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戦国†恋姫~黒衣の人間宿神~

作者:黒鐡
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二十四章 幕間劇
  一二三と湖衣との交渉

ふむ、もうそろそろ簡易型神殿が完成すると夜叉の者達から連絡が入った時だし、そろそろ始めるとしようとは思った。ま、始めるにはこいつらとは内密に行いたい訳なので今会議にいる者達にも秘密にしておかなければならない。

「ふーむ・・・・これとこれはあそこだし、神界からの通達があったからあとで行かなければならない。そろそろ船に戻っては準備を進めているか報告を聞くところだし・・・・・」

俺の独り言だったが、今ここで会議中というのをすっかり忘れていた俺はタブレットを見ながら煮詰まって唸っていた。そしてしばらく唸りながら顔を上げると、集まっていた視線がこちらを向いていた。

「悪い、会議を止めていたようだな」

「相当お忙しいように見えましたが、お疲れですか?あと会議を聞いていましたか?」

「まあね、最近はこっちにいるよりかは船と神界を行き来しているからなのか、色々と準備したりしている。それの報告を聞いたりしているからか、ここでやっている会議には半分聞いてない訳だ。人間の方よりこちらの方を優先してしまうのでな、悪いとは思っている」

「ハニーの身体はハニーだけのモノではない事は承知してますが、やはり神界の神仏様達や船の者達との相手をしないといけないハニーにとっては忙しいと分かっているつもりですわ」

美空は慣れているから平気だと言うが、残念ながら俺の身体は地上だけではないというのは梅達が理解しているようだ。最近は休んでいないというのが本音だが、早めに全兵達を夜叉化する計画も進めているからなのか神界や船で現状を聞いて回っている。既にルフェイやゲオルグや輪廻転生システムを管理している神とで構築したからあとは神殿だけなんだよな。

「ま、俺は皆の幸せを願ってこうして一日を頑張っているからな。早めに対策を考えているからなのか、最近は休む暇もない」

「一真様・・・・・」

「じゃが主様は最近は休むところを見ておらんし、いくら神仏の類であっても倒れられては叶わん。後は余が引き受ける故、今日はもう休まれてはどうじゃ?」

そう言う一葉だったが、一人で休もうとしても休まないだろうとの皆の予想に当たっているなと思った。夜に張り切ると言うが、既に結構ヤっているので夜に張り切るという事は言わない。明日は雪が降るんじゃないかとも思われるが、天空神とトレミーからの天気予報では晴れると言っているが。

「ですけど、一真様お一人でお休みさせるというのも些か不安ですね」

「・・・・まあねえ」

「まるで俺は手綱を放した暴れ馬のように言いやがって・・・・」

「遊びに行くくらいなら別に構いませんが・・・・」

「気が付けば愛妾が増えておったり、暇を持て余しているのを見かけた誰ぞに種を仕込んでおったりの・・・・。それでは本末転倒じゃ」

「俺は誰にも種何ぞ仕込んでいないぞ?それに仕込む相手が奏だと言う事を知っている癖に何を言っているのやら。それにだ。気が付けば愛妾が増えるのは、俺じゃなくて相手側じゃないのか?そっちが勝手に増えたようなもんだろ」

休む時はしっかりと休むのは知っているが、人間界でのスケジュールと神界及びトレミーでのスケジュールは違う。まあトレミーに行っても神界に行っても休んで下さいと言って来るのは間違いなさそうだ。トレミー側や神界側でも俺が働いているところは見ても休むところは余り見てないのだから、きっと休めと言われる事になる。

「やはり監視役を必要であろうな」

「公方様は駄目ですよ?」

「べ、別に余も休みたいなどと言っておらぬであろ!今日は余は主様のために、地上での主様の仕事を肩代わりするのじゃ」

「ですが、私達もまだお仕事が残っていましてよ・・・・?」

「うーん。他に信用のおける監視役となると・・・・」

監視役、ねえ。別に監視しても構わないけど、俺は休む時はしっかりと休むよ?でも今は全兵達の調書を集めている組頭や侍大将のために、準備を進めているからな。あとは八大夜叉大将と先輩夜叉となる神々も楽しみにしているのか、簡易型神殿を早めに作っていると真っ最中だと聞いている。

「失礼しまーす」

「すいませーん。久遠様から、ちょっと確認したい事があるって言われてきたんですけどー」

「・・・・おお。ちょうど良いのが来たではないか」

「・・・・・・・?」

そうしている間に、三若が確認作業をしていたら一葉が俺の監視役をしろとか言われたので一葉達が仕事をしている部屋とは別の部屋に来ていた。雛は「あー」「うー」「おー」とか言っているが、縁側に腰掛けてる俺の近くで唸り声をしている雛。ゴロゴロ転がっている雛ではあったけど、声がしなくなったなと思ったら止まりこちらを見る。

「あー。やっぱいいねぇ・・・・一真さん。クジで勝って本当に良かったよー」

「何の事だ?」

「だって、一真さんとこうやって寝転んでればいいんだよ?しかも公方様達公認で。和奏ちんと犬子は今も必死で働いているのに、雛はお昼寝するのが仕事とか最高だよー」

「別に昼寝しているのは構わんが、雛の仕事は俺がちゃんと休んでいるかどうかの監視役だろ?」

「でも一真さん、勝手に逃げたりしないでしょ?公方様達との約束だし」

「神が約束を守らないとしたら、まずいからな。逃げたりはしないが、あちら側から来てほしいと言われたらいくら一葉達の約束があってもあちら側には行くさ」

あちら側というのはもちろん神界と冥界にトレミーだ。今は休んでいるが、神界・冥界での会議や簡易型神殿の報告やら輪廻転生システムを構築したのを確認したりと結構人間側よりも忙しいもんさ。疲れが溜まっているのは人間の姿をしてるだけだから、あちら側に行けば疲れは吹っ飛ぶが神界からこちらに戻ってくると疲労感が倍として帰って来るからトレミーで休むという決まり事を自分でしている。明るくとも暗くとも寝そうな雰囲気を出しているけど。

「あ、やっぱダメだ。雛が寝たら、一真さん雛にイタズラするに決まってるしー」

「今更の台詞だな」

「・・・・しないの?」

「逆にして欲しいの?」

「まあ、気分次第かなー。今日はゴロゴロする方が楽しいしなー」

して欲しいのかしないのかはっきりしない雛だから、しないと言った。雛はしないのかーと言ったが結局のところどっちなんだよとツッコみたいぐらいだ、そういうのも禁止と言われている。内緒でしたとしても絶対に言うからとも思うが、報告連絡相談は任務遂行の基本である。ほうれんそうとも言うが。雛の場合は広めまくるから、それに手を出すと言っても側室だと言ったら権力ないからな。例え愛妾である久遠や一葉達が文句を言っても側室である沙紀の一言で終わる。

「今日はどこか遊びに行かないんだろ?」

「雛も最近ずっと忙しかったし、ゴロゴロしたいかなー。野営じゃない畳の床さいこー」

「雛達は久遠や麦穂の手伝いをしていたんだったか、そういうところだと雛達は偉いとは思う」

「えへへー。そうやって褒められるのは、悪い気しないねー」

そうは言うが、実際はそうなんだろうと思うが雛ののんびりとした口調も心地が良いのか眠くなってきた。自然と眠くなってくるのも久々な気がするな。

「一真さんも眠かったらお昼寝しようよ。今日はそういう日何だし」

「そうしようか・・・・」

奥まで転がるのも面倒だから、縁側の板の間にそのままごろりと横になった。ベッドや布団よりかは堅い気がするが、この際気にしない方向にした。

「痛くない?」

「まあこの硬さもたまにはいいんじゃんと思う」

「そっかー。こっちまで来たら、添い寝してあげようかなって思ったのに」

「添い寝もいいが、理性がブチンと切れそうだからやめとく」

「んー。それはそれで寂しいかもー。でも畳の上がいいしなー」

もう少し近くに来るか?と言ったら畳敷きのギリギリのところまで転がってくる雛。こうやって近くに人がいるのは、随分と懐かしい限りだ。俺の意識が無くなったので、寝てしまった俺であったが時間が経った時に誰かの声が聞こえた。

「・・・・殿。・・・・殿」

「ん・・・・・誰や?」

「良人殿・・・・」

呼ばれた声の元、沈んでいた意識が覚醒すると俺は寝ていたようだったが誰かに起こされた気がした。

「やあ、やっと起きた」

「ん・・・・?」

「良く寝ていたね」

「何だ一二三か・・・・」

「あまり驚かないんだね、目の前に顔があったとしても」

そりゃ気配で何となく人だというのは理解したが、驚いた感じを出したとしても起こす側が驚くのでリアクションをやめた俺であった。目の前にあった顔は、起きた瞬間一二三だと理解したら、後ろには湖衣の姿もあった。

「んぅー。なにー?」

あヤベ、雛も起こしてしまったようだ。

「これはこれは、昼間からお楽しみでしたかな?」

「別に。一葉から休むように言われたから昼寝をしていただけだ。湖衣の想像とは違うぞ?不潔とかな」

「雛や一真さんもそうだけど、昨日もお湯を使っているよー」

「ははは。湖衣はそういう話が苦手なだけだよ。もう少し慣れた方がいいとは思うがね」

「別に・・・・そんな事は・・・・」

「一真さんの近くにいればその内慣れるでしょ。雛はもう慣れたよ」

「違いない」

「うぅぅ・・・・。別に慣れたくは・・・・・」

「一二三がこちらに来るのは珍しいな」

一二三と湖衣は下山城に居る方が多いと聞くし、最近聞いた情報だと下山に戻ったとな。

「お屋形様から正式に上洛組に加わるよう言われてね。その引き継ぎを済ませてきたんだよ」

「そうなのか、駿府の方はいいのか?」

駿府も同じように鬼の国にはなっているみたいだし、大戦が終わったら俺らは脱出しないといけない。駿府や越前にいる鬼は自然消滅するが、いつ脱出するのかまでは言ってないので一応聞いてみたまで。今のところは大丈夫みたいだし、天に祈るしかいないとか言うけど神ならここにいるという感じだ。甲斐の留守役もしっかりしているからなのか大丈夫と言っていた。

「それに手足ばかり潰しても埒が明かないからね」

「ええ。頭を潰さなければ、いくら駿府を抑えても第二、第三の駿府が沸いて出るのは目に見えていますから」

「そうだな・・・・」

駿府だけなら一二三達で抑え切れても、そこを叩く前に別の新たな末端が現れたら、こちらの手が足りなくなる可能性が出てくる。そうなる前に頭を潰そうとこっちでも考えているつもりでいる。

「とはいえ、公方様から休むように言われたのなら、今日は大人しく引こうか」

「俺に何か用でもあったのか?」

「ああ。ちょっと聞きたい事があっただけだよ。急ぎの用じゃないから、今日はゆっくりとするといい」

「話くらいなら聞いてやってもいい、どうせゆっくりするのであれば雑談程度は許されるだろうよ」

そう言ってからまた俺は縁側に腰をかける。雛は膝枕にした方がいいと聞いてくるが、そちらも疲れているのだからゆっくりとな。そう言ったらそうしよーっとと呟いてから、畳みの上でごろりと横になる。

「さて。それじゃ、一つ・・・・キミの嫁になりたいんだが、どうすればいい?」

ずいと身をせてきた一二三の言葉を、俺は一瞬で理解と共にまた増えるのかーと心の中で思った。

「へっ!?」

「嫁というより愛妾だが、なりたいのか?」

「一応噂くらいは聞いているがね。細かい決まりは知らないし、なるならちゃんとした事を聞いておいた方がいいだろう?」

「一二三は前々から興味はあったの?」

「興味はあったのは君と出会ってからからかな、何なら湖衣も付けてもいいけど」

「ちょ、ちょっと、一二三ちゃんっ!?」

「ははは。湖衣も私も男を知らないから、キミの好きなように染められると思うよ?悪い物件ではないと思うけど」

そういう事は俺よりも側室に聞いてくれといいたいが、これは俺が教えた方がいいのかと困ってしまう。男を知らなければ、俺が教える事になるがその前に気持ちとしては嘘偽りはなさそうだ。

「あれ?いつもは一真さんが押されてるのに、今回は珍しい押され方ー」

「誰がいつ押したんだか、それに告白紛いな事をいきなり言われると困り顔にはなるさ」

ある程度仲が良くて、そこから行くケースだったんだけど、いきなり嫁になりたいとは思わなかったな。この場合は久遠や光璃くらいかな?いつもは押し倒したり驚かせる側だからかもしれないけどな。

「俺は見境無しに押し倒したり何かしないからな」

『違うのー?/違うのかい?/違うんですかっ』

なぜにそこで三人揃うのかな?それに見境無しに襲うとかは、最早神ではなくただの野獣か魔獣だね。よくゲームに出てくる触手や他の動物と交わるというのが、あった気がするが残念ながら俺の趣味ではない。あるとすれば触手くらいだけど、言う事を聞かないのであればとっくに消滅させているさ。

「一二三の事だから何らかの理由でもあるのだろうよ」

「ふむ。流石にすぐにうんとは言わないか」

「言う訳ないだろうに・・・・。で?何が言いたい」

「・・・・今の君を中心とした連合の事だけど、かなりの規模になっている事は理解しているよね?」

「そんな事か、そりゃ理解しているさ。俺はここでの連合もそうだけど、一緒に戦ってくれる仲間達がいる。黒鮫隊や神々もだが」

「我が武田に、長尾、織田、近江に三河、そして京の足利家。・・・・幕府を取り込んだ事を差し引いても、日の本で一番の勢力なのは間違いない。それは日の本の場合ではあるけど、その前に上空にいる勢力だと地上の連合無しでも十分に天下統一出来る勢力と見ていいだろうしね。力の大半を失ったとは言え、幕府を取り込んでいる時点で既に天下は取っていると思うがね」

「力は持ちすぎているとも考えるが、集まるのは世の常。藤原も源も足利も通ってきた道であり、その力で日の本を良い方向導けるのなら神の本性でもある。一二三が気にかけているは、同盟があまりにも特殊だという事なんだろう?」

「見抜かれるとは私もまだまだかな、少し話しただけで私が考えている事を当てるのは同じ人間かい?と質問をしてしまうくらいだよ」

見抜くというよりこの世界の原案は見ているからか、今どの辺りでどこが終幕かは把握しているしこれがサイドストーリーくらいは知っている。もちろん幕間劇というのもサイドストーリーというのも知っている。というかこの世界がゲーム化されているという事は、現実世界からの情報を見ている事だ。俺は現実世界から来た一人の男で現在は神になったが、人間を止めてまでなったつもりではない。自然的にそうなり必要されると把握して、立ち位置が人間から神となったくらいだ。

「この同盟は、俺一人が全ての権利を握っていると言いたいのだろう」

「然り。こんな同盟の組み方は、今まで聞いた事もない。・・・・故に、有効な崩し方も未だに存在しない」

「崩す・・・・?」

「通常の同盟なら、崩すには幾つか定石があります。外堀から埋めたり、内側から裏切らせたり・・・・」

「そういう事か。つまりこの同盟には崩すところがないか通じないという事かな?」

「一真さんを殺せばいいんじゃないの?」

「一番簡単で確実なのはそうだな。・・・・けど、そうなれば元凶となった相手は無事では済まないだろうし、死ぬ事によって結束を強める事にもなりかねない。それに君の周囲には私達では見えないような存在が常に見張られているし、心酔した無双の兵の誰かが侍ってる。正面から殺すにはなかなか骨が折れるだろうし、キミ自身も相当強いと聞いているから殺そうと考えた連中が動く前に殺されるだろうね」

「当たり前だ。それに神を殺そうとしたって、神々の僕である夜叉や死神に俺の妹である護法五神が常に見ている。もちろん他の神仏の者達もね、心酔した者の大抵は俺に惚れ込んだ恋人だ。俺を殺すのであれば、相当な強者じゃないと殺せないだろうし殺す前に殺している。例え一二三や湖衣が優秀な草だったとしてもね」

「そうだろうね、彼女達や神仏の類を抜いて倒すのは相当厳しいか不可能に近い」

この世界での恋人となった者達での強者は、一葉や鞠、綾那に美空。畿内連合の中でも相当な強者がいるし、長尾や武田にも無双な連中がいるのは間違いない。あとは神仏の類だろう。護法五神を始めとして妻となった神仏の者達は阿修羅、鬼子母神、十羅刹女と言った鬼神ではあるし八大夜叉大将と部下である夜叉五千を率いている。

八大夜叉大将というのは、「宝賢夜叉(ほうけんやしゃ)」「満顕夜叉(まんけんやしゃ)」「散支夜叉(さんしやしゃ)」「衆徳夜叉(しゅうとくやしゃ)」「應念夜叉(おうねんやしゃ)」「大満夜叉(だいまんやしゃ)」「無比力夜叉(むひりきやしゃ)」「密厳夜叉(みつごんやしゃ)」を合せて八大夜叉大将と呼んでいるけど、よく呼ぶのは宝賢夜叉だ。全員揃う時は、大戦の時に全員集まれるように調整をしている。

『今我ら八大夜叉大将の事をお考えか?主様』

『ああ。八大夜叉大将というのは、よく呼ぶ方ではなく八つの夜叉がいるからそう呼ばれていると改めて思った』

『我らは一つの夜叉であろうとも主様の大戦の時には、例え呼ばれなくとも参加させてもらいます』

『その時は頼むぞ』

あとは簡易型の神殿にて、全兵達を夜叉化してから人間時のコーティングを済ませるが俺の合図でコーティングを解除する予定だし、数万の夜叉を指示するのは全員揃った本当の八大夜叉大将としての責務をしてもらう。毘沙門天の部下とされているが、俺としては毘沙門天も夜叉達も同じ位置として見ている。堅牢地神は最強の防御力を持つ盾を持つ女神でもあるし、風神雷神は日本の神とされているがサイフィスとトールだと思っている。

「次善策として、キミを籠絡すれば同盟は崩せるだろうけど・・・・」

「多分それ、逆に籠絡されてお終いだと思うよー」

「その通り。キミの部下思いは同盟公認だし、恐らく唯一だろう弱点を最大の武器に変えている。誰が思いついた絡繰りかは知らないけれど、驚嘆に値するよ」

「何だか女想いな感じがするねー」

「それはまあ、湖衣の結論だからな」

「そ、それとこれとは関係ありませんっ!」

「まあ俺は、誰が恋人になろうとも俺がさせたのは間違いなさそうだ。俺との関係が続く限り、同盟は続くという考えなのだろう?」

五十年や百年経っても俺や仲間達の歳は変わらないけど、もしこいつらと一緒に終幕がもっと先だったら五十年後も俺は俺のままであって次世代を生むために頑張るはずだけど、そうは出来ないのが俺の性。当代である頃ならば、俺がまだ元気な間は安泰とも言うべきだろう。

「でさー。それと二人が一真さんと恋人になる事って、何の関係があるの?雛、良く分かんない」

「・・・・その鉄壁の同盟を気に入らない連中も、いるって事さ」

「ああそう言う事か、ここよりも外の連中。武田くらいの大きな勢力とも言うべきか」

伊達や毛利も結構な勢力ではあるが、今は鬼という敵がいるから今がある訳だし。その戦いで終わらせればどうなるかは、もう分かっているという事らしい。

「まあ例え誰も崩した事のない同盟を崩そうとした人間を排除するのは、人間の仕事ではなく鬼神だろう。鬼を排除すれば、大きな勢力は動こうとするが連合を指揮している人間はもう既に気付いているという事さ雛」

「つまり今の世よりももっとヒドくなるって事?」

「応仁の乱がもう一度起きるかもしれません」

「ないない・・・・そこまで起ころうとしているなら、既に俺達が排除している。それに俺達の武器は、応仁の乱という戦国時代の引き金となった戦争が起ころうとも、すぐに終わらせる事ができる。動きは始まろうとしても、地侍や各地であぶれた浪人達も取り込まれてはいるらしいが、この大きな戦はそいつらにとっては行軍するために調練だろう。戦とは先の先を読む事が、優秀な司令官になる。二手三手所ではない、もっと先まで読んでいて俺がもし泳がせていたら?」

先を見据えている俺は、二手三手よりも十手ぐらいの先読みはしている。まあその情報というのは、この物語を知った上が条件となるに相応しい。じゃないといくら俺でも先読みは不可能。応仁の乱が起きても、すぐに排除できると言い切ったのか一二三も湖衣も想定外の発言だったのか少し驚愕している。そして分かっていて泳がせていたらという質問に全ては俺の策で手の上を見せているとも言うのかな。

「なら、何で久遠様達は動かないのー?知っているなら何とかしちゃえば良いでしょ」

「それは出来ない相談だな雛。連中も分かっているから動き出していると言おうか」

「めんどくさいなぁ・・・・」

(まつりごと)の世界は面倒な物なんだよ。叩いて壊せばカタが付く戦の世界とは、訳が違う」

「止める手段はそちらは無くともこちらにはある。まあ止める手段はなくとも防ぐ手段くらいはあるんだろ?」

無論と言った一二三に対して何も言っていないが、それこそ方法が違えど俺と恋人になる必要性が出てくる。何も言わなくとも理解できると言う事は、仙人や半神なら理解できる事だけど、二人を信用する事で俺を必要するのであれば、その期待に応じるだけ。

「わ、私もですか・・・・?」

「嫁に入るアテがあるなら、良人殿に考えるよう言うが?」

「そ・・・・それは、ないですけど・・・・」

「良人殿は嫌かい?」

「そちらが良いのであれば良いと思うぞ?第一俺の恋人になったら、二人は各地の繋がりがありそうだ。愛妾となり同盟そのものを後ろ盾に出来れば、今の武田家の一員として動くより、より多くの時間が稼げるとお考えかな?」

「参ったね・・・・そこまで読まれているとは降参だよ。私達は君とその権力を利用するが、その代わり私達を好きにして構わない。私からあげられるモノなんて、未通女(おぼこ)の身体くらいしかないがね。・・・・そういう条件で、どうだい?」

「遠回しで言ったが、そんなので良いなんて安いな。もっと俺を楽しませるような言葉はないのかね?」

ちなみに未通女(おぼこ)とは処女の事だ、それだけでというのは随分と安いモノだ。ま、この世界では女性同士で奥さんをしている者も多いがほぼほぼ未通女(おぼこ)と言う事だが。湖衣は鋭い声と顔だったが、雛曰くそれは一真さんにとっては通常運転だよーと言っていた。一二三が俺が思った以上に優しい面が出ていると言ったら疑問符で答えてきたので、利用すると言っては条件ややりたい事を提示してきたと。

「それにだ、神仏が力を貸すのは対価が必要なのに一二三はくれるものを提示してきただろうに。気付いてない?」

「それは黙っていてもいずれはバレると思ったから、利用するが気が引けて公平ではないだろう」

「あのな、その部分が優しいところなんだよ」

「な・・・・っ」

「珍しい。一二三ちゃんがうろたえている」

「うろたえて何かない!」

「いや、凄く動揺してるよね?」

「し、してないぞ・・・・。気のせいだ。なあ、良人殿」

「声が震えているから随分と分かりやすい動揺するんだな、一二三は。意外にも可愛い部分持ってんだなー、湖衣はこういう一二三を見るかい?」

声が震えているのでバレバレだと悟った後に動揺を隠せないでいた一二三と正直驚いていた湖衣だった。俺に話したのは失敗だったらしいが、言う通り利用するだけでもよかったらしいが既に遅し。一二三の可愛い所を握ったので、桃香達はトレミー上空で見ていたので今後の対策としてはこれを言えば文句ないだろう。

「・・・・そうだ。確かキミは、織田家の家臣だったよね?」

「そうだよ?」

「キミ達としてはどうなんだい?一応、同盟相手としてはその気持ちも確かめておきたい」

「そう言う所が優しいと言っている・・・・雛曰くどうでもいいと思うが違ったかな?雛」

「大当たり・・・・利用するなんてお互い様でしょ?それで世の中が平和になって、雛がゆっくりお昼寝しても怒られなくなるから、皆じゃんじゃん一真さんを利用すればいいんだよ」

「そうか。尾張者は話が早くて助かる」

雛を尾張のスタンダードに見るのはちょっとアカン気がするが、今後と言っても俺らの予定表には雛達がゆっくり出来るのは拠点に帰っても地獄を見るだけだ。一度月中基地本部に戻った後にIDカードを発行してもらってから、拠点D×Dに戻るという感じだ。戻ってから愛妾から側室とランクアップしてから、アグニや愛紗達との地獄の修業をしないといけないと言うのはまだ知れていない。

「久遠も最初は利用するだけだったし、光璃との恋人も同盟のためだったし」

「あの、光璃様は・・・・」

「無論今は大事な恋仲である」

「・・・・はい」

「それに俺がしたい事はこの先の大戦で分かる事だから、あまり未来の事は考えていない」

それについては、大軍議の時にも話したが終幕と共にこの世界は滅びる事もね。交渉成立とでも言う一二三だったが、湖衣は嫌なら無理しなくともいいとだけ伝えてある。俺に出来る事は協力するが、全兵の夜叉化については畿内連合で言えば三若にも話してない事だ。織田家の武将達は、そのまま俺らの世界へご案内だが俺がこの世界に来る前からいたであろう部下までは連れて来れない。なので夜叉化にして、いつでも周辺にいるという感じにしちゃえば?という事なのでそうしている。

「それに湖衣も一二三も恋した事ないのだから、無理強いはしない。強く抱き締めて一発台詞言うぐらいはしないつもりだ」

「おやおや・・・・そこまで私や湖衣についてを理解しているなんて本当に人間かい?」

「人間を越えた存在とでも言おうか・・・・とりあえず一二三と湖衣については、皆に言っとくんで」

「大人の返しだね一真さんは」

「必要最低限の相手だけで構わないさ。私もお屋形様や典厩様に伝えるだけにしておくつもりだ」

大人返しをした後にこちら側とあちら側にて愛妾が増えたとの報告は俺がするとしても、雛は言いふらしそうだったから脅して言いふらさないようにした。あとはこれからは味方になる存在なので、船にいる主に三国志時代の頃は草をしていた思春や明命に扱かれる気がする。ま、今後になるがガンバしか言えない。

「なら、私からの話はそれだけだ。・・・・力を貸してくれる事、感謝する」

「こちらこそよろしくな、一二三に湖衣。一つだけ言うのなら、湖衣のお家流である金神千里でも見通す事は出来ないと言っとく」

「私のお家流をどこから『方位神・金神に教えてもらった、忘れたか?俺は全神仏の頂点だぞ』ああ、そうでした」

「それで恋仲成立?」

「えええええっ!?」

「おいおい雛」

「それじゃ、私達は行くよ。休みの所、悪かったね」

「それも一興だ、この先のためにな」

こちらは三手四手の先を読んでいても、相手はこちらの予想外な動きをするかもしれないので、手を打てるようにはしないといけない。相手よりも先に行動してから最小限でカタ付かせる予定もある。例えドウターと鬼が共存して戦おうとしてもだ。

「で、寝所にはいつお邪魔すればいいかな?」

「それについてはそちらで任せる。俺はいつでも待っているからな」

「でも、また結菜様に色々言われそうだねー。休みのはずなのに恋人増やしたって」

「それについては結菜じゃなくて奏と桃香達が言うが、仲間になるのなら既に許しているさ。結菜が言おうが、愛妾と正室・側室では差が大きく広がっている。権限は既に船内での会議で終わらせているから大丈夫さ」

それで言われようが言語道断だと一言で済ませる事が出来る。奏や桃香達はいずれ同じ立場になる恋仲のデータを見てから、そうなるはずさ」

「それでは・・・・」

「あいやまたれい!」

「あ、あいや・・・・?」

「山本勘助!見つけたっすー!」

「あ、あぅぅ・・・・っ」

「おーい、お兄ちゃん!雛ー!」

ん?柘榴に市までもここに来ているが、何しに来たのやら。と思ったら綾那もいたし、俺がお休みで暇していると聞いたらしく綾那達と遊びに来たらしい。戦の準備はいいのかと一応聞いてみたが、市は眞琴がやっている。適材適所なのか、柘榴は湖衣と勝負しようとしていたがあれは大丈夫なのか。すると綾那は一二三と相手するらしいが、綾那的には何やらビビッと来たらしい。

「えーっ。勝負するなら市もやりたーい!」

「私と湖衣の二人を相手に同盟の無双の勇者三人というのは、いくら何でも不公平ではないかな?雛、加勢してくれないか?」

「えー。雛は今日は一真さんとお昼寝するっていう重要任務があるんだけどー」

「えーっ!だったら、綾那も一真様とお昼寝したいのです!」

「なら二対二だね!」

「えっ。いや、でも勝負もしたいですし・・・・」

「とりあえず柘榴は湖衣とやり合えば何でもいいっすよ!」

「私は戦いたくないんですけど・・・・」

「あれ?もしかして、お兄ちゃんとお昼寝したい人?」

何か否定している湖衣だったが、あちら側にとってはどうなんだろうな。柘榴は勝負と言っていたが、綾那はお昼寝の隣は譲らないと言っている。一二三は一二三で俺に人望があるから、一二三も全てを伝えようとしている訳だ。そう言って笑うがいつもの笑顔ではない気がした。で、結局昼寝しようにも騒がしかったので、俺対市・綾那・柘榴となり一撃で終わらせてから、俺はやっと畳の上で一緒に昼寝をした俺と添い寝をしていた監視役である雛だったが一緒に寝てしまった。なお、市達三人は地面の寝転がっていたのを発見した一葉や雫がいた頃には夕方となっていた。 
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