なんかポケモンの世界に転生しちゃった?!
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カントー編
新たな仲間とゲンシカイキ
翌朝、僕は朝早くに目を覚ました。隣のベッドを見るとアヤカはいなかった。サトシはまだ寝ている。僕は外に出る。海の方で雨が降っていた。
「雨?」
『おはよう。よく眠れた?』
声をかけて来たのはゼルだった。
「うん。まあね。ゼル、あれは?」
僕は海の方を指す。
『ああ・・・・・ここで説明するのは大変ですから、見に行きますか?』
「ああ、頼むよ」
僕はゼルの背に乗る。ゼルは海に向かって走り始めた。案外、スピードは速いもので、落ちないようにしっかり捕まっていた。
海に着くと、荒れていた。雷も鳴っている。浜辺にはアヤカが立っていた。
「久しぶりだけど平気そうね」
『鍛錬は怠っていないからな。あいつらには負けてられないさ』
カイルの声が聞こえる。
『どうやら、ゲンシカイキの練習らしいです』
「ゲンシカイキ・・・?」
「ゲンシカイキって言うのはカイオーガ、グラードンだけが行えるもの。かつての力を取り戻したようなものよ。まあ、簡単に言えば、メガシンカのカイオーガ、グラードン版といったところかしら」
アヤカがそう説明しながらこちらに向かって歩いて来た。僕は海の方を見る。カイルはいつもより大きく、綺麗だった。
「そろそろ、解いていいわよ」
アヤカがそう言うと、カイルは光に包まれ、元の姿に戻った。天気も良くなる。
『いやー、久々だったな。疲れたから寝るわ』
「うん。おやすみ」
カイルは海に潜る。
「さて、シゲル、こっちに来て」
僕は昨日、最後に訪れた湖に辿り着く。そこにはユイルがいた。
『おはようごさいます。シゲルさん、アヤカ、ゼル』
「おはよう」
「おはよう」
『おはよう』
『シゲルさん、私はあなたのことをお待ちしておりました』
「僕を?」
僕がそう聞くとユイルは頷いた。
「シゲル、今からあなたはある湖に辿り着く。そこで会って欲しい子がいる。名前はアヤメ。彼女がシゲルを認めるかは分からない」
「僕はアヤメという子に会えばいいの?」
僕がそう聞くとアヤカは頷いた。
『アヤメは感情を司るポケモン。あなたは知性豊かです。本来なら、私があなたに付くべきだった。でも、私はアヤカを選んだ。それが何を意味するのかは分からない。でも、全ては運命』
ユイルはそう言った。確かに感情豊かなのはアヤカで。
「準備はいい?」
アヤカに尋ねられ、僕は頷く。
「ユイル、お願い」
『あなたにご武運がありますように』
視界が真っ白に染まった。
*
「・・・・大丈夫よね」
『ええ。きっと』
『アヤカらしくないわね』
ゼルにそう言われた。確かにそうかもしれない。
「私はまだ、みんなを巻き込みたくないと思っているのかな・・・・」
『でも、一緒に旅をするのならば、避けて通れない道』
ユイルがそう言った。私はそっと目を閉じる。私がゲットしていた仲間を二人に託す。これがどんな意味を持つのかは分からない。でも、悪いことでは無いと断言できる。
「・・・・そうね。仲間を信じなくてどうするのかしら」
『そのいきですよ』
私はそっと目を開ける。
「頑張って・・・・シゲル」
私はそう小さく呟いた。
*
目を開けるとそこは湖だった。湖の真ん中には洞窟があった。僕はボールからカメックスをだす。
「頼むよ」
カメックスは頷いた。僕はカメックスに乗って、洞窟を目指す。洞窟の中はひんやりと心地いい空気が流れていた。
『誰』
「僕はシゲル、君がアヤメ?」
僕の目の前にはピンクの小さいポケモンがいた。
『・・・・そうよ。私はエムリットのアヤメ。感情を司る者。それで、シゲル、あなたは何しにきたの?』
「・・・・・何しに来たんだろうね。よく分からないや」
『へ?』
僕が正直に答えるとアヤメは驚いたような顔をした。そして、次の瞬間、思いっきり笑った。
『あははははは!!そんな風に答えた人、初めて見た・・・・大抵は私が伝説だからって私のこと捕まえに来たとかいう人ばかり』
「・・・・僕も有名な博士の孫だからとしか見られない。でも、幼馴染は僕を僕として見てくれた。君の辛さはよく分かる」
『・・・・不思議な人。私、あなただったら一緒に行きたい』
「・・・・僕でよければ。よろしく、アヤメ」
『ふふ。よろしくね』
僕はボールを差し出す。アヤメはボールに触れて、吸い込まれた。そして、音が鳴る。
「アヤメ、ゲット」
僕がそう言うと、アヤメが飛び出てくる。
『さて、帰るんでしょ?どこに帰るの?』
「・・・・説明がしにくいな」
『・・・・もしかして、アヤカのとこ?』
「うん」
『じゃ、行きますか!』
アヤメが僕の頭の上に乗る。僕の視界は再び真っ白に染まった。
*
「え、俺に会って欲しいポケモン?」
『誰?』
「うん。ヒスイって子」
『ヒスイは意志を司るポケモン。サトシさんにはピッタリですよ』
ユイルがそう言った。
「分かった、行ってくるぜ!」
『僕も!』
「うん、ありがと」
サトシが目の前から消える。これで私の役目は終了。
「ユイル、お疲れ様」
『・・・・無理してないですか』
「してないよ。二人があの子達と出会ってくれて嬉しい」
『・・・・アヤカ、無理しなくていいんですよ。辛ければ辛いって言えばいいんです。アヤカは変なとこで頑固なんですから』
「・・・・うん。正直言えば辛いかな。でも、永遠の別れじゃない」
『そうですね。戻ってくるようですよ』
そう言った、ユイルの目線の先にはアヤメを頭の上に乗せたシゲルがいた。
「おかえり、シゲル、アヤメ」
「ただいま」
『ただいま♪』
*
「うわ・・・・広いな」
「ピカ」
湖の真ん中には洞窟。俺はリザードンを出すと、洞窟の入り口まで飛んだ。
『・・・・お客さん?』
目の前に青い小さなポケモンがいた。
「お前がヒスイか?俺はサトシ、こっちが相棒のピカチュウ!」
「ピカッ!」
『僕はアグノムのヒスイ。意志を司る者。サトシは何しに来たの?』
「俺は、お前に会いに来たんだ。お前と友達になりたいんだよ」
「ピカチュウ!」
『友達・・・・サトシって面白いね。僕、サトシのこと気に入った。いいよ。僕をゲットして』
俺はボールを出す。ヒスイはボールに触れて吸い込まれた。ボールはすぐに音を立てて止まった。
「ヒスイ、ゲットだせ!」
「ピッピカチュー!」
ボールからヒスイが飛び出てくる。
『サトシはどこに行きたいの?』
「アヤカのところ!」
『うん。分かった』
ヒスイは肩の上に乗る。俺はあまりの眩しさに目を閉じた。
*
「帰って来たね」
『あら、ヒスイじゃない。アヤカ、ユイル、今度は何を企んでるの?』
「別に?」
『何も企んでないですよ?』
私はユイルと同じタイミングで首を傾げる。
『この二人がセットになると色々とめんどくさいよね。お久しぶり、アヤメ』
『言っちゃダメでしょ。お久、ヒスイ』
「『二人してもう遅いから』」
私とユイルは声を合わせてそう言った。
「これで、二人とも仲間をゲットだね。さ、会場に行こうか。そろそろ始まるし」
私の言葉に二人が頷く。今日は思いっきり楽しまないとね。
私達は鏡を通り、会場へ。今回は三回戦から十回戦まである。今日は六強だけでなく、他の子もバンバンだすつもりだ。また、うちの子、スキルアップしちゃうかな?ふふ。楽しみー!
「暴走はしないでくれよ」
『アヤカの暴走はシャレにならないからねー』
「シゲルにアヤメ!?酷くない?!」
『全然普通だと思うよー』
「ヒスイまで・・・・・」
私は一人と二匹の言葉に項垂れる。酷いよ。私、暴走しないよ?!
「・・・・俺が出るんだよな?」
「そうだよ、ミウ」
私は現在、ミウの背に乗っている。と言うよりかはミウにくっついている状態だが。まあ、ミウも満更でもない見たいだし?問題はないよね。
「ゲンシカイキで乗り切ろー!雷orこんげんのはどうでいいよね」
「うわ・・・・レイルに文句言われそうだな」
「ほっとけばいいのよ」
私達の会話にみんなは苦笑いする。そして、第三回戦の始まりを告げる鐘が鳴った。
「さっ!いっちょやりますか!全員、ファイト!」
「「「「おーー!!」」」」
私達は大声を出して気合いを入れた。私の最初の相手は炎タイプばかり使う男の人。これはもう、私の勝ちよね?
「ブースター!」
「水を操れ!カイル!」
『おっしゃー!やるぜ!!』
相手はブースターを私はカイルを繰り出す。カイルは出てくるなり、光に包まれ、ゲンシカイキした。そして、雨が強く降り出す。
「ブースター!電光石火!」
「カイル、こんげんのはどう!」
カイルの周りに青い玉がいくつも出現する。それは、ブースターに向かって一直線に向かって行った。ブースターは電光石火でよけ続けるがそれもずっとは続かない。青い玉が一つ命中した。その攻撃でブースターは倒れこむ。
「お疲れ様。ルンパッパ!」
相手の二匹目はルンパッパ。
「日本晴れ!」
どうやら天気を変えるみたいだ。しかし、それは意味をなさない。雨の勢いは止まらない。
「どっどうして!!」
『これは一体どういうことなのでしょうか?!』
『これはゲンシカイオーガ独特の特性のせいですね。始まりの海と言って、霰、日本晴れ、雨乞い、雪降らし、日照り、雨降らしなどの天気を変える技や特性を無効化します。さらに、通常五ターンしか持たない天気を自身が出ている間はずっと続くようにします。この特性に対応できるのはゲンシグラードンぐらいでしょうか』
相手の動揺に、解説の説明。ますます面白くなってきた。
「カイル、雷」
『・・・・・後でレイルに何言われるか』
「ほっとけばいいでしょう。てか、指示したのうちだから」
『それもそうだな』
カイルは雷を放つ。雨天時の雷の命中率はーーー必中。カイルの特攻はV。たとえタイプ一致でなくとも、殺人級となる。あー怖(笑)
その後も、冷ビやら雷やらこんげんのはどうやらハイドロポンプやらで無双しまくった結果、見事勝利。
「俺、帰んな」
「うん、お疲れーミウ。また頼むね。あ、ついでにティア呼んで」
「りょーかい」
ミウは鏡を通って戻っていく。しばらくしてティアがやって来た。
「アヤカー!次は私の番?!」
「そうだよー、アン」
「やったー!」
「「相手の死亡フラグだな(ね)」」
酷くない?二人とも。
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