だけど。

「なぜ我ら達だけで召集した理由については、小波と詩乃が知っている。報告通りに語ってはくれないだろうか」

「承知しました。ではなぜ皆さんだけを召集したかは、二日前のちょうどこの時間の夜でした」

小波はいつも通り夜になると、布団には寝ないが天井裏で寝る事が多かったが夜のこの時間に気配を感じた小波は起きてから外に行ってみた。すると庭に集まっているのは、畿内連合にいるそれぞれの衆にいる足軽大将や組頭が何らかの本を持ちながら集まっていた。そして鉢合わせしたのは、同じ諜報担当の一二三と湖衣だったのでしばらく様子見をしていた。そしたら足軽大将と組頭は何らかの合図で何もない所に入っていくのを見た小波達。あちら側からは見えないようにしているので、湖衣のお家流で見通そうとしたら何も見えなかったという事だった。

「そこで寝ている私に句伝無量で起こされました。そして報告を聞くとすぐに私は書で報告を纏めてから、次の日になったら一真様に報告しようと思ったのですが・・・・」

「次の朝になってもハニーはおりませんでした。無論この館内にいるとばかり思っていましたが、どこにもいなかったのですわ」

「そして昼頃になって詩乃からの報告を聞いた我は、すぐに壬月達に足軽大将や組頭に昨日の夜何をしていたと問いただした。が、答えは麦穂」

「は、自分達は待機していたところから離れておらぬと言っておりました。試しに他の足軽や組頭に聞いてみても答えは同じで、他の足軽も一緒にいたと言うので持ち場を離れていないとの一点張りでありました」

「あと私はその日の昼にご主人様が何人かの組頭に言っていたのですが、その時は周辺一帯を警戒していたので聞こえなかったのですが、句伝無量で聞こえてきたのです」

句伝無量は自分の身体の一部を持った者と念話で会話が出来るもんなので、相手から話しかけていなくとも何らかの秘密な話も聞こえてきたらしいと言った小波であった。そして小波が聞いた事により、既に詩乃に報告済みだったがその時は分からず仕舞いだったのでこれについては明日に報告しようと思った。その日の夜になってやっと意味が分かった詩乃だったので、久遠に報告するのが次の日になってしまった。一二三と湖衣も光璃達に報告をしたが、動きはまだ続くかもしれないとの事だったのでしばらく泳がせていたようだ。

「それで?小波は一真の言葉を聞いたのであれば何て言っていたのだ?」

「ではご主人様の声が響いてきたのでその通りに言いますが・・・・」

『今、簡易型神殿が完成した。なので調書を持つ組頭と足軽大将を今夜集めろ、今夜は畿内連合内にいる者だけで構わぬ。道案内を夜叉に任せたので、お前らだけに見えるようにした』

『承知しましたぜお頭。今夜ここで行われるので?』

『そうだ。月光が一番見える場所にするんでな、ここに神殿を降ろさせる』

『いよいよですか、おっと、他からの視線を感じますのでこれにて失礼させますぜお頭』

「とこのように会話をされていたご主人様と数人の組頭でした」

「小波さんからの報告を元に、私達も次の日になった時に一真隊の組頭や足軽大将に全て聞きましたが返答は麦穂様と同じ回答でした」

小波が見たという事を聞いていた俺らにとっては、見られていたというのは知っていた事だ。それに湖衣のお家流は色々とまずいので契約神である方位神に使えないように仕込んだ。小波が見たというのは、間違いなく畿内連合の組頭や足軽大将を簡易型神殿に招いた事だ。そして中では大天使化の俺とルフェイにゲオルグと輪廻転生システムを新しく構築したので、管理者を呼んだ。新規プログラムに間違いがないかチェックした後に、調書を一冊ずつ輪廻転生システムの輪っか内に入れた後に持ってきた組頭と足軽大将は夜叉化となった。全員夜叉化を済ませると今度は調書内にある足軽でどの役目なのかを見てから、人間コーティングを済ませた。畿内連合にいる足軽達もそれぞれの持ち場にいたが、夜叉化になった後にコーティング済みとなった。儀式が終わった後に帰りは空間切断によって、それぞれがいたとされるところに帰した。神殿は聖域なので、儀式が終わると神界へと戻るが、それだと面倒なので全ての儀式が終わるまでは神殿を安置する間は人払いの結界で来れないようにしといた。

「そして私は詩乃様にご主人様の気配がないか確認をと言われ、この館内や甲斐の辺りまで隅まで行ってきましたがご主人様の気配を感じずに戻ってきました。そこで昨夜も行う可能性が高いので、久遠様や詩乃様達からの命でそこで行われていたであろう場所で遠くから監視をしていました」

「私や雫も恐らく今晩も行われる可能性が高いと思ったので、ここでしばらく待機をしていたところに小波さんからの報告を聞いた私達は神殿があるとされる場所に向かいました」

「私ところちゃんも驚いたけど、そこには神殿という建物はなかったの。でもね、今度は武田の組頭や足軽大将が中に入るのが見えたの」

「光璃達の兵を使って何をしているか中に入ろうとしたけど、そこは見えない壁に覆われていた。そこで色々と攻撃をしたら、門番であろう夜叉や護法五神が現れた」

「私の義妹達が!そんなの聞いてないわよ」

「門番と護法五神は、何も喋らずにいましたがここを通すべからずのような態勢をしていました。きっと中では神聖な儀式か何かをやっているのではないのかを」

まあその時は夜叉と護法五神によって守護されていたけど、攻撃を受けた守護結界によりノーダメージではあった。儀式中に揺れがある程度だったので、ここで失敗する訳にはいかないので夜叉と護法五神に任せてその間に儀式を終わらせた。そして帰りは、いつも通り空間切断で帰らせたが持ち場を離れる訳にはいかない門番とかは、畿内連合の足軽に任せたけどね。そして今日が最後だからな、長尾衆は海津城にいると知っているので今度は俺が自ら出迎えてから神殿にご案内する訳だ。

「それで兄様は?」

「そうだよ。お兄ちゃんが関わっているとなると今どこにいるの?」

「それが昨日と同じくどこにもいません。いるとしたら船か神界のどちらかだと思われますが、そして今夜も行われるとしたら長尾衆なのではと思い今夜召集をさせてもらいました」

「ちょっと待ってください、畿内連合や武田の兵達はここにいますが長尾衆は海津城にいますよ?どうやって離れた場所に来れるのですか?」

「秋子さんの言う通りではありますが、一真様の摩訶不思議な力が関与すればどうとなりますよ」

さてと、そろそろ長尾衆の奴らに言って召集しようと思って神界にいる夜叉を躑躅ヶ崎館に呼んでから、俺は大天使化のままとなり外にいた。そして空間切断で一度海津城に行くといつでも準備よしとばかりの組頭と足軽大将だった。他の足軽達もいつ転生されてもすぐに馴染むようにしとくと言ってから、躑躅ヶ崎館に向かい館の門番や巡回している兵達を長尾衆の組頭と足軽大将を神殿に案内しろと言った。その頃、久遠達は手掛かりや小夜叉が聞いた桐琴からの違和感を言っていたところだった。

「そういえば母が言っていたンだけどよー、母曰く森一家の兵達の気配が変わったと言ってた気がするのさ。ま、オレも二日前と昨日と比べると確かに兵達の気配が変わった気がする」

「桐琴さんや小夜叉さんでも気配だけで何かが違うのであれば、やはり何らかの儀式を行われたのかもしれないな」

「でも兄上が関わっているとして、一体兄上は兵達に何をしてやがるのか。そこが謎でやがる」

「お兄ちゃん、ここにいる全ての恋人にも言えない案件なのかなー?」

「・・・・何も分からないままではない、一真が言っていた言葉の意味を知れば光璃達は分かる気がする。・・・・『神殿』とは何なのかさえ分かれば、中で何が行われているのかが」

「それについては天守教の梅さんと雫から聞いた話なんですけど、『神殿』とは日の本で言えば神社の中心となるところで、御神体を奉安する社殿。本殿とも言いますが、前に一真様に聞いたところ『神殿』とは神々が住んでいる場所か聖なる儀式を行う時に使われると言ってました。恐らく神殿の中では聖なる儀式を執り行われていると推測します」

それについては当たり何だよねー、聞きながら我は道先案内人のようにして先頭が我と夜叉で、付いて来るのが海津城で待機していた組頭と足軽大将。持っている調書は、全足軽の情報書であり、自らの血で書かれた魂の書庫だ。聖なる儀式を執り行っているが、そろそろあちらも動くかな?と思って気配を遮断していたのを解除した。

「・・・・お屋形様、この館内に長尾衆の気配を感じます」

「やはり予想通りの展開となったか。ここから神殿と言う所に向かうには、こちらの方が早い!」

久遠・美空・光璃が立ち上がったところで、詩乃は小波に聞くと既に長尾衆の者達は神殿内に入ったとの事だった。今夜行われると思ったのは当たっていたが、我らの気配遮断していたので気付くのが遅れたようだった。そして我らが神殿内へと入ると、扉を閉めてから鳥居の前からが夜叉と護法五神が人間の眼でも分かるようにした。

「こちらです!小波さん、長尾衆は?」

「既に遅しでした、気配を感じた時には既に神殿内に入ったと思われます。そして見て下さい、昨日までは見えなかった神殿と思われる建物の全貌が見えます!」

小波の言う通りであり、もう時間の問題だろうと我は思い、上空の雲を取っ払い月光の輝きで神殿を人間の眼でも見えるようにした。庭にある建物はまさに神々が住んでいると思われる神秘的な建物でありながら、入り口付近に鳥居があって付近には夜叉を配置させた。そして鳥居の前には護法五神を配置させてから、どんな攻撃でも耐えられる守護結界を張ったのだった。

「遅かったか!この中で何しているのやら?」

「久遠様、我らにお任せを。どんなに厚い壁があろうとも破壊してみせます」

そう言いながら壬月は斧を持っては、小夜叉は槍を、市は拳で見えない壁を壊そうとしていた。一方中では揺れはあるが、聖なる儀式の邪魔にはならないのでそのまま執り行う事とした。

「外に関しては気にする事ではないぞ、ではまず全足軽とお前たちの調書をここに」

『はっ!』

台の上に置いた事で、これより輪廻転生システムにアクセスしてから人間から夜叉にする手続きを行う事となった。輪っかに一冊一冊通す事で情報をスキャンする間に、外が心配だがルフェイとゲオルグが張っているから問題はなかろう。血で書かれた魂を読み込む事で海津城にいる足軽や館内にいる足軽とここにいる組頭や足軽大将の情報もスキャンした事で先ほど人間だったのが夜叉へと変化した。あとは人間コーティングをする事となったが、外が随分とやかましいな。

『創造神様。外にいる人間達が全力を持って守護結界を破壊しようとしています』

『お兄ちゃんどうしよう』

『問題はないが、そうだな。我の剣であるならば、久遠達の攻撃を弾いてみよ。外にいる夜叉達は人間を怪我させない程度に攻撃をしろと言っておけ』

『承りました創造神様』

「今のところ僕とルフェイの結界は壊される様子は無さそうだ」

「私達魔法使いが、守護結界を壊されると居る意味がありません。ですが、問題はなさそうですよゲオルグ」

そう言っていると外では、膨大な氣を愛用の武器・金剛罰斧を巨大化させて鳥居周辺の壁を破壊しようとする壬月に、ライザーソードのような勢いでやる強力な一撃を放つ刎頸二十七宿(ふんけいにじゅうななしゃく)をぶつける小夜叉、一葉の三千世界、市の徒手空拳、久遠と葵はどこか弱点がないか見ている。小波は集中して妙見菩薩掌を繰り出して、神殿真上に向かって放つ。美空は現在護法五神を使役しているのは一真なので、なぜそちらにいるのかを追求しているので目を閉じて帝釈や毘沙門に聞く。光璃は甲斐源氏の霊体を呼び出す「風林火山」を使おうとしても美空と同じく呼び出せない状況となった。

「はあはあはあはあ、オレ達のお家流でも傷付かない何てとんでもない鉄壁のようだぜ」

「余も同じくじゃ。三千世界で呼び出した剣や槍、斧を大量に呼び出してこの様とはのう、幽よ。何とかならんのか?」

「それがしは久遠殿や葵殿と一緒に見ていましたが、どこにも隙はありませぬ。頑丈な防御力を持つ事以外は分からぬ次第」

「もう気は練れん、相当固いようだ」

「それに帝釈や毘沙門は、こちらから呼びかけても応答無しだし。光璃のお家流も使えないから、私達はどうする事も出来ないわ」

『何やら外が騒がしいと思いましたら貴女達でしたか。この聖なる聖域である神殿に何用で来られたのでしょうか?』

そう言った帝釈天の合図と共に久遠達は大量の夜叉に囲まれてしまった。武器を地面に捨てろと言うので、従った。そうしないと天空神様からの雷光が貴方達ごと滅殺しますと言ったからである。空はさっきまで雲一つなかったのに、今は雷雲があるくらいであったからだ。神殿内では最後の作業を執り行っていたが、夜叉化から一時だけの人間コーティングを行ってから転移魔法で海津城に帰した。

『何とか終わったが、外が騒がしいな』

「さっきまで久遠さん達が守護結界を破壊しようとしていました」

「だが僕達がいる限り結界破壊はできないよ。僕達はお先に撤退するよ」

『ああ。感謝しているが、この後の大戦までには疲労を取り払うようにしてくれ』

そう言ってからここにいるルフェイとゲオルグをトレミーに帰還させてから、神殿を神界へ昇らせる事にした。簡易型神殿とはいえ、また使うかもしれない神殿なのでね。光輝くと同時に、我らは神界へと帰還した。外にいる夜叉と護法五神もだが、美空達と話をしていた。

『そろそろ私達は失礼させてもらいますよ。中で行われた聖なる儀式は完了しましたので』

「儀式とは何なのよ?」

『それについてはまだ秘密なのですよ。では帰りましょうか、皆さん』

そう言ってから光が輝くと共に神殿があったとされる場所が庭へと戻ったのだった。久遠達はここで何が行われていたのかを知るために、一真を探したようだが生憎神界へと戻ってきたのでいない。もちろん一真が関与しているかどうかは定かではないが、壬月達の一斉攻撃にも傷が付かない壁や畿内連合の時にはいたはずの一真の気配が感じないままだった。なので今回はこれで解散するが、一真から帰ってきたとしてもすぐにとっちめるのではなくしばらく様子を見る事にした。

「明日の朝に戻ってきてから、問いただしても恐らく奴は船にいたで終わってしまうだろう。なのでしばらく泳がせるが、小波は一真が戻ってきたら詩乃へ報告を。京での動きがあったらそれと同時に問いただす」

「承知しました。・・・・ご主人様の気配を感じます『場所はどこですの?』少々お待ちを・・・・ご主人様のお部屋となりますが、恐らく寝ているかと」

「ハニーが戻ってきたのなら、明日から一真隊及び武将はハニーの様子見ですわ」

「オレ達は疲れたからもう寝るわ」

そう言ってから、各々解散となったが最後に確認をしに一真の部屋へと向かい部屋を覗きこんだら既に熟睡中の一真を発見した。更に置手紙が置いてあったので、それを確認してみると今までどこに行ってたかについてだった。字で分かるが、この書き方は正室の奏さんだろうと判断してから読んだがどうやら一真はずっと船にいたと書かれていた。船で何をしていたかまでは直接本人に聞いてくれ、と書いてあったので明日の朝起きたら詩乃達が質問をしてから久遠に報告をしようと思った。一真隊の主要メンツ達は一真が寝ている布団やいくつもの布団をかけて眠りについたが、鞠や綾那は一真が戻ってくるまでここにいたらしいが寝てしまったので歌夜達と一緒に寝た。 
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